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Posted by ブクログ
この巻は前半はマリアの父ボルコンスキー公爵の死 後半はナポレオンのロシアでの初めての敗北のボロジノ戦が描かれています。読んでいてじわじわ来たのは、私のように戦争経験のない人間にはわからない、軍事進攻の残酷さです。特に前半のアンドレイの故郷の荒廃ぶり、彼らが土地を転々としている事実、むろん彼らは裕福な何ヘクタールも農場を所有している豪農の領主なのですが、しかし物語で語られている時間経過でそれは感覚として理解できました。いわば都落ちです。後半の戦場の残酷な描写も克明であり、この時代の戦争ではあるのですが、指導者と現実の戦場の乖離など、読んでいてそうであろうと納得させられました。そんな中でアンドレイがナターシャと別れる原因となったアナトールの負傷した姿を見て、憐憫の情にかられるあたりが、この小説のヒューマニズムの肝なのだと思います。同様の場面はピエールとドローホフの和解の場面でもありました。アナトールと言えばアナトール・フランスを思い浮かべますが、おそらくそれでつけられた名前でしょう。トルストイの理想が掲げられた描写なのだと思いました。
Posted by ブクログ
いよいよ、ロシアがナポレオンとの戦争に突入する。
作者の歴史感を書き留めておきたい。
・人間の中には2面の生がある、その利害が抽象的であればあるほど自由が多くなる個人的な生と人間が予め定められた法則を必然的に果たしている不可抗力な群衆的な生である。
・人間は意識的には自分のために生きている。しかし、歴史的、全人類な目的の達成のための無意識的な道具の役をしている。
・歴史=人類の無意識的、全体的、群衆的な生
・歴史上の偉人はその事件を示すレッテルに他ならず、レッテルと同じように事件そのものとは最も関係が小さい。
歴史とは抽象化された一面的な解釈である。ある概念を宙吊りにして眺めたとしても真理にたどり着けないことと同様に、あまりにも多くの諸原因の集合的な結果であり、その真相を多くの歴史家は分かったように言うが真実を示すことは不可能である。
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