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Posted by ブクログ
この長編もいよいよ後半。モスクワ市街がフランス軍に制圧され市の大半が焼失、その中でピエールはナポレオン暗殺を考えるが、あっけなく捕虜にされ容疑者たちが銃殺される現場を見る。以来ピエールの中で宗教や政治、妻エレンのことは遠ざかってしまう。捕虜生活の中でプラトンという男と知り合う。これがトルストイの傾倒した老荘思想の持主ということらしい。しかし東洋的なことを言うわけではない。モスクワから逃げ延びたロストフ一家は負傷したアンドレイと偶然落合い、ナターシャとマリアはその臨終に立ち会う。末期のアンドレイも現世のことには興味がなくなっていたようだ。このあたり作者の無常観が漂っている感じだった。そんな中でニコライがソーニャからマリアに持参金のことで乗り換えるような展開に。最終巻ではどうなりますか。
Posted by ブクログ
本巻では、ボロジノの戦いで戦略的撤退を敢行したロシア軍がさらにモスクワの街を捨てた状況が描かれる。
ナポレオン軍がモスクワに侵攻した時、すでにモスクワはほとんど無人の街になっていた。
ナポレオン軍は、そこで烏合の衆に成り果てる。
目の前に無人となった美しい街がそのまま残っているのを目にしたナポレオン軍の兵士達は、略奪の限りを尽くす。
その姿はもう、兵士ではなくただの略奪者だ。
そこには将軍も一兵卒もなく、誰もが馬車を奪い、美しい家具を奪い、金目になる物を残らず強奪していく。人間の浅ましさをまざまざと見せつけられる。
規律を失った組織の脆さ、脆弱さ。人間の弱さがこれでもかと描かれる。リーダーシップがいかに重要かということを改めて思い知らされた。
訳の分からないコンサルが書いたビジネス書なんかより本書の方が100倍勉強になる。
そこへ当時の街の4分3を焼いたと言われる「モスクワの大火」が起こる。
これはナポレオン軍の兵士による火の不始末なのか、ロシア軍側が故意に火を付けたものかは今も分かっていない。ただ、ロシア側がナポレオン軍の妨害をするため秘密裏に火を付けたという説が有力なようだ。
いずれにせよ、当時のモスクワのほとんどの建造物が木製だったため、歴史ある建築物の多くが灰と消えてしまったのだ。
そして本巻でのもう一つのクライマックスがアンドレイ・ボルコンスキー公爵、ナターシャ・ロストフ、ナターシャの兄のニコライ、ソーニャ、アンドレイの妹マリアという男女5人の5角関係だ。
アンドレイ公爵と美少女ナターシャは婚約していたが、ナターシャがアナトールというイケメンだけど女ったらしの馬鹿貴族(こいつは主人公ピエールの妻エレンの実兄だよ。とほほ)に騙され、ナターシャはアンドレイとの婚約を破棄してしまう。
そして、ニコライ公爵は無一文のいとこソーニャとラブラブだったのだが、アンドレイの妹マリアの危機を救ったことで、この二人の間に恋心が芽生える。
そこへアンドレイがボロジノの戦いで瀕死の重傷を負い、ロストフ家に運び込まれる。
ナターシャは献身的に瀕死のアンドレイの看病を行い、自分の過ちについてアンドレイに許しを請う。
また、ソーニャはニコライと結ばれることを望んでいるため、ナターシャとアンドレイが結婚してくれることを望む。なぜなら、ナターシャとアンドレイが結婚すればロストフ家とボルコンスキー家は親戚同士となり、ニコライとマリアは兄弟関係になるので、二人は結婚できなくなるからだ。
そして、その結果は・・・。
一方、主人公であるピエール・ベズーホフ伯爵は、火の海のモスクワを見て、一人、ナポレオンの暗殺を決意し、拳銃とナイフを胸に忍ばせ、普通の町人のような格好をしてナポレオン軍へ近づいていく。
モスクワを失ったロシアの運命は。
ナポレオンの次の一手は。
そして、この5人の男女の運命は。
ピエールのたどり着く先は。
もう、目が離せない。
ここまでくれば次はラストの第6巻。さあ、張り切って読むか!
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