【感想・ネタバレ】戦争と平和 (五)のレビュー

あらすじ

敵軍、モスクワ侵攻! 退去勧告のビラが撒かれる。引揚げるナターシャは重傷のアンドレイと再会し、ゆるしを乞い、死の日まで付添う。一方、ナポレオン暗殺を誓い大火の首都をさまようピエールは、放火の嫌疑でフランス軍の捕虜となり農民プラトンと出会う。その邂逅にロシア的生命の光を垣間見るのだが… 新訳(全六冊)

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Posted by ブクログ

この長編もいよいよ後半。モスクワ市街がフランス軍に制圧され市の大半が焼失、その中でピエールはナポレオン暗殺を考えるが、あっけなく捕虜にされ容疑者たちが銃殺される現場を見る。以来ピエールの中で宗教や政治、妻エレンのことは遠ざかってしまう。捕虜生活の中でプラトンという男と知り合う。これがトルストイの傾倒した老荘思想の持主ということらしい。しかし東洋的なことを言うわけではない。モスクワから逃げ延びたロストフ一家は負傷したアンドレイと偶然落合い、ナターシャとマリアはその臨終に立ち会う。末期のアンドレイも現世のことには興味がなくなっていたようだ。このあたり作者の無常観が漂っている感じだった。そんな中でニコライがソーニャからマリアに持参金のことで乗り換えるような展開に。最終巻ではどうなりますか。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

本巻では、ボロジノの戦いで戦略的撤退を敢行したロシア軍がさらにモスクワの街を捨てた状況が描かれる。
ナポレオン軍がモスクワに侵攻した時、すでにモスクワはほとんど無人の街になっていた。
ナポレオン軍は、そこで烏合の衆に成り果てる。

目の前に無人となった美しい街がそのまま残っているのを目にしたナポレオン軍の兵士達は、略奪の限りを尽くす。

その姿はもう、兵士ではなくただの略奪者だ。
そこには将軍も一兵卒もなく、誰もが馬車を奪い、美しい家具を奪い、金目になる物を残らず強奪していく。人間の浅ましさをまざまざと見せつけられる。
規律を失った組織の脆さ、脆弱さ。人間の弱さがこれでもかと描かれる。リーダーシップがいかに重要かということを改めて思い知らされた。
訳の分からないコンサルが書いたビジネス書なんかより本書の方が100倍勉強になる。

そこへ当時の街の4分3を焼いたと言われる「モスクワの大火」が起こる。
これはナポレオン軍の兵士による火の不始末なのか、ロシア軍側が故意に火を付けたものかは今も分かっていない。ただ、ロシア側がナポレオン軍の妨害をするため秘密裏に火を付けたという説が有力なようだ。
いずれにせよ、当時のモスクワのほとんどの建造物が木製だったため、歴史ある建築物の多くが灰と消えてしまったのだ。

そして本巻でのもう一つのクライマックスがアンドレイ・ボルコンスキー公爵、ナターシャ・ロストフ、ナターシャの兄のニコライ、ソーニャ、アンドレイの妹マリアという男女5人の5角関係だ。

アンドレイ公爵と美少女ナターシャは婚約していたが、ナターシャがアナトールというイケメンだけど女ったらしの馬鹿貴族(こいつは主人公ピエールの妻エレンの実兄だよ。とほほ)に騙され、ナターシャはアンドレイとの婚約を破棄してしまう。

そして、ニコライ公爵は無一文のいとこソーニャとラブラブだったのだが、アンドレイの妹マリアの危機を救ったことで、この二人の間に恋心が芽生える。
そこへアンドレイがボロジノの戦いで瀕死の重傷を負い、ロストフ家に運び込まれる。

ナターシャは献身的に瀕死のアンドレイの看病を行い、自分の過ちについてアンドレイに許しを請う。
また、ソーニャはニコライと結ばれることを望んでいるため、ナターシャとアンドレイが結婚してくれることを望む。なぜなら、ナターシャとアンドレイが結婚すればロストフ家とボルコンスキー家は親戚同士となり、ニコライとマリアは兄弟関係になるので、二人は結婚できなくなるからだ。
そして、その結果は・・・。

一方、主人公であるピエール・ベズーホフ伯爵は、火の海のモスクワを見て、一人、ナポレオンの暗殺を決意し、拳銃とナイフを胸に忍ばせ、普通の町人のような格好をしてナポレオン軍へ近づいていく。

モスクワを失ったロシアの運命は。
ナポレオンの次の一手は。
そして、この5人の男女の運命は。
ピエールのたどり着く先は。
もう、目が離せない。
ここまでくれば次はラストの第6巻。さあ、張り切って読むか!

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2019年07月02日

Posted by ブクログ

長いこの物語もクライマックス。この巻は、一気に2日で読めた。
死を迎えた時、私も、アンドレイのような態度をとれるだろうか?
ずっと、家に尽くしてきたマリアに恋が芽生えたのは、うれしい。
戦場に行こうとするピエールの気持ちは理解できなかったが、苦境の中で変わっていくピエールには、とても共感できた。
きも、とても楽しみ。

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2015年01月12日

Posted by ブクログ

レフ・ニコラエヴィチ・トルストイは、99年前の1910年11月20日に82歳でなくなったロシアの小説家ですが、今回の池澤夏樹個人編集の世界文学全集全24巻には残念ながら入っていませんが、まぎれもなく池澤センセの世界文学の概念からすると本当は落としてはいけない一人なのですが、今更というか、すでに。『戦争と平和』は中2の夏休みと高2の春休みに

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2011年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ピエールやアンドレイやナターシャがそれぞれに成長というか、精神的な悟りに近づいている感じがした。トルストイが老子の影響を受けているというのに納得。アンドレイは死の床で福音に目覚め、敵を愛す境地に至ってナターシャを赦し愛する。独特にキリスト教にストイックに思えるトルストイの姿が投影されているような気がした。トルストイの考えとアンドレイのそれがどれくらい同じなのか知らないけど。
一方ソーニャの純愛は報われないどころかニコライに心変わりされて伯爵夫人にもニコライと別れるよう迫られて可哀想。

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2023年06月04日

Posted by ブクログ

この巻に限らず、偶然死に目に会う場面が多いなあ、と感じるが、ご都合主義な訳ではなく、地主貴族連中の絶対数がすくなくてかつ熱心に社交してるからなんかいな?
全体の感想は最終巻で。

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2017年08月15日

Posted by ブクログ

戦場前線の記述は理解するのに時間がかかるが、ピエールの目を通した戦場の模様はとても臨場感がある。
しかし、地獄の沙汰も金次第とはよく言ったもので、戦場で負傷した兵隊はたくさんいる中アンドレイは医者が掛り切りの特別待遇を受ける。捕虜になったピエールもフランス語が話せて育ちの良さが伺えるため他の捕虜と一線を画す待遇を受ける。
現場にいる人間はお礼を期待したわけでもないだろうし、そんな状況の中では見返りは期待出来ない事もわかっているだろうが、おそらく習慣から旦那方に丁寧に接してしまうのだろう。

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2017年02月26日

Posted by ブクログ

どんどん内容が難しくなる。

アンドレイが死んだとあるが、二度あることは三度あるから、まだ生きてそうな気はする。
なにかの拍子にまた出てくると思う。

エレンが死んだが、私は次のように思った。
ざまあみろ。
エレンのことが嫌いだから、これでよかった。

そうか、ナポレオン軍は寒さだけでなく、食料不足もあって壊滅に向かってたのか。
勉強になる。
食べ物は、大事だ。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

ある者が報われる一方、ある者は辛い立場に立たされることになり、本当に世界とは繋がっているのだなと。
トルストイがこれまでのどの巻にも増して語っていた。

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2025年06月19日

Posted by ブクログ

第四部第二編まで。
モスクワ放棄
アンドレイとナターシャの再会
ピエールの逮捕
ニコライとマリアの再会
ピエール捕虜に
ナポレオン軍の退却

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2020年07月16日

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