トルストイのレビュー一覧

  • アンナ・カレーニナ 1

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    リョービンとキティのパートがよかった。多元的でとても人間臭い。農業、労働、宗教に対する考え方に非常に刺激をうけた。
    一方でアンナとヴロンスキーはまさに悲劇のヒロイン。情熱に浮かされて自分で自分を追い詰めていく様に人間の恐ろしさを感じた。

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    2012年05月16日
  • 戦争と平和(四)

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    ロシア帝国の華やかな社交界における様々な人間模様、人間関係、ひとりひとりの感情の微細な変化をこと細かく描かれているトルストイのその文才には感嘆した。

    なによりも、国家とはまさしく幻想の共同体にすぎないことを思い知らされた。一個体としての人間の集合体で支えられている組織は、時としては皇帝の一声でダイアモンドよりも強固になることもあれば、逆に泡のように脆くなることさえある。国家は結局は人間によって支えられている。

    個人的にはアンドレイ・ボルコンスキイの心情の変化は興味深かった。

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    2012年03月24日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    裏表紙に書いてある通り、ストイックだった。
    もう好きなようにしちゃいなよ。と、言いたくなるほどの苦悩。
    トルストイの小説はなんていうか、すごくロマンチックな男が多いというか、女以上に純粋と言うか…でも不誠実。完璧な誠実寄りの不誠実。そこがすごく人間っぽくてたまらないです。

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    2012年03月06日
  • 光あるうち光の中を歩め

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    最近読んだなかで一番感動した。
    100年以上前に書かれてるのに自分に向けられたメッセージなんじゃないかって思わせられるのも凄い。
    繰り返されるパンフィリウスとユリウスの問答が最高だね。
    一字一句噛み締めるようにして読んでた。
    綺麗に整理された神話的な構成には感服。
    キリスト教に興味ある人には猛烈にオススメ。

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    2012年02月25日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    私の読んだ文庫は『イワン・イリイチの死』と『クロイツェル・ソナタ』の二篇が入っているが、どちらともトルストイ後期の重要な中篇小説。
    『イワン・イリノチの死』は、実在の裁判官メーチニコフの死を知って着想を得たもの。
    トルストイは、イワン・イリイチが、はっきりした死に向かうために生きている数ヶ月を驚くほどリアルに描写している。
    トルストイはリアリティをもって人間の心の奥の穏然たる汚濁を表出させて小説を書く。
    弱って立つことさえもできなくなって威厳もなにもなくなったときでも、妻には頼らず、ゲラーシムという下男だけには素直になり、感謝していた。イワン・イリイチは最悪の孤独をこの健康な下男によって最低限

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    2012年02月02日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ここに至るまでの葛藤の軌跡をもっと知りたい。
    「イワン・イリイチの死」は本当にすごい小説だと思った。

    死に至るまっすぐな道のりと感情、死の瞬間、開放。

    「クロイツェル・ソナタ」は愛についてと罰について。

    およそ小説家が書くべきことがこの2編に収まっているという感じを受けました。

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    2012年01月22日
  • 戦争と平和(一)

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    間違いなく読んで良かったと思える小説でした。

    物語がひと区切りする時にはトルストイの哲学的な考察が挟まり、正直1回読んだだけでは総てを理解し受け止めることは出来ません。
    戦争の場面は読んでいて集中力が途切れることがしばしばあったし、読んでいて退屈を覚えるくだりも結構あるけれど、物語の緻密な構成と豊かな人物描写が実に魅力的。
    読み進めていくうちに登場人物達に対する愛情が深まり、愛を知る喜びも、大切な人がこの世を去る時の喪失感も、今までの人生で感じてきた総ての感情が作品を通じて呼び起こされて、自分自身の過去についても振り返らずにはいられませんでした。

    この作品を読んでいる間、私の心は1800年

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    2011年12月02日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    嫉妬の構造という本で紹介されていたので。
    展開的には、寝取られ好きな自分としては興奮した。
    わたしは性に関してかなりオープンというか貞操を守らない人間だから真逆の考えっておもしろかった。すごい読みやすかったし好き。
    他の作品も読みたいなー

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    2011年11月23日
  • 戦争と平和(四)

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    長い、とにかく長い。
    別に登場人物のかけあいや心理描写は長くてくどくて結構なのですが
    エピローグの二部の所が死ぬほど長く感じました。っていうかくどい・・・
    回りくどい説明口調で更に読みにくい。トルストイ自身の考えを述べているのでしょうけど、殆ど頭に入りませんでした。
    要約すると10ページくらいでまとまるのでは?
    読後感がそこで全てそぎ落とされた感じです・・・ちょっと切ない。
    それでもこの作品はすごかった。最初から最後も良い意味でも悪い意味でも。

    今は同じ作者のアンナカレーニナを読んでいますが、そっちの方が断然読みやすいです。私自身が歴史にあまり興味が無いというのもありますが・・・

    こんなに

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    2011年11月09日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    非常に恥ずかしながら、21年の生涯初のロシア文学。

    心のどこかで、いつかは触れるべきだと思っていながら漸く今回、読み終えることが出来た。
    今までの他の作品であれば、読み終えたあとは何らかの気持ちに加えて、読み終えたという達成感のようなものを感じていた。
    しかし今回は違う。
    達成感も感じてはいたが、それ以上に「もうこの作品の世界を味わうことはできない」といった寂しさを感じた。
    本作「アンナ・カレーニナ」を読むにつれ、アンナ、リョーヴィン、オブロンスキー、キティ・・・といった登場人物たちが私の日常生活の一部となっていった。
    彼らと共に過ごした時間をもうこれ以上共有できないと考えると、やはり寂しさ

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    2011年11月05日
  • 戦争と平和(一)

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    ネタバレ

    全4巻、2500ページ余りからなる巨作です。19世紀初頭、ヨーロッパに吹荒れたナポレオンの嵐、そしてナポレオンによるロシア遠征(ロシアでの呼称は「祖国戦争」)とその失敗、アウステルリッツの戦いなどの歴史的背景を盛り込み、戦争に関わる貴族、軍人、そして農民たちを描いています。登場人物は550人を超えるが、それぞれの人を人間味溢れ、魅力的に描くのがトルストイの特徴でもあります。

    実は、学生のときにチャレンジしたのですが、1巻を読み終えることができずリタイアした思い出があります。今回も1巻には苦戦しましたが、1巻の後半になると、アウステルリッツの戦い、三帝会議など歴史物のテンポの良さが出てくるので

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    2011年10月29日
  • 戦争と平和(三)

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    ネタバレ

    前巻から思っていたのですが、やっぱりニコライ老公爵は私は嫌いです。
    今巻で亡くなりましたが、その最後もマリヤと和解しているように描かれていましたが、私としてはうーん。という気持ちです。


    アンドレイとナターシャがまさかの元鞘。
    私がアンドレイだったら絶対に許さないし、私がナターシャだったら絶対に赦してくれなんて言えない。
    二人はアナトーリの事で色々と面倒くさそうだなあ。死んじゃったのに。
    ピエールは最後においおい!って感じで終わりましたが・・・
    あと一巻だと思うと名残惜しい気がします。皆どのようにして平和を掴むのか・・・

    戦争の一番の被害者は民衆だなー、と、略奪行為をする兵士たちを見ながら

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    2011年10月01日
  • 戦争と平和(二)

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    ネタバレ

    ナターシャとアンドレイが愛し合った時にはわくわくしたけれど・・・うーん。
    やっぱり歳の差が大きかったのかな。

    はつらつとした少女と、落ち着きはらい、息子もいる大人の男では時間の感じ方が違うと思いますし。
    不誠実な事をしたね。
    ナターシャはアナトーリーとアンドレイを忘れて、新しい一歩を踏み出すしかないんじゃないかな。アンドレイはもう許さないだろうし、アナトーリーは言うまでもない。

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    2011年09月12日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    一人の高級官僚が些細な怪我をきっかけに死ぬことになっていくまでの心の描写です。トルストイのスゴイと感じるとこるは、死んでいくまでの間の心の描写を、自分が経験したかのように描いたこと。この作品から感じたが、この世のチープな出世、僅かな金銭、そんなもののために、命を削り家族との触れ合いを犠牲にして生きて行く愚かしさを気付くきっかけになった。世間で成功と持ち上げられているものは、死の前では無力だ。自分が死ぬ時にあの世に持って行けるものは家族との思い出だけだな。

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    2011年09月02日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    ネタバレ

    トルストイの本って長いから読みたくないと思ってたんだけどこちらはどっちも短編でお手頃。ものすごく恋愛とか性愛に否定的な考えを持っている筆者の自戒的でもある主張がありありと、伝わりすぎるくらい伝わってくる小説。この人本気で「みんなも姦淫だけは絶対に避けたほうが良いよ!人生狂わされるから!」って思ってたのかな。それはそれですごい事だ。あと小説としてはオチがしっかりしてて秀逸。「クロイツェル・ソナタ」のほうは序盤から中盤にかけてまったく場面が移動しないからつまらないけど「悪魔」の方は気にならない。

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    2011年08月21日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    ブロンスキーとの愛に生きようとしながらも、苦悩し、葛藤するアンナ――。『アンナ・カレーニナ』完結編。

    随分前に読み終わっていたのだけれど、卒論に気を取られていたせいもあって、感想を書くのが遅くなってしまった。
    読み終えたときの感慨をすっかり忘れてしまったことに、自分が一番がっかりしているところ・・・。やはり、感想は本を読んだらすぐ書かなくてはいけませんね。

    とはいえ、『アンナ・カレーニナ』は凄い小説であった。これは多分、間違いないと思う。

    ストーリーだけを見ると、全巻読み終わった今、納得のいかないところも多々ある。
    特にアンナのラストには、やりきれない気持ちが残った。こういう終わり方なの

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    2011年08月05日
  • アンナ・カレーニナ 3

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    ヴロンスキーとのイタリア旅行から帰国したアンナは、どうしても息子に会いたい一心でかつての我が家に戻る――。一方、新婚のリョーヴィン夫妻は、新しい生活をスタートさせるが――。

    2巻の感想で、アンナの心情がさっぱりわからない、と書いたけれど、3巻を読んでいくうちに、それも当然のことだったのかもしれない、と思うようになってきた。
    この巻でも、やはりアンナの行動ははっきりしない。自分が心の内で思っていることと矛盾した行動を取り、時にヒステリックなまでに感情を高ぶらせ、それでも輝くばかりに美しく聡明である。
    彼女自身も混乱しているのだ。どうしたらいいのか、ほんの数時間、数十分先のことさえわからないでい

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    2011年08月05日
  • 人生論

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    ネタバレ

    トルストイがパスカル、カント、キリストなどたくさんの
    先人の教えを受けて究極の博愛を示す。
    正直、今、自分のものとして、実行することはできない。
    ただ、その理想への道筋を追うことで、得るものは多いと思う。
    まとめると『人類が 理性と愛で 幸を生み』といったところでしょうか?

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    2011年07月18日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    一見すると「死」をテーマにしているようだが、本当のテーマは「心の目覚め」だ。

    主人公は病床で肉体的苦痛に苛まれながら、苦痛、死、人生の意味など答えのない自問が次々に湧き起こり、精神的にも苛まれていく。

    死の直前になって、ようやく地位、名誉、世間体、経済的な富裕、他者との比較評価など、自分が当たり前のように信じていた人生の価値尺度が全て「間違い」だと気づく。

    凡人を主人公にしたのは、この主人公こそわれわれ読者であり、他人事ではないという著者のメッセージだ。

    死の間際に、まだ「すべきこと」ができると気づいた主人公は、息子が手にしてくれたキスで心が目覚める。

    最後に自分のことを忘れて家族の

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    2011年07月16日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    村上春樹の「ねむり」に出てきたので急に読みたくなりました。
    全巻一気によめました。たぶん新訳だからでしょう。
    思った以上に、現代でも通用するテーマ。
    アンナはもっと古くさいヒロインなのかと思っていましたが、
    美人でおしゃれで魅力的なのが新鮮でした。

    鉄道が新しいものとして重要なモチーフとなっているのが、
    かえって時代を感じさせます。

    同じロシアの古典の「カラマーゾフの兄弟」よりは、
    たいくつな箇所がありません。4巻ですが読みやすいので、
    それほど気合いを入れる必要はありません。
    ちょっとはまりたい、そんな時におすすめです。

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    2011年04月13日