トルストイのレビュー一覧
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30数年ぶりの再読です。
物語の最後は、あやふやな記憶と違ってはいたが、印象深い本であることには変わない。当時友人と感想を語ったと記憶する。
放蕩息子のユリウスは、欲望・野心を満たし成功もするが、どこか満たされない。パンフィリウスの生きるキリスト教の世界に、何度となく惹かれるが、思い切ることができない。
時は流れて現代も、ユリウスのような人はたくさんいる。満たされない思い・悩みも変わらずある。
社会の進歩は目を見張るものがあるが、人の心は・
・・更に複雑になっているのか・・・再読後の感想です。
『ローマほど淫蕩(いんとう)と罪悪とに沈湎(ちんめん)している都会のないことは、これまた万人周 -
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とうとうヴロンスキーとの関係をカレーニンに打ち明けたアンナ。第2巻は離婚をめぐる双方の心の葛藤がえげつないほど緻密に描写されている。
カレーニンがアンナを許せないという気持ち、いや許せないどころか不幸にさせたい、不幸のどん底に落としてやりたいと憎悪するのは当然の感情だよね。離婚してあげたら彼女はヴロンスキーとくっつく。だったら絶対に離婚しない。歪な夫婦関係だけど、いやそれはもう夫婦と呼べる関係ではないね。
アンナもアンナで、カレーニンとは元々利害関係のみで結婚したようなものだったのを、ヴロンスキーと出会って愛してしまって一緒になりたい、でも息子のセリョージャは手放したくない。自分がどうしたいの -
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第2巻のレビューすらまだ書いてないのに読み終わってしまった。
共に難産と自殺未遂から復活したアンナ&ヴロンスキーのカップルがイタリアへ不倫旅行し芸術を楽しむシーンから始まっている。いや振り幅すごすぎるって。
その点リョーヴィンとキティの夫婦はほんとうに穏やかで明るい愛情を着々と育んでて好感が持てる。キノコ狩りだとか猟銃だとかでえんえんと続く農村での田舎暮らしエピソードは平凡であり退屈なのだけれども、アンナたちの章の後ではそれがホッとする。読んでて面白いのはもちろんアンナたちなんだけど、まぁその高低差の楽しみを最初から最後までずっと味わえる巻だった。
出奔により社交界からも追放されたアンナは次第 -
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ネタバレ【感想】
前半はなかなか読み進めることができなかったが、後半から面白かった。死に対しての恐怖、家族への憎しみなどがリアルだった。
【あらすじ】
イワン・イリッチが亡くなり、葬儀が行われる。
イワンの過去について。妻プラスコーヴィヤとの結婚生活は上手くいかなかったが仕事は順調だった。イワンは家の手入れをしていて転倒して以降、腹痛に襲われるようになった。病気のことばかり考えてしまうので裁判の仕事に身を入れようとするが、痛みによって思い出してしまう。百姓であるゲラーシムに看病してもらうときは気分が良い。
妻や子供たちがイワンの病について気遣うが、偽りであると感じ余計に苛立ってしまう。肉体的苦痛、精 -
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ナポレオン軍の退却
ピエールの救出
ナターシャとの再会
有名なエピローグ第一部はその後の後日談。
ナターシャが太り、健康な主婦となっている。
子供にアンドレイと名付けているのは泣かせる。
ニコライとマリアは理想的な夫婦に。
ソーニャに対する冷たい扱いはどうしたことかと思うが、現実によく起こりそうなことであり、これぞトルストイのリアリズム。
エピローグ第二部はトルストイのナポレオン戦争に関する考察。
作品中にもところどころあらわれる論文部分は、最初はもっと大量にあって、まわりの反対で最低限まで切り詰めたそうだが、それでも多い。特に興味があれば別だが、そうでなければ作者がそうしたいんだから仕 -
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この岩波版では、当時の風俗や軍隊の階級、お金のことなど、作品理解に役立つコラムをところどころに入れるという思い切った試みを行っている。
これらの情報はたしかに役立つが、本文の流れをぶち切ってしまう。それで結局、最初にまとめて読むことにしたのだが、それならば、本文中に入れるより、後ろにまとめてもらっていたほうがよかったのではないかと思う。
「戦争と平和」は高校2年のときに読んで、それで読んだことにしておいたのだが、内容はまるで忘れてしまっていた。
白くてきれいな3冊本で、今調べてみると、中央公論社の「新集世界の文学」の17,18,19巻で、訳者は原卓也。
岩波の本書第一巻は第一部第二編ま -
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「“生きてる”と“生きる”はちゃう」
せやな、“本当に”とか“マジで”とか“ちゃんと”とかを頭につけると生存と生命が全然違く感じる。
わかりやすいぞと思ってページをめくれた。
初めは“私”って何?的な実存主義を題材にしてるんかなとおもたら学者全般に否定的になって、キリストとか仏陀とかツァラストラとか褒め出すからそう来るか!とおもた。
進めるとよりキリストっぽくなって・・・
「愛しなさい、神と隣人を」
個人の幸福はやがて不幸を招くからみんなで幸せになろうや。だから隣人を愛することはわかった。なんで神を愛さなあかんの?神は隣人の1人じゃないの?
これ以上は怒られそうやからやめときます。
他 -
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初トルストイ。
アンナの不倫シーンは昼ドラのようで、ついつい読んでしまう。体裁を気にするばかりで自分のことを見てくれない夫と、若々しい愛情を素直にぶつけてくる青年。この青年は思わせイケメンなのでつまり女の敵。夫もまぁまぁなクズなので、アンナかわいそう。
「小説」として読もうとするとリョーヴィンの田舎シーンは死ぬほどつまらないが、舞台が近代化の機運高まるアレクサンドル2世代(農奴解放etc.)であることを考えると、「歴史書」をも包含したものとしてスラスラ面白く読める。
巻末に当時の結婚観などが読書ガイドとして付されているのが嬉しい一冊。
個人的な推しは、どこか影のある優しい女性ワーレニカ。