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人はなぜ変わるのか? 罪と罰とは? ふとした出来事で人は堕落し,何かがきっかけとなって立ち直る.老作家は,痛みと苦しみを経て愛によってよみがえる人間の内面の復活をひたむきに問う.問いは問いを生み,容易に答えは出ない…….19世紀の終焉を目前にし,リアリズムを徹底した果てに,トルストイはそれを突き抜けた.
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Posted by ブクログ
下巻のあとがきは、翻訳者の藤沼貴さんが急逝したことによって、弟子にあたる阿部昇吉さんが執筆している。しかし長編を読み終わったあと最後に現われる“代役”によるこの一文は、口直しのデザートのように作用して心地よい読後感で本を閉じることができる。 阿部さんは(おそらくわざとだろうが)藤沼先生による学術的...続きを読むな解説文からがらりとトーンを変え、先生の人柄を追憶するような、私的でくだけた内容で構成している。 私的な内容とは言うものの、研究者としてのあまりにも一途で一直線な姿と、それを裏返したかのように弟子や他の研究者に対してふと漏れる、先生のセンスのいい茶目っ気が書かれていて、もしネフリュードフの生き方に最後まで共感できなかったとしても、最後に先生の生き方に照らすことで、多くの人が肯定と共感へと転回するのではと思わせるくらいだ。 『辞書の完成を耳にした卒業間近の学生が、先生の研究室にやってきて、辞書の購入と、一筆書いて欲しい旨を申し出た。先生は「あなた、もう辞書は必要ないでしょ」と言いつつも、それに応じて「あと八十年ロシア語を学ぶために」としたためて、いたずらっ子のように、ニッと笑ったという。先生は、卒業生の熱意に免じて、辞書を献呈されたのだった。』(あとがきより) この本をあとがきまで読み通せば、世間一般で人に対して使われる「器用」「不器用」の定義なんか、当てにならないものとして蹴り飛ばしたくなる。
キリスト教の教義を用いて、人は過去の行いを悔い改め精神的に復活出来るかを問う本作は、求道者の如き晩年を送ったトルストイの思想が色濃く反映されており、小説版「人生論」のようにも感じられた。色々と考えさせられる部分が多く、何れまた目を通したい
シベリアへ送られるカチューシャをネフリュードフは追うとともに官憲に奔走する。功を奏するが、二人の運命は意に沿うとは限らず。著者晩年の作。裁判所や官庁、刑務所の扱いに非難を浴びせながらもドストエフスキーと違って弾圧を受けなかった。時代の風潮とともにトルストイがすでに著名な大作家であったことが、国際的に...続きを読む非難されることを国は避けたようだ。2023.12.26
初めてのトルストイ。 重い内容だったけれど、リアリティな描写、豊かな感情表現で、100年以上前の世界が迫ってくる。においまで伝わってきそう。 今の時代がいかに恵まれてるか。人の尊厳を大切にする社会に近づいている国であればそう。でもこの本のような社会で生きている人たちもたくさんいる。 人間を人間的...続きを読むに扱わなくてもいい立場なんてない。身体的なことだけでなく、精神的なことでは、今の社会でもたくさんの非道がある。 1人ひとりが子どものように純粋に、自分の喜びのために生きるのではなく、神の国と神の義を求めるそんな生き方をすれば、もっと世界はよくなるのか。 自身が復活できる日はくるのだろうか。
一般的に復活というと、死からの復活が一番最初に頭に浮かぶと思うが、この小説は精神的復活をトルストイ独特の視点で描いた作品。 結論に至るまでとても長いストーリーが置かれるけれど、期待されるエンディングではないこと、結論を描きながらも、その先にさらにどうすればいいのかということを提起していることなど、一...続きを読む言で言えば「含蓄に富む」という感じ。 何となく冬の雪に閉ざされた室内でゆっくり読むのが似合いそうな一冊。 春になりましたが、お時間ある方はぜひ。
三浦春馬氏主演の「オトナ高校」というドラマがあり、春馬氏が言うセリフ。「エリートの僕が誘ってやってるのに断る君はバカじゃないのか?!」女「クサ〜(草)(W)」自分より下層民で犯罪者、そんな不良物件に手を差し伸べる自分はいい子!そりゃー女からしたらノーサンキューだぜ。ふんわりとこの国の、地主が金持って...続きを読むて、労働者は搾取されるだけで、この制度はイカンとか考えるも、やっぱ高下駄履いた上から目線で、どの人からもなまぬるーく扱われている。現代に通ずる時代を超えて変わらないテーマを100年前に提示する作者は凄い。
結論や結末を期待してはいけません。 当時の社会構造(下層階級・犯罪者)を明瞭に描き出し、ほとんど教訓じみたものです。
下巻になってようやく話が分かりました。やはり最後はトルストイ先生の主張の中心となる「愛」でしたね。本当に愛は綺麗事なのかもしれませんが、人生これからなので信じてみるのもいいかもしれませんね。
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