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Posted by ブクログ
下巻のあとがきは、翻訳者の藤沼貴さんが急逝したことによって、弟子にあたる阿部昇吉さんが執筆している。しかし長編を読み終わったあと最後に現われる“代役”によるこの一文は、口直しのデザートのように作用して心地よい読後感で本を閉じることができる。
阿部さんは(おそらくわざとだろうが)藤沼先生による学術的な解説文からがらりとトーンを変え、先生の人柄を追憶するような、私的でくだけた内容で構成している。
私的な内容とは言うものの、研究者としてのあまりにも一途で一直線な姿と、それを裏返したかのように弟子や他の研究者に対してふと漏れる、先生のセンスのいい茶目っ気が書かれていて、もしネフリュードフの生き方に最後まで共感できなかったとしても、最後に先生の生き方に照らすことで、多くの人が肯定と共感へと転回するのではと思わせるくらいだ。
『辞書の完成を耳にした卒業間近の学生が、先生の研究室にやってきて、辞書の購入と、一筆書いて欲しい旨を申し出た。先生は「あなた、もう辞書は必要ないでしょ」と言いつつも、それに応じて「あと八十年ロシア語を学ぶために」としたためて、いたずらっ子のように、ニッと笑ったという。先生は、卒業生の熱意に免じて、辞書を献呈されたのだった。』(あとがきより)
この本をあとがきまで読み通せば、世間一般で人に対して使われる「器用」「不器用」の定義なんか、当てにならないものとして蹴り飛ばしたくなる。
Posted by ブクログ
初めてのトルストイ。
重い内容だったけれど、リアリティな描写、豊かな感情表現で、100年以上前の世界が迫ってくる。においまで伝わってきそう。
今の時代がいかに恵まれてるか。人の尊厳を大切にする社会に近づいている国であればそう。でもこの本のような社会で生きている人たちもたくさんいる。
人間を人間的に扱わなくてもいい立場なんてない。身体的なことだけでなく、精神的なことでは、今の社会でもたくさんの非道がある。
1人ひとりが子どものように純粋に、自分の喜びのために生きるのではなく、神の国と神の義を求めるそんな生き方をすれば、もっと世界はよくなるのか。
自身が復活できる日はくるのだろうか。
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