トルストイのレビュー一覧

  • 戦争と平和(一)

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    登場人物が多いので細かいことは気にせず読み進めたが、それでも結構な時間がかかった。細かく区切られてるため少しずつ読みやすいが、一区切りついてつい休憩してしまうのが原因だと思う。

    全編通して500人以上の登場人物がでてくるらしいが、ひとりひとりの解像度がめちゃくちゃ高い。現代日本とはだいぶ文化が異なるのに、こんな人いるなーというのがたくさんでてくるし、こんなときあるなーという場面と心情がたくさんでてくる。

    ストーリーもわりと展開するので、登場人物の多さに混乱さえしなければそこまで読みづらさはない。とりあえず思い切って読みはじめてよかったとは思っている。

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    2023年01月17日
  • イワン・イリッチの死

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    病気のうちの孤独をおぞましいほど描いている。イワン・イリッチの心うちがよく分かる9章が特に心に残った。
    奥さんをあまり大切にしていない以外は順調だった分、なぜ自分が精神的に孤独に死なないといけないのかに煩悶する彼の姿は、今にも私自身もそうなりそうなようで共感できる。そのなかで人間誰しも死ぬということを隠さないゲラーシムは救いだったろう。

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    2022年12月19日
  • 戦争と平和(二)

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    1巻は序章だったのか?と思えるくらい2巻で一気に物語が動き出す
    ぼんやりしていた各人物像と関係性がクリアになっていき、ようやく読みやすくなる

    こんな長編モノは恐らく二度と読めないので備忘録のため、あらすじを残しますのでネタバレご注意ください
    あまりに膨大なので主要人物にそってまとめることに

    ■ベズーホフ家

    ピエール
    莫大な財産を手に入れたちょいダサ男(眼鏡&太っちょ)のピエール
    妻エレンが他の男(ドーロホフ)と親密になり逆上して決闘をしちゃったり…
    はたまたフリーメイソンに入会しちゃったり…
    (秘密結社の宗教団体というよりここでは村の寄り合いの延長みたいな感じだけどね)
    勘違

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    2022年10月26日
  • 人生論

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    自分の理性
    「理性は人を幸福に導く」自分を信じて、理性が意識するがまま生きることによって幸福を得ることができる。過去信仰がその理性を左右したが判断するのはあくまで自分自身であると。現代、「理性」とは道理によって物事を判断する心の働き、とある。人は様々なヒト・コト・モノによって心が動かされるが、より多くのヒト・コト・モノに遭遇できることはトルストイの生きた時代とは違い幸運だと思う。よって判断できる材料をできる限り集め、自分に快適、且つ心地よい道が許され、自信を持って前に進むべきなのだ。

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    2022年07月11日
  • アンナ・カレーニナ 4

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    ネタバレ

     19世紀当時の帝政ロシアの貴族社会を背景とした物語としての歴史的荘厳さを保ちながら、アンナとリョーヴィンという愛に悩む等身大の人間像を絡めることで、不変的な一大叙情詩かつ一大叙事詩に昇華させたトルストイの古典的名作。光文社の翻訳・編著の妙もあるだろうが、いま読んでも全く古さを感じず面白い。
     ヴロンスキーの愛を猜疑しアンナの鉄道自殺で衝撃的に幕を閉じる第7章。これにて終焉としても良かったであろうが第8章のヴロンスキーの自棄的行動やリョーヴィンの啓示的開眼が単なる「不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」人間模様から数歩抜きん出た深みある印象を与える。

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    2022年05月07日
  • 戦争と平和6

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    長かった物語もようやく終わりを迎えた。フランス軍は敗北し、生き残ったピエール、ナターシャ、ニコライ、マリヤの結末については読んで確かめてみてください。しかし個人的に印象に残ったのは実は物語の本筋よりも、途中で著者が戦争について、というか戦争にとどまらず歴史論だとか、あげくの果てには宇宙論なんかまで自説をとうとうと述べているところだ。第4巻あたりから徐々にこの形で描かれていたけど、最終巻に至っては分量的に恐らく半分以上、エピローグの第2編に至っては丸々この形式だったので、さすがにこれって小説って呼べるの?と疑問を抱いてしまった。まあ当時としては斬新だったのかもしれないけど、こういうのは物語とは分

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    2022年04月22日
  • 戦争と平和4

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    物語も後半に入ってきた。ナポレオンがついに動き始めてあっという間にモスクワに迫り、ピエールは戦場に向かい、アンドレイはナターシャとの婚約を破棄する。彼ら彼女らの運命も気になるところだが、個人的には物語の本筋よりも、本巻から地の文でトルストイの戦争に対する思いが徐々に述べられ始めているのが大きな特徴であるように思う。初読時はまあこういう趣向があってもいいかな程度に考えていたのだが・・・。

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    2022年04月20日
  • 戦争と平和3

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    第三巻では戦争は小休止し、もっぱらモスクワおよびペテルブルグを舞台にした人間関係の描写に重きが置かれている。主役はやはりナターシャだろう。行動自体は俗っぽいといえば俗っぽいのだが、やはりいつの時代でも人の心は移ろいやすいもの、ということなのだろうか。加えてますますフリーメイソンにのめり込んでいくピエール、カタブツなのか思い込みが強すぎるのかよく分からないアンドレイを中心に話は展開していく。

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    2022年04月19日
  • 戦争と平和2

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    アウステルリッツの戦いで挫折を味わい、奇跡的に帰還したアンドレイに待ち受けていた妻の悲劇。クラーギン公爵の娘と愛のない結婚をし、案の定奔放な妻がやらかした不義に怒りドーロホフに決闘を申し込み、あげくの果てにはフリーメイソンに入会してしまったピエール。そのドーロホフは求婚に失敗し、ニコライはドーロホフに賭博で大負けし・・・といった感じで、第二巻では登場人物たちがいよいよ本格的に動き出し始めた印象だ。彼らの中ではやはりドーロホフがヒール役ながらもどこか間抜けでカッコよく、魅力的に思えた。

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    2022年04月18日
  • 戦争と平和1

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    いやー長かった。今年の1月から読み始めて約4か月、文庫本にして3000ページ超えの大長編をようやく読み終えた。実は私、恥ずかしながら本作のことを小説であると思っていなくて、思想書か批評の類だと思っていた(だって普通『戦争と平和』なんて大仰なタイトル、小説につけないでしょ?)のだが、昨年ふとしたきっかけで小説であると認識。帯にある「世界文学の最高峰」との言葉に惹かれ、いつかは読もうとずっと思っていた次第だ。(実は最後まで読むと、最初のカンは一部当たっていたことが分かったんだけど)
    1805年のロシア・ペテルブルクでの華やかな社交界の描写で幕を開けた本作。第一部・第一編では大体の主要登場人物が顔を

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    2022年04月17日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    イワン・イリイチの死、病床、介護や会話や苛立ちや自己嫌悪や父の言動やを思い出させた。どういう思いがあってトルストイはこれを書いたのだろう。

    クロイツェル・ソナタ、男性に意見を聞いてみたい。
    いいとか悪いとかではなく、そういうものなのかどうか知りたい。女性もか。大っぴらに話さない話題だし、女性は女性の、男性は男性の感覚で把握してるだろうからお互いそんなに違うと思っていないだろうから人によって違うくらいに思ってた(少なくとも自分は)。が、これを読んで、一般的な傾向なのか(一般的っておかしいのかもしれないが)、疑問に思った。世の中に性描写がある小説が多いのはそういう背景があるからなのか、、、?入れ

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    2022年03月20日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    髭を蓄えた世捨て人のようなトルストイがここまで繊細で機微ある愛を描けることに感嘆。特に13章のキティとリョーヴィンとの愛が通じ合う瞬間は、これまでのリョーヴィンの葛藤や苦悩や自尊心を深く描いただけに、何とも言えない感動を覚える。一方で寛容が破滅を呼び崩壊が自由をもたらすアンナとカレーニンのさまは面子を重んじる帝政ロシアの貴族社会の世相を映し出しているように感じる。

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    2022年01月23日
  • 人生論

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    ネタバレ

    【感想】
    人間が生きる意味はまさに、他者に尽くすことであるという一言に尽きる。
    理屈では分かるものの、これが中々難しい。生命の法則が相互奉仕にあることも理解できる。だが、現実世界を生きるには絶えず闘争に打ち勝たねばならないという意識もある。ゲーム理論的には、お互いに協力し合うことが両者にとって最善なのだろうが、出し抜いた側はより一層恩恵を受けられる(欲を充足できる)。ここに、一人一人の人間が陥りがちな個人の幸福を願う動物的個我の問題点が発露する。

    頭でまずは理性を自覚する、生命の至上命題を理解することが、社会が幸せになるための大きな一歩なのであろう。その方策として考えられるSDGsや社会起

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    2022年01月09日
  • 戦争と平和4

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    ナポレオンによる、ロシアへの侵攻の場面が語られている。宮廷貴族の状況、攻め込まれたロシア地域の状況、決戦地での戦闘の状況が、丁寧に描かれており、興味深く読み進められた。戦場の地図もあり、物語のイメージがわきやすい。

    「戦争においてはどんなに深く考察された計画も何の意味も持たず、すべては不意の、予測不可能な敵の動きにどう対応するかにかかっており、戦闘の全体がいかに、誰によってリードされるかにかかっているのである」p86
    「結果がどう転がろうが必ず「俺はすでにあの時に、こんなふうになると言ったんだ」という者たちが現れる」p215
    「(略奪禁止命令)そうした案件はすべて火にくべたまえ。(味方が)麦

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    2021年11月22日
  • 復活 下

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    ネタバレ

    下巻になってようやく話が分かりました。やはり最後はトルストイ先生の主張の中心となる「愛」でしたね。本当に愛は綺麗事なのかもしれませんが、人生これからなので信じてみるのもいいかもしれませんね。

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    2021年11月22日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    古典的名著。活発で気高くも愛への熱情が抑えきれぬアンナとヴロンスキーとの情事の変遷、そして夫の貴族としての面子と誇りを持った仕打ち、一方でキティに振られ傷心のリョーヴィンの立ち振る舞い。文豪トルストイの壮大な時代背景と機微ある人物描写がある一方、大衆向けメロドラマの趣で面白い。

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    2021年11月03日
  • 戦争と平和2

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    ロシア貴族の優雅な生活や戦争シーンの他に、カード博打、決闘、フリーメイソンについてのシーンがあり、ロシア社会の当時の特徴的な一面を垣間見ることができた。登場人物の感情の動きの表現が巧み。

    「自分の好きな人間以外、俺にはどうだっていいんだから。好きな人間のことは命がけで大事にするが、他の連中は、もしも行く手を遮るようなら構わず踏みつぶしてやるさ」p340

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    2021年10月28日
  • 戦争と平和(一)

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    人間は歴史を構築するための歯車である。
    しかしそれでも人は人として生きる、、、、
    そして、それが歴史に記されることは決してない。

    この言葉がとても深くて、好きだ。

    たとえ歴史に名を残さなくても、一人の人生には
    歴史に残しても良い程の大きな物語がある。

    表ばかりに目が行きがちだけど
    裏に目を向けることでまた別の世界があり
    そこに新しい感動や発見があるんだろうな。




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    2021年08月29日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    アンナが生きた時代のロシア
    鉄道の発達(急速な近代化)ペテルブルク=モスクワ鉄道
    農奴解放。
    貴族文学の破綻。。

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    2021年05月20日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    トルストイは本当に人を殺したことがあるんじゃ無いかと思うような殺しのシーン。

    万人が直視するのを避けがちな性の魔力について生真面目に問いただした純潔の文学。

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    2021年04月11日