【感想・ネタバレ】戦争と平和2のレビュー

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Posted by ブクログ

2冊目のクライマックスは、フランスのナポレオンとロシアのアレクサンドル皇帝の調印式。

ナポレオン皇帝は、フランス革命の産物。
離島生まれで身分が低く、従来なら要職に登用されない彼が、フランス革命によって立身出世、さらには周辺国との戦争にも次々と勝利する。
一方のアレクサンドル皇帝は、ロシアロマノフ王朝の血統。
生まれながらに広大なロシアを治める統帥である。
その二人が、同じ『皇帝』の称号で対等に顔を合わせる。

そしてこのとき、ナポレオンもアレクサンドル皇帝も、それから100年余後にロシアで革命が起こることを知らない。
それどころか、著者のトルストイさえもそれを知らずにこの物語を書いているということに、神がかり的なものを感じた。
この物語は、革命前のロシアにおいて革命前の出来事について書かれているのだということを、改めて思わせられる場面であった。

我々はもはや、革命後の時代、その社会と価値観の中にしか生きられない。
過去は二度と来ない。
革命が起こる前の時代に戻ることもなければ、革命を知らない時代を生きることも二度とない。
トルストイが繊細な描写でしつこいほどに描く、皇帝の神々しさ、また皇帝への尊敬や愛情は、失われて二度と取り戻せないのだ。

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2022年12月03日

Posted by ブクログ

第1部第3編と第2部第1~2編を収録。戦場から戻ったアンドレイとニコライ、遺産相続後のピエールの苦悩。

ボルコンスキー家における求婚騒動では、マリヤの下す決断に感動。美人の軽薄さと、不美人の美しい心根。人間、何が幸せなのかと考えさせられる。

いっぽう兄のアンドレイはアウステルリッツの戦いで負傷する際、至高体験のような精神的な啓示を得る。戦争と死を目の当たりするなかで、見上げていたナポレオンを俯瞰するまでに至る心の変化に目を見張った。

陰キャで目的観のない青年ピエールは、転がり込んできた金と権力で美女と結婚はするものの、うまくいかず結局すべてが行き詰まることに。自らの生き方を見出すべく根源的な問いに悶々とする姿は共感する人も多いだろう。やがて新たな世界に身を投じた彼はアンドレイと人生論で激論をかわすことになる。ここのやり取りが、宗教にハマった若者が現実を知っている年上の友人を勧誘しているようにしか見えなくて、ピエールがかなり痛い人に見えてしまった。しかし理想を語る彼の言葉は、安易な博愛精神に見えつつも、「戦場に横たわって見たあの高い永遠の空」という至高体験をアンドレイに思い出させ、内面世界を新たにする転機となる。これには驚いた。「現実を見ろ」で終わりそうなものが、やはりアンドレイにも純粋な精神性が眠っているがゆえに、生き様も状況も全く違うピエールと共鳴を始めたのだろうか。

無意識的にも精神的価値を求めていくアンドレイ、ピエール、ニコライといった青年たちと、権力に取り入ってのし上がっていくボリスや、欲望と実利の追求に邁進するクラーギン公爵家の人々などとの対比が印象深い。正直、もっと難しい小説かと思っていたが、深遠なテーマをはらみつつも、人物への興味がつきず面白い。先は長いが、楽しんで読み進められそうだ。

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2022年09月29日

Posted by ブクログ

様々な愛憎劇と時代のうねりとがまじりあって物語が展開していく。シリアスな場面も多いが、視点がどんどん切り替わっていくので、全巻添うように、ノートを取りながらの読書です。

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2020年11月19日

Posted by ブクログ

アウステルリッツの戦いで挫折を味わい、奇跡的に帰還したアンドレイに待ち受けていた妻の悲劇。クラーギン公爵の娘と愛のない結婚をし、案の定奔放な妻がやらかした不義に怒りドーロホフに決闘を申し込み、あげくの果てにはフリーメイソンに入会してしまったピエール。そのドーロホフは求婚に失敗し、ニコライはドーロホフに賭博で大負けし・・・といった感じで、第二巻では登場人物たちがいよいよ本格的に動き出し始めた印象だ。彼らの中ではやはりドーロホフがヒール役ながらもどこか間抜けでカッコよく、魅力的に思えた。

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2022年04月18日

Posted by ブクログ

ロシア貴族の優雅な生活や戦争シーンの他に、カード博打、決闘、フリーメイソンについてのシーンがあり、ロシア社会の当時の特徴的な一面を垣間見ることができた。登場人物の感情の動きの表現が巧み。

「自分の好きな人間以外、俺にはどうだっていいんだから。好きな人間のことは命がけで大事にするが、他の連中は、もしも行く手を遮るようなら構わず踏みつぶしてやるさ」p340

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2021年10月28日

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