トルストイのレビュー一覧

  • 人生論

    Posted by ブクログ

    他のために自身を捧げることで生命は永遠となる、ととりあえず理解。
    後半少しだれたけど、動物的自我と理性の対比は勢いがあってよかった。

    0
    2021年04月01日
  • アンナ・カレーニナ 4

    Posted by ブクログ

    モスクワへ移ったリョーヴィン夫妻。臨月を迎えたキティはみんなからあたたかく見守られながら幸せな気分で妊婦生活を満喫している。
    一方のリョーヴィンはいよいよ自分が父親になるのだという重圧で押しつぶされそうになっており、いざ出産という段での慌てっぷり、狼狽ぶりはもはや喜劇のようでおかしかった。
    キティの分娩がなかなか進まず何度もしつこく医者に進捗を確認しては、「もう終わります(もう産まれます)」という返事を「ご臨終です」という意味に勘違いする始末。
    出産という偉業を成し遂げたキティを見て、歓喜の慟哭と滂沱の涙を流しキスをするリョーヴィンの姿はまさに愛そのもので、でもその後に息子と対峙して「子供は何

    0
    2021年02月17日
  • アンナ・カレーニナ 1

    Posted by ブクログ

    読むぞー!と意気込んで全巻まとめて購入したのは何年前だったか、すっかり書棚の番人となっておりましたが、突然のこのタイミングで読み始めることにしました。

    「幸せな家族はどれもみな似ているが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。」という書き出しが与えるインパクトがいきなり鮮烈だ。
    1870年代ロシアの貴族社会での愛憎劇で、うまく物語に入り込めるか少し不安だったけど全然問題なかった。徹底したリアリズムの小説なので、それこそ登場人物の全員に感情移入しながら読める。
    猛烈な吹雪のなか汽車を降り、追いかけてきたヴロンスキーとアンナが再会、そこに生まれてしまう愛を確信するシーンのなんと美しいことか!今

    0
    2021年02月27日
  • 戦争と平和 (四)

    Posted by ブクログ

    いよいよ、ロシアがナポレオンとの戦争に突入する。

    作者の歴史感を書き留めておきたい。
    ・人間の中には2面の生がある、その利害が抽象的であればあるほど自由が多くなる個人的な生と人間が予め定められた法則を必然的に果たしている不可抗力な群衆的な生である。
    ・人間は意識的には自分のために生きている。しかし、歴史的、全人類な目的の達成のための無意識的な道具の役をしている。
    ・歴史=人類の無意識的、全体的、群衆的な生
    ・歴史上の偉人はその事件を示すレッテルに他ならず、レッテルと同じように事件そのものとは最も関係が小さい。

    歴史とは抽象化された一面的な解釈である。ある概念を宙吊りにして眺めたとしても真理

    0
    2020年09月09日
  • 戦争と平和 (三)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ピエールがフリーメイソンに入信し、愛や美徳の探求を始めるも、どこか方向違いで自堕落な様子が滑稽に思えた。

    対して、親友のアンドレイが多くの真理的なものを心得ていていながらも、世界に絶望感を抱いている様子が対照的な存在としての二人を如実に感じさせた。

    ナターシャが多くの男性から求愛を受ける魅力的な女性として描かれているが、どのような意味を持つのか、奔放さ、無垢さ、溢れ出る生といった事柄が人間の上級の価値だと作者が言っているのだろうかと考えた。

    それにしても、アナトールの誘惑に負けて破滅してしまう運命はやるせない。

    0
    2020年09月09日
  • 戦争と平和 (二)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アウステルリッツの戦いで、戦争の描写に移る。

    血気盛んで、祖国のために戦うという盲信さは当時の人々がそうあったのかと想像させられた。

    ベズーホフ伯爵となったピエールを取り巻く、財産目当ての謀略と裏切り、そして地位と財産という当人と分離して見える価値観に翻弄される様に、滑稽さと哀れな感覚を覚えた。

    0
    2020年09月09日
  • 戦争と平和 (一)

    Posted by ブクログ

    ロシアの時代背景を知らなかったため、物語初めのアンナのパーティーや上流社会の人々の会話に入っていけないような感覚があった。

    目的のためなら手段を選ばないドルベツコイ公爵婦人の図々しさが印象的である。

    ピエールの正しい人のようで、何も正しくないような立ち位置が興味深い。

    0
    2020年09月09日
  • イワン・イリッチの死

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    思った以上に現代的、というか、通ずるところがやけにリアルに感じた。

    死ぬ前まで、いや、死んでまでも、分からないこと、気づかない小尾、たくさんあるんあろなー。いろんな本読んで、少しでもいろんな大事なことに気付きたいと思う。すぐ忘れるけど。

    0
    2020年07月05日
  • 戦争と平和 (三)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    私が読んだのは、新しい「藤沼 貴訳」の方です。
     どうして、みんな、ナターシャが良いのでしょう。どうも、私は、世間知らずなわがまま娘のような気がして、イヤですね。
     マリアやソーニャには、けっこう感情移入して読んでしまいます。マリアは、一生を老いた父と、母のいない甥の世話ために捧げてしまうのでしょうか。ソーニャは、やっぱりニコライとは結婚できないのでしょうか。
     それにしても、アナトールとエレンの兄妹は、本当にイヤなやつです。ピエールとエレンとの結婚生活は、今後、どのようになるのでしょう?
     そして、時代背景的には、ナポレオンのフランス軍とロシア軍との対決が避けられなくなる状況です。4巻は、き

    0
    2024年01月28日
  • 戦争と平和(一)

    Posted by ブクログ


    登場人物が多すぎるので一度では掴みきれない。

    いわゆる俗的な幸福とは遠い、世間と隔絶されている所にいる禿山の人々(特にマリヤと老公爵)の場面が頭に入りやすかった。
    マリヤが自分の結婚相手候補に会うとなって、義姉とブリエンヌがはしゃぐ場面のマリヤの心の内がもうそれだけで切ない。

    0
    2020年04月15日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

    Posted by ブクログ

    面白い。人の心というものが、現代でもあまり変わっていないのがわかる。トルストイという作家の凄さというのもよく感じられる短編。日本でいうと明治時代ということも加味するとより楽しめる。

    0
    2020年01月21日
  • 光あるうち光の中を歩め

    Posted by ブクログ

    転職後の夏辺りに購入。短いが読後感は爽やかで好き。

    主人公の王様が権力や金等の欲望を楽しむが空しさを感じ、最終的にキリスト教の信者たちが営む小さな村で幸せに暮らす話。トルストイのキリスト教礼賛思想がよく見える。
    ただ、キリスト教を抜きにしても教訓的な話であるので、暖かい気持ちになれる。最後、老人となった主人公がキリスト教の村でぶどう畑に居場所を見つけられず「すべき仕事をするにはもう年を取りすぎた」と泣いた時、別の老人が「別の畑にはあなたも取れるぶどうがある、年齢ではなく気持ちが大事だ」と諭すシーンが特に好き。

    ご都合主義的なストーリーの運びではあるが、これくらいライトな進行の方が読後感もさ

    0
    2020年01月05日
  • 復活 上

    Posted by ブクログ

    ネフリュードフのクズだけどクズになりきれないみたいなところがとても良かった。だからこそカチューシャに対して罪の意識が拭えず、カチューシャのために手を尽くしてやるというおせっかいなところもいい。
    しかし、かつての清純なカチューシャはもういなかったし、自分の期待が大きすぎることに絶望するネフリュードフはまさに人間だなぁという感じがする。

    0
    2019年06月04日
  • 戦争と平和 (一)

    Posted by ブクログ

    ついにトルストイの最高傑作の一つで大作の『戦争と平和』を読み始めてしまった。最初、新潮文庫と岩波文庫のどちらで読むか迷ったが、登場人物の紹介や家系図、小説の途中で入る「コラム」のある岩波文庫の藤沼貴氏の訳の方を読んでみた。
    結論的に言うと藤沼氏の新訳は非常に読みやすい訳で、注釈なども適度に入っており、かなり分かりやすかった。「コラム」が小説の筋を遮ってしまうというようなこともなく、当時のロシアの背景を分かりやすく解説してくれて、ロシア史の専門家以外の人には絶対に役に立つと思う。

    さて、物語の方はというと、最初の100ページくらいは登場人物がやたら多く、話の筋をたどるのが非常にやっかいだった(

    0
    2019年06月03日
  • イワン・イリッチの死

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    難しそうだなあと思いつつ、一気に読みきってしまった。
    読んでいて胸の詰まるような、苦しい気持ちになりながら。
    死ぬ間際の、今までの生活、価値観全てを否定する気づきに虚しさを感じた。
    が、現代に生きるわたしたちはどうだろう。
    ずっと昔に書かれた本だけれど、今の自分の生活、間違っていないだろうか。
    間違いって?
    SNSに翻弄されながら、寂しい夜を過ごしたり、
    いったい何が本当の幸せなのか。
    やはり本当の幸せは、生から解放される瞬間にしかないのでしょうか。

    疑心にまみれる人生は苦しい。

    0
    2019年05月19日
  • 光あるうち光の中を歩め

    Posted by ブクログ

    キリスト教の教えが分かりやすい寓話で書かれている。有名な文句(「もし誰か汝の右頬を打たば、さらに左頬も差し向けよ」など)が話の流れで出てくるので、理解しやすい。
    ストーリーとしては、主人公がすぐに他人の意見に流されるので少しイライラする。あとキリスト教に行こうとするのを毎回止めにくるおじさんとエンカウントするタイミングがちょうどすぎて、ホラー的な怖さが。キリスト教について知りたい人、競争社会に疲れた人におすすめ。

    0
    2019年03月17日
  • 復活 下

    Posted by ブクログ

    一般的に復活というと、死からの復活が一番最初に頭に浮かぶと思うが、この小説は精神的復活をトルストイ独特の視点で描いた作品。
    結論に至るまでとても長いストーリーが置かれるけれど、期待されるエンディングではないこと、結論を描きながらも、その先にさらにどうすればいいのかということを提起していることなど、一言で言えば「含蓄に富む」という感じ。
    何となく冬の雪に閉ざされた室内でゆっくり読むのが似合いそうな一冊。
    春になりましたが、お時間ある方はぜひ。

    0
    2019年03月09日
  • イワン・イリッチの死

    Posted by ブクログ

    岩波文庫赤

    トルストイ 「 イワンイリッチの死 」

    死をテーマとした良書。哲学や宗教を用いずに 死の境地を表現。
    一人の男性の人生を通して、生の自己満足→死の恐怖→死の喜びを 追体験できる凄い本。死顔の表現力に驚く


    「アンナカレーニナ」は よくわからなかったが、これは面白い

    「死とはなんだ〜恐怖はまるでなかった。なぜなら 死がなかったから〜死の代わりに光があった〜何という喜びだろう」


    死顔
    *在世の時より美しく、もっともらしかった
    *その顔は 必要なことはしてしまった、しかも立派にしてのけた とでもいうような表情
    *この表情には 生きている者への非難、注意が感じられた




    0
    2019年03月08日
  • 人生論

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人生論というよりも、トルストイ個人の視点から「生命」というものを分析した論文のような文章です。

    生命を構成する分子、更にもっと細かい物質まで科学によって研究を重ねていけば生命を理解できるというのは誤った視点であるという問題提起から始まります。

    そもそもその分子レベルでの研究を重ねっていく目的自体はなんなのか?今、我々にある苦悩や幸福は本当にその科学的な分析で明らかになるものなのか?今自分にある「生命」とは本当にそんなものによるものなのか?
    という問いかけが常になされます。

    そこから人間の中に存在する「動物的個我」と、「理性」についての説明や対比を述べ、いち個体の幸福の追求、つまり「動物的

    0
    2019年02月03日
  • 人生論

    Posted by ブクログ

    生命に係る哲学的テーマと難解な言い回しが多用されているものの、動物的幸福の達成を目標とする「生存」と動物的個我を理性的意識に従属させ永遠の「生命」を明確に区別し語る。「人の為に生きる」「歴史に名を残す」、人間のほか生物と一線を画す部分、連綿と続く人類の歴史の本質を捉えた視点といえよう。

    ちなみに何気に初トルストイ。

    0
    2018年09月16日