トルストイのレビュー一覧

  • アンナ・カレーニナ 4

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    アンナは結局、ヴロンスキーというより自分自身の思考と戦っているように思える。
    何が彼女をそこまで追い詰めたんだろう。

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    2014年03月29日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    アンナの物語とリョービンの物語が好対照。

    アンナの物語よりもリョービンの物語のが好きだけど、農業については良くわからない……。
    「読書ガイド」を読み飛ばしてしまっているのが原因だとは分かっているけど、読み始めた勢いを削ぎたくないんだよなー……。

    カレーニンのように自分の感情を素直に表せない人もいれば、オブロンスキーのように極めて自然体で上手に人と付き合える人もいる。
    人生これからだ!な弟と人生これまでだ……な兄の対照や、人を愛することで明るい方へ行けるキティと愛することでどんどん苦しくなるアンナの対照が面白い。
    (簡単に二項対立の構図にしてしまうと浅い読みになってしまうけど、楽しんで読むん

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    2014年03月09日
  • 光あるうち光の中を歩め

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    再読。3年半前に読んだ時も衝撃的で、文学嫌いな私でも読める本があるものだなと思わせてくれた本。
    あれから私もいろんな勉強をして、思想が現代風に近づいたけれど、今読んでも違った意味でよかった。
    意味や、普遍的な正しさが失われたといわれる現代にあって、もしまた規範的なものが必要とされるならきっとこういうものになるんだろうなと思った。そしてたしかにそんな日は近付いてきている。

    ただ、この時期ってトルストイはたしか深い鬱状態みたいなものに悩まされていた時なので、これを盲信しすぎるの危険なのかもしれない。

    光あるうち光の中を歩め.... 限界まで来たらだらだらするひと休みも可、という但し書きは必要そ

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    2015年01月19日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    不倫物語。
    男は~とか女は~っていうところではちょっとフェミっちゃうし、結婚どころか恋すらまともにしたことがない私には理解し難い部分ばかり。
    それでも面白くてサクサク読めてしまうのは、この作品が超名作だからなのか、新訳が上手に訳してくれてるからでしょう。

    舞台となっている時代のロシアや西欧の知識が全く無いので、知識の不足を強く感じてしまう。
    なぜ彼らはロシア語だけでなくフランス語、英語、ドイツ語を使って会話するのか?
    貴族社会や、当時のロシア社会そのもの等、勉強してみたくなります。

    この調子で、今月中に全四巻読破したいなあ。

    視線で会話しすぎ。

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    2014年03月05日
  • 戦争と平和(四)

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    幸福な読書だったなぁ、と思う。

    3巻から作者トルストイの「語り」が多くなり、うーん?と思う部分もしばしばあり、もっと正直に言えば辟易する部分もなきにしもあらずだった。しかし、それでも、私はもうこの物語を読み終えてしまった。

    『戦争と平和』というタイトルの通り、トルストイが描きたかったのは、おそらく「人間の意思」だったのではないかと思う(個人としても、「われわれ」としても)。しかし、この最終巻である4巻を読んで特に感じたのは、トルストイは人間の「仕組み」や「歴史」を描くよりも断然、人間の「魂」を、感情と性格を描く方がまばゆいばかりの光を放つということだ。
    彼の人間を描く筆、それもたくさんの、

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    2014年01月22日
  • 戦争と平和(三)

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    3巻はそのほとんどを戦争シーンが占めており、登場人物がそれぞれに生き生きと動き詩的な美しさを感じる2巻に比べると、やや退屈に感じてしまった(それでもすごいんだけど!)。

    トルストイは「戦争」の中で何度も何度も、「歴史とは一人の人物や一つの原因が作るのではない」と強調する。これがあったからこうなった、ということはなく、それは後世がその結果からただ線を引き繋げて言っているに過ぎないのだと。その場の全て、どれとも誰とも言えない、あえて言うならば「その時」こそが歴史であり、「その場」こそが民衆なのだと。
    そして、それらが積み重なり、その時その時が終わって振り返ってようやく、我々はそれを「歴史」として

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    2014年01月05日
  • 戦争と平和(三)

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    ネタバレ

    「要塞をとることはむずかしいことではない、むずかしいのは戦争に勝つことだ。」

    途中で飽きて1カ月ぶりに読むと、再び引き込まれました。
    ナポレオンのモスクワ遠征から、ロシアのモスクワ放棄について書かれています。戦争の現場では多くの血が流れており、上流階級層では悲劇的な話が平和に語られています。

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    2013年10月18日
  • 光あるうち光の中を歩め

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    イエスは言われた。
    「光は、いましばらく、あなたがたの間にある。暗闇に追いつかれないように、光のあるうちに歩きなさい。暗闇の中を歩く者は、自分がどこへ行くのか分からない。光の子となるために、光のあるうちに、光を信じなさい。」
    (新共同訳『聖書 旧約聖書続編つき』日本聖書協会、新約聖書193ページ)

    この 光 の意味は 信仰心 ということなのかな。
    神というわけではない。
    闇の中にも 神はいるはずだから。 

    物語は キリスト生誕 100年後。
    原始キリスト教の時代で、ユリウスとパンフィリウスの会話が基本となり、その間に 医師が話をする。
    役者はそろっている。ユリウスの奥さんも、一時期、傾いた

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    2013年10月18日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    一人の死が周りに与える印象,という側面で非常に興味深く読んだ。死後に残されたイメージの重要性を喚起する作品である。
    しかし,ラストで宗教的に勢い良く昇華されてゆく部分は正直よくわからず置いて行かれた。

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    2013年09月03日
  • 戦争と平和(一)

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    ネタバレ

    「この一線を越えるのは恐ろしい、だが、越えてみたい気もする。」

    アンナ・ミハイロヴナによるボリスのための画策、アンドレイ公爵による死への願望、ロストフによる皇帝への羨望。様々な人間が様々に交差しながら、それぞれの信念のもとに行動している小説。舞台はものすごい広がりを見せる。

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    2013年08月24日
  • アンナ・カレーニナ 2

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    本作に主人公は二人存在しているのだと気付く。一人は煌びやかな社交界に身を置き高名な夫を持ちながらも、ヴロンスキーとの情愛によって身を落としていくアンナ。もう一人は地方地主ながら都会の公爵とも繋がりを持ち、そこの娘キティに恋焦がれながら農場経営の改革に頭を巡らすリョーヴィン。この二人が直接出会う事はないものの、対照的な両者を描くことによって当時のロシアの全景を描き出すことに成功している。特にリョーヴィンの「ロシアには労働者の問題なんてありえない。あるのは働く農民と土地との関係の問題さ」という言葉は象徴的だ。

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    2013年05月08日
  • アンナ・カレーニナ 1

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    「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」そうそう、平凡と言われる家庭こそ実は何より幸福なのに、そんな家庭なんてどこにも見当たらないのは今も昔も変わらない。二組の夫婦の不倫劇と若者間の三角関係のすれ違い、粗筋だけ見ると単純だけどそれを精緻な人物描写で陰影を深め、資本主義と社会主義、貴族制度と議会制度といった具合にあらゆる社会要素が併存していた19世紀後半、動乱のロシアを舞台とすることで圧倒的な奥行きを与える事に成功している。当時の鉄道についての解説は興味深い。

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    2013年05月07日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    クロイツェルソナタ
    嫉妬と思い込みから妻を殺してしまった男の独白。
    ここまで徹底した独白の小説を読んだのは初めて。物事の経緯やその時々の心情を事細かに描写している。

    悪魔
    クロイツェルソナタが男性上位な思想によるもの(に私には思える)としたら、こちらはその中にあって、妻に誠実であろうとする主人公の苦悩。

    時代や文化やいろいろな背景があるけれど、私はこんなに道徳や嫉妬や宗教にがんじがらめになるのはつらいし、この男たちは面倒くさいと思った。そして、その面倒くさいことで出来上がっているこの小説はとてもおもしろかった。
    翻訳もきれいで読みやすく、ところどころ面白い表現があって笑えた。40年も前の訳

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    2013年03月31日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    訳者よりねだり、奪い去るように手に入れました。

    先生、ごめんなさい(汗

    岩波の米川訳と比べると、丁寧に読みやすく…と腐心された訳者の姿勢が見えて、大変嬉しく読み進められました。

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    2013年03月07日
  • クロイツェル・ソナタ 悪魔

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    私達夫婦はよく人に言われます「仲がいいですねぇ」なんて。お互い我慢しているだけなんですよ。
    それが、良いのか悪いのか悲しいことなのか、なんて考えたり論じたりするのは「行為」が終わればお互い?満たされて、そんな思考は子育てや仕事や区の行事なんかで忙殺され、欺瞞と偽善の世を生き続けているのです。お互いの真の姿なんてとても言えませんよ。
    でも、禁欲主義トルストイが、自身の懺悔と苦悩と後悔で綴る人間、男と女、真実の姿。を、見たいならどうぞお読みください。
    恋愛中、婚約中、新婚さん、子育て中の方は読まないほうがいいかも。

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    2013年01月05日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    ストーリーはシンプルで、あってないようなもの。「イワン・イリイチの死」はイワン・イリイチが死ぬだけ。しかし、死に至るまでの心の葛藤がなんともリアルですさまじい。死に直面したときの葛藤や絶望を描くだけでここまで読ませる小説が書けるのか。スゴイ。
    自己を欺瞞して生きてきた人間と欺瞞にあふれた世間で生きてきた人間の末路がテーマであるということができると思う。多くの文学作品でも描かれているように、本書でも欺瞞は絶望を呼ぶ。普遍的なテーマを描いた作品のなかでも、ストレートなぶん強烈な読後感が残る一冊。

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    2012年10月17日
  • 光あるうち光の中を歩め

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    国家権力、暴力を非難する箇所を除けば、トルストイの語る原始キリスト教と共産主義は似ている部分が大いにあるように思う。
    だが、その根本が大いに違うところが肝要であろう。
    主人公ユリウスが何度も迷いつつも、現世に立ち止まり、ついに老齢にてキリスト教に入って行く様子は、いまも同じだ。
    若い日に神を覚えよとはいうが、神様が手元にお招きになるその時期は各人各様。
    たとえ老齢であってもそれでよいのだと改めて思った次第。
    しかしなぁ、トルストイは残念ながら、パンフィリウスの住まうところには行けなかったかもしれない。

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    2012年10月13日
  • コサック~1852年のコーカサス物語~

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    ネタバレ

    ロシアの文豪・トルストイの初期の作品。
    無気力な生活を送っていた青年貴族・オレーニンが軍隊に志願し、中央アジアのコーカサス(カフカス)へ赴任。
    雄大な自然に抱かれ、コサックの生活に溶け込み、村の娘に恋をする。
    コサックの生活様式、文化、狩猟と酒、チェチェン人との関係などが描かれています。
    遊牧民の描写では、やはり東洋的な要素が垣間見えます。

    巻末には訳者による解説があり、ロシアにとってのコーカサスの位置づけ、ロシア文学の題材としての役割、こんにちも残るチェチェン問題、またトルストイの略歴と文学の過程も述べられています。
    トルストイ自身の若き日の経験も盛り込まれているそうですが、のちの『戦争と

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    2012年08月19日
  • コサック~1852年のコーカサス物語~

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    ロシア貴族の若者が、コサック地方に赴き、そこの自然と人々に触れることにより自分を見つめ直していく物語。
    カジュアルな訳文ですらすらと読める。物語としての大きな展開はないが、だからこそ細部の心情や行為にしみじみし、余韻が残る。

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    2012年08月16日
  • イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

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    人は普段無意識に死を遠ざけ、自分だけは死ぬはずがないと考えている。
    イワン・イリッチもそう考え自らの価値観を保つためだけに生きてきたが、死の間際になり自らの死ぬことを悟り、その生き方が虚構に満ちていたことを悟るに至った。
    『人生の短さについて』にもあるように、本当に生きるためには死ぬことを認め、それを真正面から考えなければならない。問題は、それに気づくのが死の間際になってからだということだ。

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    2012年02月15日