トルストイのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
転職後の夏辺りに購入。短いが読後感は爽やかで好き。
主人公の王様が権力や金等の欲望を楽しむが空しさを感じ、最終的にキリスト教の信者たちが営む小さな村で幸せに暮らす話。トルストイのキリスト教礼賛思想がよく見える。
ただ、キリスト教を抜きにしても教訓的な話であるので、暖かい気持ちになれる。最後、老人となった主人公がキリスト教の村でぶどう畑に居場所を見つけられず「すべき仕事をするにはもう年を取りすぎた」と泣いた時、別の老人が「別の畑にはあなたも取れるぶどうがある、年齢ではなく気持ちが大事だ」と諭すシーンが特に好き。
ご都合主義的なストーリーの運びではあるが、これくらいライトな進行の方が読後感もさ -
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ついにトルストイの最高傑作の一つで大作の『戦争と平和』を読み始めてしまった。最初、新潮文庫と岩波文庫のどちらで読むか迷ったが、登場人物の紹介や家系図、小説の途中で入る「コラム」のある岩波文庫の藤沼貴氏の訳の方を読んでみた。
結論的に言うと藤沼氏の新訳は非常に読みやすい訳で、注釈なども適度に入っており、かなり分かりやすかった。「コラム」が小説の筋を遮ってしまうというようなこともなく、当時のロシアの背景を分かりやすく解説してくれて、ロシア史の専門家以外の人には絶対に役に立つと思う。
さて、物語の方はというと、最初の100ページくらいは登場人物がやたら多く、話の筋をたどるのが非常にやっかいだった( -
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岩波文庫赤
トルストイ 「 イワンイリッチの死 」
死をテーマとした良書。哲学や宗教を用いずに 死の境地を表現。
一人の男性の人生を通して、生の自己満足→死の恐怖→死の喜びを 追体験できる凄い本。死顔の表現力に驚く
「アンナカレーニナ」は よくわからなかったが、これは面白い
「死とはなんだ〜恐怖はまるでなかった。なぜなら 死がなかったから〜死の代わりに光があった〜何という喜びだろう」
死顔
*在世の時より美しく、もっともらしかった
*その顔は 必要なことはしてしまった、しかも立派にしてのけた とでもいうような表情
*この表情には 生きている者への非難、注意が感じられた
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ネタバレ人生論というよりも、トルストイ個人の視点から「生命」というものを分析した論文のような文章です。
生命を構成する分子、更にもっと細かい物質まで科学によって研究を重ねていけば生命を理解できるというのは誤った視点であるという問題提起から始まります。
そもそもその分子レベルでの研究を重ねっていく目的自体はなんなのか?今、我々にある苦悩や幸福は本当にその科学的な分析で明らかになるものなのか?今自分にある「生命」とは本当にそんなものによるものなのか?
という問いかけが常になされます。
そこから人間の中に存在する「動物的個我」と、「理性」についての説明や対比を述べ、いち個体の幸福の追求、つまり「動物的 -
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ネタバレイワン・イリイチの死について
判事のイワン・イリイチは、職務として自分に関係する人物には丁寧で慇懃に接する一方、職務上の関係がなくなると同時に、他のあらゆる関係を絶っていた。すなわち、職務上のことをきっぱりと切り離して自分の実人生と混同しない性格であった。その性格ゆえ、家族との関係に優先して、社交的であることを大切にし、体裁を保つことを考えていた。
ある時、わき腹が苦しく、正体不明の病気になった彼は、その性格から同僚には強がり、家族からは相手にされず、孤独感と死との恐怖に怯える日々を過ごしていた。酷く衰弱していた彼の慰めとなったのは、嘘を決してつかない性格で、イワンが虚栄心を張らずに心を許せる -
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この時代の原初キリスト教の世界観は真理を説いていると思う。人間は動物的本能の為に我欲にとらわれ翻弄する存在であると同時に理性をも持ち合わせている。人間は理性により自我をコントロールし、他者を愛することができる。つまり、理性を使わなければ人間たりえない。今の世界は暴力に満ちている。
俗世からユリウスが神の道に入り、兄弟達の為に労苦する生活の後、最後の一文に『肉体の死が訪れたのも知らなかった』とありました。
つまり、神の道とは完全なる愛であり、自身の死の自覚すら眼中にない程他人の幸せに奉仕することにのみ喜びを感じることだと言うことがわかりました。私はこの資本主義の国に住み、子ども達に義務教育を受け