森絵都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分なりに一所懸命に生きてきたつもりだったのに……。
何かのはずみで日常が変化してしまった人たちを描く、ファンタジー要素が強めの短編集。
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コロナ禍の最中のある日。永井タクは、妻からフットマッサージに行くことを勧められた。それもかなり強く。
在宅ワークの妻は間もなくオンライン会議の時間だ。夫がいては仕事の邪魔なのだろうと思い、永井は妻の提案に従うことにした。
マッサージ店でズボンを脱がなくてもいいように短パンを探したが、なかったので海パンを履いて駅前のマッサージ店に向かう。
だが駅が近づくに連れ、永井の気持ちに変化が生じてきた。
今日でリフレッシュ休暇が -
Posted by ブクログ
森絵都によるアットホームでシニカルな長編近未来ディストピアSFコメディ。
短編ではSFっぽい作品も読んだことはあったけど、こんな物語も描けるのか、と20年以上追いかけて読んできた身としては驚いた。
現代社会への風刺や昨今の日本政府への皮肉が込められているような内容。
今までどんな弱さも惨めさも掬い取ってくれるような懐の深さと力強さを感じる作品をたくさん書いていた著者だけに、これが著者の政治的なイデオロギーの発露だったらどうしよう…(作者の人間性と作品を同一視するのは違うだろという意見もあるけど)好きな作家の作品を素直に読めなくなるかも怖いな〜…と途中までは思っていたのですが、最後の30ペー -
Posted by ブクログ
ちょっぴり寂しいけれど、それが現実で、でも前へ進む勇気をもらえる一冊です。
富塚先生、いい先生だなあー。自分でがんばることを伝えながらも、さりげなく友達の大切さを教えてくれる。
悩み多き、思春期の子どもたちにおすすめです。
私が心に残った言葉を抜粋します。
「一番しんどいときはだれでもひとり」
「ぼくたちはみんな宇宙のみなしごだから。ばらばらに生まれてばらばらにしんでいくみなしごだから。自分の力できらきら輝いてないと、宇宙の暗闇に飲み込まれて消えちゃうんだよ。」
「頭と体の使いかた次第で、この世界はどんなに明るいものにもさみしいものにもなる」
「ひとりでやってかなきゃならない -
Posted by ブクログ
大人になるということ。
生きるということは、変化の連続。
さみしくても切なくても、やるせなくても。
戸惑いながらも、自分自身や周りの変化をしなやかに受け入れて大人になっていく過程が垣間見えた。
肯定するということ。
否定することよりも、もっともっと難しい。
私自身の永遠の課題でもある、と感じた。
ありのままを受け止める。自分自身も、相手も。
どんな状況でも。
難解で難題だ。
「アーモンド入りチョコレートのように生きていきなさい。」とても素敵な言葉。
どんなことがあっても、チョコレートのように優しく包み込んでいける大きな自分になれたらいいな。