森絵都のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ*村山由佳、坂井希久子、千早茜、大崎梢、額賀澪、阿川佐和子、嶋津輝、森絵都―当代きっての人気女性作家8人が「女ともだち」をテーマに豪華競作!「彼女」は敵か味方か…微妙であやうい女性同士の関係を、小説の名手たちが描きだす逸品ぞろいの短編小説集。コワくてせつなくて愛しい物語の世界をぜひご堪能ください*
前半は女同士の執着や束縛が続くありがちな展開でしたが、後半は力量のある作家さんの本領発揮で、一味違う物語を堪能しました。
特に気に入ったのは、森絵都さんの「獣の夜」。最初はハラハラしたものの、パプリカで大笑い出来る、いつでもあの頃に戻っていける、これこそが女の友情の真骨頂ですね。でも、これはひと歳 -
Posted by ブクログ
釜ヶ崎のドヤ街(あいりん地区)で生活をする青年、礼司がある一人の女性について小説を書いて欲しいと依頼される。
ドヤ街とは??と余り知識のない私には衝撃的な一冊となりました。
どんな生活をしていようとも、生きるというのはやはり大変だ。
食べなくてはいけないし、何よりお金がいる。
初めは礼司がドヤ街で暮らしている事に違和感を感じていたのですが、その答えはしっかりと終盤で語られています。
礼司と結子に幸あれ。
他の方のレビューを見ると、関西弁がおかしい!と多く書かれていますが、東京育ちの私には全く分からず。
『言葉の違和感』とはどんな感覚のものなんだろう、と想像してみても今一理解できず。
外国の方 -
Posted by ブクログ
エピソードがたくさんありすぎて、混迷している印象。
主人公にも、彼女の周りの人物にも特に共感できず、気分が悪い部分が多かった。
再読はない。
2025.11.2
以前読んだことを忘れていて再読。
初めて読んだと思い込んで読み終えたが、感想が書いてあるので読んだのか…。
改めて感想を書こうと思う。
そもそもは子どもの中学受験の模試で冒頭部分を読んだことから続きが気になり購入。
当時小学生だった子どもも大学生になり、今読むと感じ方が変わったのかもしれない。
主人公も周りの人々も一生懸命生きている愛おしい人たちだった。
特に、エピローグは刺さった。
読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
森絵都さんが描く世界は、卑屈だったり、共感できないような主人公が、物語のラストにはすっかりのめり込んでしまうから不思議だ。
ストーリーの大筋は、父の死をきっかけに、生前の父の人物像が気になった、3人兄妹は父の故郷である佐渡島へ向かうことを決断するところから始まり、生前の父の人物像を明らかにすることで物語は幕を閉じる。
興味深かったのは、誰しも死んだ人を何かの言い訳に使ってしまうかもしれないという点だ。本書に出てくる父は、かなり厳格な性格で、何かにつけて子供達の行動を制限していた。部活動をさせなかったり、異性と付き合うことを許さなかったり、修学旅行に行かせたく無いと学校に直談判したりしていた。「 -
Posted by ブクログ
短編が3本と中編が2本の物語集。
3つの短編に共通しているのが、主人公を誰かが「君は」と呼ぶかたちで進んでいく小説で、その語り部の視点が誰なのか(あるいは誰でもないのか)分からないままであるところが、不思議さを醸し出していて面白い。
2本の中編の間に箸休めみたいな感覚で読めるところも良かった。
表題作は、タイトルそのままの物語。
東京で音楽プロデューサーをしていた長尾が、仕事を辞め郷里で漁師を始めた。長尾について行きそこで生活を始めた愛人の紗江だったが、その立場から田舎の狭いコミュニティからは明らかに拒絶されてしまう。
そんな中、長尾の妻である円香から定期的に電話が掛かってくるようになり、妻 -
Posted by ブクログ
60ページほどの短編2作とショート・ショート+αくらいの長さの3編からなる作品集です。短編のほうは震災後を舞台としたもので、こちらは文句なし。特にアラフォー女性3人が震災をきっかけに夫や恋人との距離を見つめ直していく姿を描いた「あの日以降」はなかなかの佳品だと思いました。表題作「漁師の愛人」も地方のある意味閉鎖的なコミュニティに正妻ではなく愛人という立場で関わらざるを得なくなった女性の心境がうまく描かれていると思います。
ショート・ショートの3編はいずれも少年が主人公のプリンをめぐるコミカルな話です。それなりに面白いのですが若干空回りしているような気も。
文庫版では解説を含めても200ページに -
Posted by ブクログ
「少年とプリン」「老人とアイロン」「あの日以降」「ア・ラ・モード」「漁師の愛人」
このうち「少年とプリン」「老人とアイロン」「ア・ラ・モード」はプリンに対する男たちの偏愛が主要な題材になって居て何とも可笑しい。
「あの日以降」は大震災後にルームシェアするアラフォー女性を描いた佳作。
そして表題作「漁師の愛人」。実はこのタイトルから、あまり興味のないドロドロした恋愛ものがイメージされて購入をためらったのです。でも違いました。
会社に首を切られ漁師に転職した男と離婚しない妻、そして漁師町で同棲する愛人。でもドロドロじゃなくて何やら乾いた感じの三者の関係と、閉鎖的な漁師町の女性陣との戦いがなかなか見