森絵都のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ああ、40代女性(一部男性)の母性愛は何と深く逞しいのだろう。
家主の帰りを、人のいない町で待つペットたちの姿。
ペットを連れだしたくても連れ出せない飼い主たちの切なさ。
ペットを救出するためにはるか遠くから福島に通うボランディアたちの姿。
飼い主に代わってペットの面倒をみるボランディアの愛情。
どこを読んでも胸が熱くなる。
しかし児童文学出身の森絵都のノンフィクションはソフトかつ軽快で、そのソフトな文体がこの出来事が異世界でなく私のすぐ近くで起きている出来事だと強く感じさせてくれた。
ペットレスキューが、警察の目を逃れて検挙を恐れながら行われている実情に胸が痛くなった。
政府と東京電力は -
Posted by ブクログ
釜ヶ崎、とは、どこか。日本最大の日雇い労働者の街だ。おそらく日本に住む大多数にとって、その実態を知る必要がなく、けれどもたしかに存在している街。そこに住む人々、そこを出た人々、釜ヶ崎を舞台に繰り広げられる物語は、決してお涙頂戴の安っぽい人情物語ではない。
声をあげて彼は不幸だ、と叫ぶのでも、人権がどう、と主張するのでもない。自分の足で立ち、自分の目で未来を見据え、自分の手で自分の決めた幸せを掴もうとする。
作中出てくる、カルト教団に傾倒してしまう大学生 大輔の、自分の空っぽさへの恐怖には、残念ながら共感してしまった。芯というものがない、そう気付いたときの自分への失望。ただし、それが同時に甘えで -
Posted by ブクログ
10の短編。藤巻さんの道/夜の空隙を埋める/クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の…/クジラ見/竜宮/思い出ぴろり/ラストシーン/桂川里香子、危機一髪/母の北上/異国のおじさんを伴う。
解説に「人々の心が動いた刹那を丁寧に掬った」短編集とありまが、まさしくです。様々な年代の男女を主人公に、様様な気付きの刹那が描かれます。例えば「藤巻さんの道」。とても魅力的で有能で家庭的に見えた女性が片付けできない人であることを知った男性がとった行動。気付いた直後の動きがハッとさせられるほど鮮やかで、その後の明るさを感じさせる作品が多く、楽しませてもらえました。 -
Posted by ブクログ
『架空の球を追う』の次は、『異国のおじさんを伴う』。なかなかのネーミングセンス。
森絵都は、なんでこんなにバラエティ豊かな短編小説を書けるんだろう、と感心するくらい面白い。
ビックリと、ほっこりの繰り返し。
筋を追っていると見えるはずの着地点を無視していく鮮やかさ。いいなあ。
飛行機の中で、あと十分のラストシーンを巡って論議する乗客たち。
美しいエジプト人に心を奪われたが、しかし彼の貧乏ゆすりと「危機一髪」に耐えられず蹴り出す女性。
タウン誌に掲載したコラムの「取り違え」が元で大きくストーリーが変わっていく編集者の話。などなど。
まとめて一言では言えない、豊富な魅力が詰まった一冊。お