森絵都のレビュー一覧
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森 絵都の紀行文。もちろんタイトル通り屋久島での体験中心に載っているのですが、ジュウソウが何故カタカナ?‥これは登山の知識があるならここに当てはまる漢字が"縦走"だとすぐ思い浮かぶのですが、参加した森絵都チームは知識がなく"重装"!と勘違いしていたくらいですから屋久島での体験が伺い知れるというものです。
屋久島行きは実を言うと私も狙っています。何も知らないと南の島の楽園を想像しがちですが、実際は彼女等の体験通り屋久杉を見るためには、リュックを背負い往復何時間も歩かなくてはならないハードな道のりです。
縦走ですから屋久島の山の尾根伝いに歩くコースでホントに登山そのものです。高校生の頃、登山のいろはをかじった経験のある私(登山の経験はそれっきりですが・・)はおぼろげながら想像できました。
森絵都さんはかなりの旅行好きらしく、この紀行文を書くための企画で、一緒に行ったメンバーは編集者たちでした。皆さんの口にした飲食物が列記してあり地ビールや飛び魚料理は生唾ものでした。
この屋久島ジュウソウの他にも彼女は世界各地での紀行文を書いているようです。バカンスをご主人と過ごす習慣もあるらしく羨ましい限りです。
それはともかくとして、旅行に携帯する本選びの事も書いていて、本好きならではのこだわりもあり、興味をそそられた部分でもありました。 -
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妹から教えてもらって、さっそく楽天ブックスでポチり、大好きな「ローマ人の物語」の読み返しを一時中断して読み始めた。
昨夏、親父さんの退職金にみんなで群がって一族で出かけた初めての屋久島。
帰りたくない。
ずっとここに居たい。
また行きたい。
毎年必ず行きたい。
そう思った屋久島。
屋久島の文章と言えば、田口ランディの「ひかりのあめふるしま屋久島」しか読んだことがなく、楽しみに読み始める。
旅の間に食べた物がやけに詳しく書いてあるそんな本?数十ページ読んで、イマイチ進まず放置。
このままじゃ「ローマ人の物語」に戻れんやんけと気合を入れて再度手に取り一気に読み上げた。
面白かった。 -
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ちいさなちいさな旅物語が40もの数の旅に。
森絵都さんの多彩な才能が羨ましい。
いままでリズムからゴールドフィッシュ、カラフル、宇宙のみなしご、アーモンド入りチョコレートのワルツ、つきのふね、絵本のにんきものシリーズ、DIVE!
児童書だけでもたくさんのはなし、それも全部味が違うのに児童書だけでなく永遠の出口や、いつかパラソルの下で、そして直木賞受賞作品の風に舞い上がるビニールシート
なんて想像力が豊かで、恋愛ものだけでなくいろんなはなしが書けるのだろう。
ショート・トリップは非現実的な旅物語やなんかふわふわとした短編がたくさん詰め込まれています。こどももおとなも楽しめるのが森絵都さんの作風だと思う。 -
Posted by ブクログ
20代の三人のきょうだい。兄、姉、妹。
厳格な父に縛られた生活を送ってきたが、上の兄と姉(野々)は早くにうちを飛び出し、不安定ながらも自由な生活を送っている。妹は父に縛られたままの生活を選ぶ。
ある日、その父が亡くなった。
父の浮気相手という女が現れ、母の様子がおかしくなる。
今まで滅多に揃うことのなかった三人きょうだいが顔を合わせ、父の秘密の過去の解明に乗り出すことに・・・。
ともすれば重くなりがちなテーマなのですが、3人のキャラクターがゆるめで何だか愛嬌があるのと、描き方に温かみがあるため、穏やかに物語は進みます。
20代とはいえ、まだまだ大人になれない(なりたくない)3人が、父の死、父の故郷に触れて、少しずつ大人になっていく物語。
父の故郷、佐渡への旅の終わり、彼らは気づく。
父にストイックに育てられたから今の自分はこんななんだ、と実は自分に自信がないだけないのに言い訳にしていた。自分のだめなところから目をそらす言い訳に。
どんなわだかまりや別れがあろうとも、いつかは、みんなでパラソルの下でビールを飲みたい。飲めるときがくるかもしれない。そんな希望を持てるような気がします。
パラソルの下でビールという表現が良いなぁ。
あと野々の恋人、達郎くん、言葉がぶっきらぼうだけど心の中の温かさが伝わってきて良かった。
妹さんのシャツの胸のワンポイントもいい働きをしていてお気に入り。
人は人を忘れる。けれどもまた思い出す。もう何もかも取り返しがつかなくなった頃に記憶の蓋をゆるめる。それが憂鬱で、面倒くさくて、だから私は父の故郷など訪ねたくなかった。p177
この一文、なんかとても心に響いてきました。わかります。この感じ。 -
Posted by ブクログ
父が今のように病院で寝たきりになったのは去年のGWの直後だったのでもう1年が経つ。
鼻から胸からチューブを挿され最早生きているだけの体。にも拘らずその頭を櫛で梳き髪を整えている母。
そんなことしても何もならないのにと思い、自分がこうなった時には人にはこんな手間はかけたくないと思う…。
この本、ヒロイン野々は25歳。
大人になって、厳格すぎた父親から逃れ、職も同棲相手も何回も変え、根無し草のような生活を送っている。
同様のノリの兄とそんな兄姉を反面教師に真面目にいい子に育った妹。父が亡くなって1年。
とある女性が訪ねてきたことから、死の直前の父の浮気を知り、3人が大いに驚きうろたえる一章。
誰しもが経験する若い時分の親との葛藤。自分自身のあらゆる欠陥が親の影響によるものだとの責任転嫁。同じ屋根の下に育ちながら斯くも異なる人生への悲憤。
父が残した「暗い血」という言葉から、父のルーツを探しに佐渡に旅する二章。
彼氏や彼女に喝破されながら、それでもうじうじ引きずっていたものを、佐渡の眩しい太陽と青い海と素朴な人々との交わりの中でようよう断ち切る。
親になって初めて分かる親の心情というものもあれば、未だに分からぬ父母の気持ちもあり。
しかしながら、それもこれもあわせてそうこうした情の積み重ねが親子や夫婦や兄弟の在り様と今更ながらに思う。
「なべて生きるというのは元来、そういうことなのかもしれない、と。人は等しく孤独で、人生は泥沼だ。愛しても愛しても愛されなかったり、受けいれても受けいれても受けいれられなかったり。それが生きるということで、命ある限り、誰もそこから逃れることは出来ない−」
どれだけ手間がかかっても、父の命のあることがどれだけ母の救いかと。