森絵都のレビュー一覧
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10の短編。藤巻さんの道/夜の空隙を埋める/クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の…/クジラ見/竜宮/思い出ぴろり/ラストシーン/桂川里香子、危機一髪/母の北上/異国のおじさんを伴う。
解説に「人々の心が動いた刹那を丁寧に掬った」短編集とありまが、まさしくです。様々な年代の男女を主人公に、様様な気付きの刹那が描かれます。例えば「藤巻さんの道」。とても魅力的で有能で家庭的に見えた女性が片付けできない人であることを知った男性がとった行動。気付いた直後の動きがハッとさせられるほど鮮やかで、その後の明るさを感じさせる作品が多く、楽しませてもらえました。 -
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10編の作品を収録した短編集。
状況も、登場人物もバラバラの短編ですがそのいずれにも共通しているのは、どこか身近に感じられる登場人物たちの心情や語り口、少しの毒とユーモア、
そして読み終えた後鮮やかに登場人物たちへの思いや、作品からみえる風景が反転することだと思います。
収録作品は、どれも劇的な場面を描いているというわけではありません。たとえば、
工事による停電に悩まされる二人の女性が文句を言いに夜の街に繰り出す「夜の空隙を埋める」
伊勢丹に訪れた女性を描く「クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の……」
フリーライターの女性の仕事上の一つの後悔を描く「竜宮」
国際線のフライトの着陸間 -
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意外とショートショートがお上手なのだなと思った。
ユーモアはさておき、結構の毒。
私にとってのショートショートは星新一だったりフレドリック・ブラウンだったり。オチの意外性と毒の有無が決め手。
収録作の全てがすばらしいとは言わないけれど、中学生新聞に連載されたというこのショートショートは、わかりやすく、納得しやすく、そして毒がある。
面白かったなあ。
間を開けて、同じ登場人物が出てくる作品がある。
一発ギャグより、練り上げられた世界観を持ったコントが好きな私は、「ならずもの18号」の話より「ならずもの55号」の話の方が好きだ。というか、吹きだした。
やるなあ、森絵都、と思った。 -
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初森絵都体験。
1クラス24人の目線から描く24章からなる短編集。
読む前は「なんて無謀な試み!上手いこと繋がるんかい!?」と思ったんですが、なんて上手な構成、キレイに繋がる、キレイに落ちる。
文章上手いな~と感心してたら「直木賞作家ですよ!」と友人から一言。
あら!そうなの?流石!
中学1年生の入学から終業式まで、上巻12人(12章)下巻12人(12章)。
語り部を次々と繋ぎながら時系列は順番通り、前章のオチまたは顛末がさりげなく語られる。同じ人は2度と出てこないのだからこの人凄いわ~。
と上巻は感心ばかりしてました。さぁいよいよ下巻突入!最後の学級委員長に1年分のオチはあるのか!? -
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【本の内容】
「ならず者18号」に科せられた刑罰としての旅。
道に迷った「奇跡の犬」の壮大な冒険。
生涯、孤高の旅人として生きた伝説の「試食の人」-。
ユーモアとサービス精神に溢れた旅を巡る48のショートショート集。
単行本未収録作品のほか、本文イラスト・長崎訓子の描きおろしストーリーや、いしいしんじの特別寄稿も加えて、待望の文庫化。
[ 目次 ]
[ POP ]
目の前の現実がキビしいほど、人は、妄想の世界へ逃げたくなるもの。
頭の中はいつだって自由なのだから、つらいときこそ想像力を磨くチャンスだ。
この本は、直木賞作家の森絵都さんが連れていってくれる、1トリップわずか3ペ -
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冒頭───
若草色の風が吹きぬける四月、それまで二つに結っていた髪をポニーテールにまとめて、千鶴は中学生になった。
中学生なんて、なるときは、だれでもなる。地元の公立中学校だから、新入生の半数は知った顔。そう考えると気もらくで、入学の日もとくに緊張しなかったけれど、唯一、クラス発表のときだけは胸がどきどきした。
小学生から中学生になったばかりの24人の生徒たち。
大人と子供の狭間の中で、揺れ動くそれぞれの心情。
みんな色々な悩みを抱えているんだよなあ。
24人いれば24通りの悩みや葛藤がある。
24人分の個性がある。
それがぶつかりあうのがクラスであり、それが交差しあうのがクラスメイトであ