森絵都のレビュー一覧
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中学生の心理描写が絶妙だったなぁ。
小学生のようにもう無邪気ではないけれど、まだまだ大人の入り口に立ったばかり。
親友とうまくいかなくなった理由は、裏切られたからではなく裏切ってしまったから。
一人になるのは怖いけど、誰にも言えない秘密がある。
そんな、さくらと梨利と勝田くん。
ノストラダムスの大予言が流行っていた頃のお話。
人類が滅亡するという予言と、考えなければならない進路、大事な親友を裏切ってしまった後悔‥‥もうどうしたらいいのか分からない、どうにでもなってしまえ、という諦めがひしひしと伝わってきます。
弱い人を助けるのは、小さくても尊いもの。
そんな尊いものに自分はなれるかなぁ?
大事な人の尊いものになりたいなぁ、というお話。
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以前から読みたいと思っていた本。
「それぞれの立場」を、人から勧められたことがある。
「少年の日の思い出」(あの、エーミールがでてくるお話である)を学んだ中学生が、いろいろな登場人物の立場になって書いた文章を並べたという体の小説だ。
確かに、捧腹絶倒の一作。
他にも、面白いものがたくさんあった。
ほんのちょっとしたこと、なのに許せないことを取り上げ、少しシニカルな笑いが生まれていく。
その手つきの鮮やかなことといったら!
笑いながらも共感したのは「クソテン」が出てくる「誰がために貴方は進化しつづけるのか」。
Windows10が、ユーザの都合にお構いなしに勝手にアップデートに入ってしまう現象を取り上げた作品だ。
ああ、そうだったなあ、とちょっと懐かしく思い出した。
その時分を知らない若い人はこれから増えていくんだろうが、同じようなことは他のアプリやサービスで起きるに違いない。 -
Posted by ブクログ
飛び込み競技のシドニーオリンピック代表を目指す中学生・高校生ダイバーの物語の下巻。シドニーオリンピック選考会が物語の中心であり、競技会の描写だけで、下巻の半分を占める。
上巻の感想でも書いたが、飛び込み競技のルールを知っている人は少ないと思う。私も知らなかった。しかし、この物語を読み進めていくうちに、それが理解できるようになる。飛び込み競技は、予選を勝ち抜いた選手たちが決勝で10本の演技を行う。その10本の演技を審査員が採点し、その合計点で勝敗が決まる。ただ、採点ルールはシンプルではなく、演技に用いる技に難易度が数字としてつけられており、採点による点数に、その難易度の点数がかけられて1本の演技の点数が決まる。だから、後半に難易度の高い技で高点数を得ることが出来れば、前半で出遅れていても逆転が可能なルールとなっている。
そのあたりのルールもうまく活用しながら、選考会の模様が細かく描写されていく。それは、なかなか面白い。
この選考会時点で、主人公たちはまだ中学生であり、高校生だ。飛び込みの選手寿命はまだ長いはずなので、続編を書いてもらえればとも感じた。 -
Posted by ブクログ
文庫本の上巻の表紙に描かれている絵が何なのか全く分からなかった。「DIVE!!」という題名の意味も知らなかった。読んでみて、DIVEはダイビング、すなわち、飛び込みというスポーツ種目のことであり、文庫本の表紙の絵は、競技に使われる飛び込み台であることが分かった。
たしかに、「飛び込み」という種目はある。しかし、それはマイナー競技であり、私自身も、オリンピックの「今日の結果」的なダイジェストで観る以外に観たことはなかった。国内、あるいは、国際的な競技会ももちろん開催されているのであろうが、それが放映されているテレビを観たこともない。
「飛び込み」という競技をほとんど知らないのは、私だけではないはずだ。読者のほとんどがそれを知らない。それを小説のテーマにして読ませる、すなわち、知らないことを文章で理解させるというのは、かなりの力技だと思うが、この作品ではそれが成功している。オリンピックを目指す中学、高校の飛び込み選手を描いた小説であるが、ストーリーの中に、日本における競技の位置づけ(要するにマイナー競技であること)、競技場に関すること、飛び込みのルールに関すること、競技の進行と採点についてのルールなどが、さりげなく織り込まれており、読者は、「飛び込み」という競技がどういうものかを読んでいるうちに理解できるようになっている。
私が上巻の中で一番好きだったのは、オリンピックを目指す選手の一人である沖津飛沫が、競技会で敗れ、今後どうするかを考えるために故郷の津軽に戻り、恋人と過ごす場面(場面というには長いが)である。全般的に、割合と軽いタッチで描かれている小説の中で、この部分だけは、沖津飛沫の心を投影してか、重く描かれている。彼の悩みと、そして、その悩みの解消がよく描かれているような気がした。
これから下巻を読む。