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Posted by ブクログ
最後、というのがキーワードなのかなと思う短編集。森絵都らしい。
第1話 夏になると僕ら5人のいとこは再会する。ぼく、智明、じゃがまる、章くん。章くんの別荘は辺鄙な海辺にある。元料理人の小野寺さんが管理人。午後11時から僕らは章くんにクラシックを聞かされるのだが寝てしまう。僕は章くんにいろいろ押し付けられるのが嫌になってきた。章くんへのモヤモヤがどんどん大きくなる。
第2話 中学の卒業式の日、机にごめんねと書かれた手紙が入っていた。9月の球技大会の時に不眠症だった。元音楽室に避難したら、藤谷がピアノを弾いていた。藤谷も眠れないという。母が愛人のアパートに行ってしまったのがキッカケらしい。藤谷の祖父が死に、家庭内騒動がひどくなっていく。でも藤谷は虚言癖があったのだ。
第3話 ピアノの先生の絹子先生はエリック・サティの音楽と人生を愛している。ステファンが現れる。
Posted by ブクログ
今年も再会の夏が来た。
ぼく、智明、ナス、じゃがまる、そして章(あきら)くんの5人は、関東のあちこちから章くんの別荘を目指して出発する。
「子供は眠る」
中三の秋。ぼくは不眠症に悩まされていた。一ヶ月の不眠。そんな状態で球技大会なんて、参加できるわけがない、逃げよう。そうして旧校舎へ逃げ込んだぼくは、元音楽室でピアノを弾いている藤谷りえ子に出逢った。
「彼女のアリア」
ピアノ教室に突如現れたサティのおじさん。
絹子先生、サティのおじさん、そして君絵。手をつなぎ、足をぶつけ合ってワルツを踊った木曜日の夜。
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
普段は身を潜めている、私の中にある情動や衝動といった類のものを呼び起こしてくれるそんな一冊です。
森絵都さんは「カラフル」や他を数年前に読んで間が空いていましたが、数行読んで、ああ森絵都さんだ、これぞ森絵都ワールドだと心を鷲掴みにされました。
男の子達の夏のひと時をほのぼの描いているのかと思いきや、突如不穏な空気が立ち込める「子供は眠る」、こうして、いつかあの日を振り返るような淡い思い出になるのかと思ったら、な「彼女のアリア」、読み始め数行でもうじわじわと泣けてくる「アーモンド入り〜」。
そのどれもが、思春期の子ども達のふわふわさやのんびりとした頼りなさの中に、際どさや一歩違えば大きく先が変わってしまう危うさを孕んでいて、でも最後にはちゃんと、締めてくれる安心感がありました。
大事件が起こるわけでは決してないけれど、誰もの人生の中に、当事者の他には誰にも知られず、でも大きく心が動いたこんなひと時がきっとあった、こういうことを経て皆大人になったのだと思わせてくれるようなお話ばかりでした。
音楽に関連したお話でしたので、該当曲を聴きながら読むとまたすごく良かったです。
Posted by ブクログ
絵都さんの作品を読むのはカラフルに続いて2作目。本当に思春期特有のもやもやとした気持ちを書くのが上手いなと思った。
自分が中学生の時に出会いたかったかも。でも、解説で角田さんが書かれていたように、大人になった今読んだとしてもワクワクして、共感できるところが盛りだくさんだった。
短い夏の間に子供達だけで(実際はお目付け役もいるが)過ごす海辺の別荘、誰もいない旧校舎の音楽室、魔女みたいな先生とフランス人の愉快なおじさん、2人とワルツを踊るピアノ教室。
どの場所も自分は経験していない非日常だけど、どこか懐かしい。おとぎ話の短編集を読んでいるような気分だった。
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