あらすじ
親友との喧嘩や不良グループとの確執。中学二年のさくらの毎日は憂鬱。ある日人類を救う宇宙船を開発中の不思議な男性、智さんと出会い事件に巻き込まれる。揺れる少女の想いを描く、直球青春ストーリー!
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Posted by ブクログ
「自分だけが、ひとりだと思うなよ!」
この言葉の強さが好きだ。強烈だ。必死で、切なる気持ち過ぎて、読んでいて、真正面からビンタされるみたいに、はっとする。
思春期まっただなかに読んで、20年ぶりくらいに読み返し、泣いてしまった。
読みながらゆっくり、話の内容を思い出しながら、ここまで来て。この勝田くんの言葉が好きだった、とあの頃の自分を思い出す。
解説の金原瑞人先生が、「大人の方が絶対に、この作品に弱い」と解説で言っており、いまならわかる。
思春期に読んだときはYAは「私たちの物語」だったし、さくら達は時に共感しながらもモダモダした。
いまは、彼女らの未熟さも含めて、まっすぐで眩しく、折れてくれるなと願ってしまう。大人たちの真っ当さが、容易いものではないこと。真っ当であっても、10代に届かない難しさもヒリヒリ感じる。
大人になったいま、この話に出てくる「小さくても貴いもの」の「小ささ」と、「貴さ」を、いまの私の方が良く知っている。
一方で大人になったいまも、あの頃の私に戻って勝田くんにはっとする。
思春期だった自分と再会し、大人になった自分が物語と出会い直す、YAの不思議な読書体験だった。
Posted by ブクログ
森絵都さんの作品が好きで手に取りました。
凄く好きでした。。
私は永遠の出口という作品が断トツで好きなのですが、同じくらい好きな作品となりました。
この物語の主人公は中学生の女の子さくらであり、
新学期の進路調査アンケートに「不明」と書いてしまうほど、将来に期待感などなく、ノストラダムスの予言の通り、本当に二〇〇〇年が来ないのではないかと不安を抱いています。
さくらは、不良グループとの付き合いで万引きをしたり、親友の梨利と不和を起こしたりと、人間関係に疲れていますが、宇宙船を設計しているという不思議な男性、智さんと出会い、智さんの家で飲むミルクコーヒーが安らぎのひとときです。
ただ、穏やかな日々は続かず、様々な悪い事件が起こり、さくら・智さん・梨利・勝田くん(同級生)は死に近い状況に立たされますが、未来がどんなに不安でも4人は生きました。
誰にでも凄く不安になることはあるけれど、
不安でひとりぼっちなのは自分だけではない、
自分を想ってくれる人は近くにいて困った時に助けてくれる、というメッセージを伝えてくれる作品でした。
心が弱ってしまって、自分を失ってしまいそうな時でも、自分を想ってくれる人がいるだけで、きっとなんとかなるのかなって、この作品を読んで思います。
作品後半では、売春斡旋、放火といった、強烈な事件が起きる中、ふんわり不思議な智さんも自傷行為をしてしまったり、あげくに失踪したりと、一気に不安要素が募るのですが、つきのふねへと繋がる展開は見事で、情景が目に浮かぶようでした。
甘酸っぱい青春ストーリーではない、
ずっしりとした青春ストーリーでした。
ぜひ読んでみてください!
Posted by ブクログ
つきのふね。もっと具体的に何か不思議なことになるかなって思ったけど、なかった。なくて全然よかったよ、2000年問題とかよくもあれだけ騒ぎ立てたもんだよなとか。やっぱマスコミは常に害、コロナでも煽るだけ煽って、真実が伝わらずテレビしか知らない年配の人はみんなワクチンを打つ。そして孫にも会えず、最初の話はどうなったかさえ無かった事にされて来月に4回目ワクチン、打てば打つほど身体が弱って行くのに、だって自民党の強欲な利権と次の選挙だけしか考えない輩が6億円分のワクチン買ってるから、そりゃ使う為に嘘はつく。
何だかんだみんな心弱くて変な部分があって。、だから依存症とか走っちゃうこともあるけど自分のSOSは気付けない。 人のSOSに応えるときにはふさわしい道理とか説得より「会いたい」とかシンプルなメッセージが一番大きな力持つこともあるんだなあって思えた。
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中学生の頃読んでずっと頭に残ってたからまた見たくなってたんだけどタイトル思い出せずやっと思い出して見れた
さくさく読めた
なんか泣きそうになった〜こんな昔の話だったんだな
Posted by ブクログ
大人なら『こんな程度か。』で終わることにも真剣に悩んで、答えが出ずにまた次の悩みに出会って…を繰り返しずっと悩んだり、逃げてしまったりする中学生の気持ちを思い出せる本でした。
この本と現代では悩みの種も、考え方も、付き合い方も、逃げ方も、解決方法も違います。
ですが、いつの時代でもこの本の智さんや勝田くんのような、何も言わずに傍で一緒にいてあげる、悩んでいる姿を受け入れて一緒に解決してあげる、そんな友達が必要と感じました。
またもう少し大人になって中学生の心を忘れたら読み返そうと思います。
Posted by ブクログ
重めの内容ではあるが疾走感がありどんどん引き込まれてあっという間に読み終わってしまった。主人公が中学生であるが、あとがきの大人こそおすすめという理由がうなずける。中学生というものは周りが荒れたり、思うように将来が見えなかったり、友達との関係性に悩んだり、とても多感な時期。少年少女達の心理描写がよく分かる。
勝田君のキャラはかなり特殊だが…
人より心が脆い人こそ生きるための強さがある、このようなメッセージがかなりグッときた。
Posted by ブクログ
森絵都さんの本は心の深いところに
ずっと入ってきて、優しく包んでくれる。
登場人物たちの年齢からは遠く離れたけど
当時を思い出しながら読んでます。
勝田くんが単なるウザイやつではなくて
愛すべき存在になってくる感じが好き。
Posted by ブクログ
【2025年145冊目】
あの時、手を取ったことをずっと後悔している。親友だった梨利と気まずい関係になってから、梨利につきまとっていた勝田のことも疎ましく思い始めていた中学生のさくら。そんなさくらの唯一の居場所が智さんのアパートだった。けれど、智さんの様子はどんどんとおかしくなっていって――。
危なかった、外で読んでましたが泣きそうでした。堪えた堪えた、危なかった。最初はつきまといをする勝田に「何歳であろうが、誰かに付き纏う人間って怖いのね」と恐怖を感じていましたが、だんだんとさくらを取り巻く人間模様がわかってくるにつれ、不思議と勝田への警戒心も薄れていく結果に。
親友だった梨利と距離ができてしまったことに悩むさくら、一人を恐がる勝田、夢と現の中を行き来する智さん、人情家の店長と、少ない登場人物でありながらも、かなりのドラマがある話でした。感情にシンクロして危なかった、最後の手紙も結構ずるい。
これはぜひ道徳の授業とかで取り入れてほしいですね。久々に森絵都さんの作品を読みましたが、やはりどこか心がほっとする気がしました。
Posted by ブクログ
「五十音順の作者を読む」第35冊目「も」。
万引きに手を染めてしまった中学生のさくらと梨利(りり)、彼女たちとつるむ尚純(なおずみ)、精神を病んでしまった青年・智(さとる)という4人の交流が描かれた、青春物語です。
さくらや梨利の、犯罪に手を染めてしまったが故の悩みや、智の精神が壊れていく様子に胸が詰まりました。
4人のこれからが、今より少しでも救いのある方向に行ってほしい。
読み終わると心からそう思えました。
火事の表現があるため、トラウマのある方は注意が必要です。
「闇から抜け出すような青春物語が読みたい」という方におすすめの作品です。
Posted by ブクログ
一歩間違えてしまうと、心が壊れてしまいそうな大変な世の中だけど、たとえ小さくても尊いものたちに支えられて日々自分を保つことができているんだなと思えた。周りにある一つ一つを丁寧に大切にしたい。
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読み始めは「うーん、さすがに20年以上前の倫理観はキツいな」と思っていたのに、どんどん惹き込まれて行き、ラストシーンでは涙が込み上げてくるくらいでした。それぞれが弱さや哀しさを抱えている。そして、他人に何かしてあげたくても、どうすることもできない。そんなすれ違いや葛藤は、刊行から20年経っても変わらないな…としみじみ思いました。
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中学生の心理描写が絶妙だったなぁ。
小学生のようにもう無邪気ではないけれど、まだまだ大人の入り口に立ったばかり。
親友とうまくいかなくなった理由は、裏切られたからではなく裏切ってしまったから。
一人になるのは怖いけど、誰にも言えない秘密がある。
そんな、さくらと梨利と勝田くん。
ノストラダムスの大予言が流行っていた頃のお話。
人類が滅亡するという予言と、考えなければならない進路、大事な親友を裏切ってしまった後悔‥‥もうどうしたらいいのか分からない、どうにでもなってしまえ、という諦めがひしひしと伝わってきます。
弱い人を助けるのは、小さくても尊いもの。
そんな尊いものに自分はなれるかなぁ?
大事な人の尊いものになりたいなぁ、というお話。
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YAにはいるのでしょうか。
精神を患う人を救いたいと思う中学生たち。
真っ向勝負とはいかないけれど、彼らなりの手段で打開策を考える。
芸術は繊細と葛藤に裏打ちされた証なのかもしれない。
大変な時代。誰だってくるうことはある。
森絵都さんらしい小説でした。
Posted by ブクログ
友人の好きな作家さん。
何冊か借りたので拝読中。
中学生がメインとなる作家さんなのかな?
中身が大人な世界で
精神年齢の高い中学生だなーと思いながらも
だからこそ、大人も楽しめる一冊なのだと。
人はすぐ、弱い人をダメな人と言う。
でも、この本の中の一文に
人より壊れやすい心に生まれついた人間は、
それでも生きていくだけの強さも同時に生まれもっている。
とあった。本当にそうだと思う。
超えられる壁しか与えられないと言うこと。
他人に弱いと言われ、自分が悪いと
思うことなんてない。
Posted by ブクログ
最初に勝田くんに感じた嫌悪感が初めて読んだときと同じで、シリアスっぽい場面でおもしろくなってた。
ラストに向かってるとき、あー、こんな感じだっけかみたいな気持ちだったけど、やっぱり森絵都さんの作品が好きだなと感じました。
また10年後、15年後に読んで、勝田くんに同じ気持ちを抱きたい。
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同じグループで親友同士だった梨利とさくら。でもさくらは、グループを抜けたことでハブられている。ハブられたさくらの心の拠り所となったのは24歳の智だった。そこに梨利に付きまとっていた勝田が現れて、、、
最小限の登場人物で無理なくストーリーが展開されます。
そしてカタストロフィを感じさせる終盤の畳み掛け方も見事でした。
勝田には全く感情移入出来ないけど、彼が「一人になるのが怖いんだ」と告白するシーンは好き。
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みんなそれぞれ弱さを抱えていて、それを周りの人たちの力で乗り越えていけるということが伝えたかったのかなと思った。
失敗してもやり直せるし何度でも時間をかけて前に進むことができる。
決して1人では生きていけない。周りの人の大切さ、支えられて生きているということ、いろいろなことを学ばせてもらえた。
Posted by ブクログ
中学時代、周りから見ると成長期、当人から見ると疾風怒涛の時代。この時期は孤独感、疑心暗鬼、友人からの態度に不安・緊張を強いられる時期である。中学生のさくらは親友の梨利を裏切り、孤独となる。不良メンバーの仲間に入った梨利は売春斡旋で警察沙汰となり、さくらが会いに行くが梨利は会わない。以前、さくらは自分が梨利を裏切ったとずっと思っていたが、梨利も自分がさくらを裏切ったと思い続け、お互い心がすれ違っていた。でも、さくらは梨利に伝えられた「会いたい」。中学生の繊細さを描写し切った森絵都さんの表現力に共感した。④
Posted by ブクログ
思春期特有の閉塞感や罪悪感が生々しく描かれた作品。けれど筆致は冷たくはなく、ささやかな救いと成長の兆しを静かに残す。壊れやすい心に生まれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時に生まれ持っている。
Posted by ブクログ
「人間、良くなるよりも悪くなる方が楽だもんなあ」p131
「誰だって自分の中になんか怖いもんがあって、それでもなんとかやってるんじゃないのかよ」p144
「ぼくわとうといものですか?」p216
今まで、自分の救いだった大人の智さんが、薄々気づいてはいたが心の病だった。
中学生なりに試行錯誤して救おうとする。
みんなが〝疲れ〟はじめる中盤。
どんな言葉が智さんに響くのか。
露木さんを救った手紙のように拙くとも真っ直ぐに飾らない言葉で気持ちを伝える事は、当時小学生だった智さんにしか出来ない救いであったのだと思う。
Posted by ブクログ
ささいなことで人は簡単にすれ違ってしまう。それでも、大切だと思う人とは言葉を重ねてしっかりと向き合わないと
智さんと露木さんの関係が素敵
手紙でのやりとりだけで二人の関係が読み取れた
Posted by ブクログ
穏やかな気持ちで読める。さすが森絵都。
親友と共にクラスの万引きグループに加わっていた、さくら。心のバランスを崩しかけている優しい青年、智。
思春期の子供たちは、どこか懐かしい気持ちで読める作品でした。
Posted by ブクログ
さくっと読めて、でも心に残る小説でした。
中学生の頃、あのすごく狭いコミュニティのなかで上手に賢く生きていくのはすごく難しくて不安定で怖かったなあと思い出しました。ともだちに会いたくなりました。
Posted by ブクログ
鳥井さくら
二年A組。進路調査のアンケートに不明と書き呼び出しを受ける。さくらは万引きで捕まるが梨利は逃げた。戸川に逃がしてもらった。
中園梨利
さくらと親友だった。ケンカをしたわけでもないのに気まずくなって、おたがいを避けあうようになった。
担任
三十路を過ぎた。演劇部の顧問。
勝田尚純
二年C組。進路調査のアンケートに中園梨利と同じ学校に行きますと書き呼び出しを受ける。
戸川智
二十四歳。独身。酒もたばこもやらない超まじめ男。スーパーでバイト中。
へび店長
スーパーのタツミマートの店長。智は甥っ子。
露木幸一
智の友人。ウィーンの音楽学校に通っている。