森絵都のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(3.11によせて)
以前(割と最近であるが)、テレビでとある作家が言っていたのが、3.11の震災以後の時代を舞台とした物語が書けていないと。
この方だけでなく、おそらく数多くの作家(の作品や作風など)に何らかの形で影響を及ぼしていたのだろう。
そのことに、私は初めて気づいたように思う。
震災当時、私はまだ未熟な社会人だった。
デスクワーク中に大きな揺れがあって、古めの建物は崩れるのではないかと心配になるほど激しく揺れたが、同じフロアにいた社長は外に逃げる気配もないので、自分だけ逃げ出すわけにもいかず、逡巡しているうちに揺れはおさまり建物は崩れずに済んだ。
幸いなことに家には無事に帰れたし、水道やガスも問題なかった。
それよりも、慣れない社会やルールにもみくちゃにされ、神経は衰弱していたし、本を読む余裕もちっともなく、とにかく自分自身を保つことに精一杯だった。
そのため震災以後が文芸に与えていた影響について鈍いまま、考え及ぶこともなかった。
そしていま出会ったのがこの作品だ。
震災に心を痛め、震災以後の時代の作品を未だに書けない作家もいる中で、それでも書いた作品だと思うと胸が詰まる。
登場人物の苦悩は作者自身の苦悩であったのではないのか。
そしてそれはそのまま誰かの苦悩だったのではないのか。
みかづきなどの過去作のように、史実な社会背景とシンクロした描写が印象的な作者だから、震災以後という時代背景は無視できないものだったのかなと想像する。
ただ震災以後という背景だけでなく、作者の児童文学が大好きな私からすると、ヤングアダルトが主軸である短編にはワクワクして読んだし、登場人物が決断したとき目に映る描写のみずみずしさは、やっぱり森絵都さんだとふわっと嬉しい気持ちになった。 -
Posted by ブクログ
COPY 村山由佳
ト・モ・ダ・チ 坂井希久子
卵の殻 千早茜
水底の星 大崎梢
こっちを向いて。 額賀澪
ブータンの歌 阿川佐和子
ラインのふたり 島津輝
獣の夜 森絵都
8人の女性作家による、女性ばかり出てくる8つの短編集。豪華な顔ぶれの短い話が詰まっているから読み終わるのがあっという間でなんとももったいない。けど、読んだことのない作者の作品を読んで興味を持つきっかけとしていい機会になったかも。
男性目線でよく描かれるような、勘違いとか思い込みによるおかしな描かれ方を全くしてないから、不快感がなくて安心して読める。その代わり女同士のイヤな感じの世界観はごまかしがなく描かれてしまうから、思い当たるフシがある分、胸が痛い。
COPY
あーいるいる。こういう子。と思わせておいて、えっ、そうなの?というどんでん返し。佐智子が大学辞める理由とか、玲がなぜそんな回りくどい方法を取るのかよくわからなかった所があった。
ト・モ・ダ・チ
人との距離感をすごくうまくやっていけてる、と思わせる早苗。途中、普通なら1時間で終わらせる入力作業を指1本で午前中いっぱいかかっているあたりからあれ?と思わせて、やっぱり、問題のある女子はキミだったのね。怖い怖い。
卵の殻
いいよいいんだよ。遼子さんは何も間違ってない。私だってそうしたいと思うもの。普通はそこまで出来ないけど。
水底の星
子ども時代のスイミングスクールでの話。女ともだちというよりもスポーツを習うということに主体がある。けどやっぱり女子同士の嫉妬や怒りで起きてる話だから、やっぱり女友達の話なのかな。自分の生きてきた中でも思い当たることがたくさんありすぎて、ずっしりきた。裕のその後が気になる。
こっちを向いて。
あまりピンと来なかった。仕事上の付き合いの人とは所詮仕事が切れたら赤の他人なのか?というような話?いい大人の女性が二人でいつまでもメニューを決められないでいるところとか、私情でクライアントの無理な値引き交渉にダメと言えない所とか。読んでいてイライラ。仕事の出来ない女だってそこまでバカじゃないだろう。
ブータンの歌
学生時代の思い出せないくらい地味なクラスメート。たまたま再会して、いつの間にか自分に元気をくれる、すっごく大事な存在となっていたようだ。もう会えないけれど。なんだかいい話。ほっこり。
ラインのふたり
工場のラインで仲良くなった二人。何でもない日常なんだけどおもしろい。毎日こんな感じでいいじゃないか。と思わせてくれる。
獣の夜
これはね。いいよいいよー!自由!
肉を食べて、ボトルを空けて、思うがままに自由に生きるのさ。乾杯!イェイ!って感じ。読後感爽快!
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ネタバレ
面白かったけど、長かった…
帯の「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」という文言に惹かれて購入しました。
親子三世代で理想の教育を追った話でした。
この本に出てくる塾は予備校ではなく学校で落ちこぼれを補習する塾で、公教育で輝けない子供たちを輝かせる意味で月との表現をした第一世代、塾に行けない子供達を学校教育で補う第二世代、塾にも学校にも居場所がなく、金銭的に困窮している子供を救う第三世代と役割分担されており、親子間で意思が受け継がれていく様がわかりやすく描写されており一貫性があってよかったです。
この本における理想の教育とは子供たちをコントロールすることではなく、自分の頭で考えて不条理に抗う力を子供達に授けることだと解釈しました。戦争や虐殺といったこれまで人類が犯してきた数々の過ちの原因は自分で考える力が欠けていたことだと私は思っています。もしナチスドイツの虐殺に対して立ち止まって考えられる人がたくさんいたなら、歴史は変わっていたかもしれません。あのような過ちを二度としないためにも周りの言葉に惑わされず自分で考える力を養うというのが理想の教育のあり方であると私も思いました。