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Posted by ブクログ
90年代中盤の関西を舞台にした、骨太な人間物語。全部読んでからもう一度見返すと、冒頭の木之下教授の手紙がこの本の全てを語っているような気がします。「この女」だけでなく「この男」、いや、登場人物すべての人生に波乱万丈と哀愁と激情がが入り混じり、その全てを恐らくは"時代"が押し流していきます。
不穏としか言いようがなかった1995年。世の中も自分もどうなるのかまるで見えなかった、そんな年。大輔と同年代の自分にとって、あの頃の空気感をまざまざと思い起こさせてくれる、そんな作品でもありました。
物語は「この先」でどうなっていくのか。そこが知りたくもありますが、このもやっとした、色々な事を読者に夢想させる終わり方もまた90年代らしいのかもしれません。
本書を手に取った頃にオウム事件は区切りを迎え、カジノ構想は再び目を覚まそうとしている。時代って巡るものですね。
Posted by ブクログ
森絵都のこの女を読みました。
大学を出ていながら、釜ヶ崎のドヤ街で暮らす主人公礼司に奇妙なバイトの依頼が来ます。
ホテルの経営者二谷からの妻結子の自伝を小説として書いてほしいという依頼なのでした。
早速その依頼を受けて、その結子という女性へのインタビューを始める礼司なのでしたが、結子は自分の生い立ちについてデタラメの作り話をするだけなのでした。
しかし、しつこくインタビューを重ねるうちに少しずつ結子は自分のことを話すようになってきます。
なぜ、結子の自伝が必要なのか、二谷と結子のなれそめ、といった謎を解いていくうちに、礼司の持つハンデについても明らかになって、礼司の小説はその様相を変えていきます。
結子という女性の印象が物語の前半と後半で大きく変わってくるのもこの小説の魅力だと思いました。
Posted by ブクログ
おそらく十数年ぶりに再読した。舞台は日雇い労働者が多く住む町、釜ヶ崎。釜ヶ崎に住む青年がある金持ちの妻について、小説を書くことになる話。
個人的には森絵都が社会とか悪とかを書こうとした最初の長編だと思っている。
大学時代に読んでいるはずだけど(なぜかもっと前だと思っていた)、当時は今の社会とのつながりとか全然考えられてなかった。
どこか中途半端な終わり方という印象を受けてから冒頭部分を読み返し、震災というものの唐突さ、理不尽さをもう一度突きつけられた。
あと昔は結子が年上で、礼司が同世代だったから礼司目線でしか考えられなかったと思うが、改めて読み返して結子が好きになった。
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小説・文芸
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