澤村伊智のレビュー一覧
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比嘉姉妹シリーズ第4弾。今作の舞台は、いわゆる“幽霊屋敷”。
そしてこれは、姉・比嘉琴子が霊能者として覚醒した事件でもあります。
「ししりば」は、その家、そして家族形態そのものを守ろうとする存在。
砂を自在に操るこの怪異は、家庭内に潜む異質さや閉塞感を象徴しているようにも思えました。
ホラー作品でありながら、家庭の束縛や同調圧力を“砂”で表現しているようにも読めます。
当初は“砂=家庭の暗喩”かと思いましたが、読後には、むしろ安部公房『砂の女』へのオマージュのような、
自らその恐怖に回帰してしまう心理の構造に重なる印象を受けました。
幼い頃、逃げるしかなかった琴子が、
過去の後悔に向き合い、力を得て再び立ち向かう
これは霊能者としての成長譚としても読める一作です。 -
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『学校の怪談じゃ、ものたりない? 君に綴る5つの恐怖』。澤村伊智・内藤了・梨・伴名練・藤ダリオによる豪華書き下ろし短編集。高校生を主人公にした5つの物語は、怪談からデスゲーム、モキュメンタリーまで恐怖のバリエーション豊か。
私は澤村伊智さんを目当てに買ったのだが、期待以上だった。大人ではなく、高校生に向けて書くならこの書き味で読み味になるだろうと思う
ホラーは露悪や冷笑と距離が近いジャンルで、それ自体は悪いことではないのだけど、高校生へ向けるというのなら少し風通しのよさというか爽やかさがほしい。大人にあてて書いたものなら削がれてしまうような要素こそほしい
そういう期待に華麗に応えてくれていて、ただ怖いや恐怖による絶望とかで終わらないホラーを書いていて、本当にこの作家が好きだなと思った -
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ハイ!澤村伊智さん!
う〜ん…
これはホラーなのか?
それとも、カルト宗教に洗脳されてから、脱出した人の行く末?
結局、精神的には、抜けられず、精神が崩れる…みたいな。
ある意味ホラーやけど、怪異現象とかやなく、カルト宗教の怖さというか…
この宗教、ええ事言ってだけど…やっぱり…
「大地の民」って言うカルト宗教。
教祖かなんか知らんけど、発端が、あんなもん見つけたから、狂ったか。
見つけたもんが、恐るべしもんで、これを見つけたのが自身の運命みたいに思って…
やっぱり、お化けとか、幽霊とかより、人間が一番怖いって事かな。
澤村さんは、ホラーでもミステリータッチのが多いけど、これはまさしくミステリーやな。
こういうカルト宗教は、なんか怖いな…
こんなん、いつ起こるか分からんし、いつでも起こり得るし…
まずは、セミナーで、人を集めて、そこから徐々に…
お金を摂取!
: (´・ω・`):コ、コワイ
にゃはは〜
にゃはは〜
( ゚д゚)ハッ!
…なんか、同じようなの知ってる!
お布施ばっかり、要求するカルト…
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印象としては、世にも奇妙な物語のようなストーリー。近未来の生活の様子を表した短編集ともいえます。「マレッジ・サバイバー」は、常にスマホ片手に、SNSで誰かと繋がっていないといけない現代のデジタル監視社会のさらに一歩先の社会を見ているようで、怖かったです。ラストの話は葬儀の話。昔は会社の親族が亡くなれば必ず、葬儀に行ってましたが、最近はみんな家族葬で行かなくなり、更に、最近ではお通夜もしないプランもありと、ここ二十年でもずいぶん変わってきたなあと思うにつれ、バーチャル葬儀も、本当に遠い未来にこのようなことができたりするのかなあと思ったりもしました。
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ネタバレ面白かった。4.3くらい。
「禍 または2010年代の恐怖映画」
映画の編集目線でホラー映画に取り込まれていくところが面白い。脚本に引っ張られるというか、本家に取り込まれるというか。
でも最後は結局全滅エンドなのが、なんかな。
「ゾンビと間違える」
冒頭の間違えたいってなんだ?と思ったけど、ゾンビなら殺してもオーケーという世界観。えぐい。国家単位でやったのがナチスだけど、この作品だと社会全体、個人の考えとしてもそれが根付いてしまってるのがえぐい。
「縊 または或るバスツアーにまつわる五つの怪談」
怪談話が繋がって一つの真相が見えてくるのが面白い。最初の人の話でなんか変な会話あったけど、臭さのせいかよ!という面白さ。
マネージャーもヤバい奴だとわかったし。
結局アイドルは死んで魂がさ迷って、別の魂またはナニカがアイドルに入った?
「頭の大きな毛のないコウモリ」
保育園での連絡ノート。途中、膨大な調査資料的文章が書かれて、これはヤバいなと思った。
結局親子で吸血鬼になったオチ。
面白い。
「貍 または怪談という名の作り話」
まさかのドラえもんに繋がるとは思わなかった。なんでN君とは思った。のび太だったのか。
みんな死に方がえげつない。
表題がタヌキの漢字なのにヤマネコと読ませるのもそういうわけか。
「くるまのうた」
ローカルな話で面白かった。でもうたが怖いというより、このうたを都市伝説にするぞ!という人間の気概のほうが怖い。
「鬼 または終わりの始まりの物語」
「あなたの人生の物語」を意識して作られたらしく、なるほどなと思う。
誰が誰に語りかけているのか不思議だったけど、なるほど桃太郎。
怪談を読んでたらSFになってて面白かった。
「自作解説」
こんなにわかりやすい嫌な文章が書いてある!と面白く読んだ。
本物の自作解説も嬉しい、助かる。作者本人が書いた時、なに考えていたのかわかるの楽しい。
本編の自作解説自体も面白かったけど、最後はかろうじて解説めいた体裁の文章で終わってるのが個人的には惜しい。でも読者としては、こうなったよ、というオチがわかるので助かるし面白かった。
このなかで好きなのはバスツアーかな。視点が変わることで、真相がわかって面白かった。 -
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ネタバレ娯楽系Webマガジン「アウターQ」編集部の新人ライター湾沢らが取材で遭遇する奇妙な落書き、一見入り辛い店、ストーカーに襲われた地下アイドルの復帰ライブ、絵画の女性が夢に現れると語る男……謎は事件を喚び、やがて辿り着く意外な真相を描いた連作短編集(小説誌発表の4編+単行本刊行時書き下ろしの3編を合わせた)全7編。
・公園の遊具に書かれた漢字の文字列の落書き。小学生たちは“露死獣の呪文”と呼び解読に夢中になった。自身もかつてその公園でよく遊んでいた湾沢は、ネタ調査のため今もその呪文が残っているのか調査に向かうが、取材の過程で当時の同級生が後に自死していたことを知る(「笑う露死獣」)。呪文らしき暗号を解いた先に辿り着いた結末は相当に後味が悪い。
・摂食障害を患って失職状態にあった女性フードライターの守屋雫に《アウターQ》から執筆依頼の連絡が入る。期限は半年。再起を誓って体調改善とリサーチを始めた雫は湾沢の助言も得て、自宅の近所に一風変わったハンバーガー屋を発見する(「歌うハンバーガー」)。
収録作中では、他とやや趣を異にする作品。結末は……ある意味では救いがあるとも読めるのか。
・ストーカーに切り付けられ引退したアイドル餅田阿闍梨の復活ライブ。その撮影を手伝うことになった湾沢だったが、阿闍梨を襲ったストーカーもライブ会場に現れていた(「飛ぶストーカーと叫ぶアイドル」)。探偵役としてこの後も活躍する自称“地底系”アイドル、練馬ねりが初登場。
《アウターQ》に加わった実話怪談系ライターの怪談王子こと南田北斗。彼の1本目の記事になった怪談は、湾沢が遭遇した14年前の大事故に関わるものだった。(「目覚める死者たち」単行本時書き下ろし)湾沢と、彼を《アウターQ》に引き入れた先輩ライター井出が親しくなったきっかけのある事故が語られ、ラスト2編の前フリともなっている。ミステリが一気にホラーに暗転するラストがいい。
・子どもの頃から実家に在った絵の女性が近頃夢に出てくる。その女性を探したい―と井出に相談してきた旧友の浅野。井出と湾沢、そして編集部の渦巻はこれを記事にまとめるため調査を開始する(「見つめるユリエさん」)。浅野が井出に「お前」と呼びかける二人称で書かれた一編。作家は意地でも大団円では終わらせないようで……。
・東京都青梅市にあるオブジェと人形に囲まれた奇妙な屋敷を取材した湾沢。住人の羽山の人柄と数々のアウトサイダーアート、彼が作った滝の見える展望台に魅了された湾沢の記事は注目を呼び、彼が“天国屋敷”と名付けたその家には客が集まるが(「映える天国屋敷」)
・“天国屋敷”で起きた事故により湾沢自身と彼を取り巻く状況は一変する。だが事故は実は誰かの手によるものと判明し(「涙する地獄屋敷」)。前後編を構成するラスト2編も単行本での書き下ろし。最後に明らかになる事実は序盤からの伏線を回収するものであると同時に、湾沢にとっては苦く重いものでもあった。
「ミステリー連作短編集」との帯書きの通り謎自体は合理的な回答が提示されるがそこに挿まれる超自然的な描写や―この作家お得意の―好人物に見えたキャラも一皮むけば……といった人怖的要素が、コメディタッチという口当たりのよさの下にある強い辛さや痺れ味としてかなり効いている。またこれは解説でも触れられているが、「言葉を伝えることの重さと難しさ」が全編を通じたテーマにもなっているようで、それはWeb記事やSNSで発信されるもののみならず、他人に対して直接語る言葉にも付いて回るものだ、と読み手に突き付けられているようにも感じられた。