澤村伊智のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【ネタバレあり】
比嘉姉妹シリーズ第2作目。
(順番を知らずに2冊目に読んだ短編集「などらきの首」に、本作の人物が再登場している)
久しぶりに深夜まで一気読みして、寝不足になってしまった。
1作目と題材は違い、都市伝説。
しかも、作中作というか過去編というかの時代は、鈴木光司「リング」が中田秀夫監督で映画化したあのころ。
単にくすぐりとしての設定ではなく、「リング」への言及が本作の自己言及にもなる、ハイコンテクスト。
なのに、リーダビリティ高く、一気読みさせられたのもそのため。
コピーとか増殖とか呪いのルールとか、「リング」を引き継ぎつつ、ホラーを「好きになってしまう」ってどういうこと? みたいな深淵を除き込もうとしている。
それは決してカラッとしたホラーファンとか、コワイものダイスキ! とパーリー感覚ではない、もっと人の孤独感に結びつく話になっている。
ある出来事が、人によって見え方が違う、とか、その人自身の中でも記憶があやふやになっている、という・・・・・・が、すごくよくできている。
その上、読み手は書き手や語り手に基本的に感情移入してしまう、その認知の偏りもまた、トリックとして取り込まれている。
これはこの本と読者の関係とパラフレーズになっているとも思った。
大満足。
付け足し。ちょっと出てきたホラー老害ジジイが、他人事に思えなくてぞわっ。 -
Posted by ブクログ
今回も短編集かー、そうかそうかー、
怪談雑誌に投稿したやつを、ある程度溜まったら単行本にして…
なので、本全体のテイストが掴みにくくて、とうも短編集ってはまらないんだよなー
と思いながら、やはり比嘉姉妹シリーズは読まねばならぬ。
前半4話は、読みやすくてそれなりに面白いのですが、やはり怖いというより「SF=すこしフシギ」の域を出ないなーなんて思ってたら、
「トコヨダケ」これめちゃめちょ良いじゃないのー、あ、そうかそうなんだー
真琴がクスッと笑った?そんなキャラだっけーと思ってたら、そうなんかー
そして、これ時系列どうなってる?いつの話?
そして、ラスト「すみせごの贄」。
やー、オチはベタなんですが、安定の辻村ゆかり。
ずうのめ人形でどうなるかみんな知ってるのに、
その前日譚として、また謎探偵役。
そして、結局、別にいらないよね、で終わるの。
これだけ強いキャラをこう使い続けられるの、澤村さん天才でしょ。
やー、良かった。
ホラーかホラーじゃないかなんでどうでも良くなる。
家庭料理を広めた宣教師のナンタラさん、誰だよw -
Posted by ブクログ
不意に日常に潜む猛毒に触れてしまったかのような本…。
全部面白かった。特に気になった数話の感想を書いておこうと思う。
「名所」そうくるか…。1話目から惹き付けられる。誘いだし突き落としてるのは何者なんだ。
「さきのばし」肥後ちゃんにイライラしつつもどんどん面白くなり、こんなのも有りだよねーなんて笑っていたらとんでもなく怖かった。でもギリギリ社会に留まって生きてる人の中にはこういう人がいるのかな…。たまに信じられないような事件あるけど、全部悪い人間が起こしてるのではなく、その中には足りない人がいるんだろうな。
「満員電車」日常に潜む不気味。ループものかと思ったら少し違う。地味だけれどとても好きな話。おばさんは何者?仕事に疲れた皆は何に巻き込まれた?
「はしのした」実際に父から言われたら冗談とは思えないな。あの日入れ代わってしまったのか、違うのか。電話の向こうの息子はどこに?電話が偽物?
「通夜の帰り」なんだか辛い、切ない。世の中信じられないくらい嫌な奴っているけど、そんな奴でも可哀想な亡くなりかたすると同情するね。私の嫌な奴もどこかで寂しく終わってくれてたらいい。
「喫茶店の窓から」いじめられっ子に同情して色々なものが付いてきている、なのか、先祖や親が恨みをかって息子に災いが起きてるのか。読解力がないからかわからず、でも怖い。
「無題」子供が帰らない、様子がおかしいが戻ってくる、警察から電話…ここまでで語り手と同じ想像をしていた。何が帰ってきたんだろう…。
「夢殺」犯人お前やないか!
「冷たい時間」死者と生者を色分けしてたのかな。くみたんにとっては楽しい同窓会だった。進めてたらいいね、よかった。
「残された日記」語り手の気持ちがわかる。転落した陽キャの噂を聞きたくて仕方ない時期もあった。でもそれ以上に自分の事を知られたくなくて、ほとんどの繋がりを切ってしまった。大成功してる人がいれば田舎だし伝わる。何も聞かないということは威張ってた側も虐げられた側もただの田舎者でしかなかったということ。その事実に時々安心してるってことを思い出さされた…。語り手は苛められたわけでもなく、迷惑陽キャに虐げられた全体のうちの1人なのに異常に執着し続けたことが良くなかったのか。プライドが高すぎたね。私もだ。 -
Posted by ブクログ
読みやすいホラー短編で読みやすかった!
個人的に好きな作品は
●綾川行人の「再生」
テレビでタレントが、「切れ味の良すぎる包丁で自分の指の一部を切り落としてしまって、しばらく経ったらその切り落とした部分が生えてきたんですよ!」って話してたのを思い出した。
人間の再生力の限界ってどこなんやろう?ってこの話を読んでまた思った(^^)不気味なお話です。
●福澤徹三の「五月の陥穽」
窓際族の影の薄いサラリーマンが屋上で昼休憩してて落としそうになったタバコを拾おうとしたらビルとビルの隙間に落ちてしまって、その隙間に挟まってしまってさぁどうしよう!ってお話。
サラリーマンとしても夫としても影が薄い主人公が気の毒でしたが、臨場感あって、しかも実際に起こりそうな話で面白かった! -
Posted by ブクログ
ネタバレどの話も面白かった
メモ
ゴカイノカイ 痛い痛いを4階から5階に飛ばしていた青年の話
学校は死の匂い 組体操の練習で亡くなったが自殺として片付けられた子の話
居酒屋脳髄談義 すでに死んでいることに気づいていない仕事仲間たちが成仏させられる話
悲鳴 映画の撮影で怪談となっていた場所を使用して殺人事件が起こり、霊の仕業かと考えるがメンバーが起こした殺人事件だったと分かった話
ファインダーの向こうに 霊の出没場所で、霊が本当に出るのか写真撮影をしていたところ、怪奇現象が現れた。出没場所はあの世とこの世を繋ぐ門があり、霊は撮影者の身を案じていたという話
などらきの首 などらきというお化けが封印されている祠があり、そこには絶対に入ってはいけないと言われていた。主人公と従兄弟は言いつけを聞かずに入って怪奇現象を目の当たりにしたと思っていたが、従兄弟の仕込みだったことが後年に分かった。と思っていたらなどらきの首を持ち去っていた従兄弟がなどらきにやられる話 -
Posted by ブクログ
とても面白かった。読み進めるうちに、どこからが夢でどこからが現実なのかわからなくなり、気づけば読者である自分まで悪夢の中に引きずり込まれているような感覚に陥った。
物語の構造そのものが巧妙で、現実だと思っていた場面が揺らぐ瞬間のぞくりとする感覚が忘れられない。
さらに印象的だったのは、前作の短編集でさりげなく張られていた伏線が今作で鮮やかに回収される点。
それぞれが独立しているように見えたエピソードが一本の線としてつながったとき、「そういうことだったのか」と思わず唸ってしまった。シリーズを追ってきた読者へのご褒美のような展開だった。
物語はまだ終わらない。
次作が気になって仕方ない。早く次を出してください。 -
Posted by ブクログ
比嘉姉妹シリーズの3作品目。
などらきの首は前2作とは違い短編集となっていて、比嘉姉妹や野崎、ずうのめ人形に出てくる里穂の過去の出来事の話しになっているので前2作を読んだ方がより楽しめると思います。
今回は怖さのパンチが"ぼきわん"や"ずうのめ"よりも弱いなと思っていたところに「などらきの首」のラストでゾッとしました。
あと、個人的には「ファインダーの向こうに」が1番好きでした。
少し切ないけれど、最後には明神さんも前向きに、そして軽やかになり真琴の言葉を借りるならスキマがなくなったんだろうなぁと。
などらきの首では真琴と野崎の出会った経緯なんかも知れて、比嘉姉妹の大ファンの私としてはそういった面でも面白かったなと思いました。