澤村伊智のレビュー一覧

  • 頭の大きな毛のないコウモリ 澤村伊智異形短編集

    Posted by ブクログ

    "異形"がこわいのは何故なんだろう
    見慣れたものと異なること、グロテスクな見た目(グロテスクだと判断する基準は?)が恐怖を生むなら、人は未知のものに恐怖を感じるのかも
    世の中の森羅万象を分析して研究して"分かる"ものにしていった人間の知性は、恐怖から遠ざかるために培ったものなのか
    ただ、"分かる"ものが増えれば増えるほど"分からない"ものは稀少になり、そのこわさは増していくのでは
    そしてその恐怖が殺戮を生むこともあるのでは

    と、部屋に侵入してきた虫に殺虫剤を撒きながら思いました

    異形が主軸なだけに現実からかけ離れた感を持ってしまったけど、最後の「自作解説」が一気に現実に近づいてきて、その遠近感が恐怖だった
    「自作解説」まで読んで完食な短編小説集でした

    0
    2025年07月14日
  • ジャンル特化型 ホラーの扉 八つの恐怖の物語

    Posted by ブクログ

    なかなか面白かった。目当ての作家はそれぞれ期待通りの仕事をしていた。ホラーごとのジャンルの解説もありがたく、なにが怖いのか?を丁寧に紐解いてくれるのはホラーファンとしてすごくありがたかった。ただ、各短編がテーマに沿っているかどうかと、一作品として見た時に素晴らしいかどうかは別問題だなとも思った。切り口が新鮮で、面白い試みだった。14歳の世渡り術シリーズ、全然知らなかったけど、大人でも十分楽しめそうだから他にも読んでみたいと思った。ヤングアダルト向けということで、ほとんどの作品に学校が出てくるのがよかった。動画投稿やAIなんかの話が出てくるのもとても今っぽい。

    以外各話感想(ネタバレあり)

    ①みてるよ
    澤村先生お得意のパターンではあるが、プールや飼育小屋、トイレ、授業中の廊下などディテールが細かく、学校の独特の空気感の再現が丁寧でリアリティがあった。女の霊じゃなくてもこわいもんだな。意地悪なパワハラ先生も追い払ってくれるならアリかな。

    ②終わった町
    芦花公園の「おしまい」節には中毒性がある。毎回クセつよ霊能者を出すのだけたまに控えて頂きたいが、セリフの唐突さ、文字面の不気味さ、気持ち悪さがほどよく、どうやってお話を書いているんだろうな…こういう台詞がぽんぽん出てくるのかなといつも思う。だめったらだめだしおるったらおるし、終わりったら終わりなんでぇ。強。

    ③さよならブンブン
    平山夢明氏は「もう草一本生えません」みたいな絶望根絶やしホラーを以前読んだので、とても警戒しながら読んだらめっちゃいい話だった。個人的にはこの本の中ででダントツ一位。モンスターホラーの括りでありながら、本当のモンスターは殺人猫ブンブンではなく、残酷な加害をする人間の方では?と思わされる二重構造となっている。ブンブンがこっくりさん用紙を使いながら伝えてくるオールひらがなの言葉を、頭の中で変換しながら読む…。ひらがなにすることで、子供向けというか、ある種とてもピュアで率直な主張として頭に入ってくる。非常に味わい深く、いい余韻が残った。こんな話も書けたのね。文体に力を感じる。

    ④告発者
    親の恨みも分かるけど、まさか死ぬとは思ってなかったんだろうし、あの時言えなかった事がそこまで悪いことか?とは思う。でもお母さんがおかしくなっちゃった気持ちとか、それを見てたお父さんの無力感、無念さを考えたら、壊してしまったものの代償なのかもしれないな。どんなに動画が拡散されても、家庭内ではもう分かっていて決着したことですと言ってしまえば、当時子供だし罪には問われないよな。まぁ雨穴は良くも悪くもこんなかんじ。ちょっと弱かったかな。

    ⑤とざし念仏
    集団心理のヒトコワも入ってるよな。ほっとけ君の豹変が怖い。とざし念仏の由来もこわい。すごい閉塞感と恐怖だった。死は身近にある…と感じた。苦手だったけど、シチュエーション・ホラーとしては良作。

    ⑥十一分間
    やりたい事はなんとなくわかったけど、AIによる人類支配のやり方がよく分かんなかった。これこのまま進んでったらどうなってた設定なの?自殺を促されるの?
    最初の方読むのがめちゃくちゃ苦痛だった。単純に文章力が拙い。アトムとかドラえもん由来の人間の味方ロボットが冷酷なAIに勝つという構図は好きだったけど、論破したら勝ちなの?なんでAI先生は崩れ落ちたの?そこがよく分からなかった。

    ⑦学校の怖い話
    普通に面白かったけど、怪談はホラーのジャンルではなくて、伝え方の種類ではないのかな?これ入れるなら、サイコホラー(ヒトコワ)の短編を入れて欲しかったかな。

    ⑧民法第961条
    発想は面白かったけど、行方不明になるだけじゃちょっとふわふわしてるかなと思った。そんな時間経ってから襲ってくる呪いみたいのがあったんかい。世渡り、はなるほどなと思ったけど、逆に「完全に企画系の作り話じゃん」ってなっちゃったからおふざけ感が増してしまった。

    1
    2025年07月13日
  • こわい話の時間です 部分地獄

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    子供向けのホラー短編集。
    好きな作家さんがいたので購入しましたが、サクッと読めて、怖さもほどほどで期待通りでした。
    「青いコップ」「よあるきのうた」がお気に入りです。

    0
    2025年07月10日
  • 邪教の子

    Posted by ブクログ

    随所随所での伏線回収はよかった。最後も「最終的にそこに辿り着くのか」という地点に着地する。
    面白かった。

    ただ、結びだけは「え、いま終わるの?」という印象。

    0
    2025年07月01日
  • ジャンル特化型 ホラーの扉 八つの恐怖の物語

    Posted by ブクログ

    ホラーゲームの実況動画やモキュメンタリー動画を見るのが好き。
    ということで、ホラーにもいろいろあるけど私が1番好きなものはなんだろうと読むことに。

    ジャンル特化型ということでいろんなジャンルのホラーと出会い、そこからさらに踏み込むための入門書的な感じ。

    私はサスペンスホラーやモキュメンタリーホラーが好き。1番怖いのはやっぱり人間でしょって思ってるので。他のジャンルのホラーも、人間の怖さに着目して読むとどれもやっぱり得体の知れない恐怖を味わうことができました。

    うん。ホラーってやっぱりおもしろい。

    0
    2025年07月01日
  • ジャンル特化型 ホラーの扉 八つの恐怖の物語

    Posted by ブクログ

    YA向けなので、怖すぎたりグロすぎたりのものはなくて、安心して読める。タイトルの「ジャンル特化型」の通り、その小説がどのジャンルに属しているのかと、ジャンルの解説がある。今までホラー小説の分類なんて読んだことがなったのでありがたい。ホラーと言ってもいろいろあるんだなあ。雨穴「告発者」がヒット。ホラー小説って、ある意味、特殊状況ミステリと言えなくもないのかも。小説内で解決する保証はないのだけれど。巻末のブックガイド内の本は3/4くらい未読。どれも読んでみたい。

    0
    2025年06月27日
  • 一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集

    Posted by ブクログ

    読みやすく、丁度良い怖さとイヤな感じとを味わえる掌編集。
    この作家は差別的な目線、居心地の悪さ、予測が確定した恐怖みたいなにがらがある中で、意図がわからない繋がりがわからないものへの恐怖に自分が入ることのありふれた怖さを、別角度で読めたような気がする。
    こちら側とあちら側というのが正しい見方かはわからないけれど、片一方で腰を据えねばならないと覚悟した者の意地の悪さはやはり怖い。話の根幹の部分よりも怖かったりする。
    好きな話は
    さきのばし
    無題
    夢殺

    0
    2025年06月27日
  • 本格王2021

    Posted by ブクログ

    ミステリが読みたーい!でも最近の作家さん知らなーい!となってる方におすすめなシリーズ。本格ミステリ作家クラブが選んだ、その年の本格ミステリ短編が収録されています。澤村伊智さんの「笛を吹く家」と方丈貴恵さんの「アミュレット・ホテル」が好みでした!

    0
    2025年06月22日
  • こわい話の時間です 部分地獄

    Posted by ブクログ

    子供向けの怪談話。懐かしい感じで小学生の頃によく読んでいた怪談本を思い出した。結構、バッドエンドが多かった事を思い出しつつそれが怖かった事も思い出した。3.8

    0
    2025年06月17日
  • 頭の大きな毛のないコウモリ 澤村伊智異形短編集

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。
    頭の大きな毛のないコウモリと鬼 がよかった。
    岸田先輩、いい人だと思ったのに。
    コウモリは、2匹信号機にぶら下がっていたのがよかった。

    0
    2025年06月14日
  • 超怖い物件

    Posted by ブクログ

    家や土地にまつわるホラーアンソロジー。
    事故物件だけでなく住民そのものが怖いヒトコワものまで豪華11話収録。

    糸柳寿昭氏『やなぎっ記』軽い雰囲気の日記だと思っていたら最後のメールで鳥肌立っちゃうやつ。

    澤村伊智氏『笛を吹く家』この方の描く歪んだ家族っていつも気味が悪いし悲惨…本当にいそうなのがまた怖い。

    芦花公園氏『終の棲家』宗教が関わるホラーではやっぱりこの方。得体が知れない信仰の気持ち悪さと逃げられない絶望感。

    平山夢明氏『ろろるいの家』ホラー描写が本書で一番怖かったかもしれない。不気味な現象に徐々に侵食されていく感じがゾクゾクした。

    0
    2025年06月10日
  • ジャンル特化型 ホラーの扉 八つの恐怖の物語

    Posted by ブクログ

    ホラーと一口に言っても、種類は様々です。初めてのホラーを選ぶ時に本書から進んでみるのがいいかもしれません。
    自分の好きな作品は、「みてるよ」「とざし念仏」「民法第961条」です。

    0
    2025年06月07日
  • 一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集

    Posted by ブクログ

     ある自殺スポットについて語られる『名所』、愚鈍なバイト仲間との会話から洒落にならない事態になる『さきのばし』、最初と最後で印象がガラッと変わる『冷たい時間』などショートショートの怪談が21編収録されていて、どの話も短いながらも読者の恐怖を煽るものばかりで充分満足感があった。

    0
    2025年06月07日
  • 潰える 最恐の書き下ろしアンソロジー

    Posted by ブクログ

    ホラーアンソロジー。小野不由美さん目当てで読んだ。知らずに読んだら「営繕かるかや怪異譚」の世界とリンクしてておおっとなった。
    原浩さんの828の1も面白かったー。

    0
    2025年05月19日
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    8篇のホラーアンソロジー。
    どの作品もすんなりとその世界に連れて行ってくれてとても楽しめた。
    「よけいなものが」(井上雅彦)では、短い会話文の中に違和感をするっと埋め込んできていて凄かった。気づいたときには役割がひとつズレて堂々巡り。抜け出せるきっかけが見つからない。
    「依って件の如し」(岩井志麻子)はバラバラに思えた話がひとつに繋がってゾッとさせられ、読後に余韻を残す話だった。
    「ゾフィーの手袋」(小池真理子)は主人公が何ひとつ悪くないのでひたすら気の毒だったのだが、あっさりした文章が好みだった。

    0
    2025年05月16日
  • 潰える 最恐の書き下ろしアンソロジー

    Posted by ブクログ

    『潰える』は、角川ホラー文庫30周年記念のアンソロジーとして、澤村伊智、鈴木光司、小野不由美ら豪華作家陣の書き下ろし6編が織りなす多様な恐怖が魅力だった。
    それぞれの作家の個性が光り、心理的恐怖から超自然的ホラーまで、現代の不安を反映した「潰える」瞬間が鮮烈だった。

    0
    2025年05月10日
  • わたしの名店

    Posted by ブクログ

    大好きな作者さんの想い出の名店たち。
    私の世界にいなかった新たな作者さんとの出会いもあり!
    まだ知らない名店が知れたのと作者さんたちの人となりが分かるエピソード満載。Wでお得感満載(笑)。

    0
    2025年05月09日
  • ジャンル特化型 ホラーの扉 八つの恐怖の物語

    購入済み

    怖いは楽しい

    怖い話は怖いけど、ものの見方や捉え方の幅が広がるようで好きです。
    雨穴さんのお話が好きです。登場人物たちの行動心理を考えながら読みすすめるの、とってもワクワク、ゾクゾク、ヒヤヒヤ、エーッ!てなるので楽しい。

    #怖い

    0
    2025年05月07日
  • ぼぎわんが、来る

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    幼い頃の体験談から始まり、新たな家族を迎えた家庭に何かくる、というお話。
    三つの視点で書かれていて、視点を変えると別の面が見えてくる。善人面して家族を追い詰める外面だけいい父など正直死んでスカッとしてしまった。
    なぜこの家庭をしつこく狙うのか、最後のスッキリしない終わり方に後味の悪さを感じる。
    化け物が知性を持って真似をしてくる描写が特に怖く、同じ声が真逆の事を言っていっていてどちらを信じればいいのか混乱し怖かった。

    0
    2025年04月28日
  • 怖ガラセ屋サン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    謎の美女、怖がらせ屋を主軸にして物語が進んでいく短編集

    序盤では本書でも言及されていた卑劣な人間を恐怖を持って懲らしめる必殺仕事人の様な存在だと思ってみていたが、4章から怖がらせ屋さんの存在が明らかになってからは単なる闇の仕置人から都市伝説的な不可解で不気味な存在へとシフトするようになっていった

    各章の感想

    第一話 人間が一番怖い人も
    はじまりの話である事もあってかショートヘアの女性が怖がらせ屋さんという存在意義が曖昧だった話でもあった
    これだけ単独で読めば怖がらせ屋さんが後輩と共謀して復讐する単なる仕置人にも見えなくもない

    第二話 救済と恐怖と
    ミイラ取りがミイラになる話
    家族や仲間そして自身の健康的な五体も失った男を搾取するとして一体彼に何が残っているというのであろうか?臓器売買でもさせるというのか?

    第三話 子供の世界で
    第一話と被っているいじめへの報復だが、今回の話は子供達の目線での話
    正直この話勘違いをした担任教師にも責任があるとも思えるが、何ら被害に遭ってないのは解せない
    あといじめのリーダー格の少年にトドメを刺さないで終わるのもモヤモヤする

    第四話 怪談ライブにて
    この話ではじめて怖がらせ屋さんという名前がはじめて登場する
    オムニバス形式の怪談で二番目の話は中々に怖かったが、三番目の出来が悪いなと思ったら案の定作中でも指摘された(笑

    第五話 恐怖とは
    恐怖という定義を語る作中最も哲学的な話
    ストーリーそのものよりも作中怖がらせ屋さんが会話する恐怖の定義の方が魅力的に感じさせる
    全話の中で最も優れた作品だと個人的に思う

    第六話 見知らぬ人の
    作中の語り部が信用ならぬ存在であるからか、ループものとも取れるような不思議なストーリーだった
    ミスリードと見せかけて実は?という展開はサスペンスとしても見事
    このあたりから怖がらせ屋さんが仕置人というより都市伝説の怪異として位置付いた話になったと思う

    第七話 怖ガラセ屋サンと
    怖がらせ屋さんという存在を追い不幸になっていった人物の話
    今まで伝えたられたエピソードが雑誌記事などで淡々と記載されてあって作中で最も不気味な話だった
    さらに最後の最後になるまで怖がらせ屋さんが実際に登場しないので怪談という定義として最も怪談らしい話だったと思った

    0
    2025年04月20日