澤村伊智のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
"異形"がこわいのは何故なんだろう
見慣れたものと異なること、グロテスクな見た目(グロテスクだと判断する基準は?)が恐怖を生むなら、人は未知のものに恐怖を感じるのかも
世の中の森羅万象を分析して研究して"分かる"ものにしていった人間の知性は、恐怖から遠ざかるために培ったものなのか
ただ、"分かる"ものが増えれば増えるほど"分からない"ものは稀少になり、そのこわさは増していくのでは
そしてその恐怖が殺戮を生むこともあるのでは
と、部屋に侵入してきた虫に殺虫剤を撒きながら思いました
異形が主軸なだけに現実からかけ離れた感を持ってしまったけど、最後の「自作解説」が一気に現実に近づいてきて、その遠近感が恐怖だった
「自作解説」まで読んで完食な短編小説集でした -
Posted by ブクログ
なかなか面白かった。目当ての作家はそれぞれ期待通りの仕事をしていた。ホラーごとのジャンルの解説もありがたく、なにが怖いのか?を丁寧に紐解いてくれるのはホラーファンとしてすごくありがたかった。ただ、各短編がテーマに沿っているかどうかと、一作品として見た時に素晴らしいかどうかは別問題だなとも思った。切り口が新鮮で、面白い試みだった。14歳の世渡り術シリーズ、全然知らなかったけど、大人でも十分楽しめそうだから他にも読んでみたいと思った。ヤングアダルト向けということで、ほとんどの作品に学校が出てくるのがよかった。動画投稿やAIなんかの話が出てくるのもとても今っぽい。
以外各話感想(ネタバレあり)
①みてるよ
澤村先生お得意のパターンではあるが、プールや飼育小屋、トイレ、授業中の廊下などディテールが細かく、学校の独特の空気感の再現が丁寧でリアリティがあった。女の霊じゃなくてもこわいもんだな。意地悪なパワハラ先生も追い払ってくれるならアリかな。
②終わった町
芦花公園の「おしまい」節には中毒性がある。毎回クセつよ霊能者を出すのだけたまに控えて頂きたいが、セリフの唐突さ、文字面の不気味さ、気持ち悪さがほどよく、どうやってお話を書いているんだろうな…こういう台詞がぽんぽん出てくるのかなといつも思う。だめったらだめだしおるったらおるし、終わりったら終わりなんでぇ。強。
③さよならブンブン
平山夢明氏は「もう草一本生えません」みたいな絶望根絶やしホラーを以前読んだので、とても警戒しながら読んだらめっちゃいい話だった。個人的にはこの本の中ででダントツ一位。モンスターホラーの括りでありながら、本当のモンスターは殺人猫ブンブンではなく、残酷な加害をする人間の方では?と思わされる二重構造となっている。ブンブンがこっくりさん用紙を使いながら伝えてくるオールひらがなの言葉を、頭の中で変換しながら読む…。ひらがなにすることで、子供向けというか、ある種とてもピュアで率直な主張として頭に入ってくる。非常に味わい深く、いい余韻が残った。こんな話も書けたのね。文体に力を感じる。
④告発者
親の恨みも分かるけど、まさか死ぬとは思ってなかったんだろうし、あの時言えなかった事がそこまで悪いことか?とは思う。でもお母さんがおかしくなっちゃった気持ちとか、それを見てたお父さんの無力感、無念さを考えたら、壊してしまったものの代償なのかもしれないな。どんなに動画が拡散されても、家庭内ではもう分かっていて決着したことですと言ってしまえば、当時子供だし罪には問われないよな。まぁ雨穴は良くも悪くもこんなかんじ。ちょっと弱かったかな。
⑤とざし念仏
集団心理のヒトコワも入ってるよな。ほっとけ君の豹変が怖い。とざし念仏の由来もこわい。すごい閉塞感と恐怖だった。死は身近にある…と感じた。苦手だったけど、シチュエーション・ホラーとしては良作。
⑥十一分間
やりたい事はなんとなくわかったけど、AIによる人類支配のやり方がよく分かんなかった。これこのまま進んでったらどうなってた設定なの?自殺を促されるの?
最初の方読むのがめちゃくちゃ苦痛だった。単純に文章力が拙い。アトムとかドラえもん由来の人間の味方ロボットが冷酷なAIに勝つという構図は好きだったけど、論破したら勝ちなの?なんでAI先生は崩れ落ちたの?そこがよく分からなかった。
⑦学校の怖い話
普通に面白かったけど、怪談はホラーのジャンルではなくて、伝え方の種類ではないのかな?これ入れるなら、サイコホラー(ヒトコワ)の短編を入れて欲しかったかな。
⑧民法第961条
発想は面白かったけど、行方不明になるだけじゃちょっとふわふわしてるかなと思った。そんな時間経ってから襲ってくる呪いみたいのがあったんかい。世渡り、はなるほどなと思ったけど、逆に「完全に企画系の作り話じゃん」ってなっちゃったからおふざけ感が増してしまった。
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Posted by ブクログ
家や土地にまつわるホラーアンソロジー。
事故物件だけでなく住民そのものが怖いヒトコワものまで豪華11話収録。
糸柳寿昭氏『やなぎっ記』軽い雰囲気の日記だと思っていたら最後のメールで鳥肌立っちゃうやつ。
澤村伊智氏『笛を吹く家』この方の描く歪んだ家族っていつも気味が悪いし悲惨…本当にいそうなのがまた怖い。
芦花公園氏『終の棲家』宗教が関わるホラーではやっぱりこの方。得体が知れない信仰の気持ち悪さと逃げられない絶望感。
平山夢明氏『ろろるいの家』ホラー描写が本書で一番怖かったかもしれない。不気味な現象に徐々に侵食されていく感じがゾクゾクした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ謎の美女、怖がらせ屋を主軸にして物語が進んでいく短編集
序盤では本書でも言及されていた卑劣な人間を恐怖を持って懲らしめる必殺仕事人の様な存在だと思ってみていたが、4章から怖がらせ屋さんの存在が明らかになってからは単なる闇の仕置人から都市伝説的な不可解で不気味な存在へとシフトするようになっていった
各章の感想
第一話 人間が一番怖い人も
はじまりの話である事もあってかショートヘアの女性が怖がらせ屋さんという存在意義が曖昧だった話でもあった
これだけ単独で読めば怖がらせ屋さんが後輩と共謀して復讐する単なる仕置人にも見えなくもない
第二話 救済と恐怖と
ミイラ取りがミイラになる話
家族や仲間そして自身の健康的な五体も失った男を搾取するとして一体彼に何が残っているというのであろうか?臓器売買でもさせるというのか?
第三話 子供の世界で
第一話と被っているいじめへの報復だが、今回の話は子供達の目線での話
正直この話勘違いをした担任教師にも責任があるとも思えるが、何ら被害に遭ってないのは解せない
あといじめのリーダー格の少年にトドメを刺さないで終わるのもモヤモヤする
第四話 怪談ライブにて
この話ではじめて怖がらせ屋さんという名前がはじめて登場する
オムニバス形式の怪談で二番目の話は中々に怖かったが、三番目の出来が悪いなと思ったら案の定作中でも指摘された(笑
第五話 恐怖とは
恐怖という定義を語る作中最も哲学的な話
ストーリーそのものよりも作中怖がらせ屋さんが会話する恐怖の定義の方が魅力的に感じさせる
全話の中で最も優れた作品だと個人的に思う
第六話 見知らぬ人の
作中の語り部が信用ならぬ存在であるからか、ループものとも取れるような不思議なストーリーだった
ミスリードと見せかけて実は?という展開はサスペンスとしても見事
このあたりから怖がらせ屋さんが仕置人というより都市伝説の怪異として位置付いた話になったと思う
第七話 怖ガラセ屋サンと
怖がらせ屋さんという存在を追い不幸になっていった人物の話
今まで伝えたられたエピソードが雑誌記事などで淡々と記載されてあって作中で最も不気味な話だった
さらに最後の最後になるまで怖がらせ屋さんが実際に登場しないので怪談という定義として最も怪談らしい話だったと思った