あらすじ
癖者揃いの娯楽系ウェブマガジン『アウターQ』編集部。新人ライター湾沢陸男は、小学生の頃によく遊んだ公園の落書きを調査することに。最後に<露死獣>と書かれた意味不明なその落書きを、当時の子供たちは<露死獣の呪文>と呼び、解読しようと夢中になった。取材を進めるうち、湾沢は「二十歳までこの呪文を覚えていると<露死獣>に殺される」との説を唱えた旧友が亡くなっていたことを知り……。何重にも張り巡らされた呪文の謎が時を経て今、解き明かされる「笑う露死獣」を含む全七編を収録した傑作ミステリー連作短編集。
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Posted by ブクログ
表紙がラノベっぽいので食わず嫌いしてました(^_^;)
私は澤村伊智作品が好きなので、万が一ラノベっぽい薄っぺらい内容だったらガッカリするだろうなぁと思って…
でもレビューに「表紙はラノベみたいだが中身はいつもの澤村伊智」という評価が多かったので意を決して手に取りました
結果大満足!!
めっちゃ面白かったです!!
なんでこんな表紙にしたんだろう…澤村伊智ファンが不安になるような表紙なんですけど…笑
短編小説なので読みやすかったです
でも連作なので繋がりもあって読み応え抜群でした
登場人物たちがとても魅力的です
ホラーの中でもヒトコワ系が中心です
終盤はまさかまさかの展開に息を飲みました
口は災いの元…
人に何かを伝える時は、その言葉の重みを理解して口に出さないといけませんね…
Posted by ブクログ
サクッと読める短編集。読みやすくストーリーに引き込まれていきます。ホラーよりは奇妙な物語な感じ。最終章で謎がわかり鳥肌が立った!続編が出ればまた読みたい。
Posted by ブクログ
うん!面白い!
ホラー要素もあるけど、ミステリー要素が濃いかな?
それも最後に!
「アウターQ」というWebマガジンのライターの各記事の取材のとこを短編集としてしている感じになってるけど、そこに凄い仕掛けが…
この作家さんは、ホラー作家と言われはしてるけど、ミステリーも十分描ける!
今回の怖さは、心霊とかそういうのやなく、伝える事!
本人が、そう思い込んで伝えたとしても、それによって、どんな事態が起こるか…
更に、今は、ネットで色んな情報がすぐに流れるけど、ちゃんと真実を伝えないとどうなるか…
誤解だけでは済まされへんしな…
その誤解もな…
こういう事故に陥らせた主催者だったとこが、そもそもあかんのであって…
でも、伝えた影響でなったから…
う〜ん…難しい…
こんなん考えたら、何も喋れんようになる…
でも、それはムリ!
Posted by ブクログ
連作短編なので、一つ一つは短い話ではあり読みやすく、ラストにかけて一つのストーリーとして成り立たせている、非常に面白いです。
そこまでホラー、というわけでもなくミステリー、気味悪さが妙に心地よい。
世にも、な感じもありますがオススメできる一冊。
Posted by ブクログ
面白かった!やっぱりホラー作家さんはエンタメをちゃんと心得ているなと感心した。キャラもしっかり立っているし、各話の「謎」も映像映えしそうないい感じのものだったのも◎。
本作は駆け出しのWebライターが寄せられた依頼を取材し、その過程で怪異にあったりあわなかったりする物語。なお連作短編の形式になっていて、だらだらと短編が続くのではなく最終話でしっかりオトしてくれたのもよかった。
読んでいて思ったのは、本作は一見するとテーマがないようにみえて、作者さんが抱いている「伝えること」の怖さが作中で表現されていたように感じた。そういう作者さんの悩みというか、繊細な一面を作品を通して知れるのはとても貴重な体験だとおもう。それだけ本作は自分にマッチしていたということなんだろうけど。
いまの時代は誰でも発信できる。でもだからこそ、その自分の発信が誰かを傷つけていないか?と想像するのが大事だとおもった。
まあ、細かいことは置いといて、ひとつのエンタメとしてとても楽しめる作品だった。というわけで☆5つ。
Posted by ブクログ
ねりりんが良すぎて語彙力なくなるー!
文庫の帯を外したら表紙にいてニヤニヤした。
ミステリーかホラーとかジャンル分けするのは烏滸がましくなる。
歌うハンバーガーのお店は行きたいなあ。
Posted by ブクログ
連作短編としてとても面白い。ホラーというよりはミステリーだがやっぱいホラー要素もしっかりと入っている。1作1作の短編としてのクオリティも高く、あーそーゆーこととかあと発券があって面白い。弱小ウェブマガジンがテーマでありながらメディアの加害性に自覚的なのがとてもよい。
Posted by ブクログ
娯楽系Webマガジン「アウターQ」編集部の新人ライター湾沢らが取材で遭遇する奇妙な落書き、一見入り辛い店、ストーカーに襲われた地下アイドルの復帰ライブ、絵画の女性が夢に現れると語る男……謎は事件を喚び、やがて辿り着く意外な真相を描いた連作短編集(小説誌発表の4編+単行本刊行時書き下ろしの3編を合わせた)全7編。
・公園の遊具に書かれた漢字の文字列の落書き。小学生たちは“露死獣の呪文”と呼び解読に夢中になった。自身もかつてその公園でよく遊んでいた湾沢は、ネタ調査のため今もその呪文が残っているのか調査に向かうが、取材の過程で当時の同級生が後に自死していたことを知る(「笑う露死獣」)。呪文らしき暗号を解いた先に辿り着いた結末は相当に後味が悪い。
・摂食障害を患って失職状態にあった女性フードライターの守屋雫に《アウターQ》から執筆依頼の連絡が入る。期限は半年。再起を誓って体調改善とリサーチを始めた雫は湾沢の助言も得て、自宅の近所に一風変わったハンバーガー屋を発見する(「歌うハンバーガー」)。
収録作中では、他とやや趣を異にする作品。結末は……ある意味では救いがあるとも読めるのか。
・ストーカーに切り付けられ引退したアイドル餅田阿闍梨の復活ライブ。その撮影を手伝うことになった湾沢だったが、阿闍梨を襲ったストーカーもライブ会場に現れていた(「飛ぶストーカーと叫ぶアイドル」)。探偵役としてこの後も活躍する自称“地底系”アイドル、練馬ねりが初登場。
《アウターQ》に加わった実話怪談系ライターの怪談王子こと南田北斗。彼の1本目の記事になった怪談は、湾沢が遭遇した14年前の大事故に関わるものだった。(「目覚める死者たち」単行本時書き下ろし)湾沢と、彼を《アウターQ》に引き入れた先輩ライター井出が親しくなったきっかけのある事故が語られ、ラスト2編の前フリともなっている。ミステリが一気にホラーに暗転するラストがいい。
・子どもの頃から実家に在った絵の女性が近頃夢に出てくる。その女性を探したい―と井出に相談してきた旧友の浅野。井出と湾沢、そして編集部の渦巻はこれを記事にまとめるため調査を開始する(「見つめるユリエさん」)。浅野が井出に「お前」と呼びかける二人称で書かれた一編。作家は意地でも大団円では終わらせないようで……。
・東京都青梅市にあるオブジェと人形に囲まれた奇妙な屋敷を取材した湾沢。住人の羽山の人柄と数々のアウトサイダーアート、彼が作った滝の見える展望台に魅了された湾沢の記事は注目を呼び、彼が“天国屋敷”と名付けたその家には客が集まるが(「映える天国屋敷」)
・“天国屋敷”で起きた事故により湾沢自身と彼を取り巻く状況は一変する。だが事故は実は誰かの手によるものと判明し(「涙する地獄屋敷」)。前後編を構成するラスト2編も単行本での書き下ろし。最後に明らかになる事実は序盤からの伏線を回収するものであると同時に、湾沢にとっては苦く重いものでもあった。
「ミステリー連作短編集」との帯書きの通り謎自体は合理的な回答が提示されるがそこに挿まれる超自然的な描写や―この作家お得意の―好人物に見えたキャラも一皮むけば……といった人怖的要素が、コメディタッチという口当たりのよさの下にある強い辛さや痺れ味としてかなり効いている。またこれは解説でも触れられているが、「言葉を伝えることの重さと難しさ」が全編を通じたテーマにもなっているようで、それはWeb記事やSNSで発信されるもののみならず、他人に対して直接語る言葉にも付いて回るものだ、と読み手に突き付けられているようにも感じられた。
Posted by ブクログ
全7篇の連作短編ミステリー小説です。
ウェブライターが主人公のお話で色んな種類のお話があり飽きなかった!
連作短編小説としても上手く機能しております、お手本のような作品でした。
個人的には最初の話『笑う露死獣』がオチを含めて印象的!!
Posted by ブクログ
最初は良い意味でただのウェブ創作記事といった感じで楽しく読んでいたが、天国屋敷からの一連の流れは昨今よく取り上げられる悪質なデマ問題を思い出させる、急に現実世界と結びつく感じがとても恐ろしかった
Posted by ブクログ
『斬首の森』では不完全燃焼でしたが、こちらはなかなか良い勢いで燃えてくれました。
新人ライター湾沢陸男くんが遭遇する色々な種類の事件の連作集です。
各話それぞれ違った怖さ、ミステリー的仕掛けが施されていてそれを味わうだけでも面白いのに、最終2話で連作集である事を思い起こしてくれる仕掛けがあって声を上げてしまいました。
結末が胸糞悪い「笑う露死獣」、ヒトコワと怪談とミステリーが混ざった「目覚める死者たち」が特に好きでした。シリーズ化してほしいっちゃほしいけど結末的に難しいっすかねぇ。
Posted by ブクログ
Webマガジンの世界を舞台に、人の面白さや怖さを描く澤村伊知ならではのホラー作品。
短編集でありながら全体としてまとまっているのも良いですが、もう少しシリーズ化して続けて欲しいところです。
Posted by ブクログ
連作短編集。
ミステリー系もホラー系もあって楽しめる。
「笑う露死獣」と「歌うハンバーガー」が好み。
途中あれっと思う違和感があって、それが伏線になっていた。他の伏線には全然気付かなくて、後から読み返して確認した。
Posted by ブクログ
振り返れば伏線が敷かれていたのね。短編一つひとつもカラーがあって面白かったけれど、それら点を繋いで線としたラスト2話はすごかったなぁ。と言いつつ地底アイドルファンになりました。
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なるほど!
そー繋がっていくのか。
改めてSNSが怖いというか、ネットや人の記憶力や証言があてにならないのだなと思った。
リクも別に悪気があったわけではなく、意識が薄れてく中で目にした物をそのまま、なんの気無しに発言しただけで、それはある意味正義だったし。
発した言葉で誰かを救えることもあれば、傷つけることもある。なんだかちょっと怖いな。
井出さんがまさかでちょっとショックだったな。
Posted by ブクログ
著者の作品は何作か読んでいるが、本作は若干ホラー要素もあるものの、基本的には本格の連絡短編ミステリ。
探偵役の「松戸の地底アイドル」こと「練馬ねり」は完全に、『ぼっち・ざ・ろっく!』の「廣井きくり」で脳内再生された。
軽妙洒脱な作風なので、年末の繁忙期で摩耗した心身でも楽しんで読めた。
Posted by ブクログ
湾沢陸男はウェブマガジン『アウターQ』のライターで、食わず嫌い克服ネタや怪しげな店への取材などとりとめもない記事を書いている。
そんな彼の記事に関する連作短編集。
澤村作品だけどホラー要素は大分少なめのミステリー。
子供の頃に噂になった公園の謎の落書きや怪しげなハンバーガー店、絵の中の女性を探したい、など…
どの話も派手な怖さではないけど薄ら寒くなるような怖さを孕んでいる。
最終話で全ての話が繋がる内容になっていて色々衝撃的なのだけど、伝えることの難しさ、伝え方を間違えた時の恐ろしさが心に響く。
Posted by ブクログ
初めて読んだ澤村伊智さんの作品。短編集でそれぞれの話がもうすでに読みやすく面白いが、その中に伏線があって最後の話へと結びついていく。なるほど、としてやられた感じ。ミステリを読み慣れた人なら違和感にすぐ気づくのかも。『ぼぎわんが、来る』も読んでみたくなった。
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てっきりホラー、いつもの澤村伊智作品のつもりで読んでた。ホラー要素もあるけど、ミステリ要素が強いな、と思ってたらしっかりミステリだった。最終章で繋がるエピソードに伏線、こうくると思ってなかった。雑誌編集と、一本筋を通しつつ展開していく連作短編、面白かった。個性強めのキャラも何人かいるし、またこのシリーズも読んでみたい。
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気楽に読める連作ミステリーだと思っていたら、最後の最後に凄絶な復讐劇だとわかって呆然。
子どもながらに自身が目にしたことを語っていたつもりがデマの元になっている。知らないうちに人を傷つけていることの重大さに気づかされます。悲しくてたまらない。
余談ですが、井出があまりにアレアレと言うのは、大阪出身の澤村さんがアレをアレしてくれたのかと思っていましたが、今年書かれたものではないのですね。アレを予見してのことか(笑)。
これを糧にライターとして陸男が成長しますように。練馬姐さんのファンになりました。また出番があるかしら。
Posted by ブクログ
webマガジンのライターを主人公とした連作短編集。少しだけホラー風味ですが、ミステリー色が強いです。各話割とタイプの異なるお話になっていて楽しいです。
Posted by ブクログ
アウターQのライターたちの話。主人湾沢さん、先輩の井出さんを中心にした短編。個々でも読めるというか、1話完結だが、最後繋がる様になっている。
笑う露死獣
公園に書かれた落書き(露死獣の呪文)の謎をネタにしようとする話。落書きを解読すると次の落書きの場所がわかる。追っていくと一軒の家の電話番号とパソコンのパスワードにつながる。パソコンの中身は児童虐待。
歌うハンバーガー
摂食障害だがハンバーガーの店の取材をやり遂げたい女性記者。ハンバーガーの店で食事をする事に成功し記事もアウターQで公開されるが、食事風景と記事内容がややずれる。女性記者は交通事故で亡くなって幽霊として店を訪れており、記事は女性記者が生前関わりのあった別の記者(湾沢)が、書いたもの。女性記者の幽霊が来ていることには気づかない。
飛ぶストーカーと叫ぶアイドル
ストーカーに襲われてアイドル活動を休止していたアイドルの復活ライブ、その最中ストーカーだった男がステージ上に飛び出して、阻止しようとした別のファンに殺される。しかしそれはファンの間で仕組まれた出来事で、ストーカーはそれより前にアイドルを再度襲い返り討ちに合って死んでいた。隠蔽のためファンにより殺された様に見せかけられた演出だった。
目覚める死者たち
湾沢さんが子供の頃花火大会で歩道橋倒壊の事故に巻き込まれる。そこで騒ぎに乗じて暴力を振るう不良の姿と地獄の様な出来事から何年も経った同じ場所にてその事故にまつわる怪談話を流す怪談王子。その他奇妙な事がいくつかあったが全てライバル店を蹴落とす手段だったことが判明。
見つめるユリエさん
肖像画の女性の夢を見て恋した青年がモデルを探す話。絵の女性の子供を救い交際に至る。穏やかに終わりそうだったが、夢には続きがあり女性を締め殺していたことを言えなかった青年の懺悔と今後どうすべきかというところで終わる
映える天国屋敷
木造屋敷の住人を取材し記事を出した湾沢さん、記事も好評で彫刻家の作品を見に来る人が増えた喜ばしい状態で最後、天国とされていたベランダが大人数の人の重さにより倒壊。怪我人にはこれより前の短編に出ていた人物の名前が上がり、唐突に各話が繋がったところで終わる。
涙する地獄屋敷
天国屋敷の続き。注目を集めた記事のせいで起きた事故に消沈する湾沢さん。練馬さんにより、それが仕組まれたことだったと明かされる。犯人は井出さん。理由は花火大会の日の不良について。ふりょうh不良は下敷きになった子供達を先に救出しようと奮闘していたが湾沢さんはそれを見て誤解したままに人に話してしまい不良は自殺まで追い込まれていた。その復讐のため、木造屋敷に目をつけた井出さんはベランダを花火大会の歩道橋に見立てて狙いを定めた。
Posted by ブクログ
webマガジン『アウターQ』のライター、湾沢陸男が遭遇するホラーテイストにミステリーの謎解きが加わったエキサイティングな取材の連作短編。
露四獣の暗号解読、「歌うハンバーガー」のオチ、歌わない踊らない地底アイドルの練馬ねりや独特な話し方の先輩ライター井出のキャラクター、過去からの伏線が見事に「天国屋敷」と「地獄屋敷」の章で集約されて繋がる諸々の手並みが鮮やか。
今の時代、“見て聞いて、伝えることに関する、大きな罪”は一人一人が自覚すべき課題だな。
ラスト一気に空気が凍りつく「目覚める死者たち」がイチオシのアレ。