綾辻行人のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
夜見北中・三年三組を襲う奇怪な現象、その謎に迫る下巻。
奇妙な「二人だけの孤独と自由」を過ごす中で
恒一と鳴、二人の距離は徐々に縮まっていく。
第二図書室の司書・千曳の協力を得つつ、現象の謎を探りはじめるが、
核心に迫ることができないままに残酷な死の連鎖は続く。
夏休みに入ったある日、発見される一本のカセットテープ。
そこに記録されていた恐ろしき事実とは。
上巻に引き続き、話が進展しそうでしない展開が続くせいで
面白いのだが、その面白さが途切れ途切れになってしまう残念さはあった。
要は話の引き伸ばしが露骨すぎる面がやや顕著なこと。
良いところで絶対に邪魔というか、話の腰を折られる。
その辺の噛み合わせがこの作品には合ってない様な気もした。
とは言え、面白いは面白いのだ。
上巻では割とフワッとしていた最終的な目的というものが
カセットテープの登場により、はっきりと明確なものになっていく。
現象の謎というよりは、クラスに混じった「死者」とは誰なのか?
その本人すら、自分が死者だということはわからない。
記憶も記録も改変・改竄されているという設定は、
けっこう複雑で理解するまでに苦労するのだが、
その死者の正体でピースがハマるかの如く合点がいった。
純粋なホラーという恐怖を味わいたいと思うと
拍子抜けするかもしれない作品だが、
ホラーを見事にミステリーに仕立てたその手腕は流石の一言。 -
Posted by ブクログ
夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、
何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。
同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ
接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。
そんな中、学級委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げる。
上巻を読み終えた時点では大まかな謎は判明したものの
まだまだ解明されていない謎は多く残っている状態。
ここから下巻でどういう展開を見せるのか。
とは言え、出てくる人間が全員勿体ぶるヤツしか出てこないので
疑問が解消されるまでかなりのページを要する展開が続く。
これが読んでいて爽快なものであるはずもなく、けっこう苛々させてくる。
クラスメイトや教師の誰もが認識していないミサキ・メイという存在。
果たして彼女は実際に存在しているのか、いないのか。
そして26年前、1972年に起きたミサキという生徒の死。
その死に対するクラスメイト達が取った行動。
そこから三年三組に起こり始めるある現象。
そこまで複雑ではないのだが、敢えて複雑化してるようにも思えた。
ホラー感は上巻の時点ではまだそこまで感じられないが、
ここからどうひっくり返すのか、下巻に期待したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレThe王道と言えるようなトリックではあるが、綾辻行人らしさを感じるようなストーリー展開の持っていき方だったとは思う。
なぜ首を切ったのか。
なぜ睡眠薬を使用して眠らせたのか。
なぜ仮面を被らせたのか。
3つの謎に関して綺麗にまとめられていて本格ミステリとしてはすごく評価の高いものになっていたが、物足りなさを感じ得ない内容だった。
他の館シリーズでは、なんとなく各々特有の色のようなものがあるように感じられる。
この作品は一言で言えばこんな感じだよねということが表せるところが館シリーズの良いところであった。
賛否はあるにしろ、そんなのありなんだみたいな展開に持っていく感じも他の作品にはあったが、今回はうまくまとめすぎている感じがした。
また、本作は水車館と迷路館の内容を足したような終わり方だったため既視感があり、奇面館特有の展開があれば良かったなと思った。
というものの、館シリーズは残り1作で完結というところまで来てしまったため、ラストでとんでもない賛否あってもいいから、ぶっ壊れた内容を作ってもらえたら嬉しいと思った。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「読んでる途中(推理の途中)は最高にワクワクして2日で一気に読めたけれど、いざ蓋を開けてみたら、動気の浅さや結末の弱さのせいで謎解き場面が期待外れに終わってしまった」という、非常にもどかしい不完全燃焼感です。
まず、道中のサスペンスとしての純度の高さにはめちゃくちゃのめり込めた。全員が仮面を被っているという不気味な状況から、鹿谷がジリジリとロジックを組み立て、徐々に真実が明かされていく過程は先が気になりすぎて手が止まらなかった。特に、本作で1番興奮したポイントとして「祈りの仮面が鍵だった(首を切断した物理的な理由)」という美しいトリックを挙げられているのが印象的でした。
だからこそ、そのトリックの鮮やかさに比べて、最後に明かされた「仮面を盗んでよくわからない未来を見たかった」という犯人のオカルトチックな動機が、あまりにもぶっ飛びすぎていて置いてけぼりを食らったように感じられたのだと思います。主人が出した質問に対する日向の解釈も無理矢理な感じが否めず、「じゃあ主人は自分が殺されるのを予期していたの?」という矛盾やモヤモヤが残ってしまいましたよね。
さらに、10年前に他の館シリーズを読んだときの「これやばい!」という強烈な興奮を期待していた分、結末の着地が弱く感じられたのも大きな要因です。終盤、日向に関してもっと世界がひっくり返るような大どんでん返しが来るかと思いきや、「実は影山逸史でした」という当然な名前の判明くらいで終わってしまい、肩透かし感が強かったのだと思います。 -
Posted by ブクログ
2026年19冊目
ミステリー小説でこんなのってアリなの、、?!!
読み終わった後に驚愕しました。
しかも綾辻行人先生が人形館の殺人を書いたのが28歳の頃って、、、天才なんだなと改めて感じました。
人形館の殺人を読む前に、「異色の作品だ」とか「館シリーズを読むときに、人形館だけは飛ばして良い」などマイナスの声が大きくて、読みたい気持ちは有りつつも後回しになりがちでした。会社の同僚に感想を聞いてみたいと言われ、ようやくこの本を手に取りました。(4店舗くらい本屋を回りましたが、どこにも在庫が無く、ネットで注文しました笑)
読んでみた結果、あぁもっと早く読めば良かったと後悔しています。面白い作品でした。確かに異色の作品ではあるものの、読み飛ばして良いとは個人的には思いません。ミステリー小説が好きな人には是非一度読んでもらって、衝撃と混乱と新鮮味を体感していただきたいです。きっとミステリー小説が好きな方からすると、読む前にも人形館の殺人は純粋なミステリー小説ではないんだろうなということは、なんと無く察しがついてると思うので。その上でこの作品を読むと、自分の新たな経験値が積み上がるのではないでしょうか。
結末はなんとなく見えていましたが、よくこんなこと考えるなと感心します。ただどうしても純粋なミステリー小説が好きな自分にとっては、読んでいてあまりワクワク感はありませんでした。長いなぁ、、早く展開進まないかなと、、2/3くらい進んだところでようやく物語が展開して来て面白くなってきた印象です。
まだまだ自分が読んだことのない設定の小説は多くあるんだと実感しました。これからもミステリ中心に、どんどん色んな小説を読んでいこうと思いました。
-
Posted by ブクログ
多くの犠牲者を出した1998年度の災厄から3年後の夜見山北中学三年三組。
学園ホラーであり、ミステリーであり、綾辻さんの読者層を問わない、ざわつく一作。
29年前に始まった「三年三組の災厄」は、すでに学校の歴史として受け継がれ、生徒たちはその存在を知りながら日々を送っています。
そして、私としては一度順番を無視して読んでしまい、短期間に二度読むことになりました。それでも何か掴みきれないし、どこも不穏だし、生徒たちと同様に疑心暗鬼のままです。
2001年の4月から6月までが 上巻。すでに災厄で何人かが命を落としています。
「もう一人」がいるかもしれない。その疑念が、クラス全体を侵食していく空気が少年ドラマ。