中村航のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
安定の中村航品質。特に手が込んでるとかどんでん返しがあるとかいうわけでもなく、何というか先の読めてしまう展開ではあるのだけれど、それでも惹きつけられてしまうのは、やっぱりリズム感というか、会話のテンポというか、そういうのが心地いいからなんだろうな、と思う。耳がいいんだろうなあ。ミュージシャンだからなのかなあ。
中村航さんの小説の登場人物は、誰もが痛みや悲しみに敏感で、その分やさしさを持っている。飾り気のない文章だからこそ、そういう繊細な心の動きが耳に残りやすくて、淡々とした口調だからこそ、そのリズムやメロディが読む方の心に残るんだろう。
中村航さんの小説は、良質なポップソングなんじゃないだろ -
Posted by ブクログ
この人の本は前から気になっていたのだけれど、財布に余裕のなかった2004年にはなかなか手が出なかった。
2004年暮れ、やっと購入。
妻の友人の夫であり、主人公の「義理の友達」という不思議な関係である吉田君が、突然置手紙を残して家出した。
それをきっかけに始まる、2組の夫婦の不思議な旅と夏休み。
とても柔らかく、心地良い文を書く人だと思う。
2組の夫婦の離婚問題を巡る話になってしまうのに、何故だか重苦しい雰囲気が1秒たりとも漂わない。
全くハラハラしないのだ。
それは、登場人物全員のやること為すことが全て、小気味良いからだろう。
いたずら心ではないのだが、丁度良いサプライズを含んでいると言 -
Posted by ブクログ
過去に小説を書きかけて挫折してしまった主人公が文芸部に誘われて、もう一度小説を書くストーリー。
主人公が書けない理由や恋愛模様もあり、読みやすい青春小説だった。
主人公は冴えない非リア充といった感じで、自分の高校時代と重なった。
高校時代は弓道部に所属しており、1学年上の先輩に恋心を抱いていたのも、主人公が七瀬先輩に抱いていた感情と重なる。
「こち亀」の早矢に似ていた先輩は今頃どうしているだろう...と思いを巡らせた秋の夜長の読書だった。
・小説が仕上がったときに主人公が感じた一文
構成されたイメージが、作者から読者へと受け渡され、つながっていく。その様子は生命の広がりを思わせる。小説を -