中村航のレビュー一覧
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ネタバレ爆風スランプの初期のころからレコードを聞いていたし、同名曲は、若いころ、カラオケでだいたい最初に歌う曲だったので、歌詞はよく知っている。だから展開も結末も知っている。その結末は苦しいなと思いながら読み始める。昭和と令和の時代を行き来しながら、話もシンクロしながら進んでいく展開は引き込まれる。各章のラスト近辺と冒頭の言葉でつながっていくスタイルはgood。虎太郎と今日子の武道館の顛末、そしてその後、そして彼らの現在の状態、丈流と美優の武道館の顛末など、感情がいろんな方向に引っ張られて、心地よい疲労感。会えて良かったね。地の文に同名曲の歌詞が埋め込まれているのが憎い演出。Whoさんの正体に関して夏目漱石『こころ』を連想した(ぜんぜん違うけど)。2025/2の映画はまた別のストーリーみたいだけどどんなだろうな。観てみたい。
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タイトルから、美味しそうな食べ物の描写に期待して購入したのだけど。
どの作品も「なかなか変わった関係」が展開されていて、登場人物たちがどうなっていくのかハラハラしながら、美味しそうな食べ物が出てきてほんわかする、みたいな不思議な気持ちになる一冊だった。
「エルゴと不倫鮨」
どういう組み合わせ?と思わせる題名。
大人の空間に乗り込んでくるワンオペ育児明けママが、とにかく凄まじい。
高級鮨屋のおススメをモノともせず、自身の経験から鮨に注文をつけて「創作」していく。
お店の人にとっては迷惑この上ないお客様の暴走っぷりが印象的だった。
「夏も近づく」
最初にこの話を読んだ時、続きがあるかな?あるといいな、と探したほどだった。
居場所探しと釜で炊く飯。
料理を覚えるということは、一人で生きていく、その質を高めることでもあるのかなと思う。
でも、葉月という名の少年は、それでも、誰かのためを思って、美味しさを尽くす。
その姿が健気で、彼が生き生きと成長していってくれる、そんな「続編」を望む。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネタばれなので読む人は注意。
感動の物語。文通を通してお互いの仲を深めていくが虎太郎は友達から頼まれて文通をし、どんどん好きになっていく。一方の今日子も虎太郎の文章と洋楽好きの虎太郎の解説、きれいな字に惹かれてボンジョビのコンサートチケットを送って初対面を期待する。そこまでのやりとりの心情、虎太郎が代筆している友達の顔はかっこよく自分とは全然違うので代筆だと言えない葛藤。そしてコンサートの当日。行くには行くが会う勇気もなく逃げ出してしまう。その切ない感情や今日子の気持ちをすごくじれったくさせているのが現代の大学生の男女の出会い。ラジオ番組からお互いの存在を知り同じ昔の洋楽が好きでそしてそこにはただのリスナーだったのがDJの爆風スランプの歌を流しながら会いたい人に…と自分の過去を話、玉ねぎの下で会おうと締めくくる。そこに駆けつける二人はお互いリスナーと知り、しかも母親は今日子。そして女の方は虎太郎が渡せなかったカセットテープを代筆を頼まれた友人に渡しそれを娘がたまたま持っていた。切なさと今恋愛から遠のいている自分がここまでこの恋愛をきれいと思える感動を忘れたくなくて大雑把に内容を書きこむ。
また再読したい。 -
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「こんなに人を好きになったのは初めて」。ある大学院生の前に運命の女性が現れた。だが、彼女にはある事情から誰とも付き合うことができないと知らされる。お互いに幸福と不安をかみしめる2人の恋の行方は?
この話では主に「僕」と1年限定で北海道からやってくる運命の人・めぐと僕の妹と謎の男・木戸さんの4人で成り立っています。「僕」とめぐはお互いにことあるごとに何度も好きと言い合う周りから見るとすごいバカップルに見えるような関係になります。「あふれたのはビールの泡だけかしら」など「~だけかしら」などほかにも様々な「僕」とめぐの語呂遊びがあり読んでて面白かったです。でも、年越しで話が終わるので残りの3か月はどうなったんだと気になる終わり方でした。
本屋でタイトルに惹かれて買ったのですが、最後までドキドキ感があり楽しめました。今まで読んだ恋愛小説でも結構上位の方にくるくらい面白かったです。しかし、ある事情さえなければ!と何度も思いました。 -
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以下、ネタバレ含みます。
33歳の「5ヵ月の休暇」と「自分探しの旅」。
ああ、良いテーマだなと思って、迷わず読んだ。
転職に伴って生まれた空白期間、梶くんは、日常を少し非日常にするような、街歩きや、趣味を作ることに、時間を費やしていく。
行動が出会いを生み、思考は、それまでの自分を振り返り、掘り下げることに繋がる。
終盤の梶くんの独白は、これまでの彼の「のんびりとして冷ややかな」姿とは違って、切実な痛みを伴っていた。
そんな鮮やかな痛みに触れながらも、でも、それは必要なステップなのだろうな、とも思った。
サバティカルと言うと、意味は異なるのだけど、私も、割と最近手にした空白期間があった。
全くのフリーではなかったものの、自分のやりたいこと(To do)を(done)に進めていくことの出来た、ある意味、特殊な時間だった。
仕事を始めてから、小さな違和感を積み上げて、自分を鼓舞して(done)を、ひたすら進めてきたような気がしていた。
煮詰まる、という言い方が適切か分からないけれど。
見えなくなったことが分からないものは沢山あって、違和感が積み上がってることを、仕方ないと思おうとしてきた。
そんな、何かをリセットするには、きっと必要な時間だったんだと思う。
旅の終わりは、きれいな着地点でなくてもいい。
振り返って、そういう「時間」があったことが、自分の財産になることがあるのだと思う。