あらすじ
「こんなに人を好きになったのは生まれて初めて」。東京の理系大学で研究を続ける大学院生の僕の前に、運命の人が現れた。春、北海道からゲスト研究員でやって来た斉藤恵──めぐ。だが直後の懇親会で、彼女はある事情から誰ともつきあえないことを知る。やがて日夜研究を続けて一緒に過ごすうちに、僕はめぐへの思いを募らせ、遂に許されない関係に踏み出してしまった。お互いに幸福と不安を噛みしめる2人の恋の行方は?
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Posted by ブクログ
とにかく好きな作品で、究極の恋愛小説の一つだと思っている。
まず、タイトルがいい。「幸せでいてほしい」という気持ちを「よく眠れますように」と表現しているのが優しさに溢れている。
内容も、人を好きになった時の高ぶりや感情を婉曲することなく書いている。
個人的な感覚として、「不倫」という点はあまり重要な要素ではなく、不倫という言葉さえ些細にしてしまう「人を好きになる無敵感」を味わう作品であるのではないだろうか。
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許されない恋なのだけれど、読んでいると幸せで、切ない気持ちで溢れた。中村航さんの本は初めて読んだけど、ユーモアもありリズミカルな文章がとても好きだなと思った。
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「こんなに人を好きになったのは初めて」。ある大学院生の前に運命の女性が現れた。だが、彼女にはある事情から誰とも付き合うことができないと知らされる。お互いに幸福と不安をかみしめる2人の恋の行方は?
この話では主に「僕」と1年限定で北海道からやってくる運命の人・めぐと僕の妹と謎の男・木戸さんの4人で成り立っています。「僕」とめぐはお互いにことあるごとに何度も好きと言い合う周りから見るとすごいバカップルに見えるような関係になります。「あふれたのはビールの泡だけかしら」など「~だけかしら」などほかにも様々な「僕」とめぐの語呂遊びがあり読んでて面白かったです。でも、年越しで話が終わるので残りの3か月はどうなったんだと気になる終わり方でした。
本屋でタイトルに惹かれて買ったのですが、最後までドキドキ感があり楽しめました。今まで読んだ恋愛小説でも結構上位の方にくるくらい面白かったです。しかし、ある事情さえなければ!と何度も思いました。
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"ラブの世界にダイブだこのやろう、と思った"
"ともかくその春僕が出会った2人のうち、一人には旧姓があり、一人には偽名があった。"
"正しさは間違いを内包していたり、間違いの前提として正しさがあったりする"
"恋っていうのは、寸止めが1番美しいんだよ"
"この世にはマグレと気まぐれしかねえんだよ。"
"いろいろなものを切り捨てまくって、みんなが普通に持っているものを、どうでもいいと切り捨てまくって、この人は一体、一人で何を守り続けてるんだろう"
"誤解は前提で、理解は敵で、正解は最初からないのだ"
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最高だった。最高の恋愛小説だった。
少し前ならあんまり響いてなかったかもしれない。
結婚したいまだからこそ、こういう恋愛がめちゃくちゃ響く。
既婚女性と独身男性が惹かれ合う話。
お互い大学院生ってのもあってドロドロしてなくて良かった。
すごい読みやすくて一気によんでしまった。
読んでてめちゃくちゃキュンキュンした。
こんなふうにまっすぐに相手のことを好きになれるって幸せだよね。
でも結ばれない?既婚者との恋だからこそ、素直になれたのかななんとひねくれて思ったり。
まだ何も始まってない、ほんとにそのとおり。
あれこれ現実を考えない恋愛ってめちゃくちゃ楽しいな。ってのに触れられたお話でした。
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ひたすら甘い(優しい)物語なのに感じる毒気というか切なさやどうしようもなさに大前粟生みを感じた。別の視点に立つと脳が破壊されるセリフ達とかもそんな感じ
こんなに甘々な物語なのにちゃんとそういう部分を感じさせてくるから少女漫画的にならずちゃんと文芸小説として成り立ってるのがすごいバランスだなぁと思った。
ラストにかけての展開には特にやけど
物語の甘さしかり、ひたすら主役とヒロインにしか焦点を当てない感じしかり、世捨て人みたいな人が出てきて酩酊陶酔する感じしかり ちょいちょいセカイ系の影響を感じた。
Posted by ブクログ
不倫の恋なのに、ほのぼのとはどういうことか??
私より先に読んだ友人は、この小説をほのぼの小説だと言っていた。結果読んでみて、ほのぼのとはまた違うとは思ったが、想像するような不倫の恋ともまた違う。多くの不倫小説では、不倫への葛藤が主な題材である。しかしこの作品で焦点が当てられているのは、男女が今誰といたくて、どうやって心を埋めるか、どうやって相手への愛情を表現するか、今しかない時間を大切に大切に扱っている、相手への愛しさを爆発させたような、ある意味純愛小説である。2人とも、それが限られた時間かもしれないことは分かっていても、それを口に出すことも怖くてただすきまを埋めるように愛し合っている。その形が美しくもあった。
特に木戸さんがお気に入り。一貫性があると思えばちぐはぐなことを言って、変なことを言ったと思ったら、急に真剣な顔をしたりする。でもなんだか魅力ある人物だった。どこまでもまっすぐで自分の時間を生きている姿がかっこいいのかもしれない。
でも私には、所詮不倫だという感情が拭いきれなかった。第三者がちらついて感情移入しきれなかった為、星1つ削る結果となってしまった。
Posted by ブクログ
不倫中のバカップルの話、と言ってしまえばそれまでだが、不倫だからこそ二人はバカップルになるのかもしれない。考えたくないことを頭から追い出し続けるために。いずれ直面することはわかっているけれど、せめて今だけはと。
一人称の「僕」が考えたくないことは、当然、小説内でも描かれない。結果、バカっぽい文章が続いているだけに見えるかもしれないが、実はそれがこの小説のリアリティなのだと思う。
とりあえず、「木戸先輩」が謎過ぎるので、彼が登場しているという『絶対、最強の恋のうた』も読んでみたい。
Posted by ブクログ
【純愛不倫 】
.
不倫を擁護するわけではないし
決して許されるものではないことを
前提とした上で、でも純粋な好きって
こうなるよねって共感してしまう作品。
大人の恋愛を胸焼けするくらい
キャピキャピ表現していて
見てるこっちが少し恥ずかしくなるのよ。
ませた高校生か、ラブラブな大学生かΣ\(゚Д゚ )
ってツッコミたくなるような内容なんだけど
でもどこか文学的で
どこか甘くて
どこか切なくて
どこかほろ苦くて……
中村航さんの作品ははじめてだったけど
他の作品もぜひ読んでみたいな!と
思わせてくれる食前酒のような本でした!
恋愛系の小説が読みたい人はおすすめです!
ぜひ
Posted by ブクログ
不倫のはずなのになぜかドロドロした感じが全くない、純愛の物語を読んでいるようで不思議な気持ち
でもタイトルに全共感している
自分の好きな人がよく眠れていたら私は嬉しいなと思ったから
忘れられない作品の1つである
Posted by ブクログ
全てが伏線!みたいな隙のない小説もいいけれど、あんまり重要じゃないような連想がぽんぽんでてくるこのスタイルも本当に他人の頭の中を覗いているみたいで面白かった。もっと派手な展開を期待していたけど、これはこれでリアリティと呆気なさを感じることができて概ね満足。ただ、帯に書いてあるような「心地よいドキドキ」ではなかったかなぁ。
Posted by ブクログ
この世はまぐれと気まぐれ
ピュアな不倫のはなし
障害物がある方が恋って盛り上がるのかな?広末涼子を思い浮かべながら読んでた。(?)
そのカップルだけのノリとか合言葉みたいなのが散りばめられてた。理系の大学院生で研究とか大学の感じが詳しく書かれてで良かった。
木戸さんは結局なんだったの?
最後は年内のうちに白組も負けて終わっちゃった。これ、2008年の小説らしいけど紅白の勝ち負けとかがわからない世代が来てしまったらどうなるんだろうって思った。
ふたりの今後はご想像に任せますだけど想像もできない。すごく読みやすかった〜
Posted by ブクログ
勢いのある若者の恋のお話。自分たちはなんでも出来るんじゃないかという全能感に溢れていて、双方どうしようもないくらいにお互いのことが好きで、、、共感はできないけど微笑ましくなる作品です。文体も読みやすかったのでおすすめです!
Posted by ブクログ
決して許される関係ではないけれど
育まれてた愛だけは
『本物だ』って思いたい作品。
2人は一緒になる事は出来ないけれど
せめて健やかに
よく眠れるようにと願う男の気持ちは
ずっと胸の中にあり続けるんだと思います。
Posted by ブクログ
・作者は芝浦工業大学だし、自分の恋について書いたものなのかなと勝手に想像。工学部出身(豊洲キャンパス)らしい。話に出てくる「駅近くのプロント」は2022年現在まだある。
・会話のシーンが魅力的だと感じた。「僕らは二人とも面白がる人で、多分、世界の面白さの一部分を、積極的に担いたいと考えている。」この文の通り2人の会話は面白くて愛しくて、センスしか感じなかった。小説でここまで微笑ましく笑えたのは初めてかもしれない。イチャイチャするシーンがきついと感じる人もいるのもすごく分かるけど、ただのイチャイチャで終わらない二人の会話が自分は好きです。「好きレボリューション」「おれなんか好きスパークだよ。溶接したい」などが個人的にツボ
・不倫じゃねーかよオイオイオイって思うけどそんなこと忘れるくらい爽やかな純愛みたいに描いていて、そこのグロさが好きだった。「人生そんなうまくいかないよね、人って結局弱いよね」みたいな。めぐを好きになったのは事実だけど、もし人妻じゃなかったらここまで盛り上がってなかったかもしれないし。でもそれが本当に山田くんを苦しめただろうし。それでも山田くんの偉かったところはめぐの人生をめちゃくちゃにしなかったところ。タイトルの通り、最後は本当にそれだけを望んだことが美しい。めぐが山田くんの手を離せなくなってしまうところは、彼女の弱さが人間らしくて、浅はかで、許されないけど本当に愛しかった。「離せない」と言っためぐの涙を溜めた顔が一瞬で思い浮かびうるっときた。
Posted by ブクログ
木戸さんがツボ
恋愛の表現とか雰囲気の文体がとても良い。
ただ、設定的にどうしても「うーーん…」と引っかかってしまい色々考えてしまうので心の底からいろんなことに共感できなくて、消化不良で終わってしまったかんじです。
僕とメグのことだけ考えてこの刹那が楽しければいい、という気持ちに没頭できたらもう少しハマれたかもしれない。
Posted by ブクログ
不倫なのに美しく描き過ぎでは、と思った。
いやいや、もっと葛藤せえよ。
男の人視点の恋愛小説も若干苦手。特にこういうピュアっぽいやつ。
世の中に本当にこういう感情は存在するのだろうか?もし存在していても、こんなピュアボーイは私は好きじゃないなあと思ってしまう。
ただ所々の描写はハッとするものもあり、それは心に留めておきたい。
Posted by ブクログ
・今、共にある二つの手を、僕は見つめる。夏に一メートルの距離まで近付いた僕らは、今、ゼロメートルまでその距離を縮めた。このあとまた離れるだけのために。ただそれだけのために──。
・僕の好きな人が、よく眠れますように。いつの日も、これからどんなことがあっても、健やかに眠れますように。
どんなに思い合っていても結ばれることのないふたり。こんなに好きならば彼女はなぜ夫と別れないのかとそこばかりが気になって。そんな彼女に彼が願えることがよく眠れるようにだけなのかな。それが彼の愛情なのか?
Posted by ブクログ
すごく表現がきれいな物語でした☺︎
善し悪しはどうであれ、こんな風に人を愛することが出来て、愛してもらえるのは幸せなことだなと思いました。
Posted by ブクログ
主人公とめぐの恋のお話、よかったねと言える関係ではないけれど、2人にとっては実際の初恋?だったのかなぁ?と思った。最後はもう少し書いてくれたら嬉しかったなぁと思う
Posted by ブクログ
簡単に言っちゃえば不倫のお話なんだけど学生時代のピュアな恋愛を思い出す可愛いお話でした。共感はできないけど、、、笑
後半のバカップルぶりには思わず笑っちゃったけどやっぱり危ない関係っていうのがここまで盛り上がる理由なのかなと思うと複雑。
木戸さん結局謎な存在だったけど度々刺さる言葉をくれるので私の近くにもいて欲しい。
''恋ってのは、寸止めがいちばん美しいんだよ''
Posted by ブクログ
タイトルがとても素敵。
許されない恋でも不可抗力で好きになってしまうことはある。順番が違ったら何の抵抗もなく許されたはずの関係の2人。甘々すぎて恋愛に疎い自分には理解が及ばないところもあったけど、本気で愛し合うとこんな感じになるのかな。
ただ、結末が個人的には消化不良な気分。考察や想像の余地はあるってことなんだけど、そこで終わると知らずに読み進めて、気づいたら次のページから解説が始まってしまったので驚いたとともに少しモヤモヤしてしまった。ただその流れで解説を読んで少し腑に落ちた部分もあったので、私自身の経験不足や解読能力の精度が低いのもあるのかな。
Posted by ブクログ
この世には自分と相手しか存在していないように感じる、若い勢いのある恋の話。
2人の恋の描写はリアルで『こんな感じだなぁ』と若干自分を投影して恥ずかしくなるほど。
綺麗で読みやすい話でした。
私も好きな人を好きでいて、愛を届けてお互いにとってのハッピーエンドを迎えられるように、向き合っていかなくてはなと考えさせられました。
Posted by ブクログ
タイトルがあまりにもにも可愛くて読みました。
これは主人公の山田と北海道から同じ研究室に期限付きでやってきた斉藤恵の2人が、何もしないお話。
山田とめぐは一目見たその時から惹かれあって日を追うごとに愛が大きくなっていくけど、めぐが言うには「山田さんはわかってない」。何がわかってないのか山田は中々気が付かないが、読者からしても山田はわかってなさすぎる。
まずめぐに惹かれていった具体的な理由や経緯があまり描かれない。多分めぐ視点でこの2人を見ていたら、全く違ったと思う。
初めてのキスをするシーン(123p)で罪悪感やそれでも抗えない気持ちと格闘し、恐怖し、震えているめぐに対して「よく震える人だな」などと呑気に考えているのもわかってないし、彼女が部屋に来るなり布団の準備を始めるのも最悪。
その布団の中から少しでも外へ出たら絶対に言えないような、浅はかで、でも必死で本気な言葉の数々。「革命的に好き。好きレボリューションだよ」とか言ってる人間が、ニューヨークへ行けば価値観が変わり感性が磨かれ、人として成長できるなどと本気で考えていたプロントの男を馬鹿にできんのか?と問うてみたい。
2人は全く動かない。それと対照的に描かれているのが妹と木戸だと思う。
妹は山田に時々恋愛相談のメールこそするが、答えを欲しているわけでは無い。結局山田の知らないところで彼氏と付き合ったり別れたり、かと思ったら新しい彼氏を作っていたりする。自分で決めて行動している。
木戸は、この男は本当にわからない。わからないけど、明確な己の信念に基づいて、それを守るために生きている。だから全てに簡単に答えが出せる。全てを自分で決めて動く男。(木戸については別の著書にも登場しているらしいのでそっちも読んでみたい)
山田はそんな2人に常に判断を仰いでいる。
めぐは既婚者で、1年という一緒に居られる期限がある。悠長な事をやっている暇はないが、それでも2人は動かない。
心のどこかで「土下座でもなんでもして無理矢理にでも一緒にいられたら良いのに」と思っているし、心のどこかで「このまま何もできずに元に戻るしか無くなれば良いのに」とも思っている。
春になったらその後、2人はどんな関係になるのか。その大きな決断さえ、山田は紅白歌合戦の白組の歌手達に委ねている。そして紅が勝つか白が勝つか、その結果を自分の目で確かめることすら怖くてできない。
「白組が勝ったら…」なんて言い出した時点で、白組が負けることは確定していた。
それを2人もわかっていたと思う。でも委ねた。山田は白組に、めぐは山田に。
結局は元に戻るしか無くなる方を“選択”したのかもしれない。けどその選択の責任を2人とも取らなかった。
その事を2人は将来後悔するのかもしれない。でもきっと心の中で祈る。好きな人がよく眠れますように。口には出さずに心の中だけで祈るんだと思う。
Posted by ブクログ
所謂不倫の話なんだけど、純愛物と錯覚してしまうくらいに爽やか。掛け合いが可愛くて面白い。二人が余りにも幸せそうで、切なくなる。個人的には終わり方が少しもどかしかった。
Posted by ブクログ
たっぷりとした甘いシロップに沈んでゆくような恋の話。自分の持てるすべてを使って好きだと伝え合うふたりと、間違いを正せば終わってしまう愛。恋愛に溺れていたときの自分が、そのまま主人公に生まれ変わったようだった。気恥ずかしくて、でも、目を逸らせない。
「恋ってのは、寸止めが一番美しいんだよ」という木戸さんの言葉が、読み終えたあとも胸のなかで光っている。完全には手に入らないからこそ、美しいかたちのままを保てるのかもしれない。
十年前に読んだときは、この本の甘さがもっと身に染みたような気がする。きっとわたしのなかにあった溢れるような熱情は、この十年ですべて燃え尽きたのだろう。すこし寂しい気もするけれど、きっとどうしようもないことなのだ。「ああ、そんなこともあったな」と、今では他人事のように暮らしている。