あらすじ
「こんなに人を好きになったのは生まれて初めて」。東京の理系大学で研究を続ける大学院生の僕の前に、運命の人が現れた。春、北海道からゲスト研究員でやって来た斉藤恵──めぐ。だが直後の懇親会で、彼女はある事情から誰ともつきあえないことを知る。やがて日夜研究を続けて一緒に過ごすうちに、僕はめぐへの思いを募らせ、遂に許されない関係に踏み出してしまった。お互いに幸福と不安を噛みしめる2人の恋の行方は?
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Posted by ブクログ
最高だった。最高の恋愛小説だった。
少し前ならあんまり響いてなかったかもしれない。
結婚したいまだからこそ、こういう恋愛がめちゃくちゃ響く。
既婚女性と独身男性が惹かれ合う話。
お互い大学院生ってのもあってドロドロしてなくて良かった。
すごい読みやすくて一気によんでしまった。
読んでてめちゃくちゃキュンキュンした。
こんなふうにまっすぐに相手のことを好きになれるって幸せだよね。
でも結ばれない?既婚者との恋だからこそ、素直になれたのかななんとひねくれて思ったり。
まだ何も始まってない、ほんとにそのとおり。
あれこれ現実を考えない恋愛ってめちゃくちゃ楽しいな。ってのに触れられたお話でした。
Posted by ブクログ
不倫中のバカップルの話、と言ってしまえばそれまでだが、不倫だからこそ二人はバカップルになるのかもしれない。考えたくないことを頭から追い出し続けるために。いずれ直面することはわかっているけれど、せめて今だけはと。
一人称の「僕」が考えたくないことは、当然、小説内でも描かれない。結果、バカっぽい文章が続いているだけに見えるかもしれないが、実はそれがこの小説のリアリティなのだと思う。
とりあえず、「木戸先輩」が謎過ぎるので、彼が登場しているという『絶対、最強の恋のうた』も読んでみたい。
Posted by ブクログ
不倫のはずなのになぜかドロドロした感じが全くない、純愛の物語を読んでいるようで不思議な気持ち
でもタイトルに全共感している
自分の好きな人がよく眠れていたら私は嬉しいなと思ったから
忘れられない作品の1つである
Posted by ブクログ
全てが伏線!みたいな隙のない小説もいいけれど、あんまり重要じゃないような連想がぽんぽんでてくるこのスタイルも本当に他人の頭の中を覗いているみたいで面白かった。もっと派手な展開を期待していたけど、これはこれでリアリティと呆気なさを感じることができて概ね満足。ただ、帯に書いてあるような「心地よいドキドキ」ではなかったかなぁ。
Posted by ブクログ
木戸さんがツボ
恋愛の表現とか雰囲気の文体がとても良い。
ただ、設定的にどうしても「うーーん…」と引っかかってしまい色々考えてしまうので心の底からいろんなことに共感できなくて、消化不良で終わってしまったかんじです。
僕とメグのことだけ考えてこの刹那が楽しければいい、という気持ちに没頭できたらもう少しハマれたかもしれない。
Posted by ブクログ
・今、共にある二つの手を、僕は見つめる。夏に一メートルの距離まで近付いた僕らは、今、ゼロメートルまでその距離を縮めた。このあとまた離れるだけのために。ただそれだけのために──。
・僕の好きな人が、よく眠れますように。いつの日も、これからどんなことがあっても、健やかに眠れますように。
どんなに思い合っていても結ばれることのないふたり。こんなに好きならば彼女はなぜ夫と別れないのかとそこばかりが気になって。そんな彼女に彼が願えることがよく眠れるようにだけなのかな。それが彼の愛情なのか?
Posted by ブクログ
この世には自分と相手しか存在していないように感じる、若い勢いのある恋の話。
2人の恋の描写はリアルで『こんな感じだなぁ』と若干自分を投影して恥ずかしくなるほど。
綺麗で読みやすい話でした。
私も好きな人を好きでいて、愛を届けてお互いにとってのハッピーエンドを迎えられるように、向き合っていかなくてはなと考えさせられました。
Posted by ブクログ
タイトルがあまりにもにも可愛くて読みました。
これは主人公の山田と北海道から同じ研究室に期限付きでやってきた斉藤恵の2人が、何もしないお話。
山田とめぐは一目見たその時から惹かれあって日を追うごとに愛が大きくなっていくけど、めぐが言うには「山田さんはわかってない」。何がわかってないのか山田は中々気が付かないが、読者からしても山田はわかってなさすぎる。
まずめぐに惹かれていった具体的な理由や経緯があまり描かれない。多分めぐ視点でこの2人を見ていたら、全く違ったと思う。
初めてのキスをするシーン(123p)で罪悪感やそれでも抗えない気持ちと格闘し、恐怖し、震えているめぐに対して「よく震える人だな」などと呑気に考えているのもわかってないし、彼女が部屋に来るなり布団の準備を始めるのも最悪。
その布団の中から少しでも外へ出たら絶対に言えないような、浅はかで、でも必死で本気な言葉の数々。「革命的に好き。好きレボリューションだよ」とか言ってる人間が、ニューヨークへ行けば価値観が変わり感性が磨かれ、人として成長できるなどと本気で考えていたプロントの男を馬鹿にできんのか?と問うてみたい。
2人は全く動かない。それと対照的に描かれているのが妹と木戸だと思う。
妹は山田に時々恋愛相談のメールこそするが、答えを欲しているわけでは無い。結局山田の知らないところで彼氏と付き合ったり別れたり、かと思ったら新しい彼氏を作っていたりする。自分で決めて行動している。
木戸は、この男は本当にわからない。わからないけど、明確な己の信念に基づいて、それを守るために生きている。だから全てに簡単に答えが出せる。全てを自分で決めて動く男。(木戸については別の著書にも登場しているらしいのでそっちも読んでみたい)
山田はそんな2人に常に判断を仰いでいる。
めぐは既婚者で、1年という一緒に居られる期限がある。悠長な事をやっている暇はないが、それでも2人は動かない。
心のどこかで「土下座でもなんでもして無理矢理にでも一緒にいられたら良いのに」と思っているし、心のどこかで「このまま何もできずに元に戻るしか無くなれば良いのに」とも思っている。
春になったらその後、2人はどんな関係になるのか。その大きな決断さえ、山田は紅白歌合戦の白組の歌手達に委ねている。そして紅が勝つか白が勝つか、その結果を自分の目で確かめることすら怖くてできない。
「白組が勝ったら…」なんて言い出した時点で、白組が負けることは確定していた。
それを2人もわかっていたと思う。でも委ねた。山田は白組に、めぐは山田に。
結局は元に戻るしか無くなる方を“選択”したのかもしれない。けどその選択の責任を2人とも取らなかった。
その事を2人は将来後悔するのかもしれない。でもきっと心の中で祈る。好きな人がよく眠れますように。口には出さずに心の中だけで祈るんだと思う。