南條竹則のレビュー一覧
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読みやすく、面白い。
解説にもあるように、ほとんどは再話文学で、またこの本によって有名になって児童向けの怪談集などに収録されているために、幼い時分に読んだ記憶のあるものだったが、出典の明示されていない「かけひき」(解説ではリラダンの影響が指摘されているが)は日本的怪奇趣味に合理主義的なオチがポンとくっついているのが面白かった。
また、後半の「虫の研究」3編はそれぞれ味わいが異なる。「蝶」は日本の蝶を愛でる感性や逸話の多くが中国由来と考えられる、とことわりを入れつつも、蝶の登場する俳句などを列挙し、その詩心を賞賛する。「蚊」では墓に供えられた水から蚊が沸いて困るが「仏教では殺生を禁じている…」 -
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ネタバレラヴクラフト作品は初めて読んだ。
人類誕生よりもはるか昔にかなり高度な文明を築いた存在がいた、という話だったのは初めて知った。名前は知っていたものの前情報無しで読んだので、一体どんな展開になるんだ?とワクワクしながら読めた。
現代の作品と比べると語り手の独白がかなり多いので読みづらさもあるけど、語り手の思考とシンクロして少しずつ恐怖を感じていく体験ができてよかった。
SF大好きなのでラヴクラフト作品はまた読みたい!けどおそらくどの話も同じ神話という設定らしいから展開は似てると思われるので、一気に読むと胸焼けしそうなので他の本を読みつつ合間で読みたい。 -
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コツコツ光文社古典新訳文庫の時間です
『ブラウン神父シリーズ』で有名なチェスタトンの著作
もちろん『ブラウン神父シリーズ』は全て持ってました
古典ミステリオタクの本棚に『ブラウン神父シリーズ』が並んでないなんて有り得ない
すごく面白かったけど、すごく難しかった記憶がうっすらと…
で、本作です
読んだこともあるような気がするんですが、ちょっと思い出せんかったな
内容的には全く意味わからんかった
意味分からんかったけど面白かった
なんで?(知らんわ!)
結局キリスト教的世界観みたいなんを理解するのって無理なんだと思うんよね
完全に諦めちゃってる極東の島国の人間に「面白かった」と感じさせる
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西洋ホラーの伝説的な作品、クトゥルフ神話の物語。
作者のラブクラフトは当時はあまり評価されなかったようだが、亡くなった後に再評価された作家。
それが今現在まで名作として残り続けているので、生きている間に評価されていればと思わないではない。
内容は前半の5作は数ページ~数10ページの短編になっており、クトゥルフ神話とは関係ない物語もしくは繋がりの薄い作品になっている。
どちらかと言えば悪魔や悪霊の話だ。
しかし後半の狂気の山脈と時間からの影はそれまでの作品とは全く異なる冒険譚となっている。
この2作品は難解ではあるものの、どんな展開になるのだろうと次が楽しみになる作品だった。
壮大なスケ -
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初心者が噂のクトゥルーを読んでみるぞ2冊目!
おどろおどろしくて不気味で冒涜的寄りな短編と、ちょっと冒険要素の入った長編二作。
どちらもどちらで面白い!
第一集『インスマスの影』収録のは前者寄りが多かったのかな。サクッと読めるけど、不気味さは格別。
表題作「狂気の山脈にて」は面白かったけど前半苦戦。
「名状しがたい」を事細かに描写するとこうなるのね…。
南極の地理、地形やあれこれの描写は、ファンアートのイラストなどのお手伝いが必要ですた。
「古きものども」「偉大なる種族」視点のサイドストーリーがとても読んでみたい。名状しがたくて冒涜的だけど、キャラがたってていいぞ!
やはり面白い。怖いだけじゃ -
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怪異譚と銘打ってあるけど、南條先生のエッセイが半分を占めている。
とはいえ、紹介する作品についての知識や時代背景、作者などにも言及していて、また背景を知らないと南のこっちゃ!という作品もあるので、勉強にもなった。
キリスト教世界に身をおかない日本人にはわかりにくいところもやはりあるので…。
詩やバラッドだと怪異と一見結び付かんですし。
古い古いケルトやらの雰囲気を匂わせた幻想的なものや、死のにおいが色濃い陰鬱なもの、霊的なものを証明するために集めた実話怪談など、いろいろな怪異譚も楽しめて、南條先生のエッセイ・解説付きというお得な一冊?
個人的なお気に入りは「地獄の門」と「老水夫行」。
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著者は「宝島」「ジキルとハイドなど」のスティーヴンスン。
悪漢が闊歩するヴィクトリア朝ロンドンで、ボヘミアの魅力的な王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐の冒険譚です。
しかし…この作者は、スティーブンソン、スチーブンソン、スティーヴンソン、スティーヴンスン。。などなど翻訳者さんにより表記が違うので、検索するときに非情に見つけづらい!!ヽ(`Д´)ノ
『自殺クラブ』
自殺志望者が集まる秘密結社『自殺クラブ』を巡る3つの物語。
ロンドンに滞在するボヘミアの王子フロリゼルと、忠臣ジェラルディーン大佐が訪れたバーで、人々にクリームタルトを配って回る若者が現れた。若者は、生きることに絶望して -
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19世紀のロンドンを舞台に、アラビアンナイトを下敷にして書かれた物語集。自殺クラブから始まり、ボヘミアのフロリゼル王子が関わる一本の大きな物語が、いくつもの短編で紡がれていく。
最初は一体何の関係があるの?という物語でも、少し読み進めると、あーここに繋がるのか!という感じ。
あとがきにもあったが、19世紀ロンドンは経済発展著しく、他の国からすると、魔都のようでまさしくアラビアンナイトの世界だったのかもしれない。
今のロンドンはガス燈でもないし、暖炉の使用が禁止されてから霧の都でも無くなったけど、それでも夜はビクトリア朝を思い起こす画がある。
中学生の姪っ子にお薦めしたい。 -
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この作品集のジャンルはSFだろうか、どちらかといえばオカルトに近い感じがする。「ダイヤモンドのレンズ」は後の顛末を予想しながら読みつつ、後半での意外な展開に驚きました。ファンタジー色豊かであり且つ、流麗な文章により、この作品が世にでた時代の人達はミクロの世界に思いを馳せたのではないでしょうか。
他に印象に残ったのは生前の自分がとった行動を悔いて現世に蘇る「チューリップの鉢」、「あれは何だったのか」は透明人間のルーツだろうか。「ハンフリー公の晩餐」はもっと内容を膨らませて読ませてほしいと感じるほどに好みです。
逆に、謎が多すぎて物語に入っていけない「不思議屋」、「手品師ピョウルー」は表現力にもク -
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著者の家、南條家は文の卸商を日本橋で営んでいた。
祖父はもともとこの家に従業員として入ったが、震災の後に流行った感染症で他界した主人に代わり店を切り盛りし、やがて主人の未亡人と結婚して家を継いだ。
両親はフランスで暮らしていて、著者はこの家で曾祖母、祖父母に育てられる。
筆者が育ったころは、店をたたんで、原宿、そして浅草千束町に転居。本書では主にこの浅草の家での思い出が語られる。
うん、ここだけ読んでも、ただものでない感じが漂う。
ねえやの花ちゃんに作ってもらった料理、外で食べさせてもらった様々な店のもの、三越の食堂、買っていた猫や魚。早世した叔母の思い出。
このように、さまざまなことが語ら -
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ネタバレ――
このあたりでチェスタトンをどうぞ。
英国ミステリってだいたいミステリの全ジャンルを網羅してるなと思うのだけれど、怪奇・伝奇ミステリといえばやっぱりチェスタトンになるでしょう。
これもしかし、誰訳で読むかによって随分印象が変わりそうでもある。注釈の付け方とか――注釈を訳文の中に盛り込んでるイメージの中村訳ブラウン神父譚のほうが、個人的にはスムーズで好きなんだけれど原文派は違和感あるのかしら。
本書は原題を『The man Who Know Too Much And Other Stories』ということで、『知りすぎた男』の訳書から漏れた「Other Stories」を一 -