南條竹則のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
チェスタトンの面白さがやっと分かってきた感じがする。
高校から大学にかけて、ドイル、クリスティー、クイーン、カーと読んできて、そこからブラウン神父に手を伸ばした。当時は何かひねった文章というイメージが強く、チェスタトンの逆説というような解説を読んで、こういうものを逆説というのかと、良く分からないまま文字面を追っただけだった。
最近、南條氏訳のチェスタトンの短編集を何冊か読んできて、理性と狂気、信仰と科学、迷信、伝説と論理といったことについて、チェスタトン流の表現方法が漸く分かってきた気がする。
謎を解き明かすといった点からも、本作に収められている各編はとても面白い。
冒頭作の『 -
-
Posted by ブクログ
17世紀~20世紀初頭の英国怪異譚を、紹介する随筆集。
雑誌「幽」に連載された作品を改稿している。
全18話。文字と挿絵は紫色で統一。
自らを“吾輩”と称し、7世紀~20世紀初頭の好事家の如くの
口調で語る、英国怪異譚中心の随筆です。
「幽」の読者を対象にした随筆と作品紹介なだけに、
マニアックで専門用語をちりばめていますが、
純粋に怪奇譚として楽しむのには、興味深い内容でもあります。
幽霊、魔所、異人への偏見と恐怖、宗教、地獄、古き神々、
ファム・ファタル、妖精、さわりの木、屍蝋燭等を語り、
加えて、そこはかとなく翻訳家の矜持を示しているのも、良い。
特に、バラッドとロバート・バーンズのタム -
Posted by ブクログ
H. P. ラヴクラフト(1890-1937)といえば怪奇(ホラー)小説の有名どころで、マニアックなファンも世界中に多く抱え、多くの、今日言うところの「二次創作」の作品群のみなもととなった「クトゥルー神話」の作者であり、私も高校生の頃に創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』全7巻のうち1巻から3巻までを買って読んだ。が、その当時どうもこの作家の作風に今ひとつ乗り切れないものを感じ、若干苦手なような、「好き」とまでは言えないような状態であった。
新潮文庫版のこれは新訳で、昨年12月に出たばかりの文庫オリジナルである。実はこれは新潮文庫版「クトゥルー神話傑作選」の2冊目のようで、既に既刊があるらし -
-
Posted by ブクログ
完全にあっちの世界に行っちゃてるのがファンタジーで、狂気か神秘か、現実とのあやふやな境界を行ったり来たりするのが幻想小説あるいは怪奇小説である。これは現実なのか脳内で起きてる狂気なのか。現実って何だ?「白魔」は善悪論争から始まる。殺人者と虎のような野蛮な人間の違いは何か。悪の基準は社会の色眼鏡で見たものに過ぎない。悪意なく悪事を働くこともある。違いは悪意の有無?その具体例として借りた一冊のノート。それは一人の心優しい女性が白い妖魔たちに囲まれて育ち周囲に隠れて常識人には悪である向こうの国に行き来した手記だった。マッケンは神秘を否定する人物を登場させながらその存在を肯定する。「生活のかけら」は幸
-
Posted by ブクログ
何で読んだだらうか。スフィンクスの話のあらすじを読んで心惹かれたことを覚えてゐる。
あらすじでは謎こそスフィンクスといふことだつたが、それはかなり大雑把すぎるあらすじだらう。さういふ話があつたらしいとしめくくつてゐるところに謎があるのではないか。あくまで、この話は伝聞でしかない。謎の内容ではなく、謎を問いかける存在そのものこそが謎。スフィンクスの異国的な姿かたちとあひまつて、謎はひとを魅了する。現存するエジプトのスフィンクス像のその先にある謎。
カンタヴィルの幽霊は、喜劇的な物語の中に、皮肉と哀愁、そして浄化を含んでをり、単なるコメディではない、印象的な物語。劇で上演されたならかなり舞台映えす -
-
Posted by ブクログ
宇宙的恐怖(コズミックホラー)の始祖
売れ出したのは死後らしいですが、
他の作家たちが、話を広げていったエピソードが、ファンが2次創作で広がっていったスターウォーズの流れにも似てます。
そんな、作家の入門編
表現しづらい見えない怪物(蟹、鳥、烏賊蛸、菌、山のキメラっぽいやつなど様々)、怪奇現象に気づいてしまった、巻き込まれてしまった人々の恐怖を様々なパターンで描きます。
暗躍する怪物の名から「クトゥルフ神話」と呼ばれているシリーズ
キングやクーンツなどのモダンホラー(古!)を読んでる私としては、どの話も真面目に「ボブは自分の体が、首の無い状態で倒れかかってくるのを見る羽目になった。何故なら -
Posted by ブクログ
曜日で呼び合う無政府主義者たちがおいかけっこをする話(無体な説明)。ところどころ入るうだうだした哲学めいた議論がおもしろい。
続きが気になってサクサク読んだ。よくできたキャラクター小説といってもよいんじゃなかろうか。月曜日から日曜日までキャラたちすぎ!ホワイダニットかと思って読み進めたらもっと壮大な話でちょっと肩すかし。
その後解説を読んでちょっと納得。壮大な中二病小説だったんだよ!とか言うとファンの方に怒られるかしら。でもそうするとのめり込んで読んだことにも納得できるんだよなぁ。世界に絶望し、思想に耽溺し、破滅を希求していたあの頃…つって36になったおじさまが思い出しながら書いてたと思うとち