作品一覧

  • 白魔(びゃくま)
    3.4
    1巻649円 (税込)
    「白い人が、微笑みながらやって来る……」緑色の手帳に残された少女の手記。彼女は迷い込んだ森のなかで「白い人」に魅せられ、導かれて……(「白魔」)。平凡な毎日を送るロンドンの銀行員にウェールズの田舎の記憶が甦り、やがて“本当の自分”に覚醒していく(「生活のかけら」)。自らも絶望のうちに黒魔術に傾倒した経歴を持つ不遇の英国作家マッケンが、魔の世界を幻視する幻想怪奇短編! 本邦初訳の3篇を含む。
  • 白魔(びゃくま)

    Posted by ブクログ

    「白魔」「生活のかけら」「薔薇園」「妖術」「儀式」を収録。最初の二篇は平井呈一訳『恐怖』で読んでいる。

    この人は物事を匂わせるような暗示的な書き方が特徴でそれが気味の悪さを醸している。「白魔」「妖術」「儀式」はどれも魔女の話だが具体的な動機や結果は書かれない。モヤモヤするがだからこそ記憶に残る。

    「生活のかけら」、前に読んだときは謎めいた雰囲気はユニークだが退屈な話と思った。これまで現実だと思われていたものが実際には夢幻であり、これまで夢幻と思っていたものこそが現実だった、と神秘主義に開眼する銀行員の話。が今回読んで、マッケンが43歳のときに書かれたこの小説は「中年の危機」を描いた小説なの

    0
    2024年05月24日
  • 白魔(びゃくま)

    Posted by ブクログ

    完全にあっちの世界に行っちゃてるのがファンタジーで、狂気か神秘か、現実とのあやふやな境界を行ったり来たりするのが幻想小説あるいは怪奇小説である。これは現実なのか脳内で起きてる狂気なのか。現実って何だ?「白魔」は善悪論争から始まる。殺人者と虎のような野蛮な人間の違いは何か。悪の基準は社会の色眼鏡で見たものに過ぎない。悪意なく悪事を働くこともある。違いは悪意の有無?その具体例として借りた一冊のノート。それは一人の心優しい女性が白い妖魔たちに囲まれて育ち周囲に隠れて常識人には悪である向こうの国に行き来した手記だった。マッケンは神秘を否定する人物を登場させながらその存在を肯定する。「生活のかけら」は幸

    0
    2020年11月16日
  • 白魔(びゃくま)

    Posted by ブクログ

    非日常に実在を見、日常をまやかしと見る。
    どの作品も日常の生活に隠されて見えない実在(聖や魔)に登場人物たちが引き込まれていく物語。
    直接的な描写はなく、あくまで「何か違うもの」に対しての象徴や予感を静かに描く。
    物語としてははっきりしないものが多いが、見えない真実、本当の生きる意味、どこかにあるという確信のもつやさしさ。
    わけがわからない不気味さと共に、何故か癒される作品群。

    0
    2009年10月04日
  • 白魔(びゃくま)

    Posted by ブクログ

     ヴィクトリア朝時代の英国ウェールズに産まれた稀代の作家アーサー・マッケン。牧師の子であったがアーサー王伝説の色濃いウェールズで育った故か、神学と同時に隠秘学(オカルト)にも傾倒し、前期はケルト神話やギリシア神話をモチーフとした幻想的な怪奇小説を連続して発表したが、いずれも当時の価値観に合わず「不道徳な汚物文学」として批判された。
     本書は翻訳家である南條竹則による「彼岸」と「女性」をテーマにしたマッケン作品の選集である。

     以下、ネタバレ無しの各話感想。
    ---------------------------------------------------------
    『白魔』
     緑色の手

    0
    2022年11月12日
  • 白魔(びゃくま)

    Posted by ブクログ

    なんか自分には染み入らなかった。常々へんてこに対する人間の苦悩恐怖もがき羞恥、そういうのを追いかけてる気がするが、この作品は自分には美しいファンタジックな世界への賛美としか感じとれず薄味だった。丁寧に作られた郷土料理をふるまわれ、素材の良さを感じ取れなかったみたいな。

    冒頭に、聖者とは罪人とはその本質を
    語る部分がある。我々は自分にとって不愉快な人間を罪人と考えたがるが、その行動事態は人情である。盗人は未発達な人間にすぎない。悪とは関係ない。非常に興味深い匂わせが書かれているがそれが具体的じゃなかった。

    0
    2018年07月29日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!