南條竹則のレビュー一覧
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ネタバレ初クトゥルー神話。独特の雰囲気で、唯一無二の気味悪い世界観を丁寧に構築している。
個人的にベストは「闇にささやくもの」と「インスマスの影」。
○異次元の色彩
隕石の落下によって変質していく郊外の土地と、そこで暮らす一家の悲劇を描いた物語。主人公である測量士の語りによって、農家の井戸の近くに落下した隕石から放たれる「異次元の色彩」が、土地と生物、そして人間をも侵食し、徐々に正気を奪い、破滅へと導く様子が描かれる。
○ダンウィッチの怪
マサチューセッツ州のダンウィッチ村で、妖術を操る一家の血を引くウィルバーという少年が、人間離れした成長と行動を見せる怪奇譚。ウィルバーは人智を越えた怪物を呼び出すための鍵となる≪ネクロノミコン≫を閲覧しようとし、最終的に、父である異次元の魔神の力によって生み出された巨大な怪物が出現し、村は壊滅の危機に瀕するが、アーミテッジ博士らの活躍により退けられるという物語。
○クトゥルーの呼び声
主人公が亡き大叔父の遺品から発見した粘土板やメモから、かつて宇宙から飛来した邪神クトゥルーとその教団の存在を知り、深淵なる「宇宙的恐怖」に触れていく物語。世界中で同時多発的に夢を見る人々や、海底都市の浮上、謎の怪物の出現といった不穏な現象と連動し、最終的に主人公は人類の存在が取るに足りないものであるという真実を悟る。
○ニャルラトホテプ
エジプトから来た高貴な姿の人物が、人々を奇妙な現象の渦中に引きずり込み、最終的に宇宙的な恐怖へと導く物語。主人公は友人とともに講義を見学し、そこでニャルラトホテプを侮辱したことで追い出され、その後、人々は次々と不可解な現象に見舞われ、最終的に主人公だけが宇宙の彼方の恐怖を目にする結末を迎える。
○闇にささやくもの
民俗学者のウィルマートが、洪水の後に河原で発見された蟹に似た奇妙な死体の調査を始める。調査を進めるうちに、彼は「ミ=ゴ」と呼ばれる異星生物の存在と、その生物が人間から脳を摘出し、宇宙旅行を可能にする手術を行っていることを知る。最終的に、ウィルマートはエイクリーという人物がミ=ゴと和解したことを信じ、彼の家を訪れるが、そこで恐ろしい真実を目の当たりにして逃亡する。
文通でストーリーが進んでいく過程がとても楽しめた。
○暗闇の出没者
若い怪奇作家ロバート・ブレイクが、プロビデンスの廃教会堂で宗教団体「星の知恵」の秘密に触れ、古代の存在を知る中で、やがて自身も「闇」に囚われ怪死を遂げるという物語。
○インスマスの影
語り手が旅の途中で立ち寄った、住民の奇妙な容貌と町全体に漂う不穏な雰囲気で知られる港町インスマスを舞台にした物語。語り手がインスマスを調査するうちに、この町に隠された、人間ではないものとの血縁に由来する忌まわしい過去と秘密に触れることになり、最終的には自分自身もその影に蝕まれていく恐怖を描いている。
ホテルから脱出後、町全体で執拗に追いかけられる描写が怖すぎた。 -
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森鴎外を読んで、ちょっぴり日本の昔の話に興味が出てきたので本作を手に取った。再読。
1作目の耳なし芳一がとても良い。平家の恨み悲しみが伝わってきて涙しそうになった。怖いけど物哀しい。これぞ日本の怪談話。素晴らしい。
一方でむじなや雪女はコンパクトに纏められており、外国人が書くから淡白なのかなぁと感じた。ハーンの英文を日本人が翻訳しているため不思議な感覚はある。日本の文化や風習、民族性が表現され、現代人の私が読んでも気づきがある。よく書き残してくださったと感謝する。
次の朝ドラがラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻セツの話らしい。この春に松山城を訪れた際に知った。どういった経緯でハーンが日本を愛する事になったのか、怪談を書くためにどのような苦労があったのか知れるだろうか、と「あんぱん」を見ながら期待している。 -
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新潮文庫の傑作選、3冊とも購入したものの、読む順を盛大に間違えました(これが3冊目)が、短編なので問題なしということにしましょう。
同じ作者の作品なのに、一気読みしてしまうようなものと、なかなか読み進めるのが困難なものとが混在している短編集。
「アウトサイダー」や「忌まれた家」、雰囲気変わって「セレファイス」が好きかな。
相対しているものの性質上、致し方ないのかも知れませんが、オチが似ているように感じてしまいました。
話の雰囲気は違っても、結局人は何の抵抗も出来ず、怪しい家は崩壊して主人公は死ぬか気が狂うかして終わるという。
だからこそこの世界観が広がった面はあるだろうし、サイコロというどうにもならないものによって運命が変わるTRPGとして人気が出るのも納得なのですが、一方でクトゥルフモチーフのゲームがクソゲー化しやすいのも納得。
思ったより個々のストーリーにはインパクトを感じませんでしたが、クトゥルフ神話というもののイメージは脳裏にしっかりと刻まれた、そんな一冊でした。 -
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クトウルー神話傑作選
苦手なラグクラフトですが
これは 全15編の短編集なので
思いの外楽しめました
「アウトサイダー」 1926
廃墟となった広大な城
城の外はどこまでも続く森
空をみたい
塔を登り続ける
自分が映し出された姿に驚愕する
アウトサイダーは、誰だ
人間社会に居場所を持たぬ存在の孤独
「無名都市」1921
アラビアの砂漠の奥地
名前の無い都市
アラビア人 アルハザート 架空の人物
ネクロノミコン 架空の書物
これらの詩が引用され 全体的に悪夢的
私は一人無名都市にたどり着く
そこには朽ちた神殿
天井は低く 地下へと続く
壁画には爬虫類系の生物
人類以前の文明の歴史絵巻→狂気の山脈へと
「ヒュプリス」1923
眠りの神
若く美しい彫刻のような神
彫刻家は家に招き共に暮らす
友人は眠りを夢を恐れる
ある日 北冠座からの光に照らされて彼は彫刻となる
宇宙的恐怖 割と好き♡
「セレファイス」1922
架空都市 (夢に見た都)
夢を彷徨うクラネス
子供の頃見たセレファイスに入り込む
その都市に行く為 麻薬に溺れていく
夢の中でその地を支配して 現実では…
現実世界に膿んだ人間が夢の世界へ避難する
「アザトホート」1938
白痴の魔王 神々の始祖
2.5ページくらいのショート
わからない なんかの断片らしい
「ポラリス」1920
北極星が見える部屋に住む男
夢の都市で肉体を得る
幻想の中でイヌート族の侵攻を見る
「ウルタルの猫」1920
ウルタルには猫を捕まえて殺す老夫婦が居た
旅の少年の猫が居なくなる
少年は何か祈りを捧げると
翌日町から猫が一匹も居なくなる
その次の日 猫達は満腹で帰宅
老夫婦は骨が見つかる
動物は可愛がりましょう
「ベツの神々」1933
神々は高い山に住む
ウルタルの賢者バルサイは 神を見たい
月蝕の中 大地の神を見る
そこに別の神が現れて…
見てはいけない物を見てはいけません
「恐ろしさ老人」1921
キングスポート物語群
キングスポートに住む一人暮らしの老人
たいそう金持ちで身体が弱いと噂
三人の強盗が忍び込む
翌朝、男達は浜に捨てられていた
人を見かけで判断してはいけません
この三人の男の名前がアメリカへの移民系で
100年前の移民問題
「霧の高みの奇妙な家」1931
恐ろしい老人の続編らしい
険しい岩山の灰色の家
そこが彼の住まい
うーん?就職語が多すぎて日本語がよくわからない
そこに行った哲学者が廃人のようになって戻る?
「銀の鍵」1929
ランドルフカーターが夢で見つけた
大きな銀の鍵
それは 夢の門の鍵
毎晩 その鍵を使いあらゆる不思議な国へ
大人になって鍵を無くした
「名状しがたいもの」1925
墓場の隣の廃協会
二人の友の見たものは
あれはなんだったんだ?
あいつは名状しがたい物
ザ解決
「家の中の絵」1921
雨宿りした古い家
古い家の中の古い調度品
恐ろしいほど生きていそうな老人
コンゴ王国記の人肉部族の絵
「忌まれた家」1928
クラフトの生育地
プロヴィデンスの古い家
ここで続く不審死主人公は泊まり込み調査
クラフト版残穢的な土地の怪異
「魔女屋敷で見た夢」
勉強しすぎの数学者
呪われた魔女の家を借りる
ほんとに魔女の家だった
しばらく、クトウルーはお腹いっぱい -
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ラヴクラフト初体験。
クトゥルフ神話の生みの親。ホラーが苦手ではあるが、これだけ有名な作品群なのだから一度は手に取ってみないとと思い挑戦。
本作は表題作「狂気の山脈にて」と「時間からの影」という中編2篇を含む8篇から成る。
真っ先の印象としては、ラヴクラフトが創出する恐怖を恐怖として堪能するためには、かなりの想像力が必要だなということ。
卓越した想像力の結果を余すところなく文章に落とし込むので、それを再構築するのにだいぶ骨が折れる。
おそらくホラーにはホラーを読むスキーマが必要なのだろうが、怖いの嫌いな私はそんなものもなく、ただひたすら彼の記述からイメージを構築する。
ただ、私が再構築したイメージは、そんなに怖くないのだ。
恐怖の基となる、恐怖の対象となるものが霊とかゾンビとか狂った人間とかではなく、宇宙的なもの、遙か昔に宇宙からやってきたものという設定なのでそういう意味ではSFとして読むことができる。
その視点からすると、割と面白い。とりわけ、中編2篇については導入から中盤にかけてはホラーというよりもSFテイストが強く、そこまでは興味深く読める。
ただそこから恐怖の場面に転換するときに、私の想像力がおっつかなくなる。
想像がおっつかないのに、たたみ込むように、あるときは内省的に、またあるときは状況を徹底的に細かく文章にして浴びせてくるので、うわあとなる。
物語そのものの恐怖よりも、「あれ、おれバカなのかなもしかして」と思う恐怖の方が上回ってしまったかもしれない。
これはもう、仕方ない。私の能力不足である。向いてなかった。
熱狂的なファンがいるし、クトゥルフ神話はある意味盤石のジャンルとして成立しているわけなので、好きな人にとってみればこのテイストがたまらなく面白いに違いない。
それもこれも試してみないとわからないので、ホラー系が好きかもな方は一度挑戦してみて欲しい。 -
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「緑茶」と「カーミラ」は随分前に読んだことがあるが、細部は覚えていなかったので、ほとんど初読のようにして読むことができた。
「緑茶」は、読み終えてもスッキリしない。 ”あいつ” は一体何だったのか。なぜ現れたのだろうか?
「カーミラ」が何者かは早めに見当がつくが、今回読んでみて思ったこと。「あなたはわたしのもの。わたしのものにしてみせる。あなたとわたしは永久に一つ。」というカーミラのローラに対する言葉があるが、この言葉を字義通りに取れば愛の台詞そのものだ。このほかにもローラへ向けるカーミラの視線、態度など、本作には同性愛的な表現がたくさんあることに、改めて気付かされた。
本作には怪奇幽霊譚計6編が収録されていて、かなり恐怖味を感じるものからユーモラスなものまであり、楽しく読める。