南條竹則のレビュー一覧

  • 狂気の山脈にて―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    クトゥルフ神話と呼ばれるラブクラフト作の短編集。
    ジャンルとしてはSFと怪奇ものが混ざった、というべきか。ネクロノミコンや大いなる古きものらというモチーフが複数の話で出てきて、世界観として緩やかに統一されている。舞台は現代。登場人物たちは偶然か必然か、この世の常識では創造出来ない何かに遭遇したり体験したりした結果、精神に何らかの異常を来してしまう。
    研究科や探検など研究者の立場での主観で話が進むため、文章がやや学術的で表現が非常に複雑であったのが、あえての世界観ということは理解できるが非常に読みにくかった。

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    2024年01月02日
  • 怪談

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    耳なし芳一、ろくろ首、雪女、幼少の頃、恐怖の世界に陥し入れてくれた物語がここにあった。
    ただ、今読むと恐怖というよりは不思議な物語ばかりだ。さらに言えば美しさすら感じる。私も歳を重ねたものだな。

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    2023年12月24日
  • ポンド氏の逆説

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    素直な筋の小説がかなり少なくて、脇道にそれたりどうでもいい表現のところでページを費やしていたりする。執筆された時期が1936年なのもあって共産主義・社会主義やら戦争の話やダーヴィンのことも出てきて時代を感じる。さらにイギリスの劇のパントマイムが題材になっている話があって、イギリスの風俗に詳しくないとよくわからない感がますます高まってしまう。
    「黙示録の三人の騎者」の完成度が非常に高い。この話一本で本書の価値の5割はある。

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    2023年12月02日
  • 怪談

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    知人の主催されているオンライン読書会の課題本として、最初の三編を読み合いました。やはり「耳なし芳一」が圧倒的知名度でしたが、平家絡みの話とは知らなんだ。なぜ「耳」なのかについては、耳は世界との回路=異界との回路=あの世とこの世をつなぐから「見えていた」のではないかと考えました。また、語られた物語の当時は、「死」が身近だったために、より「生」への思いや執着が強かったのではないかと考えました(以下、つづく)。

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    2023年11月05日
  • 狂気の山脈にて―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    20世紀アメリカ。ラヴクラフトの暗黒神話。クトゥルー(邪神・発音できないのが目的なので便宜上)
    神話、短編8作。

    「狂気の山脈にて」
    冒険ありの怪奇小説。
    南極大陸の探検隊が、驚くべき発見をする。
    独特な進化をした大型生物の化石群。
    広大な都市跡。
    人類史よりも古く、壁画に謎の文明の歴史を残す。
    栄華を誇っていたその文明の崩壊は、下等生物の反乱か。
    しかし、隊員隊は、未知の生物の復活により危険が迫る。
    脱出できた隊員達は、この危険な場所を秘密にする。
    なかなか大作で、込み入って、同じような表現がぐるぐる出てくるので、上手く説明できません、が!
    2017年ドラえもん「南極カチコチ大冒険」が、オ

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    2023年09月24日
  • アウトサイダー―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    初心者が噂のクトゥルーを読んでみるぞ三冊目!
    今回は「ハイファンタジー」も含む一冊で、前二巻とはまた毛色が違っている。
    不気味で湿度の高い陰気な屋敷や町並みが展開する一方で、夢の中で幾度を旅するきらびやかなファンタジー世界も作者のなかに広がっている。

    個人的な読書体験になるけれど、直前に『文豪怪談傑作選 妖魅は戯る』(ちくま文庫)を読んでいた。
    夏目漱石の「夢十夜」に連なる「夢」をもとに描いた作品を中心に収録した一冊で、
    独特な夢日記を展開する中勘助、うす暗さと怪談味を帯びる内田百けん、見た夢をその都度分析する寺田寅彦と、
    「夢」の世界、「夢」への向かい方、作品の描きかたなど、それぞれの個性

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    2023年09月23日
  • 狂気の山脈にて―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    SFかホラー。クトゥルー神話。太古の地球を支配した宇宙からの生命体が甦る、かも知れない。訳文が読みづらい。2023.9.6

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    2023年09月07日
  • 狂気の山脈にて―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    南條竹則編訳のクトゥルフ神話作品集第2作。
    編訳者解説でのクトゥルフ神話の説明──「人類が現れるよりもはるか以前に宇宙から飛来して、この地球を支配していた存在がいる。かれらは事情(わけ)あって地球の表舞台から姿を消したが、今も海底や、人跡到らぬ山林や、次元の隙間に身を隠して復活の機会をうかがっており、太古以来かれらを崇める秘密の教団がある──」というものも、とても分かりやすく、各話コメントも理解の助けになる。
    『狂気の山脈にて』や『時間からの影』における旧支配者たちの設定はおぞましいながら壮大で面白い。

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    2023年09月05日
  • 狂気の山脈にて―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    業績として人物を語るならば、ラヴクラフトは偉大な人かもしれない…とひとりごちつつ、「狂気の山脈を登攀する」みじめとしか言いようのない心境になっていって、最後、3割を残して名誉ある撤退を決意。
    これも読書だと自分なりに判定して。

    とてつもない著作群を執筆した人物らしいが、趙がつくほどの叙述的文体は長時間読み続ける精神力が続かない(むろん体力も)
    そうでなくても、近年と身にはやって居rというか、主流になっている、ショートセンテンス、酷いものになると頁の6割程度にパラリとちりばめられたかのような文体、文章構成が増えている、しかもも自分も慣れている
    愚かしい現状では、よほどのマニアックな方でないと読

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    2023年07月09日
  • 不思議屋/ダイヤモンドのレンズ

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    ★このような陶酔と歓喜の瞬間を享しむためなら(p.49)
    古き良き怪奇と幻想という感じです。きょうびの読者には物足りないかもしれませんがこういうタイプのはゆったり楽しめます。

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    2023年05月21日
  • 消えた心臓/マグヌス伯爵

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    150年くらい前の作品。雰囲気はあるような気もするが。全然頭に入ってきませんでした。短編というのもあるんですが、いわゆる読者に全然おもねらない文章で、(もしかしたら原文(イギリス産)は違うのかもしれませんが)私個人の感想としては頭も要領もよく、金持ち健康で、それが理由で感受性が養われなかったのか?とかいつものような僻み根性がでてきてしまいました。この文章、インテリでない、その日暮らしのような身の上の人が書いたという触れ込みであっても、おまえらは、お前たちは、このように絶賛の嵐をおーこーしてー、すーべーてをー。

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    2023年04月11日
  • 奇商クラブ

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     ブラウン神父で知られるチェスタトンの短編集ですね。 旧版は本筋の短編集の他に凄く面白い中編が2つも入ってるらしいのですが今回読んだのは新訳版になります。 奇抜な手法で利益を上げる秘密結社「奇商クラブ」、主人公たちの前に訪れる面妖な人物たちは一体どんな稼ぎの術を・・・?

     奇譚の名にふさわしい六編でした。 自分の職業柄「家宅周旋人」が好み、実際すっごくニッチな分野ありますもの。 世の中が益々便利になっていき、個々の思想が具現化しやすくなった今世紀、如何なる者にも奇商クラブの会員に成り得るのだ。

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    2023年03月01日
  • 奇商クラブ

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    面白い、と感じるんだけど、今ひとつ入り込めなかった……。

    「ブラウン少佐の途轍もない冒険」、「赫赫たる名声の傷ましき失墜」が結構よかったかな。

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    2023年02月13日
  • マンアライヴ

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     はじめの50ページ辺りまでは、一体どういう話なのか良く分からずなかなか読み進められなかったが、イノセント・スミスの不可解な行動ー会って間もない女性にプロポーズする、拳銃を撃って危うく人を殺しそうになる、プロポーズした女性を置いて馬車で逃げようとしながらまた戻ってくるなど〜を見て断罪しようとする側と、弁護しようとする側との間に繰り広げられる私設法廷での不思議なやり取り。

     チェスタトンならではの哲学的な思いに誘われる作品。中編ではあるが、連作短編のような構成で、スミスの不可解な行動の意味が徐々に解き明かされていく過程が面白い。

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    2023年01月31日
  • カンタヴィルの幽霊/スフィンクス

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    アーサー・サヴィル卿の犯罪、カンタヴィルの幽霊、そのほか二つの短編も楽しめた。だけど、、、スフィンクスと絡めてエイダ・レヴァーソンの短編と回顧録を入れる必要があったのだろうか…

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    2023年01月22日
  • アウトサイダー―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)

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    短編15編。すらすら読み進められるかと思いきや、中盤のハイ・ファンタジー系も含めなぜか目が滑るというか、作品世界内の描写がどうにもイメージし難く、逆に疲れてしまう始末。最後の2編、「忌まれた家」は今年になってからアンソロジー『怖い家』で読んでいたし、「魔女屋敷で見る夢」は以前コミカライズ版を読んでいたこともあってまあなんとか。新潮文庫版のこのシリーズを3冊続けて読んで、ラヴクラフト作品はやはり自分には今一つ性に合わないのかもしれない……ということを感じた次第。

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    2022年12月07日
  • 消えた心臓/マグヌス伯爵

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     英国生まれの古文書学者で、聖書学者で、そして怪談作家という異色の経歴を持つ作家、M.R.ジェイムズ。元々作家志望ではありませんでしたが、生来の怪談好きが高じて創作怪談を自作しては茶話会でそれを朗読し披露していました。
     処女作である怪談集も、本来の目的は親友の絵を世に売り出すことだったのですが、その出来が評判を呼び、怪談作家としての地位が確立されたのです。
     本書は処女作である『好古家の怪談集』の南條竹則氏による新訳本です。ラヴクラフトの作風に影響を与えたとされるのも尤もで、所々で後のクトゥルフ神話を思わせる表現が出てきます。
     ブラックウッド、マッケンとともに近代イギリス怪奇小説の三巨匠と

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    2022年11月23日
  • 英語とは何か(インターナショナル新書)

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    英語というものが成り立った歴史を知ることが出来ました。
    英語の勉強とか学習法というよりは、「なぜ英語を学んでいるのか」だったり「英語を学ぶことが日本人にどんな影響を与えるか」だったりと、そういう側面を知ることが出来た。
    面白かったです。 英語の知識がもっとあればより楽しめたかもしれない。

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    2022年11月15日
  • 白魔(びゃくま)

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     ヴィクトリア朝時代の英国ウェールズに産まれた稀代の作家アーサー・マッケン。牧師の子であったがアーサー王伝説の色濃いウェールズで育った故か、神学と同時に隠秘学(オカルト)にも傾倒し、前期はケルト神話やギリシア神話をモチーフとした幻想的な怪奇小説を連続して発表したが、いずれも当時の価値観に合わず「不道徳な汚物文学」として批判された。
     本書は翻訳家である南條竹則による「彼岸」と「女性」をテーマにしたマッケン作品の選集である。

     以下、ネタバレ無しの各話感想。
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    『白魔』
     緑色の手

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    2022年11月12日
  • 裏切りの塔 G・K・チェスタトン作品集

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    ノンシリーズ短編集。
    表題作と「高慢の樹」は『奇商クラブ』に収録されているが、読んだのはかなり昔なので全く覚えていなかった。
    ミステリ的な切れ味より詩的な雰囲気を楽しむ話が多く、ブラウン神父シリーズより地味だがチェスタトンらしさに溢れている感じ。
    ベストは、動物や人間を貪り食うという異形の樹に挑んだ地主の失踪事件を描いた「高慢の樹」。

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    2022年10月07日