南條竹則のレビュー一覧

  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    非常に多面的な顔を持つ小説だ。冒頭の抽象的な詩文から始まり、無政府主義結社に潜入し真相に迫ってゆくサスペンス調の中盤とは打って変わり、後半はなんだか喜劇を読んでいるようである。めまぐるしく遷り変る立場と音楽的な文章が読者を混乱させる。エンターテイメント性があるのは間違いないが、なにやら哲学小説なような側面もある。

    序盤はやや退屈かもしれないが、進むにつれ面白みは増していくので、読み手を煙に巻くような妙を味わっていただきたい。

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    2017年04月03日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    ネタバレ

    秩序と常識とカトリック信仰を愛するサイムは、無政府主義者を嫌悪し、警察の対無政府主義特殊部隊に入隊する。そして彼は策略を用いて無政府主義組織の幹部の地位を得る。無政府主義組織の評議会は「日曜日」と呼ばれるカリスマを頂点とし、月~土曜日の6人の幹部によって構成されているが、実は日曜日以外の6人は皆サイムと同じ特殊部隊の刑事であり、彼らを特殊部隊に勧誘した警察幹部と日曜日は同一人物であることが判明する。結局物語はサイムの夢であった。

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    2017年04月03日
  • 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~

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    「空家」は何度読んでもゾクゾクします。
    ビジュアルではなく、音や触感で感じる恐怖。
    私にとっては最高傑作です。

    けれど他のどの作品もブラックウッドらしい美しくもの悲しい雰囲気の中、恐怖や不思議が絶妙に描かれていて読みごたえがあります。

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    2016年05月17日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    ミステリものかと思っていたけど、ミステリ要素もある冒険活劇もので、さらにとても詩的だった。山田風太郎はこの影響を受けてたりするのかな、とも思う。とにかく詩的で幻想的だったのが印象として強い。

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    2015年03月21日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    曜日で呼び合う無政府主義者たちがおいかけっこをする話(無体な説明)。ところどころ入るうだうだした哲学めいた議論がおもしろい。
    続きが気になってサクサク読んだ。よくできたキャラクター小説といってもよいんじゃなかろうか。月曜日から日曜日までキャラたちすぎ!ホワイダニットかと思って読み進めたらもっと壮大な話でちょっと肩すかし。
    その後解説を読んでちょっと納得。壮大な中二病小説だったんだよ!とか言うとファンの方に怒られるかしら。でもそうするとのめり込んで読んだことにも納得できるんだよなぁ。世界に絶望し、思想に耽溺し、破滅を希求していたあの頃…つって36になったおじさまが思い出しながら書いてたと思うとち

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    2014年04月23日
  • 人間和声

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    The Human Chord, 1910.
    ジョン・サイレンス先生のブラックウッド。
    (Algernon Henry Blackwood、1869年3月14日 - 1951年12月10日 )

    真名を四重奏で歌うことにより神の力を手に入れる。
    そのために集められた4人の唄い手(詠唱者)。
    和音を醸すソプラノとアルトは恋仲になってしまい神の力か人の世の愛か悩む。

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    2013年12月11日
  • 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~

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    幽霊譚など怪奇幻想もの。小説の構造として奇妙なものも多いんだけど、文章の密度というか、ビジョンというか、雰囲気がすごく良くて、怖いというよりも、物語がしみじみ心にしみてくる感じ。

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    2012年10月13日
  • 新アラビア夜話

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    ネタバレ

    勧善懲悪というか信賞必罰が貫かれているので
    読後にモヤモヤせずに済む。
    また狂人が出てくることもないので、感情移入もしやすい。

    読むにあたって知っておくべきこともないので、
    頭を使わずに読める本として非常に面白い。
    ただ読後に何か考えさせられる本か、というと違うと思う。

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    2012年09月09日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    まずタイトルがいい。どんな物語が始まるのか期待して読んでみたら、まぁ奇想天外な冒険活劇でした。
    物語の面白さもありつつ、哲学的とゆーか、作者の思想が濃く盛り込まれていて、よくわからない部分もあったんだけど、それでもおもしろく読めた。キリスト教の知識があればもっと面白いのかな?っと思ったけど、楽しめる小説でした。

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    2012年08月01日
  • 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~

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    ショートハウスが出てくる作品を主に集めた短編集。
    ゴーストが主だけど、人狼的なもの、吸血鬼的なもの、バラエティに飛んでいて面白く、すぐに読み終わってしまった。何度でも読み返したい本。

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    2012年12月23日
  • 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~

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    表題作他10編の、英国式古典的怪談集。
    蝋燭の仄明かりを頼りに暗がりを進んで行くと、
    フッと何者かの顔が視界に飛び込み、
    またすぐに消えた……が、
    それが何だったのか、説明がつかないまま終了――とか。
    このモヤモヤ感が堪らない。
    本体が死すとき、
    その分身(投影、あるいは副産物)も共に滅びる、
    という「スミスの滅亡」や、
    牙を剥いて生き血を啜る典型的なタイプではない吸血鬼の話
    「転移」が特に面白かった。

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    2017年12月14日
  • 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~

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    ・私がアルジャノン・ブラックウッドですぐに思ひ出すのは短編「柳」である。これは超のつく有名作で、ブラックウッドにつ いて書く時には、誰もが必ずといつて良いほど言及する作品である。あの自然の怪異と畏怖には圧倒的なものがあり、一読讃歎、彼の代表作と いふにふさはしいと思ふ。同じく、「古い魔術」も彼の代表作であり、実に多くの人がこれに言及してゐる。もしかしたら猫好きな人には愛憎 半ばする物語かもしれないが、あの紛れ込んだ世界の実在感もまた圧倒的である。ブラックウッドは多くの怪奇幻想小説を書いた。この2作以 外にも優れた作品が多い。生まれは1869年、日本では明治元年になるのであらうか。30代終はりに

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    2012年03月25日
  • 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~

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    ジム・ショートハウスもの11本。

    怖さというより、どちらかというと、不思議だったり薄気味わるかったり。
    芥川龍之介や江戸川乱歩が絶賛したというのも、さもありなん。
    「秘書奇譚」など、芥川「魔術」への影響を感じる。

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    2012年01月22日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    一時期光文社の新訳文庫にハマっていた。その中の一冊で、とにかく平易。
    秘密だと思っていたことが実は。。外側からではわからない事実って恐いよな

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    2011年07月28日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    この世の終わりが来たようなある奇妙な夕焼けの晩、十九世紀ロンドンの一画サフラン・パークに、一人の詩人が姿をあらわした。それは、幾重にも張りめぐらされた陰謀、壮大な冒険活劇の始まりだった。日曜日から土曜日まで、七曜を名乗る男たちが巣くう秘密結社とは。

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    2011年05月23日
  • 人生はうしろ向きに

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     前向きに生きていないことにかけては、そこそこ及第点だと自分なりに思っていたのだが、他人に聞くと「そうでもない」という。「かなり正常な人生でしょ。」
     まぁ、それならそれでいいけれど、南條竹則の新刊『人生はうしろ向きに』(集英社新書)などというタイトルの本に手を出すという行為は、そういう事情ゆえ、どうにも我ながら物欲しげで、嫌なものである。それでも読んでしまうのは、私が単に南條竹則の本が好きだという理由にすぎない。そして、この人の懐古主義、未来否認はそもそもの十八番なので、その点では生理的な共感以外に感想はとくにないわけだけれども、この人のいい点は、他人の褒め方がうまいという点である。オマージ

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    2011年05月19日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    題名に即効で惹かれた。
    「木曜日だった男」って、もうほとんど勝ち逃げのようなものだ。
    内容が気にならない方がおかしい。

    期待は裏切りません。
    むしろ想像していたよりもずっとアクションに飛んでいて、冒険活劇で、ドキドキしてワクワクしました。
    なんか映画でいうと「アメリ」みたいなのを想像していたので(どんな話だよ)、それがどっちかというと「ロード・オブ・ザ・リング」みたいだったとは驚きでした(どっちかっつーとだよ、どっちかっつーと)。

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    2011年04月13日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    ネタバレ

    こういった内容の本のジャンルを何て表したらいいかわからないが、冒険物とだけ言っておこう。まず冒険への入りの部分で、無政府主義者のグレゴリーと法・秩序を重んじるサイムのやり取りが面白かった。そこから展開される数々の困難も非常におもしろかったが、この世の信頼が全て崩壊していると思われる瞬間が一番絶頂だと思った。
    また人物を曜日で表現していたのを見て、ワンピースのバロックワークスはこの本を参考にしたのではないかと感じた。
    結局のところ日曜日は何者だったのだろうか・・・

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    2011年02月08日
  • 木曜日だった男 一つの悪夢

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    逆説に逆説を重ねたら、ゼロだ
    逆説の積み重ねで成り立つ世界は、虚無の観念に覆われている
    主人公ガブリエル・サイムは、「詩的直感」という名の奇跡、もしくはあてずっぽうで
    虚無を現実化しようとする陰謀、すなわち無政府主義者の世界に切り込んでゆく
    しかし・・・

    まさしく終わりのない悪夢のような小説だが
    最終的に、「ただ生きていくこと」の幸せが暗示されることは救いだ

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    2010年11月17日
  • 新アラビア夜話

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    イギリスの最も素敵だった時代にぴったいの不思議なおとぎ話。
    なんてことはないきっかけが、一夜のうちのめくるめく冒険に変わっていく…。
    これで思い出したのが、以前友人から唐突にもらった坂田靖子氏の
    漫画。(彼女はとにかくイギリスの最も素敵だった時代を描くのがうまい)日本では20世紀、漫画・コミック文化が華やぎこのようなお話にはたくさん恵まれているため、逆に重宝されないジャンルかもしれない。しかしイギリスならでのブラック・ユーモアは、一読の価値あり。

    クリームタルトが食べたくなる。

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    2010年05月10日