あらすじ
この世の終わりが来たようなある奇妙な夕焼けの晩、十九世紀ロンドンの一画サフラン・パークに、一人の詩人が姿をあらわした。それは、幾重にも張りめぐらされた陰謀、壮大な冒険活劇の始まりだった。日曜日から土曜日まで、七曜を名乗る男たちが巣くう秘密結社とは何なのか? そしてミスター木曜日とは誰なのか? 探偵小説にして黙示録でもある、幻想ピクニック譚、胸躍る新訳でついに登場!
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Posted by ブクログ
「木曜日だった男」というタイトルからしてすごいと思うのだが、ストーリも奇想天外!面白かった。表現の不思議さになかなかついていけないが、読み進めていく上での障害にはならない。
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メンバーが七曜を名乗る無政府主義者の秘密結社に、「木曜」として潜入した詩人の活躍を描いたミステリ、の形式を借りた風刺小説。
チェスタトンお得意の逆説や風刺、繰り返しギャグ風の展開で”正義”を笑いのめしつつ、終盤では神と対峙し世界の秘密に触れる凄まじさ。ラストの対話には恐怖すら感じる。「一つの悪夢」というサブタイトルも示唆的で興味深い。
完全には理解できてないだろうから何年後かに読み直したいね。
創元から出てる『木曜の男』に比べると読みやすくなってるけど、セリフ回しなんかは『木曜の男』の方が好みかな。
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オチが良かった。
後半から推測できてしまったけれど、、結局白昼夢っていうこと?何が夢か現実かわからない。
なぜか、スキャナーダークリーと、πを思い出した。
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コツコツ光文社古典新訳文庫の時間です
『ブラウン神父シリーズ』で有名なチェスタトンの著作
もちろん『ブラウン神父シリーズ』は全て持ってました
古典ミステリオタクの本棚に『ブラウン神父シリーズ』が並んでないなんて有り得ない
すごく面白かったけど、すごく難しかった記憶がうっすらと…
で、本作です
読んだこともあるような気がするんですが、ちょっと思い出せんかったな
内容的には全く意味わからんかった
意味分からんかったけど面白かった
なんで?(知らんわ!)
結局キリスト教的世界観みたいなんを理解するのって無理なんだと思うんよね
完全に諦めちゃってる極東の島国の人間に「面白かった」と感じさせる
なんか良く分からんけどやっぱチェスタトンてすごい
追記)先日おびーが読んでいたクトゥルフも同じ南條竹則さん訳だった
通ずるところがあるようなないような(どっちやねん!)
Posted by ブクログ
彼らは結局、意図的に集められて存在しないものを疑心暗鬼に追っかけてたってことなのかな
おとぎ話みたいで面白かったけど、『日曜日』がなんで彼らを手のひらの上で踊らせたのかが全然読み取れなかったな...最後にサイムが真理を突いたようなことを言ってたけどそれが本当に『日曜日』の意図なのかな...分からんかった...
そもそも結局ここでいう『無政府主義者』ってなんだったんだろ...
また読み直したい
Posted by ブクログ
”探偵小説”というよりは、冒険小説とかファンタジーホラー、ですね。調子に乗って読んでいれば面白いのだが、一回何かで間隔を開けてしまうとなかなか世界に入れない。副題の「一つの悪夢」の意味が読み終わってわかった。なぜか星新一の『夢魔の標的』を思い出したが、短編作家の書いた数少ない長編、という趣が共通するように思う。
挟まっていたレシートを見たら2009/1/6に買った本だった。十数年かかって読み終えた。なんで正月にこれを買ったかわからないし、買った本屋さんももうない。
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非常に多面的な顔を持つ小説だ。冒頭の抽象的な詩文から始まり、無政府主義結社に潜入し真相に迫ってゆくサスペンス調の中盤とは打って変わり、後半はなんだか喜劇を読んでいるようである。めまぐるしく遷り変る立場と音楽的な文章が読者を混乱させる。エンターテイメント性があるのは間違いないが、なにやら哲学小説なような側面もある。
序盤はやや退屈かもしれないが、進むにつれ面白みは増していくので、読み手を煙に巻くような妙を味わっていただきたい。
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秩序と常識とカトリック信仰を愛するサイムは、無政府主義者を嫌悪し、警察の対無政府主義特殊部隊に入隊する。そして彼は策略を用いて無政府主義組織の幹部の地位を得る。無政府主義組織の評議会は「日曜日」と呼ばれるカリスマを頂点とし、月~土曜日の6人の幹部によって構成されているが、実は日曜日以外の6人は皆サイムと同じ特殊部隊の刑事であり、彼らを特殊部隊に勧誘した警察幹部と日曜日は同一人物であることが判明する。結局物語はサイムの夢であった。
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ミステリものかと思っていたけど、ミステリ要素もある冒険活劇もので、さらにとても詩的だった。山田風太郎はこの影響を受けてたりするのかな、とも思う。とにかく詩的で幻想的だったのが印象として強い。
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曜日で呼び合う無政府主義者たちがおいかけっこをする話(無体な説明)。ところどころ入るうだうだした哲学めいた議論がおもしろい。
続きが気になってサクサク読んだ。よくできたキャラクター小説といってもよいんじゃなかろうか。月曜日から日曜日までキャラたちすぎ!ホワイダニットかと思って読み進めたらもっと壮大な話でちょっと肩すかし。
その後解説を読んでちょっと納得。壮大な中二病小説だったんだよ!とか言うとファンの方に怒られるかしら。でもそうするとのめり込んで読んだことにも納得できるんだよなぁ。世界に絶望し、思想に耽溺し、破滅を希求していたあの頃…つって36になったおじさまが思い出しながら書いてたと思うとちょっと微笑ましいよね。
ブラウン神父シリーズ読んでみよう。
Posted by ブクログ
まずタイトルがいい。どんな物語が始まるのか期待して読んでみたら、まぁ奇想天外な冒険活劇でした。
物語の面白さもありつつ、哲学的とゆーか、作者の思想が濃く盛り込まれていて、よくわからない部分もあったんだけど、それでもおもしろく読めた。キリスト教の知識があればもっと面白いのかな?っと思ったけど、楽しめる小説でした。
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この世の終わりが来たようなある奇妙な夕焼けの晩、十九世紀ロンドンの一画サフラン・パークに、一人の詩人が姿をあらわした。それは、幾重にも張りめぐらされた陰謀、壮大な冒険活劇の始まりだった。日曜日から土曜日まで、七曜を名乗る男たちが巣くう秘密結社とは。
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題名に即効で惹かれた。
「木曜日だった男」って、もうほとんど勝ち逃げのようなものだ。
内容が気にならない方がおかしい。
期待は裏切りません。
むしろ想像していたよりもずっとアクションに飛んでいて、冒険活劇で、ドキドキしてワクワクしました。
なんか映画でいうと「アメリ」みたいなのを想像していたので(どんな話だよ)、それがどっちかというと「ロード・オブ・ザ・リング」みたいだったとは驚きでした(どっちかっつーとだよ、どっちかっつーと)。
Posted by ブクログ
こういった内容の本のジャンルを何て表したらいいかわからないが、冒険物とだけ言っておこう。まず冒険への入りの部分で、無政府主義者のグレゴリーと法・秩序を重んじるサイムのやり取りが面白かった。そこから展開される数々の困難も非常におもしろかったが、この世の信頼が全て崩壊していると思われる瞬間が一番絶頂だと思った。
また人物を曜日で表現していたのを見て、ワンピースのバロックワークスはこの本を参考にしたのではないかと感じた。
結局のところ日曜日は何者だったのだろうか・・・
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逆説に逆説を重ねたら、ゼロだ
逆説の積み重ねで成り立つ世界は、虚無の観念に覆われている
主人公ガブリエル・サイムは、「詩的直感」という名の奇跡、もしくはあてずっぽうで
虚無を現実化しようとする陰謀、すなわち無政府主義者の世界に切り込んでゆく
しかし・・・
まさしく終わりのない悪夢のような小説だが
最終的に、「ただ生きていくこと」の幸せが暗示されることは救いだ
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チュンソフトという会社の出したゲームに、「街」というサウンドノベルがあった。ザッピングシステムや、一人の主人公の行動が他の主人公の物語に影響を与えるシステムなど、画期的・先進的・かつ面白いゲームだった。
その中に、各構成員が「金曜日」などの曜日の名前を持つ秘密結社?に主人公が参加するという話があった。その元ネタこそがこの本、G・K・チェスタトンの「木曜日だった男」である。
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The Man Who Was Thursday
1905年、今から100年以上前の作品ということですが、小説として本当、すごくすごく面白かったです。思想的にも話の筋も痛快で、表現や人物のちょっとした台詞なんかも大好き。時代背景も興味深いです。形式的に楽しい探偵小説とも言えるのですが、考えるべきことも山ほど与えてくれます。賢さとユーモアの同居。この話はリズムがあるから読みやすい新訳もナイスです。良い時間を過ごさせてもらいました!
Posted by ブクログ
痛快で不思議な冒険活劇!いい刺激になりました。それにしても人物を曜日に例える斬新さとか次々見えてくる真相とか、チェスタトン読むの初めてだったんですがはまりそうです。
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ブラウン神父が面白かったので読んだ。
ブラウン神父にも通じるミステリ的な部分も面白かったが、わからないものに向かい合う恐怖や不信感がとても感じられてページが止まらなかった。
Posted by ブクログ
反政府主義者×詩人×警察を巻き込み、秘密組織の謎を巡るストーリーなのだが、序盤の展開の速さ・中盤の謎が明らかになっていく様子・終盤のドタバタ感の妙な緩急が心地良く、癖になる。
哲学的な要素や、詩的な要素もあり、イギリス人のシニカルな表現が好きな人ははまると思う。自分がキリスト教観や哲学的思想に乏しいせいか、ラストはそこまでズシンと来なかったので、またいつか再読したい。
Posted by ブクログ
日曜日から土曜日まで七つの曜日を名乗る男たちが
取り仕切る秘密結社をめぐる陰謀を描いた小説。
七つの曜日を名乗る男たちの誰が味方で、誰が敵なのか
彼らが計画するテロの行方は、とストーリーは冒険・スパイ
ものの雰囲気を漂わせているのですが、しょっぱなの語りなど
ところどころ観念的な話も出てくるなんともおかしな小説です。
七つの曜日の男たちそれぞれの正体が先に進めば進むほど、
意外というか、想像の上をいかれてしまい思わずにやり
としてしまいました。
後半はゾウや気球を追っての逃避行に最後に語られる
話と
分析したり話の裏を読み取ろうとすると、様々な解釈が
出来そうな小説だと思いました。
Posted by ブクログ
G.K.チェスタトンさんという、イギリスの人ですね。1874-1936という生没年。当時のイギリスでの、ジャーナリスト・評論家・小説家・詩人、というような立場の人だったそうです。
恐らく活動の大半は、政治から文学まで幅広くの評論批評的な、新聞などへの文章だそうですね。
ちなみにコナン・ドイルさんが1859-1930。バーナード・ショーさんが、1856-1950。ジョージ・オーウェルさんが1903-1950。
まあ、なんとなく、コナン・ドイルさんとチェスタトンさんは同時代人、というのが素人には判りやすいです。
チェスタトンさんというと、いちばん有名なのは「ブラウン神父シリーズ」という探偵もの。僕は未見ですが。
こういうのが、大まかシャーロック・ホームズと同時代に書かれていたんですね。
さて、「木曜日だった男」。1908年、チェスタトンさんが34歳の時の小説だそうです。
チェスタトンさん、一度読んでみたいな、と何年か思っていまして。
ブラウン神父シリーズも気になるところなんですが、年代とイギリス英語ということを考えると、
翻訳によっては、トンデモナク楽しくないことにもなるなあ、と警戒もしていました。
「木曜日だった男」、光文社古典新訳文庫さんを信じて、手を伸ばしてみた訳です。
なんとなく、判ってはいたのですが、大まかに言うと「一見、犯罪小説であり冒険小説なんだけど、訳の分からん幻想的な小説」です(笑)。
それはそれで、途中から終盤前くらいまでは、僕は面白く読みました。
簡単に備忘録としての粗筋を書きますと。
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主人公はサイムという名前の、詩人さんみたいな若そうな男性。
無政府主義に対する反発から、謎の人物に誘われて、秘密警察のような組織の一員、とにかく警察の一員になる。
そして、まんまと無政府主義者の一味に潜り込む。
その組織は、日曜~土曜というあだ名?で呼ばれる7人の幹部からなっている。
そこで、サイムさんは、「木曜日」の地位を獲得。
なんだけど、自分が警察の一味だとばれているのではという緊張。
そしたら、なんだかんだで、次々にその7人のうちの6人が、「僕も警察の一員で、潜り込んでいた」と判明。
ただ独り、「日曜日の男=ボス」だけは、得体が知れない。
最後に6人は、日曜日の男に詰め寄る。
日曜日の男は、「君たちを秘密警察に誘った謎の男は、俺だよ」と。
そして日曜日、余裕で逃げる。追う。
ゾウに乗ってロンドンを疾走したり、気球で飛んだり、もう無茶苦茶です。
最後は謎の豪邸で謎の超・巨大パーティの中で、非常に哲学的な議論して、おしまいになります。
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という、小説。
で、ある種ドストエフスキー的な、人間の自由とか政府とか無政府主義とはとか、そういう議論が結構あるんですけど、
正直に言って、ドストエフスキーさん以上に、そういう部分に関しては、僕はサッパリ、頭に入りませんでした(笑)。
まあ、興味がないからかも知れませんけど。でもそれ以上に、この辺については、1908年当時の、ロンドンでの、「無政府主義」「国家」「政府」と言った概念や議論という前提が無いと、面白くないんじゃないかなあ、と思います。
こういう本を読むといつも思うんですが、
「作者は、書いてから100年以上後に、日本の人が日本語で読んでも判るだろうか」という視点は一切持たずに書いてますからねえ。
なんですけど、多分。
この小説が面白くて、今でも日本語でも読まれている理由は、そういう観念的な部分ではないと思うんですよね。
途中のハチャメチャでムチャクチャでドタバタで七転八倒な、「無政府主義者の幹部会に潜入した秘密警察員なんだけど、なんだかだんだん、幹部会のメンバーがみんな秘密警察員だぜ」という展開。
もう、もちろん、この辺からリアリズムとかじゃないんです(笑)。
これ、絶対、生真面目にブンガクとして解釈と意味合いで探求してもしょうがないと思うんです。
つまり、笑えます(笑)。オモシロイ。
そして、このオモシロサっていうのは、小説ならではの想像力の世界。だから、読む側が、何か難しい純文学だと思って読んだら、面白くないのではないでしょうか。
(「純文学」というと途端に何か「笑い」というものと真逆の方向に違いない、という印象があるのが、近代日本文学という作品群の負の遺産なんじゃないかなあ、と思います)
例えて言うならば、川島雄三さんの映画を見ているような。
「愛のお荷物」とか「貸間あり」「しとやかな獣」とかそういう、川島雄三さんの映画。
ゼンゼン、リアリズムじゃなくて、ハチャメチャでドタバタで、不真面目で皮肉で一生懸命で、笑えちゃう。
そんなヘンテコな冒険幻想譚。
ロンドンの街を、無政府主義者に追われているつもりでの尾行劇。
相手が秘密警察だと判って、孤独から救われる心理の描き方。
この辺も大いに面白く。
パリで行われる、テロを防ぐためにフランスに上陸する、サイムたち。
そこで、なぜかテロを防ぐために決闘をすることになったり。
決闘相手も秘密警察と判って、地平線からやってくる無政府主義者たちからの逃走劇。
そのあたりの「フランス編」は、かなり爆笑、ワクワクどきどきでした。
そんな隙間に、ちょっとハっするような、人生や政治や神や孤独についての警句のようなセリフや文章があったりするのが、侮れない。
川島雄三的ハチャメチャ痛快劇が無ければ、ある種、レイモンド・チャンドラーの粗い原型すら感じられるような…。
判らないところはワカラナイけれど、それは大いに棚に上げておいて、オモシロク食べちゃったりできる。
時代も地理も言葉も異なるところで書かれた本でも、そんな我儘な味わい方が出来てしまう。そんなのも、読書の愉しみだなあ、と勝手に思います。
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日曜日から土曜日まで七曜のコードネームを持つ男たちの秘密結社。最初はスパイものかと思いきや…男たちの正体がばれていく過程と日曜日との対決にはハラハラした。黒幕もあの人だなんて…。でも最後のオチをどう解釈したらいいのかわからない。夢だったの?海外古典は聖書が下敷きになっているのが多いから無宗教の私には解釈が難しい。2011/620
Posted by ブクログ
本書が執筆された20世紀初頭とは、世界から絶対性が失われた時代であった。科学や数学は危機を経験し、哲学や文学はモダニズムへの再考を迫られる。サイムは法と秩序の詩人と称して無政府主義者たちの集会と潜り込み、木曜日の男として潜入捜査を開始するが、追えど追われどもオセロが反転するが如く無政府主義者は煙の中へ。7つの曜日が創世記と照応するなら、そこに込められたのは古典主義的な回帰志向か。いずれにせよ、単純なドタバタ劇としても純粋に楽しめるのは確か。新訳に辺り、原文に忠実にとタイトルが過去形になった点も興味深い。
Posted by ブクログ
タイトルは有名なので気になっていた作品。
なんだかよくわからなかった!
だけども途中のコミカルな描写は楽しめたし、宣伝文句にある『黙示録』の意味が最後の方でわかった瞬間は「そうきたかー」と感心した。
全体的には確かに面白かった。
でもやっぱり、どういう作品なのかなんだかよくわからなかった。なので星4つではないかな。
Posted by ブクログ
あー、笑った。
陰謀小説かと思ったらとんだスラップスティックでした。
まあ、四章後半でカラクリが割れ、
その後の展開は想像できてしまうんですが。
でも、ガブリエルがグレゴリーを嵌めて「木曜日」に就任する
二~三章などは本当にスリリングで面白かった。
初期のポール・オースターが好きな人にお勧め(?)