南條竹則のレビュー一覧
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新潮文庫から南條竹則氏の編訳で出ているラヴクラフト「クトゥルー神話傑作選」の2冊目。6つの短篇と2つの中編を収録している。
短篇の中では「エーリッヒ・ツァンの音楽」がよかった。オーゼイユ街の今にも倒れそうな歪んだ家の屋根裏で、夜ごとヴィオールを奏でる老人。その不気味な音楽が、文章から確かに聞こえてくるような気がした。「細心の注意を払って探しまわり、調べているにもかかわらず、私はあれ以来オーゼイユ街を見つけることができない」。
短篇に比して、二つの中編「狂気の山脈にて」と「時間からの影」には、やや冗長な感じを受けてしまった。エドガー・ポオの「アーサー・ゴードン・ピム」を下敷きにした南極大陸の異界を探索する「狂気の…」は、ラヴクラフトの真骨頂であるのはわかるのだが……。
コミックやゲームからアートの世界まで、これだけクトゥルー神話がポピュラーなものになってしまった今では、原作小説を読むよりも、ヴィジュアルな後継作品を鑑賞する方が面白い。そんな気がしてしまう。 -
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ネタバレシャーロックホームズの元ネタというので読んでみました。同作者の宝島と比べるとエンタメ要素は低いですが、全体的には面白かったです。この時代、ヴィクトリア朝時代は登場人物のご婦人がすぐ気絶するのが特徴みたいなところがありますが、この小説に出てくるヴァンデラー嬢は現代的な感覚で見てもよく行動したヒロインだと思います。
個人的にはジェラルディーンが好きです。王子より年下という設定なので、ちょっと出来が良すぎないか?とも思いますが、「二輪馬車の冒険」に出てくる彼の描写が特に好きで、中性的な色気を感じました。
「ラージャのダイヤモンド」のラストはちょっと納得いきません。これじゃプラダのアンディと変わらないだろうと思っちゃいました。一国の王子の行動としては問題かなと。なぜか、この話にはジェラルディーンは出てこないんです。彼がいたらもっと違うラストになっていただろうと思います。 -
Posted by ブクログ
クトゥルー神話の醍醐味は、言葉では表現できない人智を超えた存在を言葉で表現しようとするところ。読んだのは3作品目だが、その意味では一番彼らの存在を感じることができた作品であった。
一番気に入った作品は「ダンウィッチの怪」。ダンウィッチと呼ばれる街に住む一家は、ほかの住民とは隔絶した生活を過ごしていた。そこで生まれた男の子は、異常なほど成長が早く、また、家で謎の作業を過ごしていた。普通ならこの子が異形の子と言うだけで終わるが、宇宙や古典をも巻き込んだクトゥルーの世界観はもっと大きな形でこの街に恐怖を与えていく。要所要所で現れる臭いに関する描写が頭のなかのイメージにとてもリアリティを与えてくる。
クトゥルー神話を読むならこの作品からがいいのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
TRPGはやったことないけど、クトゥルー(クトゥルフ)神話には興味があったので、初めてラヴクラフト作品に手を出した。
物語に登場する未知なる物の姿形は詳細に描写されるものの、頭の中で全体像がうまく思い描けない。これがつまり「名状しがたい」ということなのだろうが、このことが得体の知れない物への恐怖感を煽る。
かつて宇宙からやってきた、人類よりも高度な文明を持つ存在。そして彼らが築いた古代都市。恐るべき書物『ネクロノミコン』。こういった世界観は確かに魅力的だし、もっとクトゥルー神話体系について知りたいと思うのはとてもよくわかる。
ただ、「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリー・マガジン」のタイトルロゴがチラつくんだよな…