南條竹則のレビュー一覧
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ネタバレ初クトゥルー神話。独特の雰囲気で、唯一無二の気味悪い世界観を丁寧に構築している。
個人的にベストは「闇にささやくもの」と「インスマスの影」。
○異次元の色彩
隕石の落下によって変質していく郊外の土地と、そこで暮らす一家の悲劇を描いた物語。主人公である測量士の語りによって、農家の井戸の近くに落下した隕石から放たれる「異次元の色彩」が、土地と生物、そして人間をも侵食し、徐々に正気を奪い、破滅へと導く様子が描かれる。
○ダンウィッチの怪
マサチューセッツ州のダンウィッチ村で、妖術を操る一家の血を引くウィルバーという少年が、人間離れした成長と行動を見せる怪奇譚。ウィルバーは人智を越えた怪物を呼び出 -
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森鴎外を読んで、ちょっぴり日本の昔の話に興味が出てきたので本作を手に取った。再読。
1作目の耳なし芳一がとても良い。平家の恨み悲しみが伝わってきて涙しそうになった。怖いけど物哀しい。これぞ日本の怪談話。素晴らしい。
一方でむじなや雪女はコンパクトに纏められており、外国人が書くから淡白なのかなぁと感じた。ハーンの英文を日本人が翻訳しているため不思議な感覚はある。日本の文化や風習、民族性が表現され、現代人の私が読んでも気づきがある。よく書き残してくださったと感謝する。
次の朝ドラがラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻セツの話らしい。この春に松山城を訪れた際に知った。どういった経緯でハーンが日本を -
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新潮文庫の傑作選、3冊とも購入したものの、読む順を盛大に間違えました(これが3冊目)が、短編なので問題なしということにしましょう。
同じ作者の作品なのに、一気読みしてしまうようなものと、なかなか読み進めるのが困難なものとが混在している短編集。
「アウトサイダー」や「忌まれた家」、雰囲気変わって「セレファイス」が好きかな。
相対しているものの性質上、致し方ないのかも知れませんが、オチが似ているように感じてしまいました。
話の雰囲気は違っても、結局人は何の抵抗も出来ず、怪しい家は崩壊して主人公は死ぬか気が狂うかして終わるという。
だからこそこの世界観が広がった面はあるだろうし、サイコロとい -
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クトウルー神話傑作選
苦手なラグクラフトですが
これは 全15編の短編集なので
思いの外楽しめました
「アウトサイダー」 1926
廃墟となった広大な城
城の外はどこまでも続く森
空をみたい
塔を登り続ける
自分が映し出された姿に驚愕する
アウトサイダーは、誰だ
人間社会に居場所を持たぬ存在の孤独
「無名都市」1921
アラビアの砂漠の奥地
名前の無い都市
アラビア人 アルハザート 架空の人物
ネクロノミコン 架空の書物
これらの詩が引用され 全体的に悪夢的
私は一人無名都市にたどり着く
そこには朽ちた神殿
天井は低く 地下へと続く
壁画には爬虫類系の生物
人類以前の文明の歴史絵巻→狂気 -
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ラヴクラフト初体験。
クトゥルフ神話の生みの親。ホラーが苦手ではあるが、これだけ有名な作品群なのだから一度は手に取ってみないとと思い挑戦。
本作は表題作「狂気の山脈にて」と「時間からの影」という中編2篇を含む8篇から成る。
真っ先の印象としては、ラヴクラフトが創出する恐怖を恐怖として堪能するためには、かなりの想像力が必要だなということ。
卓越した想像力の結果を余すところなく文章に落とし込むので、それを再構築するのにだいぶ骨が折れる。
おそらくホラーにはホラーを読むスキーマが必要なのだろうが、怖いの嫌いな私はそんなものもなく、ただひたすら彼の記述からイメージを構築する。
ただ、私が再構築したイ -
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「緑茶」と「カーミラ」は随分前に読んだことがあるが、細部は覚えていなかったので、ほとんど初読のようにして読むことができた。
「緑茶」は、読み終えてもスッキリしない。 ”あいつ” は一体何だったのか。なぜ現れたのだろうか?
「カーミラ」が何者かは早めに見当がつくが、今回読んでみて思ったこと。「あなたはわたしのもの。わたしのものにしてみせる。あなたとわたしは永久に一つ。」というカーミラのローラに対する言葉があるが、この言葉を字義通りに取れば愛の台詞そのものだ。このほかにもローラへ向けるカーミラの視線、態度など、本作には同性愛的な表現がたくさんあることに、改めて気付かされた。
本作には -
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十人十色の「孤独論」とあるが、実際に20人近くの知識人、著名人による寄稿の寄せ集めなので、ダイジェストとしての読み応えはあるが、全てが皮層的で浅い。なんだか格言や至言を探し出したり、その言葉の周辺を少しだけ肉付けしたような文章。それでも思考のきっかけを得たり、脳内に連鎖して考えさせられるのだから、読書は面白い。複数人分を読んで、余韻で考えるのが、私自身のオリジナルな「孤独論」というわけだ。
人は、社会的分業をしているために完全な自給自足にはなり得ない。また、直接会話をする相手がいなくても、本や看板など、目に入る日本語は、その集団に帰属している証拠。ゆえに言葉が分からぬ海外での孤独感は一層強ま