あらすじ
舞台はオーストリアの暗い森にたたずむ古城。恋を語るように甘やかに、ときに情熱的に妖しく迫る美しい令嬢カーミラに魅せられた少女ローラは、日に日に生気を奪われ、蝕まれていく……。ゴシック小説の第一人者レ・ファニュの代表作である表題作と怪奇幽霊譚五編を収録。五編は「緑茶」「マダム・クロウルの幽霊」「幽霊と接骨師」「シャルケン画伯」「チャペリゾッドの幽霊」。
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Posted by ブクログ
古典吸血鬼小説の名作。
短編ながら世界観の作り込みと女吸血鬼の耽美で病的な雰囲気が退廃的でとても好き。
しかし少々駆け足気味に物語をたたみ、謎が残ったまま放っておかれるのがなにかむず痒い。
Posted by ブクログ
「緑茶」と「カーミラ」は随分前に読んだことがあるが、細部は覚えていなかったので、ほとんど初読のようにして読むことができた。
「緑茶」は、読み終えてもスッキリしない。 ”あいつ” は一体何だったのか。なぜ現れたのだろうか?
「カーミラ」が何者かは早めに見当がつくが、今回読んでみて思ったこと。「あなたはわたしのもの。わたしのものにしてみせる。あなたとわたしは永久に一つ。」というカーミラのローラに対する言葉があるが、この言葉を字義通りに取れば愛の台詞そのものだ。このほかにもローラへ向けるカーミラの視線、態度など、本作には同性愛的な表現がたくさんあることに、改めて気付かされた。
本作には怪奇幽霊譚計6編が収録されていて、かなり恐怖味を感じるものからユーモラスなものまであり、楽しく読める。