あらすじ
廃城をさまよう天涯孤独の男。彼はそこで何と遭遇したのか(表題作)。ランドルフ・カーターは、二百年ぶりに発見された銀の鍵と共に消息を絶つ(「銀の鍵」)。冥(くら)き伝承の蟠(わだかま)る魔都アーカム。ギルマンの棲む屋根裏部屋で起きた、人智を超越した事件(「魔女屋敷で見た夢」)。唯一無二の光芒を放つ作品群から、おぞましくも読む者の心を掴んで離さぬ十五編を訳出。これがラヴクラフトの真髄だ――。
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人におすすめはできないが、こう、なんというか、、
名状しがたい独特の恐怖と、それと隣り合わせの恍惚というか。
ラヴクラフトを読むのは初めてだったが、これはまだ優しい方らしい。
そんなこと言われたらそそられてしまうではないか。
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ひとりごと
懐かしくて購入。
ラヴクラフトの日本初の全集が国書刊行会から出たのは私が学生の時。いまだに持っているが、装丁も何もかもよかった。お小遣いも少ないので親に前借りして購入したほど。
まだ荒俣宏氏も団清二というペンネームであったときのような。あの頃、紙袋二つを持ってお茶の水古本街ですれ違ったことがある。
荒俣宏氏が、海洋関係の仕事の昼休みに翻訳をしているとかいろんなことが書いてあったチラシ?みたいなもの、どこに行ったかな。
要するにまさかラヴクラフトが文庫なんて思わなかった時代である。
当時、本は文庫でいいのか!みたいな質問にいろんな作家や評論家などが書いていた小冊子もあったな。
そんなふうに思いながら、新潮文庫の100冊の栞が欲しいがために手にしてしまいました。それもまた良し。
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クトゥルフ神話に関連した作品を集めている。
全体的に禍々しさが漂う。
しかし、ちっぽけな家の中に展開される異郷の広大な情景は神々と人間の住む世界を対比して描いているようで、ラヴクラフトの作品の精神世界が常に超越したものに向いているようだ。
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敬愛すべきラヴ・クラフト氏のクトゥルー神話傑作選。
アウトサイダーをはじめとするクトゥルー神話の短編集。
クトゥルフ神話TRPGの世界観に惹かれ購入してみた。
結果、私には早すぎた...
情景説明のオンパレード、根源的恐怖を引き起こすはずの緻密な描写は私の想像力不足で読み切れなかった。ラヴ・クラフト師よ、すみません...
しかし、描写の節々から感じる圧倒的世界観・内包するであろうおぞましさは一級品。
これは世界観を抽出した二次創作が流行るのも頷ける...そう感じました。
皆様もその素敵な想像力でこのコズミックホラーに挑戦してみてください...
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ラヴクラフトの後期の短編集。
クトゥルフ神話の大きな3分類、宇宙からやってくる恐怖、古の神々と人の生活、愚か者が痛い目を見る話がそれぞれ楽しめる。
新訳でもやはり読みにくくはあるけれど、それでも読みやすい、どの修飾がどの名詞に繋がるのかはわかる。
アウトサイダーは誰だったかの本でも紹介されていて、再読してもやはり面白い。恐れの対峙なのか、不明を納得することなのか、輪の中心は元からないのだとなんだか納得する。
好きなのはアウトサイダー、無名都市、べつの神々、忌まれた家、魔女屋敷で見た夢。
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クトゥルフ神話の短編集。
このシリーズは独特の世界観を頭の中で確りと想像ししながら読まないと、何が起きているのか分かりにくい。一つ一つの文章が長く、また、肝心な部分があえてぼかされたりするので、何度も行ったり来たりしながら読むことになった。前回読んだインスマスの影のほうが、世界観の描写が分かりやすく楽しめた。
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新潮文庫の傑作選、3冊とも購入したものの、読む順を盛大に間違えました(これが3冊目)が、短編なので問題なしということにしましょう。
同じ作者の作品なのに、一気読みしてしまうようなものと、なかなか読み進めるのが困難なものとが混在している短編集。
「アウトサイダー」や「忌まれた家」、雰囲気変わって「セレファイス」が好きかな。
相対しているものの性質上、致し方ないのかも知れませんが、オチが似ているように感じてしまいました。
話の雰囲気は違っても、結局人は何の抵抗も出来ず、怪しい家は崩壊して主人公は死ぬか気が狂うかして終わるという。
だからこそこの世界観が広がった面はあるだろうし、サイコロというどうにもならないものによって運命が変わるTRPGとして人気が出るのも納得なのですが、一方でクトゥルフモチーフのゲームがクソゲー化しやすいのも納得。
思ったより個々のストーリーにはインパクトを感じませんでしたが、クトゥルフ神話というもののイメージは脳裏にしっかりと刻まれた、そんな一冊でした。
Posted by ブクログ
具合のわるいときに見る悪夢を次々と見せられてるような、そんな不可思議な短編群。
悪夢具合は楽しいけど、過剰で不必要に丁寧な情景描写が多くて、読み進めるのがちょっとしんどかったかな。
個人的に好きなタイトルは『ポラリス』。虚無な日常に残酷な悪夢を見せられたのか、はたまた長い長い悪夢に囚われ続けているのか不明瞭な様がとても良かった。
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クトウルー神話傑作選
苦手なラグクラフトですが
これは 全15編の短編集なので
思いの外楽しめました
「アウトサイダー」 1926
廃墟となった広大な城
城の外はどこまでも続く森
空をみたい
塔を登り続ける
自分が映し出された姿に驚愕する
アウトサイダーは、誰だ
人間社会に居場所を持たぬ存在の孤独
「無名都市」1921
アラビアの砂漠の奥地
名前の無い都市
アラビア人 アルハザート 架空の人物
ネクロノミコン 架空の書物
これらの詩が引用され 全体的に悪夢的
私は一人無名都市にたどり着く
そこには朽ちた神殿
天井は低く 地下へと続く
壁画には爬虫類系の生物
人類以前の文明の歴史絵巻→狂気の山脈へと
「ヒュプリス」1923
眠りの神
若く美しい彫刻のような神
彫刻家は家に招き共に暮らす
友人は眠りを夢を恐れる
ある日 北冠座からの光に照らされて彼は彫刻となる
宇宙的恐怖 割と好き♡
「セレファイス」1922
架空都市 (夢に見た都)
夢を彷徨うクラネス
子供の頃見たセレファイスに入り込む
その都市に行く為 麻薬に溺れていく
夢の中でその地を支配して 現実では…
現実世界に膿んだ人間が夢の世界へ避難する
「アザトホート」1938
白痴の魔王 神々の始祖
2.5ページくらいのショート
わからない なんかの断片らしい
「ポラリス」1920
北極星が見える部屋に住む男
夢の都市で肉体を得る
幻想の中でイヌート族の侵攻を見る
「ウルタルの猫」1920
ウルタルには猫を捕まえて殺す老夫婦が居た
旅の少年の猫が居なくなる
少年は何か祈りを捧げると
翌日町から猫が一匹も居なくなる
その次の日 猫達は満腹で帰宅
老夫婦は骨が見つかる
動物は可愛がりましょう
「ベツの神々」1933
神々は高い山に住む
ウルタルの賢者バルサイは 神を見たい
月蝕の中 大地の神を見る
そこに別の神が現れて…
見てはいけない物を見てはいけません
「恐ろしさ老人」1921
キングスポート物語群
キングスポートに住む一人暮らしの老人
たいそう金持ちで身体が弱いと噂
三人の強盗が忍び込む
翌朝、男達は浜に捨てられていた
人を見かけで判断してはいけません
この三人の男の名前がアメリカへの移民系で
100年前の移民問題
「霧の高みの奇妙な家」1931
恐ろしい老人の続編らしい
険しい岩山の灰色の家
そこが彼の住まい
うーん?就職語が多すぎて日本語がよくわからない
そこに行った哲学者が廃人のようになって戻る?
「銀の鍵」1929
ランドルフカーターが夢で見つけた
大きな銀の鍵
それは 夢の門の鍵
毎晩 その鍵を使いあらゆる不思議な国へ
大人になって鍵を無くした
「名状しがたいもの」1925
墓場の隣の廃協会
二人の友の見たものは
あれはなんだったんだ?
あいつは名状しがたい物
ザ解決
「家の中の絵」1921
雨宿りした古い家
古い家の中の古い調度品
恐ろしいほど生きていそうな老人
コンゴ王国記の人肉部族の絵
「忌まれた家」1928
クラフトの生育地
プロヴィデンスの古い家
ここで続く不審死主人公は泊まり込み調査
クラフト版残穢的な土地の怪異
「魔女屋敷で見た夢」
勉強しすぎの数学者
呪われた魔女の家を借りる
ほんとに魔女の家だった
しばらく、クトウルーはお腹いっぱい
Posted by ブクログ
初心者が噂のクトゥルーを読んでみるぞ三冊目!
今回は「ハイファンタジー」も含む一冊で、前二巻とはまた毛色が違っている。
不気味で湿度の高い陰気な屋敷や町並みが展開する一方で、夢の中で幾度を旅するきらびやかなファンタジー世界も作者のなかに広がっている。
個人的な読書体験になるけれど、直前に『文豪怪談傑作選 妖魅は戯る』(ちくま文庫)を読んでいた。
夏目漱石の「夢十夜」に連なる「夢」をもとに描いた作品を中心に収録した一冊で、
独特な夢日記を展開する中勘助、うす暗さと怪談味を帯びる内田百けん、見た夢をその都度分析する寺田寅彦と、
「夢」の世界、「夢」への向かい方、作品の描きかたなど、それぞれの個性がかなり現れていることがわかるアンソロジーだったが、これはそのラヴクラフト版のようにも感じた。
その流れなら、近代知で閉ざされてしまった世界に今も焦がれ再訪を望み、一方で悪しき夢の世界が現実世界に侵食していく或いは隠された現実が夢に投影される、という憧憬と恐怖の相反する「夢」を描いたのがラヴクラフトか。
あのアンソロジーに無理やりねじこむなら「セレファイス」「銀の鍵」あたりかな。
家や建築が舞台装置として事細かなのは前と同じだけど、よりくわしく設定してある。ただ、なかなかイメージしづらい(建築用語の知識がないので画像検索と同時進行な)ところも多々。
「あら、あの面々がここで…?」というのもちらほらあり、そこは面白かった。
Posted by ブクログ
短編15編。すらすら読み進められるかと思いきや、中盤のハイ・ファンタジー系も含めなぜか目が滑るというか、作品世界内の描写がどうにもイメージし難く、逆に疲れてしまう始末。最後の2編、「忌まれた家」は今年になってからアンソロジー『怖い家』で読んでいたし、「魔女屋敷で見る夢」は以前コミカライズ版を読んでいたこともあってまあなんとか。新潮文庫版のこのシリーズを3冊続けて読んで、ラヴクラフト作品はやはり自分には今一つ性に合わないのかもしれない……ということを感じた次第。