南條竹則のレビュー一覧
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ネタバレクトゥルー神話は作家が創造した架空の神話ということを初めて知ったので相当驚いた。それだけ広くさまざまな創作の元になっている存在。
SFホラーといった内容だった。
この中では表題作が1番読みやすかった。旅行で訪れた先で恐ろしい体験をして逃走劇が繰り広げられるシーンも良かったが、更に自分との血の繋がりに話が発展していくのが良かった。伏線の回収もあり、面白く読んだ。
「あの深きものらの棲処で奇蹟と栄光に囲まれ、とこしえに暮らすであろう」こんなラスト想像していなかった。あれほど忌み嫌った存在そのものになることをもう受け入れていてゾクゾクする。 -
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1906年から1923年に書かれたアルジャーノン・ブラックウッドの短編を集めたアンソロジー。
ブラックウッドといえば、どの作品だかもう分からないが(本書にも入っている「秘書奇譚」かもしれない)高校生の頃読んでひどく衝撃を受け、「これは凄いかも」と思ったことがある。しかし、その後創元推理文庫『ブラックウッド傑作選』を読んでみると、そんなにショッキングなところはなくむしろ「ふつう」っぽくてがっかりしてしまった。あの時の「衝撃」というのは、その短編では恐怖小説の骨格ばかりが肉を落とされて露出し、その小説システムの露見が極めてラジカルなものに思えたのだ。骨格が露出するとともに、登場人物はハリボテ人 -
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表題作の「臨海楼綺譚」、冒険小説とか、女性を守る騎士道的な物語が好きな読者であれば、それなりに楽しめるだろうと思う。
舞台は、リンクスと呼ばれる底なし沼のような流砂のあるエリアに所在する、世を拗ねた者が住む館。昔、彼と喧嘩別れしてしまった語り手が、各地を放浪の果て、久方振りにその土地にやってくる。人嫌いだった彼の館に、深夜、海から上陸してきた長身の紳士と美しい娘。一体彼らは何者なのか、またなぜ秘密めいた行動を取っているのか?
そこから、美しい女性の愛情獲得を巡る男の争い、秘密結社から命を狙われている彼女の父親を守ろうとしての命懸けの戦いが始まる。果たして‥‥。
この時代ならではの感は否 -
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原著は1904年刊行の『考古家の怪談集』で、M・R・ジェイムズの最初の小説集。
20世紀初頭に出現したイギリスの怪奇小説の御三家として、アーサー・マッケン(1863-1947)、アルジャーノン・ブラックウッド(1869-1953)、そしてこのモンタギュー・ローズ・ジェイムズ(1862-1936)が並び称されており、アメリカのラヴクラフトより少し前の世代で、古典的な怪奇小説の作り手たちである。もっとももっと前の世代の作家としては、アイルランドのレ・ファニュ(1814-1873)という先達がいる。
これらの有名な「古典的」怪奇小説作家の本を私は高校生の頃幾らか読んだのだが、その中でこのM・R -
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ワイルドの小説はワイルドらしい道徳的説話集になりそうでならないところをうまく語る短編になっている。「カンタヴィルの幽霊」については、一般的に幽霊より人間の方が強く人間が脅かされるだけだが、この幽霊はかなり弱い。この着眼点は面白い。「スフィンクス」は流麗な詩といったところ。このような詩も書けることがワイルドの教養の深さでもあると思う。
後半のエイダ・レヴァーソンはなかなか辛かった。ワイルドの友人・同時代人ということで「回想」では同時代人ならではの事象に言及されているが、個人的にはそこまで興味が持てず、私自身がそこまで細かい話に興味がないということなんだと思う。 -
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クトゥルー神話(クトゥルフ、ク・リトル・リトルなどの表記もあり)で知られるH.P.ラヴクラフト(1890-1937)作品の新訳版。
「神話」を象徴する7篇(「異次元の色彩」、「ダンウィッチの怪」、「クトゥルーの呼び声」、「ニャルラトホテプ」、「闇にささやくもの」、「暗闇の出没者」、「インスマスの影」)を収める。
生前は不遇であり、存命中に出た単行本はわずかに1冊。
だが、彼の描く独特の怪奇世界は、死後、徐々に受け入れられ、多くの作家にも影響を与えた。クトゥルーの名はゲームやアニメなどにも取り入れられ、予想外の広がりを持つことになった。
普通の町、普通の村に、不吉と捉えられる場所がある。そこ -
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- カート
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試し読み
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本邦初訳! 前作『新アラビア夜話』の続きの物語ですが、この本から読み始めたとしても問題ないように、冒頭に押さえておくべきポイントとして「注意書き」が作者からのメッセージとして入っているのが親切ですねw
今回のストーリーは、前作の主役だったフロリゼル王子は脇役に引っ込み、金はないが暇を持て余ししてる三人の若い紳士を中心に物語が展開される。思わぬところから「爆弾魔」と因縁を持つことになる三人が、ボンクラながらがむしゃらに突き抜けていく感じがコメディ風味もあり面白かった。
前作「新アラビア夜話」は同じ翻訳者さんで光文社古典新訳文庫から出ています。そちらも陰謀活劇もので面白いのでオススメ。 -
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