町田康のレビュー一覧
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実は山頭火のことをよく知らない。
なんとなく、凄い詩人、俳人らしい、という知識がある程度。
そこにこの本を読んでしまった。
町田康さんの、べらんめえというか、話し言葉というか、思ったまま書くというか、
すぐどこかに飛んで行ってしまう技法のもとで、山頭火の生涯を知る。
薄い知識では哲学的な人のようなイメージがあった山頭火。
町田さんの前でもろくもそのイメージは崩れました。
ただの酒飲み、放蕩息子。そもそも親もダメ。財産潰しで息子山頭火も大学中退。
九州に逃げ、家族を持つも、一念発起?家族を置いて東京に戻る。
でもカネに困り、、、そう、このひと常に金には苦労している。
そんななかついに仏門に入り、托鉢みたいなもんで凌ぐようになるが、
それも続かない。
今度は庵を構えようとするが、ここでもカネがいる。支援者を頼り、会費を頼るも
会報を出すカネすらない、、、
ぐだぐだ。
そんな中で彼の詩は生まれる。
人間、そんなもんだ。それでいい。 -
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成立に謎の多い「宇治拾遺物語」を町田康氏が現代語に訳した一冊。33篇収録。
「こぶとりじいさん」や「わらしべ長者」など、メジャーな話もありつつ、なかなかパンチの効いた下ネタ話やオチのない話など様々→
町田康氏の文章を初めて読んだのだが、「人を食った関西人」みたいな喋り方でとても読みやすかった。
原文なら読めないだろう古典をこんなに楽しく読めるなんて、ほんと現代語訳最高(笑)
解説で小峯和明氏も書かれているが、町田康氏には宇治拾遺物語の全訳をお願いしたい。
もっと読みたい。マジで
私のお気に入りは
「利仁将軍が芋粥をご馳走した」
「楽人である家綱と行綱が兄弟互いに騙しあった」
「滝口道則が術を習った話」
「盗跖と孔子の対話」
あたり。でも全篇通じて肩の力を抜いてダラダラしながら読むのにぴったりなお話ばかりで楽しかった。 -
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ネタバレ2024/03/7再読
くっすん大黒と、河原のアバラ、二篇収録。
◾️くっすん大黒
町田康本人がモデルと思われる男、楠木。
かつては美男子だったと述懐するが、いまは酒ぶくれで目の下もだるだる、仕事もせず妻に養ってもらっていたが、その妻も先日出て行ったきり帰ってこない。金もないから酒も飲めない。乱雑な自室に、大黒様の置き物が転がっている。バランスが悪く自立できないくせに、にやにやと笑っている。なんやこいつ、腹立つ。捨てたろ。
捨てに行くが、周囲の目もありなかなかうまくいかない。不法投棄を企てるシーンは、梶井基次郎の檸檬を彷彿させる。しかし結局いろいろあって捨てられない。そうだ、菊池に買い取らせよう。
菊池は親からの仕送りでぶらぶらしている大学生でふざけた野郎だがその生活ぶりは自分と酷似しており、数少ない友人である。
菊池の家へ。菊池は大黒はいらないというが、まぁ飲もうぜって飲む。
2人とも金がない。金策のため菊池の知り合いのバイトへ。しょぼいブティックのようなところで店員をすることになるが、訳の分からん店長のババアと常連のババアにむちゃくちゃにされ、バックレる。
続いて楠木に仕事の依頼。ある芸術家のドキュメンタリーの聞き手をやってくれと。かつてバンドや映画出演などしたつながりでたまにこういう仕事がくる。渡りに船ってんで、菊池をマネージャーとして従え仕事へ。
芸術家の名は上田京一。オブジェやら写真やらを作る。上田に心酔する桜井という女、その補助役の椚沢などとともに上田の活動している街へ。しかし上田本人は行方不明だという。関係者へのインタビューをしてまわるが、みな、あいつは詐欺師だのなんだの言って、桜井の求める言葉は出てこない。上田がかつて使っていたというアトリエに行くと、桜井のように上田に心酔する弟子の女たちがおり、彼女らはまさに桜井が求める上田称賛の言葉ばかりを吐いてくれた。いやに盛り上がって、楠木たちはアホらしくなりその場を離れる。
楠木と菊池は、浜辺を散歩する。ドブに溜まった亀を都合8匹捕まえ、焚き火に焚べてみる。逃げ出すかと思ったら、亀はパンパンと爆発してしまった。亀って爆発するのか、知らなかったとかなんとか言ってる2人。
そこに上田が現れる。どうやら桜井と弟子たちがケンカをして傷害事件を起こした。上田は桜井を見舞うが、2階から飛び降りて怪我を重ねてしまったとのこと。
上田は、ここで起きたこととか誰にも言わないでくれという。
なんでそんなことせなあかんのといいつつ、楠木は、おれらまだギャラ半分しか貰ってないんだけどと言い、菊池の機転でやや多めに上田からギャラをもらい、仕事終了。
浜辺で木の棒を持って寝転ぶ楠木をみて、菊池は、あんたあの大黒みたいだなと笑う。楠木だからくっすんてあだ名はどうだと進言する。いやだよ馬鹿野郎。そうか。
ふたりは自立しない大黒の物真似をしつつ帰る。
相変わらず乱雑な自宅に帰った楠木は、豆屋になろうと思う。どうやったら豆屋なんかになれるのだろうか。彼は鉢巻を巻き大声で叫んだ。豆屋でござい。わたしは豆屋ですよ。なんて。
おわり。
◾️河原のアバラ
うどん屋で働く3人。主人公、淀川五郎、天田はま子。主人公と五郎は仲良し。天田は極度の吝嗇で頭がおかしい。
ある日、天田が猿を連れて出勤する。(ほんまこの人うどんとか猿とか好きやな)どうも出勤前に一目惚れして購入、そのまま持ってきてしまったらしい。邪魔なとこに置いたまま働き始まる天田。いやいや、そんなん飲食店であかんやろと問い詰めるがこれを無視。なんやかんやしてるうちに猿は逃げ出し厨房を飛び回る。主人公がちょっと棒でこづくとあっさり落ちた。うどんの茹で釜に。そして猿は死ぬ。店は猿臭く、うどんなど作れない。
天田はあろうことか、悲しむ前に猿の代金を請求する。主人公は激昂し、天田を殴り倒す。天田はさらに病院代を請求し、主人公はさらに殴る。
翌日、五郎から速達が。
「前略 元気ですか 天ハマが極悪です やべぇから逃げろ レンラクください ゴロー」
電話で詳細を聞くと、あの後天田は警察を呼び、自分の被害を盛って申告した。主人公は警察に追われることとなる。
しゃあないので、五郎が紹介してくれた変な格安物件に逃げる。
そんでまた、五郎の言うところ、その物件にかつて住んでいた男、津山幸男はちょっとした知り合いなのだが、死んでしまったという。そしてその妻?が、死んだ男の部屋の整理および遺骨を実家へ運んで欲しいという。謝礼も出ると言う。っつーことで2人で車で行くか、と。五郎が先輩に借りたシボレーで。
人気のない、民家もないところで迷い、うーんと唸り、河原で連れションをしているところ、極彩色の刺繍を施したつなぎを着たジジイに遭遇。ちよい話すと、その遺骨男の兄だという。うちへこいと。歩いた方が近いから車は置いてけと。
行ってみるとしかしこの男は気が狂っており、何らかの内臓肉で焼肉をやろうとし、しかし焼けぬまま上に上に肉を足すので下は丸焦げ上は生という地獄の焼肉で、妙な踊りを踊り、さらには遺骨をまき、焼肉にもふりかけ、供養ですから食ってくださいという。いや食えるかい、と思う2人だがどうも逃げられない。すると男は、酒を買ってくるから待ってろとどこかへ。しかし帰ってこん。様子を見に行くと、シボレーがない。あんにゃろ盗んでったか。
どうにもならないので歩く。3キロほど歩くと、あら?本来行こうとしていた住所に辿り着いてしまった。しかも目の前の家の表札が津山である。もしかしてあのジジイ、全部嘘か。
とりあえずその津山宅にすんませーんって入ると男がガラスを切断する作業中。事情を説明すると、ああそうですか、死にましたかと軽い。遺骨ももういいという。それよりおれの仕事ぶりを見てくれと言わんばかりにガラスの加工の続きをやる男。しかし調子に乗っていたら思い切り親指を切ってしまい鮮血が。主人公と五郎は、お暇する。
なんか食うべってまた歩くと、どうやら色街である。ふたり、それぞれ楽しむ。
そんでまた歩く2人。拾った新聞には、天田はま子さんが何者かに殺されたという事件の記述が。因果応報だぜ。
また河原で談笑する2人。五郎が誤って、鮒かなんか腐った魚が積み上げられたところに手を突っ込んでしまう。くせぇ、助けてくれ。対岸ではなにか映画の撮影隊らしきものたち。演技はうまいのに間に下手くそなオペラのようなものを挟み歌う男女。腐った鮒とオペラに挟まれ爆笑する2人。
おわり。
こう書くと、ほんまに無茶苦茶やな。
しかしだいたいこの通りである。それでもこの本がおもろいのは、町田康の文章がすごいからである。あらすじだけ読んでおもしろがれるものではない。とにかく読むしかない。 -
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「老パンクロッカーで物書き」である町田康さんによる、俳句界のパンクともいえる山頭火の評伝。
山頭火入門、ではなく、『入門 山頭火』である。
町田さんは、山頭火のことはよく知らない、と、言いつつ、村上護さんの著書『山頭火 漂泊の生涯』を主なガイドに、小説家の想像力で、山頭火と併走し、山頭火に潜る。
脱線したり、山頭火や、自己にツッコミを入れたり、はたまた世間に吠えたりしながら、山頭火に共鳴していく町田さん。
その姿は真摯で、例えば、こういう評伝とか読むと、この人はアンタなのかいっ!と言ったものも多いけれど、町田さんは「〜と、俺なんかは思う」と、謙虚。
そこが好きである。
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ネタバレ沈黙に焦る、ありがとうがないと腹が立つ、体育がだるくて嫌い、など普遍的な悩みに作家7名が趣向を凝らして答えた1冊。
とくにありがとうがない、という悩みに対し、そもそも世界で「ありがとう」をめったに言わない国の人がおり、水くさいと考える人もいるということを初めて知った。自分の考えだけだと決して浮かばない考えなので、興味深い。
その他にも「結局悩み解決してないじゃん」といったものもあったが、回答の内容が大喜利のようで面白く、こう考えればいいんだな、自分もこういうところあるなぁと楽しく読めた。
真剣な悩み解決に一役買う本ではないが、小さいコラムを読んでいるようで面白かった。 -
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引き続き読みました『ギケイキ②』。やはり、『義経記』の原文を一章分位読む。次に原文をチラ見しつつ『ギケイキ』の対応する箇所を読んでみると! その解釈の深さ的確さ、背景知識(勉強)、行間を、そして台詞と台詞の間を埋める想像力に驚嘆するとともに、その想像力が生み出したセリフに抱腹絶倒。読んでいてむちゃくちゃ楽しいぞ。なんど吹き出したことか! あるいはまた、『平家物語』巻七「福原落」にも比すべき「義経都落」の286頁から289頁なんかを原典と対照させて読んで見よ。町田康の文の芸に感動感涙するぞ! しかし最後まで来て、アレ?! これ巻五の初めの二章で終わってるやん(原典は巻八まで)! この分やと『ギケイキ④』まで行かんと完結せんやん。町田康、早く続きを書いてくれ!
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町田さんの猫ちゃんへの愛が伝わって好きなシリーズ、第二弾。
面白いことはとことん面白く、悲しいことは時系列で記録。
町田さんならではの視点と文体がやみつきになる。
本作はまた新たに保護猫家族が増える。
『ヘッケの家族なら預かりたい』という意向を無視してどんどん連れてくるボランティアの方(笑)
最後の解説で動物愛護団体の友森さんが『こいつ濃い目の猫いけるな……と見たら、行き先のない厄介な猫を預けに行く』と書いておられた通り、町田さんはヘッケに似ていないとわかってもどんどん預かりお世話をしていく。
根っからの猫好き、猫愛を感じてたまらなくなる。
町田さんの元に行った猫ちゃんは幸せだろうな。
この文庫の単行本は2007年に刊行されており、2022年の今はこの時から15年経っているというのに、保護猫・保護犬の減らない現実……。
活動も未だにボランティア団体を頼るしかないという事に愕然とする。
人間のエゴで飼われて捨てられる、勝手に増やされることが本当にもう終わって欲しい。
猫ちゃん1頭の命を自分の命と同等に、いやそれ以上に扱う町田さんに惚れる一冊。 -
購入済み
キチンと理解できれば断酒に向か
自意識過剰の人とか天狗になってる人は刺さるかも。
単純に自分を卑下するようなイメージで読み進めると理解できない本。
個人的には酒は人生の負債という当たり前のことを改めて認識した。