町田康のレビュー一覧
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ネタバレ本を読みながら、急に笑い出したり泣いたりするわたしを、冷静なまなざしで見つめるねこがふたりいる(わたしはねこをひとり、ふたりと言う、物書きではないので虚栄心はない)。名を矢三郎となつめという。
ココアやヘッケの最期のときを読むと、側で平和の象徴のように寝ているこの子たちの姿と重ねてしまい、顔がびっちょびちょになる。エマージェンシー。生き物である以上、別れは必ず訪れること、そういうことも全て引き受けていることをこの本で再確認し、そして何よりも、わたしたちのもとに来てくれて本当にありがとう、という気持ちがむくむくと大きくなる。こんなときハグのひとつくらいさせてくれてもいいのに、矢三郎は近づくと -
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さすがは並みいる男性作家が選んだ作品集である。全部面白い。
「ちょっとちょっと…」と傍で話しかけられるような親しげな語り口と
抜群のリズム感が心地いい。特に気に入ったものを少し…。
「道化の華」
ラスト3行でいきなり視界がぱあっと広がり、ぞくっと怖くなる。
視点のトリックで読者を驚かせるのが上手い。
「彼は昔の彼ならず」
心の本質が似通った人間が近くにいると、お互いに感応してしまうのだろう。
口先三寸のペテン師のような男を非難している主人公の男もまた、
親の遺産で遊び暮らす怠け者。
才能ある芸術家のパトロンになりたいという、
彼の下心を見透かしたペテン師の作戦勝ち。 -
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『こいつを潰すのは俺の使命。俺の勇気。そして希望。青雲。ラララ、君が見た光。』
『思考における二股はひとりの人間を複数の人間にする。その好例がエグザイルだ。』
『もう口惜しくって口惜しくって、手に持っているグラスを握力の力で握り割って、割れたガラスで掌を切り、鮮血を迸らせ、その鮮血の迸る手で寿司を握り、真面目で冷静な声で、「へい。お待ち。血の握りです」と言って配って歩きたいような気持ちになった。』
「もう、あいつはやきもののこととなるともう、きちがいだからね。ね、そうだよね、未無ちゃん」
「きちがいです」
「だよね。まあ、それ以外のことについても大体、きちがいなんどけど、まあそういう僕も -
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古本で購入。
町田康の小説は精神が下向いてるときに読まない方がいい。
「夢とか希望って何ですか?」とでも言うような、湿った、黴臭い、底辺感が滲み出ていてきついのだ。
でも言葉のリズムに乗ってズンドコ読み進んでしまうのはさすが。
書き手のリズムと読み手のリズムが一致したときの感覚はなかなか心地いい。
収録されてる「ふくみ笑い」の終盤、
「半分は嘘。半分は本当、ところが、わははははは。また全員がしらこい虚わらい。あぱぱの踊り、福祉餅」
とかね。
このキチガイじみた感じが実にたまらん。
この「ふくみ笑い」の破滅感と「逆水戸」の狂騒ぶり。ステキだ。 -
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町田康の短編集。
『犬死』
冴えない作家が謎の占い師ジョワンナ先生に会いに行く話。
『どぶさらえ』
町会でシカトされたあげくどぶさらえを任された男がビバカッパ!と叫ぶ話。
『あぱぱ踊り』
陰気な倉庫街で出会った両脇に踊る女2人を従え自分の“凄さ”に酔いしれる男。
そんな男の“凄さ”の化けの皮を剥がすべくエケメという謎の店に行く話。
『本音街』
誰もみな本音しか言わない街、本音街。建前なしの清清しい話。
『ギャオスの話』
突然東京に現われて大都市を混乱に落としいれ、棲みついてしまったギャオスの話。
大怪獣を手なずける方法を偶然見つけ、日本人はギャオスを抱えて生きていく。
『一言主の神 -
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ネタバレ町田康の猫エッセイ2冊目。
前著『猫にかまけて』同様カラー写真も満載で、「食パンみたいな顔の猫」ってこういうことかーと納得できる稀有な書であります。
14ヶ月で夭逝したヘッケを悼み、未だ路上生活を送っているヘッケの兄弟猫を保護せんと保護団体にコンタクトするも、連れて来られるのはヘッケとは似ても似つかぬ他猫ばかり。
それでも「この子は助けるけどこの子は助けない、というのは人間の傲慢ではないか」といった思想から、町田夫妻が仕事場に寄寓させる事になさったニューフェイス達がシャア、ニゴ、トラ、ウメチャン、エル。
「ウルトラマンニゴ」とか「インド風ラジオ体操」とか、笑いどころも相当あるのですが、や