町田康のレビュー一覧

  • 告白

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    最高に面白かった。関西弁、特に河内弁がわかることでこれほど文学作品を楽しめることがあるとは思いもしなかった。小さな頃から親しんだ吉本新喜劇のヤクザの言葉や、富田林出身の父が友人とふざけて話していた言葉が、なんとも言えず心地よいリズム感で繰り出されて読むのがやめられなかった。

    口下手で、経済力も文化的資本も持たない声の小さな存在が、持てる人間にいいように言いくるめれ、掠め取られ、尊厳を踏み躙られる様子は、現代の日本をみていても本質的には大きく変わっていない。だからこそ、これを読んで熊太郎の心情につい肩入れしてしまうんだろう。

    作風は違うものの、芯にある硬質な視点は以前読んだ小川洋子の「ことり

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    2025年10月22日
  • 口訳 太平記 ラブ&ピース

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    ネタバレ

    町田康による『太平記』。
    いつもながら「王法と仏法のツープラトン攻撃」やら「死ぬ前に何人殺せるか、のコーナーあああっ」やら、穏やかでないワードが勢い良く飛び出て来るから、登場人物が多く長大な物語であっても読みやすい。前半部分で長々と語られる、南北朝の複雑怪奇な権力闘争も、思いのほか分かりやすく書かれていて話に入りやすかった。
    楠木正成は終盤で活躍を始めたばかり、尊氏もまだ名前だけの登場で、これからの展開が楽しみ。いつまで掛かるか分からないけれど、ダイジェストにすることなく最後まで書ききってほしい。

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    2025年10月19日
  • 告白

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    明治時代に実際にある村で起きた殺傷事件「河内十人斬り」を描いた作品。

    後に凄惨な殺人事件を起こしてしまう主人公城戸熊太郎の生涯が書かれている。約700ページの大作で読むのにかなりの時間がかかったが、地の文にツッコミが入れられていたり、おほほんやあひゃーんといったふざけたリアクションも斬新で重いテーマではあるが所々笑える場面も散りばめられていて読みやすかった。

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    2025年10月19日
  • 俺の文章修行

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    ネタバレ

    相変わらずの町田さん節に浸れた。
    終始難解で容易に理解できるものではなかったが、ここに書いてあること全て脳裏に焼き付けたいと渇望するほど面白い内容だった。

    ・面白い文章を書くにはとにかく読書をする。
    ただあらゆる書物を貪るのではなく、少々難解だと感じた本を繰り返し読む。
    ・文章の書き方を教わったところで、内蔵型の変換装置は身につかない。
    外付けと内蔵のバランスを保ち、高尚なことを述べねばと肩肘張らず、心中に蠢く糸クズを探る。

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    2025年10月02日
  • くっすん大黒

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    上田は某Nとか、某オレンジみたい。去勢をはって飲まれて自分がいなくなってる。ロッカーは服従するバカが嫌いね。というより脳無しか、自分で判断なんかしないやつら。楠木たちはそれをガハハって、偽らないしバカじゃないから。

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    2025年09月30日
  • 浄土

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    本音街だけ読んだ。お前本音全然言わないやん!今だろ今!てなる。これ、読んだあと自分に対してもそういうここ本音のいいどころだろってのが出てきて超面白い。

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    2025年09月29日
  • 口訳 古事記

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    古事記を関西弁(河内弁?)にした翻訳で、とにかく勢いが良い!
    神々の会話も「もっとちゃんとしたらええんちゃいますか」「いいね」「マジですか」という感じです。

    その勢いのまま、現代人には馴染みのない言葉や風習の説明も組み込まれているのでわかりやすい。
    伊耶那岐命(イザナキノミコト)が明かりを灯す場面は
    <ポンポンにしたツインテール(この髪型を、みずら、という)の、左のテールにヘアピン的な感じで指した櫛の、端っこの太い端を折り、自らのうちにある神威を作用せしめてこれに火を灯した(P26)>
    と書かれます。なるほど。

    古代では「降参した側が相手に捧げる歌や踊り」というものが出てきますが、こちらの

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    2025年09月24日
  • 告白

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    ネタバレ

    最初の一歩で躓いた人間なんだと自暴自棄になり、しかしその躓きは自分の思い込みで、自分は思い込みに怯えて人生を棒に振ってしまったのではないか

    こここそが引き返し不能地点だ、と思っていたところは実は楽勝で引き返せる地点だった

    行き止まりだと思ってぶち当たった壁は紙でできていて、その先には変わらぬ世界があった

    もしや自分は取り返しがつかないことをしてしまった、もう元の自分には戻れないぞと気づいた瞬間の沈んでいくような恐怖と、それでも世界は終わってくれないということに対する驚愕に近い絶望感
    最後の山で過ごした熊太郎の心境を想像すると切なくなった

    思弁的な熊太郎、何を考えているのか読者は知ってい

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    2025年09月04日
  • くっすん大黒

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    独特だが勝手に入ってくるリズムのいい文章と変な夢みたいな展開で解説にあるとおり、梶井基次郎や太宰、坂口安吾のような苦悩が表現されるが、彼らと比べると笑いが仕掛けられている。鬱々としてはいるが、最後は笑いなのである。なんとかなれ、なんとかなったの笑いに心が軽くなる。

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    2025年08月24日
  • しらふで生きる 大酒飲みの決断

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    自分と同じ戦

    まっすぐやのにわざわざ遠回りして辿り着く境地、断酒

    楽しさの確実性を求めると酒に辿り着くとな
    楽しくない日も受け入れなあかん
    しっかり考えて生きよう

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    2025年08月13日
  • 湖畔の愛(新潮文庫)

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    最果タヒから。
    いや〜久々に大当たりだったかも。
    めちゃくちゃおもろい。かつめちゃくちゃ知的。新喜劇的な笑いとハイコンテクストな古典知識、どちらの素養も必要。筆者に出会えてよかった。絶対自分には書けない小説だった。

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    2025年08月04日
  • 告白

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    こんなに分厚い文庫本ははじめて読んだ。はじめから面白いが熊太郎も弥五郎も魅力的で読め進めるほど更に面白くなってくるのは人物に魅了されるからだろう。不器用で思弁的な熊太郎はどこか他人と思えず程度の差はあれど自分の中の思弁的な面と向き合わされる。実際の城戸熊太郎がどういう人だったかはわからないが、なんとも切ない話だ。

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    2025年07月30日
  • 告白

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    自分の心の声を言葉にできない気持ちがとても共感できた。他人事とは思えない、時間がかかったけど、読んでよかった。

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    2025年07月24日
  • 猫にかまけて

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    猫好きのお手本のような人。感動したのは、かわい〜ばかりではない、お世話やお別れのこともしっかり書いてあること。寂しいに決まってるし、もっとできたんじゃないかと後悔するに決まってる。でも、一生懸命愛して、目いっぱい愛を伝えている姿が、とってもいい。自分もそうでありたいと思う。

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    2025年07月08日
  • 口訳 古事記

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    くすくす笑いながら読みました
    地名の由来がこの話からきてるのかぁとか、この地域の話なんだ、っていうのが、関西在住の身からすると身近で興味深かった!

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    2025年07月07日
  • くっすん大黒

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    ネタバレ

    「くっすん大黒」と「河原のアパラ」の2編の小説を収録。
    文体がなんとも面白くて。とにかく長いのだ。文が始まると句点「。」かなかなか出てこない。それでも文章はわかりやすいのだ。あっぱれ。そして巻末の解説の中で、影響を受けて(わざとだろうが)すごく長い文章が現れた。

    「くっすん大黒」冒頭にはコテコテの大阪弁が出てきて、「ひゃー!参った」
    わたしも大阪生まれ、関東も含めあちこちに動いたものの、基本は大阪というか北摂育ち。でも「あんけらそ」って何?聴いたこと無いんやけど。調べたら著者は堺市生まれ。そうなんや。私の友人に岸和田の男がいたけど、見事な大阪弁やったな。上方落語に近いような。しかし、登場人物

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    2025年07月04日
  • くっすん大黒

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    文章が面白くて、展開も早くてテンポがいい。漫才のような歯切れの良さは関西弁によるものなのだろうか、と思って読むけど本質としては町田康の文が洗練されているからだと思う。たまに挟まれるあまり見ない言葉やカタカナ、飽きを感じさせない新鮮な面白さがある。
    泥臭さとアホさがいつ読んでも元気出ていい。最高!

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    2025年06月30日
  • 宇治拾遺物語

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    そういえば、今年の正月に春には高校生になるという甥にプレゼントしたのだった。きっと友達らとゲラゲラわろてることやと思う。

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    2025年06月29日
  • しらふで生きる 大酒飲みの決断

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    人生迷走中のまま中年になり絶望していた自分にとって道標になるような本だった。

    私も3ヶ月酒を飲んでいない。このまま続けてみようかな。ただ私は平凡以下の低スペ野郎なので、脳から酒粕が消え去ってもたいした利得は得られないんだろう。せめて、今まで悪い意味で生き急いで見落としてきたものに気づき、自分の中に余白が生まれたらいいなと思う。

    人生は寂しい。

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    2025年06月12日
  • 俺の文章修行

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    凄かった
    内臓変換装置→自分の言葉
    文章のいけず→内容を効果的に伝えるための手段
    結局は内容→高尚の罠に嵌ってはいけない。つまり普段自分の精神安定のために持っている「道徳」とか「荒っぽいフォルダ」に入っている自動処理に使うやつとか、「忘却」を乗り越えて、その先にある糸くず=内容、を取り出してそれを観察する。いくらしょうもないことだとしてもそれが内容。ここにしか本物はない。

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    2026年01月03日