町田康のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最高 火事になってもこの本持って逃げるもん
タイトルは「ご覧のスポンサーの提供で…」の「ゴランノスポン」で、惰性で流していたテレビの電源を突然切る瞬間を切り取ったもの。そのセンスも好き!
騙し騙し帳尻合わせして後で納得できるように意味付けして意味もなく大変だと騒いでみたりしていたら一気に現実に戻される、その瞬間に心当たりがある人、またはその瞬間の訪れを認知して怯えながらその瞬間を待っている人、たくさんいるんじゃないかな
ダメな成功体験を積み重ねて増長した変な自信のせいで後戻りできないくらい社会的に破滅する瞬間が来るはずだとずっと思っていて、最近ゆっくり人生が破滅しているのを感じているからこの本を今読めてよかった!人生ネタバレかも。既視感のある不気味さ、身勝手な不条理、人間の空虚で滑稽で愛しい本質。
全然関係ない話なんだけどなんか自分被害者です…みたいな顔の犬っているじゃん 私はあの犬の顔で大学に通い、私の合っているか分からん判断や選択や運命を周りが受け入れる空気になるのを待ってから、じゃーなんか、そういうことっぽいので、やります、みたいな選択をしてる 話に出てくる人と私のその適当さのフィーリングが合致してたから楽しかったかも -
Posted by ブクログ
ネタバレ5年前に上司に薦められた本。電子書籍にて購入。作者は元ミュージシャンでパンクロックバンドのボーカル、ってのが納得なぐらい文章が尖っていた。読むパンクロック。会話文が多いし長い、強烈なおばさんが出てくる、とんでもない罵詈雑言が出てくる。あと見た事もない言葉が出てくる。吝嗇、我利我利亡者とか初めて見たし読み方と意味調べながら本読んだの久々だった。作中に出てくるAVの「淫乱バスト・秘密の大戦略」ってワードが意味もなく何回も出てくるところ、亀爆発させるところ、ぶっ飛んでて読んでて笑ってしまったし今思い返しても笑えてくる。くっすん大黒も河原のアパラも主人公ゴミクズで明らかに悲惨なのに本人やその友達はなんにも気にしてなさそう、寧ろ楽観的でなんか人生案外どうにでもなるんだなって気持ちになる。読んでる時はなんだこの本…って若干引いてたけど読み終わって内容思い返したらまた読みたくなる本。面白かった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本当にくだらなくて(※誉め言葉です)笑える説話集。
町田さんの現代語訳を読むのは「古事記」に続いて二作目ですが、古事記同様、訳がかなりぶっ飛んでて笑ける。
宇治拾遺物語は説話集とはいえ、教訓じみた内容がメインというわけではなく、庶民的な俗っぽい話や下ネタが多いところに、町田ワールド炸裂の現代語訳ですから、面白くないわけがありません。
こぶとりじいさん、雀の恩返しなどの有名な話や、鼻、芋粥など芥川龍之介の短編小説の題材になった説話も収録されており、鮮やかな現代語訳で物語が蘇ります。
ということで、いくつか町田訳を抜粋して紹介しておきます。
・踊りまくったお爺さんがフィニッシュのポーズを決めて一礼したとき、全員が立ち上がって手を拍ち、ブラボウを叫んだ。(第三話;下記参照)
・彼は国家に認められた正規の僧ではなく、修験・修行系、インディーズ系の僧侶であることが誰にでもわかった。(第六話)
・主人もすかさず「そんな訳あるかいっ」と突っ込み、そこにいた全員が爆笑して平和な感じになった。(第七十九話)
・そうなったのはおまえ自身が前世よりキャリーオーバーした宿業によってであって、いわば自業自得です。(第九十六話)
・そして最終的に、トータルで八人の家来を行かせて試してみたが八人全員の陰◯(※自主規制)の脱落が認められた。また、全員がド助平であることもわかった。(第一〇六話)
・つるつるの頭に日光が反射して光っていた。頭をビカビカ光らせて真面目な顔をして歩いているオジンの姿が極度に滑稽で、その場にいた全員が爆笑した。(第一六二話)
・帰途、孔子は大聖人たる自分を見失い、小娘か下司のするようなヘマを何度もしでかした。これを後の世の人は「孔子倒れ」と言った。笑う。笑ける。(第一九七話)
特に、第三話の「奇怪な鬼に瘤を除去される」(こぶとりじいさん)はネットで全文訳が公開されているので、興味のある方はぜひ一読をおススメします。
人間の面白さ、どうしようもなさ、憎めなさは時代を経ても変わらない、ということが本書を読むとよく分かります。
本書では全197話のうち33話が収録されていますが、いずれは全訳を期待したいものです。
とにかく笑ける一冊。 -
Posted by ブクログ
古典新訳コレクション23
宇治拾遺物語
訳:町田 康
出版社:河出書房新社
河出文庫 ま 17-5
散逸している宇治大納言物語に含めることができなかった話をまとめたものという意味なのか、拾遺=侍従という意味で名づけられたものなのかはわからないと冒頭にある
本書は口語訳なので、古典本来の趣はないが、サクサク手軽に読める
全体を通貫して読んだわけではないが、下ネタが多い。宇治大納言物語に収めるをためらった話を、拾遺として集めたのではないかと思ってしまう
高僧や、大将軍といえども、人の子なわけであり、恥じらいもあれば、見栄もある。高位の人間の失敗を説話として笑い飛ばすのがおもしろいので、当代まで伝わったのではないだろうか
美女が屁をこく話などがあり、男女の営みの最中に逃げられたり、動物が化けたり、恩をかえしたりと、喜怒哀楽の極みで、肩がこらないと感じました
全集を一読するのもいいと思いますが、抜粋版をいくつか買っておもしろいところ、読むのもうれしいかと感じました。
目次 * KADOKAWA ビギナーズ・クラシックス掲載話
*序
001 *道命が和泉式部の家で経を読んだら五条の道祖神が聴きに来た
003 *奇怪な鬼に瘤を除去される
004 *伴大納言のこと
006 中納言師時が僧侶の陰茎と陰嚢を検査した話
011 源大納言雅俊が童貞の僧に鐘を打たせようとしたら…
014 小藤太が娘聟に驚かされた話
018 利仁将軍が芋粥をご馳走した
025 *鼻がムチャクチャ長いお坊さん
030 *卒塔婆に血が付いたら
034 藤大納言が女に屁をこかれた
038 絵仏師の良秀は自分の家が焼けるのを見て爆笑した
048 雀が恩義を感じる
049 *小野篁の才能
050 平中が本院侍従にやられる
073 範久阿闍梨は西に背を向けなかった
074 楽人である家綱と行綱が兄弟互いに騙しあった
076 新妻が平仮名の暦を作って貰ったら大変なことになった話
079 ある僧が出された料理を盗み食いした話
094 三条中納言が節制を試みた
096 長谷寺に籠もった男が利得を得た
106 滝口道則が術を習った話
113 博徒の子が財産家の婿になった
114 伴大納言が応天門を燃やした
125 *兵衛尉藤原保輔は泥棒だった
130 蔵人得業恵印と猿沢池の龍の昇天
133 *偽装入水を企てた僧侶のこと
143 増賀上人が三条の宮でやらかしたこと
145 穀断の嘘が顕れて逃げた聖の話
158 陽成院の御所の化け物のこと
162 元輔が落馬した話
168 出雲寺の最高経営責任者がそれが転生した父と知りながら鯰を殺して食べた話
174 優婆崛多の弟子のこと
197 *盗跖と孔子の対話
全集版あとがき
文庫版あとがき
解説
ISBN:9784309420998
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:800円(本体)
2024年04月10日初版印刷
2024年04月20日初版発行 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公が絵描きの屑人間なんですけど、借金したり放蕩したり生活が行き当たりばったりで、どうしようもない人間だなってところがまず好きだし、特に好きなのが、自分は趣味で絵を描いてるんですけど、あいつの描く絵より俺の絵のほうがイイだとかあいつは大衆に媚びてるだとか、この自意識分かるなぁ〜と。で、この自意識が強い人間って、絵をあまり描かないんですよ。サボってる。自分の描くものよりも先に目が肥えていくものなので、これってあらゆることでそうで、そこから脱するためには忙しく手を動かす以外にないんですよね。誰かを負かすために絵を描くところとか、正直分かるんですよ。邪道。自分もこうなってしまわぬようにちゃんと作品を世に出さないとなって思いました。こういう教訓って、自己啓発本じゃあ骨見に沁みないんです。笑えるんだけど、笑っていいのかなみたいな。でも笑っちゃう。そんな馬鹿馬鹿しい人間を描ききった作品の1つですね。すごく気に入ってあっという間に読んだんですが、新橋のどっかで無くしました。わちゃー。悔しいから次は単行本買ってこましたろ。
-
Posted by ブクログ
全ての行動は自分のため。
他人のためになることをしたとしても、それが100%の純度で他人のためということはあり得ないということを忘れないでおきたい。
そうすれば自分の行動を他人のせいにしたり、他人の行動を自分のせいにしたりせずに済む。
人はそれぞれ自分勝手に、自分の得になるように生きている。
端から見てどんなに莫迦げた行動だとしても、その人なりの正当な理由があるのだということも忘れないでおきたい。
『告白』というタイトルがどこから来るのかと思いながら読み進めた。
人の思いの全てが他人に伝わることは決してない。
自分のことだって自分自身には分からないことばかりなのだから、熊太郎でなくても思っていることを言葉にすることは難しい。
その上、他人に自分のことを語るとなると、その相手との関係から大袈裟に語ったり誤魔化したりもしてしまう。
そういうことなしに人の思いを言葉にして伝えられるのが小説なのだと思った。
もちろん実在する人物のことではないし、この作品の熊太郎は実在した人物のことだとしても他の作品と同様、筆者の想像と創造でしかないのだけれど。
ひとりの人に何が起こり、何を思った結果、何をしたか、その全部が受け取り手に正しく伝わるのは小説しかない。
だから、最期の場面だけでなく、この小説の全てが熊太郎の『告白』なのだと思う。
熊太郎の周囲にいた人たちは熊太郎の行動だけを見て熊太郎のことを莫迦にすることは出来るだろう。
でも、熊太郎の内面を知ることの出来た私は莫迦になど出来ないし、むしろその無垢さに感動してしまう。
そして自分の中にも少なからず共通する部分があると感じる。
私も「告白」したい。