町田康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれはもう、発表された時の衝撃度は、ホンマに本当に、でえれえものがあったのでしょうね。
町田康さんの文章!としか言いようのない、あまりに独特の文体。頭の中の、いまこの瞬間の一瞬一瞬に思い浮かべている気持ちを、そのまんま、ホンッマにそのまんま、地の文にした感じ。言葉と気持ちと文章が、全部直結してる感じ。
でも、それが決して読みづらいわけではなく、ああ、わかるわかる!って、こうこうこの感じ!って、納得できちゃう感じ。なんなんでしょうね、このシックリくる感。まさにコレ!って思えちゃう感。
町田さんが、めちゃめちゃ推敲に推敲を重ねて、吟味に吟味を重ねてこの文章を生み出しているのか、それとも脊髄反射のように、思い浮かんだ言葉を文章にしているのか、それは私にはわからないのですが、とにかうもう、自分の気持ちそのものを伝えるには理想の文章だと思います。
日本語を理解できて良かった。日本語ってこんなに表現力豊かなんだ、それを心の底から知らしめてくれたのが、僕にとっては、町田さんの小説なのです。本当に、この文章は文体は、素晴らしい発明だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を読みながら、急に笑い出したり泣いたりするわたしを、冷静なまなざしで見つめるねこがふたりいる(わたしはねこをひとり、ふたりと言う、物書きではないので虚栄心はない)。名を矢三郎となつめという。
ココアやヘッケの最期のときを読むと、側で平和の象徴のように寝ているこの子たちの姿と重ねてしまい、顔がびっちょびちょになる。エマージェンシー。生き物である以上、別れは必ず訪れること、そういうことも全て引き受けていることをこの本で再確認し、そして何よりも、わたしたちのもとに来てくれて本当にありがとう、という気持ちがむくむくと大きくなる。こんなときハグのひとつくらいさせてくれてもいいのに、矢三郎は近づくと一目散に逃げていくのだ。しゅん。
町田家の愛すべきねこたちはとってもおしゃべりでユーモアに溢れている。その会話全てに愛が溢れていて、まさにねこにかまけている著者がますます好きになった。 -
Posted by ブクログ
さすがは並みいる男性作家が選んだ作品集である。全部面白い。
「ちょっとちょっと…」と傍で話しかけられるような親しげな語り口と
抜群のリズム感が心地いい。特に気に入ったものを少し…。
「道化の華」
ラスト3行でいきなり視界がぱあっと広がり、ぞくっと怖くなる。
視点のトリックで読者を驚かせるのが上手い。
「彼は昔の彼ならず」
心の本質が似通った人間が近くにいると、お互いに感応してしまうのだろう。
口先三寸のペテン師のような男を非難している主人公の男もまた、
親の遺産で遊び暮らす怠け者。
才能ある芸術家のパトロンになりたいという、
彼の下心を見透かしたペテン師の作戦勝ち。 -
Posted by ブクログ
『こいつを潰すのは俺の使命。俺の勇気。そして希望。青雲。ラララ、君が見た光。』
『思考における二股はひとりの人間を複数の人間にする。その好例がエグザイルだ。』
『もう口惜しくって口惜しくって、手に持っているグラスを握力の力で握り割って、割れたガラスで掌を切り、鮮血を迸らせ、その鮮血の迸る手で寿司を握り、真面目で冷静な声で、「へい。お待ち。血の握りです」と言って配って歩きたいような気持ちになった。』
「もう、あいつはやきもののこととなるともう、きちがいだからね。ね、そうだよね、未無ちゃん」
「きちがいです」
「だよね。まあ、それ以外のことについても大体、きちがいなんどけど、まあそういう僕も実際はきちがいみたいなものなんだけど。そうだよねよね、未無ちゃん」
「きちがいです」
「君はいま頭の痛みに苦しんでいるのかも知れないが、そんなものはこれからの苦しみに比べたら練習のようなものだ。ウグイスの交尾のようなものだよ。」
「や、やめて…」
「なにが、やめて…、じゃ、ぼけ。おまえは処女か。あのなあ、あのさあ、俺はおまえが帰ったらどうなるかを呆れるほど克明に説明したよねぇ。してない? した? 未無、どっち?」
「呆れるほど克明に説明してました」
『もちろん俺たちに隙はない。明日もない。あるのはいまだけ。』
「おまえを葱で殴りたいような気持ちを常に心の中心に抱いて、その葱の臭みを、それは臭みじゃないでしょう、むしろ、それを臭いと思う消費者のほうがよっぽど臭いんとちゃうんけ、と思いながら!」
『屋上の草原はごみごみした地上と違ってとても気持ちがいい。こんな気持ちがいいところで暗殺の練習ができるなんて、本当にうれしい、気持ちいい。感謝。』 -
Posted by ブクログ
古本で購入。
町田康の小説は精神が下向いてるときに読まない方がいい。
「夢とか希望って何ですか?」とでも言うような、湿った、黴臭い、底辺感が滲み出ていてきついのだ。
でも言葉のリズムに乗ってズンドコ読み進んでしまうのはさすが。
書き手のリズムと読み手のリズムが一致したときの感覚はなかなか心地いい。
収録されてる「ふくみ笑い」の終盤、
「半分は嘘。半分は本当、ところが、わははははは。また全員がしらこい虚わらい。あぱぱの踊り、福祉餅」
とかね。
このキチガイじみた感じが実にたまらん。
この「ふくみ笑い」の破滅感と「逆水戸」の狂騒ぶり。ステキだ。