【感想・ネタバレ】笛吹川のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年12月01日

戦国時代、山梨県甲府の近くに流れる笛吹川の川沿いに住み、武田家に仕えた百姓の話。時代小説は町民やお役人、武士を描いてるモノばかり読んできた中で、この小説は昔の貧しい百姓の暮らしぶり、人の生き死にが淡々と描かれていると思う。死生観も大きく変わったような気がする。昔々人の死は自然の一部であった頃のお話し...続きを読む。これを読むと数々読んだ養老猛司の著書にシンパシィを感じる。

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Posted by ブクログ 2012年03月04日

全体としては淡々としているのに、ぐんぐん読み進んでしまう異様な面白さが凄い!最後のほうの、映像が目に浮かぶような迫力も、物凄い!解説が町田康ですが、思い返せば町田康の『告白』などは、この作品(というか深沢七郎)へのオマージュ(というか影響)のようにも思えてきます。『笛吹川』、素晴らしく面白くて物凄く...続きを読むて、良い作品でした!

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Posted by ブクログ 2011年06月07日

待望の文庫化。しかも解説は町田康。私の祖母は甲州弁のネイティブスピーカーだったのだが、それを聞いて育ったおかげでこの本の語りにすんなりと入っていけた。祖母には全く感謝することろがなかったが、その点だけは感謝したい。

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Posted by ブクログ 2022年11月26日


分かりづらく凄いものを読んでしまった感。
表題の笛吹川に沿って、武将と農民の六代に渡る盛衰を淡々と見せられてしまう。
町田康氏の「どうにもならない」というあとがき題が印象的。読後は呆然。

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Posted by ブクログ 2022年09月26日

戦国武田氏の支配する甲州が舞台である。この作品はいわゆる戦国物と違い、農民が主人公で、戦乱の中で虫けらのごとく殺されて行ったある一族六代の物語だ。兵農分離が進んでいない甲州では農民が戦に出ており、主家との確執もあって、半蔵の一家では殺された者も多い。しかし、物語の終焉には武田家の滅亡とともに取り立て...続きを読むられた惣蔵、安蔵、平吉をはじめウメ、おけいまで死ぬ。その残酷さにはただただ戦慄を覚えた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年12月06日

最後の数十ページの怒涛のような、しかし妙に静かな一族の死に様に圧倒される。
作品全体を通して誰も彼も死んでいき、特にその悲哀も語られないままなので、このまま終わるのかしらと思っていたら、息子たちの「先祖代々お屋形様にお世話になったのに」発言である。ゾッとした。なんと人間は矛盾した生き物であることか。...続きを読む

その淡々とした筆致に全く作為的なものが感じられないのにも関わらず、最後まで読むと恐ろしいほどの完成度に舌を巻いた。これが著者の初長編とは、やはり深沢七郎は怪物作家である……。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年11月23日

このころの農民の命の重さが悲しい。親方様に従うのが悲しい。はらはらしながらよんだ。
お爺が粗相をして殺されたシーンが辛かった。足を怪我して手当じゃなく。汚したとして殺された。 
最後まで褒美なんて貰えるはずもないものをきたいしてて。辛い。

すきなのはおけい。おけいがこどもが生まれない理由を責められ...続きを読むて暇をいただきやす。とあっさりでていつたとこはかっこよかった。素直で働き者でマッぐな正確がとても羨ましい。

ボコ。戦。農民。
巻き込まれてしまうのは弱者。生まれ変わりの考え方が興味深かった。たくさんの人が死んでしまった。死には意味はないかもしれないけど、平和だったら生はまっとうできたのになとおもう。

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Posted by ブクログ 2015年04月25日

何かの書評で読んで興味を持って購入したのですが、想像以上にのめり込んで一気に読めました。 ただし、文庫で1,400円は高い・・・

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Posted by ブクログ 2015年05月05日

戦国時代を舞台にした小説といえば、通常は戦国大名やその家臣の活躍を描いた歴史小説が挙げられるであろう。本作もまた武田信玄軍の一員を主人公にしているのだが、しかしその身分は武士ではなく、みずから軍に加わった農民である。これだけでもめずらしい設定であるといえるが、しかし本作の特異な点を挙げるとすれば、そ...続きを読むのようなことではないであろう。とにかく、人が死ぬのである。中上健次の「紀州サーガ」にも似たような、田舎の前時代的な社会を描いているため、系図がないと容易に把握できないぐらい多くの人物が登場するのであるが、その大半がつぎつぎに亡くなってしまう。当時の平均寿命などを考えれば、それはとくにおかしいわけでもないのかもしれないが、とにかくぞっとしない。しかしほんとうに恐ろしいのは、それがあまりにも淡淡としすぎている点である。死に特有のあの饐えた臭いはいっさい放たれることがなく、きわめて事務的につぎつぎと人が亡くなってゆく。猟奇的趣味から人を殺しているわけではないことはあきらかであるが、しかしこれははたしてほんとうに小説と呼べるのか。そう思ってしまうくらい、とにかく無機質で無味無臭な小説である。死というものを小説に登場させる場合、どうしたって多少は感傷的になってしまいがちであり、そういう意味では間違いなく小説としての技術は高い。だけど、いち読者としてこういった描写と向き合った場合、どうしてもその意義を疑問に思わざるをえない。解説によれば「『笛吹川』論争」が評論家のあいだで勃発したらしいが、なるほどそれも納得である。おもしろいかおもしろくないかでいえば、けっしてつまらないわけではないのであるが、読後の感想としては、なによりも「こういう小説もあるのか」という感じが強い。

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Posted by ブクログ 2014年01月25日

甲斐の武田三代の時代が舞台。例えれば川が海へ流れ入るごとくに、戦で無為に命を奪われ続ける反復。戦にかかわる理由は個々にあれ、好むも呪うも等し並みにどうしようもなく巻き込まれる人間を、おそろしく無慈悲に描く。

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Posted by ブクログ 2012年03月23日

武田信玄ものはいろいろ読んだが、
この作品は甲斐の国の領民を描いている。
領民と言っても笛吹川沿いに暮らす最下層の農民たちの
六代にわたる物語である。
日常の中に飢えがあり、自然死があり、農民の逞しさあり、
洪水で家が流される・・・・
若い時読んだ印象に比べ。、いま再び読んでみると「笛吹川」が問題作...続きを読む、名作と言われる所以が少しはわかる気がした。

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Posted by ブクログ 2022年01月06日

楢山節考の深沢さん、小説を読むのは7年ぶりくらいか。甲州武田家の盛衰に合わせ、無惨に殺される農民一家。次々に生まれては、次々に殺される。武士の機嫌やなんでもない病気、ちょっとした不注意や勘違いなどで呆気なく死ぬ。知恵も金もツテもない。実際にこんなふうだったんだろうなと思わせるリアリティを感じる。リア...続きを読むルすぎて、救いがなく、嫌な感じ、残念な感じが残る。みてきたかのように描く筆力がすごい。

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Posted by ブクログ 2012年09月18日

戦国時代。江戸の士農工商というカースト制度が、各身分を分離する以前、このころは、農民が領主のためにいくさに参戦し、死に、あるいは手柄を立てて褒美をもらったものらしい。
 この小説に出てくる農民の一族は、武田信玄の一族のために戦い、死ぬ。あるいは富裕になりすぎて妬まれ殺されたり。やがては武田氏の敗退と...続きを読むともに、追い詰められることになる。
 それでも彼ら農民は領主にさからうでもない。黙々と肉体を捧げ、黙々と死んでゆく。この無限の繰り返しが、妙に日本人的であるとともに、不気味な生の成り立ちをイメージさせる。
 最後の方で末子が
「この土地の者は、みんなお屋形様のおかげだ」
 と言いだし、周囲の者たちはそれは逆ではないか、われら一族、お屋形様のせいで犬死にしていったではないか、といぶかる。
 しかしこの<転倒>がこの小説の要であって、虫けらのごとき平民が殿様のためにひたすらに生命を捧げてゆくその円環を決して壊さないために、歴史は言い換えられ、<主人>の権力の強さへの盲目的な賛美を要求するのである。
 かくして円環は永遠に回り続ける。生はそこに呑み込まれ、無言で従うだけだ。犬死にで終わる生のすべては再び、何度でも、繰り返される。永劫回帰である。
 しかし小説としてはやはり冗長な感じがないでもなかった。土俗的な世界観は面白いのだが・・・。

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