【感想・ネタバレ】笛吹川のレビュー

あらすじ

生まれては殺される、その無慈悲な反復。
甲州武田家の盛衰と、農民一家の酸鼻な運命。

信玄の誕生から勝頼の死まで、武田家の盛衰とともに生きた、笛吹川沿いの農民一家六代にわたる物語。生まれては殺される、その無慈悲な反復を、説話と土俗的語りで鮮烈なイメージに昇華した文学史上の問題作。平野謙との<「笛吹川」論争>で、花田清輝をして「近代芸術を止揚する方法」と言わしめ、また後年、開高健をして「私のなかにある古い日本の血に点火しながらこの作品は現代そのもの」とも言わしめる。

町田康
一般の調節された言葉は、一族の多くの者がそのために殺害されたのにもかかわらず、それを、先祖代々お屋形様のおかげになって、と言い換えることができる。しかし、この小説の言葉は、そう言い換えてしまう人間の哀しみを描きつつ、それすらも無言の側に押し流してしまう。そして、その圧倒的で、どうしようもない事態は、始まりと終わりを持たず循環する。――<「解説」より>

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の数十ページの怒涛のような、しかし妙に静かな一族の死に様に圧倒される。
作品全体を通して誰も彼も死んでいき、特にその悲哀も語られないままなので、このまま終わるのかしらと思っていたら、息子たちの「先祖代々お屋形様にお世話になったのに」発言である。ゾッとした。なんと人間は矛盾した生き物であることか。

その淡々とした筆致に全く作為的なものが感じられないのにも関わらず、最後まで読むと恐ろしいほどの完成度に舌を巻いた。これが著者の初長編とは、やはり深沢七郎は怪物作家である……。

0
2020年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

このころの農民の命の重さが悲しい。親方様に従うのが悲しい。はらはらしながらよんだ。
お爺が粗相をして殺されたシーンが辛かった。足を怪我して手当じゃなく。汚したとして殺された。 
最後まで褒美なんて貰えるはずもないものをきたいしてて。辛い。

すきなのはおけい。おけいがこどもが生まれない理由を責められて暇をいただきやす。とあっさりでていつたとこはかっこよかった。素直で働き者でマッぐな正確がとても羨ましい。

ボコ。戦。農民。
巻き込まれてしまうのは弱者。生まれ変わりの考え方が興味深かった。たくさんの人が死んでしまった。死には意味はないかもしれないけど、平和だったら生はまっとうできたのになとおもう。

0
2020年11月23日

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