町田康のレビュー一覧
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ネタバレ以前から気になっていた断酒エッセイ。購入して読んでみた。
今まで読んできた断酒本と違うのは、酒飲みの正気は酒を呑みたいという自然な欲求に従っているのだから、断酒は狂気故というところから始まること。故にまずは正気パートとして前半は酒飲みのグダグダのようなことばかり描かれている。
中盤、「幸福にはなる権利などない」というあたりから流れが変わってくる。「幸福でなければならない」と考えるから安易に多幸感を得られる酒を選び、幸福感を続けたいから酒浸りになる。
「人生楽しまないといけない」と考えれば楽しいことなど訪れない、何故なら義務感を持つ以上そこに楽しさが無くなるから。義務の辛さを忘れるために酒 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ餓鬼とか自死とか阿保とか殺してやるとか、そんな言語のパンク歌手が、喫茶店の斜め前の席で喋りかけてくれてる、くらいの距離感の本書。
トゲトゲのある言葉を放ちながらも、繊細でやさしい方だってことが滲み出ていて、微笑ましかった。(22歳の私よりだいぶ年上のはず、すみません笑)もっともっと彼の本を読みたいと思った。
ロック、パンク、かっけえ。きゃは。
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以下、書籍より引用
- パーソナルコンピュータは、一瞬、一瞬を決定・整理させていくための道具
- 紙とボールペンは、一瞬、一瞬をなるべく混乱させる、決定を先送りするための道具
- 本には、善いことも悪いことも書いてある
- 生活への意欲を捨て -
Posted by ブクログ
ネタバレ『宇治拾遺物語』全197話のうち33話を抜粋した町田康による現代語訳。著者自らによる朗読を聴いて、大笑いさせられたので、紙でも手に取ってみた。
スピード感のある文体、真面目くさった顔をしたところに、ふと挟まれるテンポの良い罵倒、感情が乗り過ぎて意味が分からなくなっている台詞など、いつもながらの町田康節で面白い。
よく知られた話もあれば初めて読む話もあり、内容も勧善懲悪ものがあれば、ただ面白いだけのものも、人を食ったような話もあり、バラエティに富んで飽きなかった。「奇怪な鬼に瘤を除去される」「雀が恩義を感じる」「長谷寺に籠もった男が利得を得た」などがお気に入り。 -
Posted by ブクログ
鎌倉殿の13人の菅田のイメージで読んでたが、弁慶は、誰のイメージも湧かなかったな。
小学生の頃から歴史は好きで、否、歴史というより義経が好きだったんだろうと思う…だからもうざっくりしか覚えていないストーリーを前提に、この本を読むとそんなこと知らなかったなという話がゴロゴロ出てきて、特に弁慶の弁慶になった顛末なんかは全く知らなかったから、なんで弁慶なのにこんなにページ数が多いんだ、いつになったら義経に遭うんだ?と思いながら読んでいたけど、後から思えば、さもありなん。
鎌倉殿のスピンオフで、原作町田康、菅田主演義経で、ドラマか映画、やってくれないかなあ。 -
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町田康の文体は、もはや町田康以外には考えられないぐらい確立されている。何作かしかまだ読んではいないが、社会に馴染めず、金もない、どうしようもない自堕落な青年を主人公とした作品が多い印象で、そのキャラクターとこの文体が完全にマッチしていて、素晴らしいの一言。ストーリーはもはや必要のないレヴェルで読書が進む進む。
文章が語り口だから、音楽的。意外とこんな文章読み慣れてないから、ちょくちょく内容が入ってこなかったりするが、その体験すらもたのすぃ。
今作は1ページ目から、度肝抜くような始め方だが、一見シュールレアリズム的かと思いきや、そうではなく、ファンタジーの要素の方が俄然強い。現実すらもファンタジ -
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ぐわっははははは、うぎゃー、げーげー、ゴホゴホッ。(←笑いすぎてむせた様子)
あーもう一冊の本でこんなに笑ったのは久しぶりだよ。まったく町田さんたら、面白すぎるじゃないの。『ギケイキ』も良かったけど本作も甲乙つけがたい、自分比では最高レベルの古典新訳だ。
堅苦しいイメージの古典作品が、町田さんお得意のグルーヴ感のある文体によって、作品が元々包含していた生々しさがいい意味で指数関数的に爆発している。いやあ凄いわ。これぞまさしくプロの技。
自分は高校時代、古典が苦手でちゃんと授業を聞かない落ちこぼれだったんだけど、もし当時これを読んでたらもう少し真面目に古典に向き合っていたかもしれない、なんてこと -
Posted by ブクログ
ネタバレ創作に向かう姿勢が大いに語られていてとても面白い。小説とは何か、文学とは何かを追求し続けている。先日読み終えた保坂和志の『書きあぐねている人のための小説入門』と同じだ。行きつくところは違っていても、同じ姿勢で追求し続けている。
去年見た『ザ・ホエール』という映画の主人公が大学でエッセイの書き方を教えていて、繰り返し語られるエッセイで重要なことが、町田さんと全く同じで驚く。
表現に自覚的な人は考えていることが似てくるのだろうか。たまたま最近読んだり見たりしたものに共通点があっただけだろうか。
自分は漫画家なので、漫画について「はたしてそれが漫画なのか」と追及することがあるかと言えば