あらすじ
気位が高く威厳に満ちたココア、犬の血が混じっているのではないかと思うほど人懐っこいゲンゾー、遊び好きで無邪気なヘッケ、並外れて気の強い奈奈――縁あって共に暮らした、ちょっと面白い奴ら。手を焼かされ、言い負かされ、それでもいつも一緒にいた。写真と文章で綴った、猫たちとのいとおしい日々。(講談社文庫)
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猫好きのお手本のような人。感動したのは、かわい〜ばかりではない、お世話やお別れのこともしっかり書いてあること。寂しいに決まってるし、もっとできたんじゃないかと後悔するに決まってる。でも、一生懸命愛して、目いっぱい愛を伝えている姿が、とってもいい。自分もそうでありたいと思う。
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途中。
ココアとゲンゾーの人間っぽさ、ヘッケの章にある悲しさと寂しさ、ナナの躍動感、すべて作者の視点でありながら作者自身が少し離れているような不思議な距離感で描かれていて。読んでいる間ずっとネコたちのことをもっと知りたくてめくる手が止まらなかった。おそらくココアとゲンゾーはもうこのよにいないんだろうけど文字として残してくれたことが本当によかった。
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猫派か犬派かと聞かれると「鳥派」と答えていた私が、実家の庭に来た野鳥が野良猫に食べられたトラウマを抱えながらも、町田康作品ならばと読んでみたら一気に猫の愛らしさに心を奪われた、そんな本です。
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順番的に「猫のあしあと」の後になってしまったが、やはり面白く、やがて悲しき文庫だった。ヘッケの最期に涙があふれ、ココアの最期はウルウルきたが長寿をまっとうして良かったという思いの方が勝った。しかし、一緒に暮らしてきたものとしては逆なんだろうな。著者は10数年ココアと暮らし、本当にかけがえのない家族だったんだと思う。
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本を読みながら、急に笑い出したり泣いたりするわたしを、冷静なまなざしで見つめるねこがふたりいる(わたしはねこをひとり、ふたりと言う、物書きではないので虚栄心はない)。名を矢三郎となつめという。
ココアやヘッケの最期のときを読むと、側で平和の象徴のように寝ているこの子たちの姿と重ねてしまい、顔がびっちょびちょになる。エマージェンシー。生き物である以上、別れは必ず訪れること、そういうことも全て引き受けていることをこの本で再確認し、そして何よりも、わたしたちのもとに来てくれて本当にありがとう、という気持ちがむくむくと大きくなる。こんなときハグのひとつくらいさせてくれてもいいのに、矢三郎は近づくと一目散に逃げていくのだ。しゅん。
町田家の愛すべきねこたちはとってもおしゃべりでユーモアに溢れている。その会話全てに愛が溢れていて、まさにねこにかまけている著者がますます好きになった。
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だいぶ前から積んでたのを読んだ。
ねこと同居している人が経験するねこあるある満載で夜中に笑けながら読んだ。ヘッケとココアのとこは読むのしんどかったけど引き込まれる文章でぐいぐい読んでしまった。
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町田康の猫エッセイ1冊目。
私は、愛玩動物雑誌の読者投稿欄(「我が家の姫です☆」「うちの王子様は~」等の文言の数々)を生温かい目で見守り薄ら笑いを浮かべるのが嫌いじゃない、なんて屈折した人間なので、余程薄ら笑いを浮かべたい気分の時でなければその手の記事からはなるべく遠ざかっていたいのですが、書き手が町田康となれば話は別。町田節の猫のろけ、ひとつ堪能させていただきましょう。
とか気安く手に取ったら、大変なことになりました。主に涙腺関係が。
町田邸に暮らすココア、ゲンゾーの日常までは面白可笑しく、っていうか声を上げるレベルで笑いながら読んだのですが、道端で死にかけていた所を町田氏に保護されたヘッケの14ヶ月は泣けて泣けてしょうがなくて、だもんだから続いて氏が出会った奈奈の元気さが逆に泣けて、そうかと思ったらココアも召されて、泣けて。
でもそうやって泣きながら、泣いてる自分に偽善的な部分がありはしないかと何とか自己批判を試みるも、それすら町田氏には見透かされてる。
繰り返される「見ているだけでつらい」「かわいそうでならない」の合間には必ず、『自分の無力さ』から目を逸らさぬよう歯を食いしばる姿があります。
してまた町田氏同様(もしかしたらそれ以上に)猫たちの最期と真摯に向き合う御内儀の気丈さに、一介の読者も背筋が伸びる思い。
ベリークール。
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・・・同タイトル単行本の文庫化・・・
パンク歌手にして作家・町田康さんのエッセイ。
個性豊かすぎる4頭の猫たちに翻弄される町田さんの日常です。
ゲンゾーの犬疑惑、猿疑惑のくだりは爆笑。
齢20歳の古参猫・ココア姐さんが良い味だしてます。
他にも、儚げな拾い猫・ヘッケや、
神仏にすら喧嘩を売る気の強いお嬢・奈奈が登場します。
共に暮らした猫たちを看取る場面は辛いですが、
楽しいだけでない、猫と生きる日々が丁寧に描かれている素晴らしい作品です。
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この人の本、好きですね☆
猫(私は犬もいますが…)と暮らしていたら、あるある!って感じで、共感できる部分がたくさんあります( ´ ▽ ` )猫ちゃんは一緒に暮らせば暮らす程、奥が深くてハマっちゃいますよw
それに町田さんの猫を思う気持ちが、すっごく伝わってきます!!
だからこそ、最後のココアとのことで、「しかしもっとも辛いのはココアがいなくなっても普通の日々が続いているということだ。今日も部屋に日が差し込んで、新聞が届けられ、私は仕事に出掛ける。ココアがいなくなってもココアがいたときと同じように毎日が続いていく。」と言う、文章に更に涙が止まりませんでした。ほんまにその通りだと思います。
でも、私もいつか通る道なんだなぁと思うと、感情移入せざるを得ませんでした(´Д` )
Posted by ブクログ
猫には全く興味のない自分も、町田氏一流のリズム感とユーモア溢れる文体に自然に吸い寄せられた。日ごろ全然気にもとめていなかった世界に新しい視野を拡げてもらうことができた。氏の猫に対する温かい愛情に心がポカポカ優しく包まれもした。ヘッケ編などは、胸の底からこみあげてくる激しい感動があった。諧謔まじりの文章に泣き笑いという感じが、読み進むうち、完全に心は絡め取られてしまった。目の前のギャグは全然素通り。思いっきりボロボロやってしまった。素敵な奥様の挙措も優れて素敵だった。
Posted by ブクログ
最初は取っ付き難い文章に思えるけど、町田康節がどんどんクセになってくる。「ちょらちょらと歩く」等の独特な言い回しが大好き。
猫たちに翻弄される町田さんの泣き笑いの日々に、思わず「はは、おもろ」と笑ってしまう。
間に挟まれている写真がまた、良いなぁ。猫達がとても幸せそう。
ヘッケの章は、一緒に暮らしていた先代猫の事を思い出し、悲しくなった。
町田さんはそうは思わないと言うけれど、たとえ少しの期間だとしても、ヘッケは町田さんと奥さんの元で過ごし、愛情を浴びることが出来て幸せだったんじゃないかと思う。
町田さんの猫愛に暖かい気持ちになる一冊。
猫様との時間をもっと大事にしたくなった。
Posted by ブクログ
他人の家の猫の話を聞いても…という思いがありながら、町田康はこういう場合どんな文章を書くんだろうという好奇心とちょっとの期待のもと読み進めていったらめちゃくちゃ良くてびっくりした。
悪口が全然書かれていない!人間が頭を垂れている!
文章の小気味の良さは変わらずあって読みやすいのもあるんだけれど、ずっと猫たちに対しての愛しさが滲み出ててちょっと笑っちゃったり切なくなったりほくほくしたりした。
挿入されてる写真もありがたい…
Posted by ブクログ
大学時代にノートにつけてた記録を転記。
(あらすじ)
作者の家で共に暮らす、ココア、ゲンゾー、ヘッケ、奈奈、それぞれの猫との日常を描いた、笑いあり、涙あり、考えさせられることあり、の、色とりどりな猫記録。
(評価)
猫(特にゲンゾー)の気持ちの代弁時の台詞がツボに入る。猫好きなら共感できるはず。作者の主張が色濃すぎる部分(人間はおごり高ぶりすぎだ、など)があとがきにあり、少し疲れた部分もあったので4星。
(内容)
それぞれの猫が生き生き描かれていて良い。ゲンゾーのお茶目さ、ココアの高飛車な性格、ヘッケの無邪気なふるまい、奈奈の暴れん坊加減。本当に猫を良く観察している作者だからこその愛情が伝わってくる。ゲンゾーの「はみゃみゃはみゃみゃ、ぐるぐるぐる、ぽっぽっぽっ」という鳴き声の描写や、すねて「みなしごのバラード」を歌うこと、タンスの上から眠っている人間の上に飛び降りる「急降下爆撃」など、つい吹き出してしまうシーンが多々あって楽しめる。笑えるだけでなく、別れの時も克明に描いている点で、生き物と共に暮らすことへの覚悟ができる内容にもなっている。野良猫として、衰弱しきった状況で懸命に生きたヘッケ、22年という長寿を全うしたココアへの、作者の奮闘ぶりを読んでいて涙が止まらなくなった。単に「寂しい」「ペットが欲しい」という安易な気持ちで飼うのではなく、同居人として全力で共に生きねばならない、と痛感した。
猫を飼っている人もいない人も、読んで絶対に損はない名作。作者独特の文体はあるが、生命の尊さ、生きることの重さが感じられる。読後、猫を飼ってる人は間違いなく飼い猫を愛でたくなる。忙しい日々でも、なるべく長く「猫にかまけ」たい。
Posted by ブクログ
小説ではなく、町田康が猫と過ごした日々や、その時の行動、想いを丁寧に綴った日記のような作品
猫に対する深い愛が等身大で描かれ、作者の繊細な人間性が感じられる良作
Posted by ブクログ
これは、猫を飼ったことのある人なら特に好きになざるをえない本じゃないかな。
そして笑いと涙なしでは読めない本だなぁ。
そうそう猫ってそういうことするよね、と笑いがこみあげてきてしまう。声出して笑っちゃったよ。
昭和調な文体も、町田さんが聞こえてる猫の声も、全てがあたたかくて、面白くて、なんだか一緒に見守ってるお母さんのような気持ちにさせる。
でも、動物と生きることで必ずぶちあたる葛藤も赤裸々に、直球に綴られている。心臓がわしづかみにされたんじゃないかって位苦しくなって、泣いてしまったよ。
良い本だった。
Posted by ブクログ
生き物とは命。命はやがて終わりがくるもの。町田さんは終わりがくることに目を背けず、懸命に猫たちと向き合う。それは時に笑い転げるほど楽しく、時に嗚咽が出るほど悲しい。猫を飼ったことがある人なら必ず経験したことがある感情を、町田さんは文字に残してくれた。
Posted by ブクログ
町田さんの愛猫エッセイ。
ただ単に「うちの猫かわいい!」なエピソードだけでなく、
動物と一緒に生活する上で引き受けなければならない
めんどうくさい事・つらい事もひっくるめて書いている所が
誠実でとても好感が持てる。
ヘッケの話はうすうす結末が分かりながらも一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
町田家に住むココアとゲンゾー、仕事場に拾ってきた衰弱した子猫ヘッケ、そして新顔の奈奈。猫達との日々を写真と文章で描いた1冊です。
猫達が町田さんに話しかけてくる内容で笑い、看病するところでは たらちゃん思い出して泣きました(ノ_・。)
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この本の恐ろしいところは、「町田さんはほんとうに猫さんが好きなのねー文体から町田さんの猫さんへの愛が伝わってくるわー」などと余裕ぶっこいていると、実は猫を愛していたのは他でもない己だったのだ、ということを思い知らされる点です。
町田さんの文章は相変わらずレロレロと楽しく、私にはそれがわかりよいわけですが、その猫への愛でもって書かれた文章を読みながら猫の姿・仕草・態度を明瞭に、あまりに鮮やかに思い浮かべているのは、これまた己自身の猫への愛なのです。
結果、私は自分で思う以上に猫を愛していたことを思い知らされ、町田さん宅の猫が亡くなるような時の描写さえ容赦なく、私を刺すのです。
わざわさこんなものを読んで、猫を愛でたり可愛そがるようなことは悪趣味と言われるかもしれませんが、オススメしておきますね
猫だぁい好きん!
Posted by ブクログ
〔!〕猫には人間が大事にしているものや意識を集中している物を瞬間的に察知する機能があるように思えてならない。(p.208)
〔内容〕猫の仕事は寝ることと、狩猟/猫はニンゲンのように見栄や虚栄心や煩悩にとらわれることはない/猫はニンゲンよりたぶん上位の存在。
〔感想〕この著者には前から興味はあったのだけど読むに至らずとりあえず猫エッセイからと日和ってみました/猫の下僕であることを楽しんではるようです。まあ、猫好きはみんなそうか/動物ものに必ずあるのがその喪失で、この本にもやはりあるのだけど、客観視できなくなるからか、そのときだけはごく普通の文章になっていて、やっぱりぼくらとおんなじなんやなぁと、ただひたすら生きてもらおうと。昔の猫は勝手におれへんなってひとりでひっそり死んでたようやけど今の家猫は人の目の前で死ななアカンから…
■簡単なメモ
【ゲンゾー】横着。立場は著者と対等。食べるときには卑屈な態度になるがそれ以外では非常に強欲でなんでも自分のものにしようとする。いろいろやんちゃをしたが今では一人前?
【ココア】それなりに勤勉。女性のようだ。姉御肌。ものごとに対する執着は薄く、思い切りがいい。著者より上位存在。
【ナナ】最年少の家族。女性ながら非常に乱暴で神仏を破壊しまくりゲンゾーと日々抗争を繰り広げている。ヘッケにそっくりなのでたぶん生まれ変わりだろう。手でものを拾って口に持っていくことができる。後に奈奈と改名、ますますパワーアップする。
【ヘッケ】衰弱していた子猫だったのを連れ帰って一年ほどともに暮らし死んだ。
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ココア、ケンゾー、ヘッケ、奈奈
4頭の猫たちとのほっこりする日常が軽快
暮らしの中で気付かされる煩悩や虚栄心
本の中で町田さんの様々なモノが壊されていくが、人間はモノが多いんだな
布袋さんやキリストについても、町田調で書くと
「こんなもん置いといてどうすんねん、食えへんわ」と言いそうな笑
さすが神に近い猫だ。
ところで、身近な大切な存在の死というのは、いつもとても悲しい。生きることを突きつけられると感じる。そんな時、楽しい思い出は糧になるのだと思う。
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著者と4匹の猫との暮らし。
そのうち2匹は看取るところまで書いてあって、自分の猫の将来を思い、たまらない気持ちにもなった。
要求の多いうちの猫にも、今出来る限り応えようと思った。
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自称パンク作家の飼い猫は主と普通に会話するらしい。はは、あほちゃうか。おもろ。と普通は嗤ってしまうところだが、あの妖怪めいた著者の存在感を思えばさもありなんとしばし黙考。相変わらず文章は抜群のグルーヴ感で思弁に思弁が転がり続ける面白さに溢れてるのだが、猫への愛情と喪失に直面した時、普段は見せない愚直さが顔を出している。対象へまっすぐと届けようとする、恥も外聞もない剥き出しの優しさ。それは主従関係ではなく1体の生物として猫と向き合っている姿勢から生まれてくる。やはりいつだって町田康は最高なのである。ずるい。
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猫、欲しいけど、別れがつらいから、読んでごまかす。
けど、一緒に暮らしたいなぁ。
でも、つらいんだろうなぁ。
自分が死んだみたいって
きっとそうなんだろうなぁ。
ココアとゲンゾーとヘッケと奈奈。
家族だなぁ。
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愛猫たちとの暮らしを描くエッセイ。我が子(猫ちゃん)大好きな親バカ度満載な内容なんだけど・・・彼が書く文章のテンポのよさがとにかく心地よい。桂枝雀の「すびばせんねえ・・・」は自分もかつてよく真似したから笑った―(笑)しっかし・・・あれだけトゲトゲのパンク歌ってるのに実はけっこう控えめでネガティブな小市民なのね(^_^;)いい人だー。
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猫が飼いたくてたまらなくなり本書を購入。
作者の家にいる4匹の猫達との生活が書かれている。
うひゃひゃひゃと笑ったり飯がまずいから取り換えろとわがままを言ったり雨が嫌いだから雨をどうにかしなさいと理不尽な要求をしたりで猫の気ままさがとてもかわいい。
そんな中での2匹の猫の死はとても悲しく命の重さを感じた。自分も晴れて動物と暮らすようになったらその重さを大事にしたいと思う。
ああ、それにしても猫飼いたい!!