【感想・ネタバレ】夫婦茶碗のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年07月22日

どうしようもない人間が下降してあちらの世界に落ちていってしまう作品2編。自分ではダメだと分かっていても、心に不安なことが想起されるとその思念に囚われて悩み、酒に手を出しさらに落ちていく。ダメさを自覚しているから立ち直りもするが、また不安が生じてあちらの世界に落ちていく。町田康はどこか作者を思わせる主...続きを読む人公たちを独特の音楽的な、その実しっかりと統制の効いた文章で描き切っている。下降することへの恐怖。普段は当たり前のように日常生活を送っているが、ふと気を抜けばあちらの世界に落ちていってしまうのではないかという恐れ。そのような感性、人間の弱さへの理解があるからこその作品のように思う。表の世界があまりにも透明になりつつある今、アクチュアリティのある作品であり続けていると思う

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Posted by ブクログ 2018年05月24日

鬼気迫る日本語の波に飲まれること必至だし、ひとつの頁に同居するハイテンション&淋しさのアンバランスが見事だし、なにより解説が筒井康隆。90.91頁は額に入れて飾りたい。

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Posted by ブクログ 2016年08月25日

すごいわ、これは。確かに太宰治的ではあるけれども、この文体は、なんだろう、本当に強烈で、天賦の才を感じざるを得ないです。はまっていろいろ読んでいるけど、はまるのも怖い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年09月09日

これはもう、発表された時の衝撃度は、ホンマに本当に、でえれえものがあったのでしょうね。

町田康さんの文章!としか言いようのない、あまりに独特の文体。頭の中の、いまこの瞬間の一瞬一瞬に思い浮かべている気持ちを、そのまんま、ホンッマにそのまんま、地の文にした感じ。言葉と気持ちと文章が、全部直結してる感...続きを読むじ。

でも、それが決して読みづらいわけではなく、ああ、わかるわかる!って、こうこうこの感じ!って、納得できちゃう感じ。なんなんでしょうね、このシックリくる感。まさにコレ!って思えちゃう感。

町田さんが、めちゃめちゃ推敲に推敲を重ねて、吟味に吟味を重ねてこの文章を生み出しているのか、それとも脊髄反射のように、思い浮かんだ言葉を文章にしているのか、それは私にはわからないのですが、とにかうもう、自分の気持ちそのものを伝えるには理想の文章だと思います。

日本語を理解できて良かった。日本語ってこんなに表現力豊かなんだ、それを心の底から知らしめてくれたのが、僕にとっては、町田さんの小説なのです。本当に、この文章は文体は、素晴らしい発明だと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年02月11日

昭和の貧乏な夢みる若者夫婦の話。
だいぶ前に読んだのでうろ覚えですが、夫は元ミュージシャンで現無職。この物語の中で一時、職に就いて働くことに喜びを感じる瞬間もあるが、ニヒルな性格から再びふりだしへ。
一時裕福になった時、デパートで物色する夫婦のシーンがなんともほほえましかった。共に生きるということは...続きを読む浮いたり沈むこともあるってこと。と良いように解釈しましたが、おそらく作者自身のダメな部分を作品化したものかと(笑)
憎めない…。

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購入済み

可笑しいのに寂しい

2015年02月15日

紙の本も持ってるんですが、好きすぎる作品なので電子書籍でも買いました。声をあげて笑っちゃうのに、どうしてこんなに寂しいんだろう。

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Posted by ブクログ 2013年10月04日

久しぶりに再読して思ったんですけど町田作品って「癒し系」ですよね。
「癒し」という甘っちょろい言葉が不適切なら、「ストレス発散」?いや「解毒」?

ぎゅうぎゅうに閉塞して閉塞して閉塞して、最後、一気に解放される感じ。
解放された先に何があるかっていったらビックリするほど何も無い事もあるし、逆に猿股や...続きを読むら湯呑みやら招き猫やら孫の手やらが散乱する混沌の只中に放り込まれる事もある。でも、いずれにせよもう閉塞はしてないぜ、みたいな。

本書の表題作は前者の、『人間の屑』は後者の典型のように思いました。

手を変え品を変えジワジワと二進も三進も行かなくなっていく長編も良いですが、短編のスピード感もまた格別です。

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Posted by ブクログ 2013年05月11日

激烈におもしろい、町田康の初期作品。芥川賞を受賞する以前に発表している作品かな、ちゃんと調べていないから間違っていたらソウリー。

『夫婦茶碗』、『人間の屑』ともに、堕落した人間が主人公で、本当にしょうもないことばかりしているんだけれども、ここまで徹底的にくだらないとネ、もう笑うしかなくなりますよ。...続きを読むげらげらげら。

『夫婦茶碗』における、茶碗ウォッシャーしかり、鶏卵の並べ方しかり、うるおいのある生活しかり。『人間の屑』における、「母性の車海老」しかり、庭の猫たちしかり、乳揉み調査しかり、婆ぁの貯金箱しかり、コー君溺愛爺ぃしかり。

漫才でいうところのボケとツッコミが互いに「真面目にアホーな」ことをしておって、読み進めるにつれて、小笑いが中笑い、気付けば大笑いしながら、ライフルをフルオートでぶっ放しつつ突撃、なんちゅうオチだ、げらげらげら。そんな感じ。

町田康のなかで、いい文章・きれいな文章、さらには教訓めいたものを書こうという慾がない(と僕は勝手に推測している)ぶん、下手に洗練されている余人の書く小説と比較すると、町田康の初期作品は圧倒的におもしろい。

町田康の小説に出てくる主人公は、悉く堕落・没落した生活を送っていて、これではいかん、なんとかせんければならぬと皆、あがいておるのだけれども、その思惑と現実とのズレは常に広がっていき、如何ともしがたい。そのため、読者は次の展開をまったく予測できないので、先に書いたとおり、ライフルをフルオートでぶっ放しつつ突撃、なんちゅうオチだ、げらげらげら。そんな感じで満足・大満足。

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Posted by ブクログ 2013年04月18日

初めて読んだ町田康の作品。
手に取ったきっかけは忘れたけれど、
一気にこの作家の文章が好きになった。


『夫婦茶碗』『人間の屑』
どちらも駄目人間の話
働こうとして、まともになろうとして
でも根っからのいい加減さのせいでベクトルは必ず負の方向
不幸な人の話なのに、読む人に楽しませる想像力があって、...続きを読む笑いとばせる
空想が暴走してSFみたいなところもあり
語り手が酒のみながら目の前で聞かせてくれるような落語みたいな話

何より今まで読んだことない、難解そうに見えて読むと親しみやすい文章に驚いた。
難しい四字熟語を並べたかと思うと、
あぱぱぱ。ちゃわおっしゃー。わちゃあ。
なんて大阪の変なおっさんの独り言みたいな台詞が次のページでは連発。
思った以上にリズミカルに読める。

どちらもラストが泣ける。
個人的にはどちらかといえば『人間の屑』のラストが狂っていて好き。

中島らもの文章からも似たようなものを感じたが、
一般的に明るいイメージがある関西弁で表現される、笑かせつつ、泣かせる独特な哀愁がたまらない。

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Posted by ブクログ 2024年01月28日

・芸人永野が紹介していたことから手に取ってみた本。
・パンクバンド「INU」のボーカルとして活躍していた
作者。
・夫婦茶碗、人間の屑という2部作。200ページ程の薄
い本であるが読み応えがあった。
・全体を通して、作者の針小棒大に日常の小さなことを洞察する観点が面白い。またそれでいて小さなことを膨...続きを読むらませても本筋にしっかりつながり、その様はさながらDJのような滑らかさであると思った。

・2作とも堕落しきった人間が主人公であり、そこには
自分を客観視できていない人間の面白さ、流される人間の面白さを感じられる。
・思わず声が出る展開や最後にはしっかりウルっとする場面もあり、なかなか良かった。
・この作品は情景描写があまり描かれていないが、これはこの作品だからか作者の特徴なのか、町田康氏の作品を手にしたのが初めてなので判断しかねる。ただ個人的に情景描写が美しい作品を好む傾向があるため、⭐️4つとした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月21日

「夫婦茶碗」と「人間の屑」の2本立て。
そういえば子供の頃の映画って2本立てだったなと思い出した。
なのでこれは2本立てなんだと思った。
帯に又吉の写真が載っていて、そのせいかどっちの主人公も又吉でイメージが浮かんでしまった。
でもそれがまた合ってるな〜と思った。

◎夫婦茶碗
無職。妻と二人暮らし...続きを読む。お金がない。食べるものにも困る。
何か仕事をしなくちゃとは思っている。
各家庭の茶碗洗い業はどうか、脳内で収支計算。
塗装の仕事にありついて順調にお金もたまってきたのに辞めてしまう。

冷蔵庫の卵の並べ替えには笑った。
手前から使って、減ったら新しい卵を手前に補充したら、賞味期限が滅茶苦茶になってしまう!!と
毎日必死で並べ替えてる。
この卵賞味期限問題って皆さんどうしているのだろう?
私はパックのまま保存して、古いものがなくなってからパックから出す。
または出さない。並べるの面倒なんでパックから1個ずつ取って使う。賞味期限問題は起こらない。

家庭にうるおいが欲しいと妻に訴えて、妻が言ったのが、
「床の間の布袋様にお着替えになって無職の反対になさいませ」
布袋様⇒置物⇒お着物 無職の反対⇒有職⇒夕食
童話作家になることにして作品を考える。子熊のゾルバ。
会話に俳句が出てきたり、妻に指輪とか買ってあげようとして冷蔵庫になってしまったり、百貨店のエレベーターの係の人が、
「あっ、2階、あっ、婦人服売り場で、あっ、ございます」と言うところとか、笑ってしまう。
引き込み線路、なぜか成人映画館のスクリーンに妻、妻が出産。
この人は奥さんが大好きなんだなーと思いつつ、 笑ってしまう。

◎人間の屑
これはもう、なんというか、テキトーに行き当たりばったりに生きるとこうなるというサンプル。
劇団、パンクバンド、「暴力の上手そう」な男から片山が持ち逃げしたアシッドを喜んでほぼ全部食ってしまい、祖母の旅館に逃げ込んだ清十郎。
庭に来る野良猫があまりに多くて、柄によって家系図をつくってみる。
チーヤ、スサノオ、アニキ、などと名前を付けて眺めていた。
旅館の従業員だった岩田、その友達の女性、小松とミオ。
婆ぁの旅館を逃げ出し、小松のところに転がり込んで子供が出来たと知って逃げ出し、ミオのところに。ミオにも子供が出来て、一緒に実家に戻り店を開く。
「うどん串カツ鉄板焼きのミオちゃん」それをやめてナイトクラブ「アナルインパクト」爆笑

新幹線で出会った、孫のコー君を溺愛するじいちゃん。笑える。
町田氏は、たまたま隣に居合わせた人を詳細に描くのがうまい。
登場人物や物語とはカンケーないんだけど、その言動に主人公はいちいち心の中で反応する。
これ、実をいうとワタシもそうで、つい人間ウォッチングしてしまう。よって苦笑い的に面白い。

清十郎は、なんとかしなくちゃと思っている。働こうと思っている。
だけど毎日同じ単純作業だと飽きてしまう。面白くないの。つまんないの。
で、こんなんどうかなって思いついてしまう。
面白そうなことと、ラクそうなことに行ってしまう。で、真剣に反省する。その繰り返し。
  (よく裁判とかで「被告は反省している」って
   言うけど、だからなにって私は思う。
   反省したからって、2度としないわけ
   ではないし、反省なんて何回でも出来る)
心を入れ替えて働こうとするけど、浴びるほど酒をのんでしまい、朝5時かと思ったら夕方5時だったとかになる。本や雑誌を買って読みふけってしまう。
ミオの娘・蝶々はかわいい。小松の娘・清子は不憫でならない。
こんな父親でごめん、と、ビデオを撮る。気持ちはピュアなんだけど、行動がアホ過ぎて笑える。


2作とも、うわ、ほんとクズだわ〜とか言いながら、メロンパンを食べて、
隣で猫が腹をだして転がってるのをナデナデして、
ケラケラ笑って読んでいるワタシは、なんなんだろうと思ったりする。
あ、そっか、たまたま隣に座った変なヤツかのように、主人公を「なにこの人」ってまじまじと見てる感覚なのかなあ??
面白いです。
どっちか選ぶならば、人間の屑のほうが好き。

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Posted by ブクログ 2018年12月21日

2作とも、ふざけてて軽率で考え無しの主人公が、自己憐憫、他力本願で、それが読んでいて楽しいところから始まるのが、同じトーンで進みながら周りがそれを許さないような深刻な状況になっていき、同じ語り口なのに笑えなくなる、という展開。だんだん主人公の軽い思考が浮いていき違和感になっていく。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年10月26日

『夫婦茶碗』
 働かないと金がない。金がなければ夫婦の会話が成り立たない。会話がなければうるおいがない。高度資本主義の社会では、働かない男は人間ではないとも言えるような世知辛い話である。
 主人公の男はある日一発逆転の活路を見出す。ずばりメルヘン執筆。メルヘン業界への参入。メルヘン作家になってこます...続きを読む。小熊のゾルバの冒険物語、構想段階でえらいことになっていき、文字を追うわたしの頭もグラグラしてくる。
 夫婦茶碗に茶柱を立ててこます。

『人間の屑』
 演劇→パンクロッカー→ニート(愛猫家)→ヒモ→餃子屋(売れない)→うどん屋→ナイトクラブ(アナルインパクト)→港湾労働者→・・・
 金に女にドラッグに、都合が悪くなったら逃げて逃げまくるまさに「人間の屑」のお話。最後の娘に当てたビデオレターで、等身大の自分を自覚するシーンは印象的。ほんまに清々しい屑やねんけど、猫を愛でている姿なんかはいとおしい。

 個性的、という言葉では表し足りない。町田康にしか書けない文章、物語だ。なんでこんなおもろいん。最高かよ。

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Posted by ブクログ 2018年11月04日

# 夫婦茶碗

## 夫婦茶碗
働かない、働いてもすぐやめる、どうしようもないダメ人間の話。統合失調症か?と思うほど幻覚のようなわけのわからない描写がよくでてくる。一人称がわたしになったり僕になったりするのは何か意味があるのか。最後の茶柱のシーンで妻のことを気遣っているのかと思わせるが、本文中からは...続きを読むとてもそうは読めない。

## 人間の屑
こちらもダメ人間の話だが、妙に活き活きしている。演劇、バンド、餃子なんでもすぐやめるが、とにかく止まることなく動き続けるところは、その辺のニートなんかよりよっぽどマシに思えてしまう。身ごもった女を置き去りにしたり、覚せい剤に手を出したりは、論外だけど。しかしこんな狂った行動ばかり取っていればいつかは行き詰まるというのが、最後の謎の銃撃戦なのかな。

どちらも読んでいてとても面白いが、一体なんなんだという感じはある。

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Posted by ブクログ 2014年08月26日

【本の内容】
金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。

それはメルヘン執筆。

こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!

あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。

金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。

...続きを読むすべてを失った時にこそ、新世界の福音が鳴り響く!

日本文芸最強の堕天使の傑作二編。

[ 目次 ]


[ POP ]
擬古典のような文体と、今は無き軽薄体のドッキングという町田文体は読んでいて途轍もなく疲れる。

読む前からなんとなくハマれそうだと思っていたし、最近注目の町田氏だけに、誠に残念。

つまらん。

と、思っていたのだが、二本目の「人間の屑」を読んでいると、不思議とその適当な世界に魅力を感じている自分に気が付く。

あれれと思ってすぐに再読すると、ひじょうに面白いと感じている。

仕事嫌いのダメダメ野郎ども、いい感じに力の抜けた会話、意表を突く適当な行動、随所に織り込まれる人間らしい悩み、軽やかに堕ちていく感覚。これらが何故か心地良くなってくる。

もっと読みたいと思うのだ。

不思議な中毒症状をもたらす作品なのでは、と見ている。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2014年02月14日

「全殺し」って言葉、初めて聞いた。
なるほど「半殺し」があるなら「全殺し」もあらいでか。
ははは。おもろい。おもしろすぎる。
作者の紡ぎ出す空想と狂気の世界を堪能した。

清十郎の行く手には地獄の閻魔さんが待ち構えているだろう。
その時どんな言い訳をして、
どんな手を使って見逃してもらおうとするのか...続きを読む、見てみたいものだ。

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Posted by ブクログ 2013年07月09日

新潮文庫のフェア「ピース又吉がむさぼり読む新潮文庫20冊」から発掘。
タイトルと表紙の色合いに魅かれて。

初めて手に取った町田氏の本。
普段読んでいた本とは一味も二味も違う。
これが町田節というものか。
流れるようなユーモアたっぷりな文章にやられました。

どうしようもないダメ人間。
でもどこか憎...続きを読むめないのは何故だろう。

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Posted by ブクログ 2022年07月26日

「人間の屑」:本当にどうしようもない男なので基本的になんなんだ…と呆れるけれど、リズムに任せてつらつら読む中ふと男自身が我に返る瞬間が唐突に挟み込まれるのがいい。
読者としては彼を憎みきれないのも良い。

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Posted by ブクログ 2022年06月02日

面白かった。新戯作派の系譜を受け継ぐと称される町田康。町田康の作品を読むのは初めてであったが、とてよ良かった。印象に残った。ね。スラップスティックコメディというか、皮肉っぽいというか、小さなことにくどくど言ってることが好きだ。筒井康隆とか、森見登美彦だとか、そんなジャンルが好きなんだと確認させられた...続きを読む。面白い。『夫婦茶碗』は口語体のような文章が多すぎて辟易してしまったが、『人間の屑』はとても滑らかに読めた。解説が筒井康隆で、あぁ好きな人が好きなもんは好きなんかな、と考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2021年08月30日

「夫婦茶碗」「人間の屑」の2つの短編のうち、「夫婦茶碗」に関しては共感できる部分があまりないストーリーだった。
だが2つ目の「人間の屑」は疾走感を感じ、また話のテンポも良くて読み進めやすかった。女性関係に振り回されたり、過去のバンドでの話でのやらかしに彼が縛られたり、波乱万丈だけど楽しそうに生きてる...続きを読む主人公を想像するだけでも気持ちが良かった。

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Posted by ブクログ 2020年05月08日

同時収録の「人間の屑」の書き手もそうだが
とにかく主人公(語り手)、働かないので困窮しまくり
なんだかかだと理屈をつけ、仕事をしても続かない主人公
困る困るといいながらだらだらと暮らしているので


妻ともども食べるのにも事欠くのであるが
そのことで喧嘩しながらも
野草をゆでて食にする妻もの...続きを読むんきそう
(そんなこと、わたしだって趣味でしてるわい)

あげくのはてにメルヘン作家を目指そうなんて

いわゆる現代社会の貧困スパイラルの問題提議でもなく
じゃ、夏目漱石時代の高等遊民とも違うような

なんともおもしろい落語を聴いているような語り口で
寓意も読み取れるし、文章も巧みなのだ

芥川賞作家の所以であるな~と思うのだけれども
わたしなど「いいかげんにせよ!」と怒りたくなるのもほんとう

ま、芸術を理解できないのだろうけど
やっぱりこのままいったら破滅じゃないかと思うわたしは
まともなんだか、無粋か?

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Posted by ブクログ 2017年09月12日

町田康「くっすん大黒」がものすごく面白かったので続けて読んでみた。でもこれはそんなじゃなかった。
一人称で独白?独り言?が延々続いていたし、なんか荒んでた、万事塞翁が馬というか転んでもタダではすまないあたり。でも勢いと軽快な感じがいいね。

くっすん大黒よりも更に落語感が増してて、芝浜?を思い出した...続きを読む。しょうもない夫と、真面目な妻のかけ合い。

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Posted by ブクログ 2017年12月18日

 どうしようもない屑男が出てきてその芯からのどうしようもなさがとても笑えるのに、どこか切迫感が伝わってきてちょっと泣きそうになったのが不思議。笑いと狂気と哀しさが全部同居してて本当に面白かった。

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Posted by ブクログ 2015年07月20日

短編2本。1本目はまだしも2本目の主人公は清々しいほどのクソっぷり。屑っぷり。
まるで誰かに話しかけているかのような語り口調で進む作風は好きだけど、作者と年齢が離れているからなのか、言い回しが古臭いなと思うことが多々あったせいで、軽快に読み進めることは出来なかった。
赤頭巾ちゃん気をつけての時も思っ...続きを読むたけど、自分は昔の小説が苦手なのかな……

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Posted by ブクログ 2015年06月09日

あれおかしいな、思ってた話と違うなと思ったら、夫婦膳哉と間違えた!
何処までいっても屑、最後まで屑、しょーもないのにどんどん読んでしまって本当にしょーもない。
薄いが文章量は多い。

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Posted by ブクログ 2014年10月28日

実は初町田康。これは好き嫌いが別れる。あまりにどうしようもなく堕落したダメ人間が主人公の二編。自分的にはどちらかといえばほんわかした感じのパンク「夫婦茶碗」よりもだんだんと狂気を孕んでくる「人間の屑」のほうが面白かった、というより笑うしかない。「逸物ふざけたニューオーリンズ、腹這い野郎が毎日、砕けた...続きを読む土鍋で鍋物、八百屋のねぇちゃん不細工、白菜ばかりが能じゃねぇ、死ぬまで河豚を食いまくる、ゴーゴー(テッチリリ)ゴージョニゴーゴー(テッチリリ)」このジョニー・B・グッドの出鱈目歌詞のリズム感に嵌りそう。

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Posted by ブクログ 2014年07月16日

◆夫婦茶碗
笑える。主人公頭おかしい。
冷めた奥さんとのやりとりが面白い。
小熊のゾルバのメルヘンを書こうとしている。
話に脈略がないようにみえるけど、実際はストーリーがある。
人間の思考ってこんななのかな。

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Posted by ブクログ 2013年05月27日

わたしにはまだ良さがよくわかりきれてないんだろうなあと思ったのでとりあえず★3つで。
どちらの短編も絵に描いたようなダメ男が主人公で、その生活をクズなりの視点でテンポ良くコミカルに描いていた。
『夫婦茶碗』はどんどん妄想と現実の境目がわからなくなっていって、狂人への転落を味わえた。
『人間の屑』は成...続きを読む功を掴んでも堕落を自ら引き寄せるようなダメ男。社会のどん底にいてもヘラヘラしていられるのは正直うらやましい。

頭がおかしくなっていく、経済的にも精神的にもマトモじゃなくなっていく擬似体験ってのは、結構気持ちが良かった。

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Posted by ブクログ 2013年03月02日

脳内垂れ流してるような文体、改行が少なくてどこまで読んでもきりが悪い。
でも意外と読みにくくはなく、あぁこれが町田康かぁという感想。
リアルであって非現実的な世界観、素敵だけど、私にはちょっと合わなかったかも。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年11月14日

うまい具合に世の中と やっていくことが出来ない
ろくでなしが一念発起すると ろくなことをしないというお話。
呑気で楽天的、何をやっても失敗ばかりの落語の与太郎噺なのだけど、
一人称で紡がれるので、可笑しみの中にも“近くの哀しみは悲劇”な お話です。

常識と非常識を対比させているので、“堕ちていく感...続きを読む”は強まり、
常識人は読んでて一層不安を掻き立てられます。
でもね。軽妙な語り口と相まって、なんせ語り手が呑気な与太郎なもんだから、
ははは、とあっけらかんと読めてしまうのですよ。
主人公は、エレカシの宮本浩次のイメージがぴったりです。

「夫婦茶碗」では良くできたかみさんが
与太郎亭主に引き摺られて堕ちていく様子に不安と怒りを覚えるのだけれど、
最後は“気”という字の垂れが最後にひゅっとはねるような、
南佳孝の眠れぬ夜の小夜曲の男が一張羅の服を来て結婚の挨拶にいったような、
清々しさを感じます。
「人間の屑」のミオは常識を知らないから非常識な生き方が普通なのです。
一方 小松は常識を知っているから清十郎の非常識に気が狂ってしまったのです。
清十郎本人は常識人です。でも与太郎です。だから現実から逃げ続けます。
嘘をつき続けます。子供への自分の愛には嘘をつけませんでした。
たまらなく恥ずかしくなって、誰か殺してくれと叫びながら
彼はヤクザに突撃したのです。でもこれも妄想かも知れないお話でした。

筒井康隆が解説してます。

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Posted by ブクログ 2016年10月05日

金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。
それはメルヘン執筆。こんなわたしに人生の茶柱は立つのか?!あまりにも過激な堕落の美学に大反響を呼んだ「夫婦茶碗」。
金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカー(愛猫家)の大逃避行「人間の屑」。
すべてを失った時にこそ、新世...続きを読む界の福音が鳴り響く!日本文芸最強の堕天使の傑作二編。

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