町田康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
町田康さんて何者? パンクロッカー、俳優、詩人、小説家、大学特任教授…、更に芥川賞を始め、多くの文学賞を受賞してますね。『告白』に衝撃を受け、デビュー作の本書を手にしました。
作風や文体はもちろん、『告白』の主人公に似た「あかんやないか」的な登場人物まで、共通点と言うか原点を見た気がします。太宰に通ずる?
表題作は、怠惰で仕事を辞め、妻にも出て行かれた楠木正行が主人公。部屋にある無用の置物・大黒様、これが不安定で自立困難…。楠木はこれを捨てようと行動(梶井基次郎の『檸檬』?)しますが、登場する人物たちもほぼダメな人たちばかりです。
終盤の友人のセリフ「楠木だけに"くっすん"。寝転がってると(自立しない)あの大黒にそっくり」が印象的。自分を大黒へ投影する鮮やかさは見事!
もう一編の『河原のアパラ』も同様で、自堕落な中年男が中心に展開しますが、詳細は伏せます。
自意識に苦しむダメな人間は、よく世間から非難の的になりがちですが、よく見たら周りも変なヤツだらけで…。そんな現代社会を、町田さんの泣き笑い調の語り口で批判しながらも、そんな人たちへ温かい眼差しがうかがえます。共感も容認もできない人もいるでしょうが、自然に生きていいんだよと救われる人もいる気がします。
96年に文芸誌に発表された表題作は、野間文芸新人賞・Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。 -
Posted by ブクログ
文体がなんか前のを少しいじったぐらいかなーと思って読み進めていくが、全然そんなことない、と思う。そんなことよりも水を飲むようにして文章がどんどん入ってくる。んで、マジックリアリズムというのかちょっと現実的でないことが不意に起きて、(例えば頭皮が垂れてきて口の中に入るとか)気づいた時にはってな感じ。何も考えずに、一筆書きのようにビャァーッて書いたような文章で、癖になる。これは適当に書いてできる代物ではない、はず。
意外とここまで細かく丁寧に描写している小説はないのではないかと思うほどに、細かい、と思いきやいつのまにか場面が変わっていたりなど、とにかく他の作家とは視点が違う。描くポイントが完全に違う。こんな小説は意外とないんじゃないかなーなんて思ったりしたのであった。、 -
Posted by ブクログ
なんというか、聞いた話などを書き残しているものだから、内容が雑誌に載っている小話の連作、という感じだった。
なので、何か学びになるとか、含蓄があるとかということはあまりなくて、むしろただそれを楽しむ、という雰囲気のもの。
町田さんの、『古事記』などで見かけた奇天烈な訳は控えめだったけれど、それでもだいぶ読みやすく楽しく読み通した。
序文で『宇治大納言物語』の話が出ていたのでそれもぜひ読みたい、と思い検索したが見つけられぶにいたら、どうもそれは散逸し(あるいはそもそも書かれてない?)現代では見つかっていないということが解説にあった。そういう事情も含めて面白い。
今回200話中30話のみの抜粋翻訳とのことで、解説者が言っていたように確かに全量を町田さんが翻訳してくれたらぜひとも読みたいものだ、と思った。