町田康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
種田山頭火は漂泊の俳人と呼ばれる
仏門に帰依して僧侶となった彼は
いわゆる行乞、托鉢をやって
少量の食べ物や金銭を恵んでもらいながら
旅する合間に俳句をつくっていた
しかし元々、俳人としてそれなりに人気のあった彼は
各地のファンに援助してもらったり
時には別れた妻の…かつての自分の家に転がり込んで
必ずしもストイックとは呼べない
どちらかといえば自堕落に思える人生を歩んだ
それでありつつ息子の将来に思い悩んでみたりなど
なんつうか、しょうのない人だった
なぜそんなことになってしまったのか
幼少時に母親が自殺したことや
家業の造り酒屋を潰してしまったことなど
不幸な挫折はいろいろあったが
本人に -
Posted by ブクログ
900ページ近くある分厚さになかなか読む気力が起きず何年も積読として眠らせていたこの小説。こんなに分厚い文庫本は初めて読んだ。
思弁的すぎる上にその思いをなかなか言語化できない。思考と言動は一致することはなく、そんな熊太郎を周りの人間は「また熊太郎がおかしなこと言うとるわ」と馬鹿にする。明治時代の河内の百姓ごときに熊太郎の渦巻く思想を理解できるものなどいるわけもなく。己の性質と、理解者など一人もいない農村という環境が熊太郎を苦しめ続け、堕落し、ドツボにはまり、破滅の道を歩む。
なんでそうなるの?と思わず突っ込んでしまいたくなるほど不器用で、きっと熊太郎は生きることが下手すぎた。
自問自答し続 -
Posted by ブクログ
こんなに読後にも引きずる後味の悪さはなかなか体験できません。読み終わった後も口内に鉄の味が残るような生々しさ。
その時、自分が、その人が、「その時」をどう解釈するかしかない。
その解釈から解釈への連なりが現在の水の流れを作る。そしてその場所へ行き着く。
だから、全てはそうとしかあり得なかった事で。結局は導かれるべきところに導かれるしか無いということ。
その上で出来ることといえば、「その時」と交換する自分において質の高い解釈を所有しておくことなのかも知れないと感じました。上品な解釈。
その手段はまだ鮮明さを持っていませんが。
ただ、流石に長いとも感じました。
展開において必要な柱を数本立て、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ町田康、最高。終盤が特に面白すぎて電車で静かに読むのが辛かった。奥州平泉の秀衡と息子たちの話あたりが面白すぎる。ヒラメいいですよね、今度ヒラメパーティしましょ、からの、ヒラメ最低、ヒラメ死ね。武士とか貴族とか言っても、テキトーに調子を合わせてものすごく軽い様が、そして生き残ることへの真剣さが伝わって、なんだか可愛く思えてくる。
義経の異常な感じ、鎌倉殿の13人の菅田将暉の義経に影響したのでは?と感じる。
パンクで異常なだけかと思いきや、弁慶の来歴に心を痛め淋しさを理解するような書きぶりに、こちらも胸が痛くなる。弁慶の造形と彼を不憫に思う繊細さもある義経が良かった。
河内弁のリズムの楽しさ、弱 -
Posted by ブクログ
ネタバレ関西人に生まれてよかった、河内弁の呼吸が分かって良かった、と思う文章で、読んでいて楽しかった。自分の文章も含め、読んでいて行間から何かくさみが上がってくるなと思うことがある。その現象が気のせいではなく、なぜ起こるのかが克明に明かされていた。
文章の内容とは自分の中にある糸屑のようなゴミカス(心の錦)から湧き出てくるものという。いかにも関西人らしい、自分をあげることへの気恥ずかしさを感じさせる。なんだか照れながら大真面目、真剣な人だ。
ノリ、グルーブ、または文体と内容はお互に呼応しながら組み上げられていくものらしい。
文体、文章のいけずで迂回しながら書き上げなければ、基本、小説は2行、純文