町田康のレビュー一覧

  • 朝鮮漂流

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    不慮の海難によって朝鮮に辿り着いてしまった薩摩藩の船。救助を求めるも言葉が通じぬ官僚たちに筆談で意思疎通を図る薩摩藩士の苦悶は、規律や体裁といった適応力とかけ離れたもどかしさにある。政治と友好のはざまに何が懸念として立ち塞がるのか、本音と建前のステージで展開する問答が面白い。毎度の町田康のやり口がグローバルな視点で打ちかけてくる。どんどん窮地に追い込まれる現状は、現在の日本の外交とさほど変わらない。否、もっと拙く酷い。

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    2026年07月26日
  • くっすん大黒

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    よくわからんけど面白い。町田康自身をモデルとすると思われる主人公が、金属製の大黒を捨てようとする所から始まる。友人の菊池と、現実と非現実の狭間のような出来事に襲われる珍道中。主人公の独白スタイルで話が進むが、その文体が小気味よいしユーモアがある。往年の私小説の連なる作風である。

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    2026年07月19日
  • くっすん大黒

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    岸本佐知子が『気になる部分』で絶賛していたので読んでみた。
    なんだかよくわかんないけど面白かった。文章の勢いとリズムで押し切られる感じ。

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    2026年07月19日
  • 朝鮮漂流

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    この「日記」を見つけとき、主人公安田義方の生霊が作者に憑依したんだろうな、と思わせる筆致だ。

    外国語を通じた異文化間コミニュケーションの妙味も充分味わえる。

    漢詩の町田流「現代語訳」がますます冴え渡り、ゲラゲラ笑える!

    ときに難しい漢字に躓きながら、ページを捲る手が止まらなくなる冒険譚。

    巻末にでも地図か航路図をつけてくれたらもっとありがたかった。

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    2026年07月04日
  • 朝鮮漂流

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    スリリングなドキドキハラハラはないけど人間同士(しかも異国の)のコミュニケーションがあまりにもリアルに記されており、ついつい安田に感情移入してしまう。実話に基づくどころか、なされた会話の事細かな記録ををもとに作られた話であることを考えると、今も昔も人と人のコミュニケーションの際に生じる感情というものはあまりかわらないんだなぁとしみじみ感じる。

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    2026年06月10日
  • 作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

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    最近は実用本ばかり買っていたので、たまには文学でもと楽天ブックスのバーゲン本から選んでみた。池澤夏樹が編んだ文学全集のことは知ってはいたが、その関連の書籍とは予想外だった。声優の池澤春菜の父上であることも知っているが、何事にもチャレンジャーであるところが好きな作家さんだ。 

    とは書きつつも、まだその作品は1冊も読んだことがない。これは、その一冊目?

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    2026年05月21日
  • 夫婦茶碗

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    ・夫婦茶碗
    一人称視点でずっと描かれていて、奥さん側の視点が全くないので、あらゆる事象が急展開、突発的に起こる。主人公が自分自身を童話に投影しすぎて訳わからんくなっていく様が妙にリアル。

    ・人間の屑
    もうめちゃくちゃ、前半は鬱屈とした印象で読む手が止まりそうになったが、バイトの兄ちゃんと仲良くなってからの超絶怒涛の展開が最高。
    最後の方メチャクチャやりすぎ、逃げたことがダメだったのだと気づいてからの答えの出し方がめちゃくちゃ。ものすごエンターテイメント

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    2026年05月20日
  • 浄土

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    タイトルの回収ないなーと思いながら最後まで読んだけどどの物語も落ち、ないし山場で死と直結していた。
    なるほど、浄土やなーと思ったら、割と最後の後書きでそれに触れてなかったのがおもろかった。
    ギャオスばりやばい

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    2026年05月15日
  • 告白

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    GWに絶対読もうと思ってた
    冬のなんかさ、春のなんかねにも出てきてたので
    めちゃくちゃ面白いし文章のリズムもよかったけど
    心に残る一冊にはならなかったかも
    弥五郎のことは好き

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    2026年05月07日
  • 告白

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    城戸熊太郎という人間の内面をこれでもかと見せつけられた。愚かで、したたかで、惚れやすく、見栄っ張り。呆れる程にどうしようもない。
    だけど、彼を取り巻く世界はもっとどうしようもない。フィクションだと分かっていても、こんな人生は哀しいな、悔しいな。

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    2026年05月05日
  • 告白

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    河内音頭のスタンダードナンバー「河内十人斬り」。思弁的であるが故に愚直かつ婉曲的になってしまう男が殺人者になるまでの過程が、河内弁により間断なく脳内に流し込まれる。その濃縮された生涯を追体験する。哀しみを纏った滑稽さが、ラスト100頁付近からバランスを失っていく。心の中の心の中。自問自答を繰り返した後の「あかんかった」に泣きそうになった。

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    2026年04月28日
  • 告白

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    ネタバレ

    読後「うぁあああ…無念…なにしてんの…なにしてんだよぉ…熊太郎…弥五郎可哀想じゃん…熊太郎の馬鹿野郎…」ってなった。

    熊太郎が不憫すぎる。なんだろう、全然報われない。誰も幸せじゃない。悲しすぎたー。

    せっかく所帯持てたのに…縫とちゃんと対話出来れば良かった…。

    「兄哥」といつも慕っていた弥五郎は本当にいい奴だった。終盤、妹に会いに行き、滞納してた家賃も払い、掃除して身の回りを整えた描写は泣けた。

    対して寅吉、熊次郎、傳次郎の汚さよ…。

    人間ってどうしてこんなに複雑なんだろう。

    やるせなさと虚脱感が残る。

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    2026年04月27日
  • 口訳 太平記 ラブ&ピース

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    全然日本史を知らないので勉強になった。厳密に関西弁の区分とかよくわからないので実際は違うのかもしれないけど、全員禅院直哉の喋り方をしてた。特に、資朝が最初の方めちゃめちゃイキリキャラとして登場したので禅院直哉か?と思ったけど、最期は従者にも妻にもめちゃめちゃ愛されていて2人は資朝のために一生を捧げるくらい資朝を慕っていたので全く禅院直哉ではなくて、禅院直哉って最悪なんだな……。と思った。幕府の隠蔽体質!悪い!年貢制度!悪い!日本ってもしかしてあんまりこの時代から進歩してない……?強くてイケてる武士がみんな活躍してたのはアツかった。

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    2026年04月23日
  • 宇治拾遺物語

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    町田康の訳で読む古典が、こんなにも楽しくて面白いものだとは思ってもみなかった。
    町田康の訳という最高のパイプを通すことで更に古典の面白さが倍増されていた。
    古典って個人的には、ちゃんとオチがあって教訓めいててみたいなイメージがあったけど、こうして読むとオチのない話があったりシュールな話があったりして古典のイメージを払拭させられた。
    古典って面白い。
    同じものを面白いと感じているということが、昔の人と繋がっているように感じられて良かった。
    昔の人も下ネタで笑っていたのだなと思うと感慨深い。
    嗚呼、面白かった。

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    2026年04月19日
  • テースト・オブ・苦虫4

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    文庫版帯には「待望の文庫化! 事実か虚構か謎が深まる 魅惑のエッセイ集第四弾」とある。2010年に新宿の文壇バー・風花で古井由吉・柄谷行人との朗読会にて町田康自身が朗読した「本音で生きる」という作品が収録されたエッセイシリーズ第四弾。変わらぬ面白さと読書の愉しみがまだ4冊も続くのがたまらなく嬉しい。

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    2026年04月19日
  • 口訳 太平記 ラブ&ピース

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    「義経記」「古事記」に続く、町田康の古典口訳シリーズ。
    読む前から面白いだろうなと思って読み始めたら、案の定面白い!

    ゲラゲラ笑って読む「太平記」ってなんなの?

    「口訳」の真骨頂は、日野俊基が鎌倉へ送られるときに詠んだ(とされる)以下の歌にも示されている。

    桜吹雪がえげつなく/道に迷うた交野の春も
    紅葉の錦を着て帰る/日が暮れ秋の嵐山
    一夜の宿りすらだにも/げっさしんどい仮の宿
    だのにそやのに連日の/旅寝は鬱にそらなるわ
    長年住んだ京の町/ほなさいならと旅立って
    愛し可愛いの妻や子も/置き捨てひとりトボトボと
    思いもよらぬ長の旅/実際マジでしんどいわ

    ますます磨きのかかった古典の「口訳

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    2026年04月19日
  • へらへらぼっちゃん

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    ロビンソンの庭に出てた町田町蔵しか知らない私。
    専業主婦だから私も似たり寄ったりな生活しかしてないのは共感。ほんと阿呆な生活である。町田町蔵は時代劇を観る、私は本を読む、それで良い。なんかそう思った。
    ちりんちりん鳴らされ舌打ちされて、「呪われよ、自転車のおばはんたちよ」って言うの、笑う。
    水たまりに小銭しか入れてない事に対して「死にやがれ貧乏人が」って言うのも、不謹慎だけどおもろい。
    と思えば、女性に肩ぶつけられて「悲しい。」って言ったり。
    町田町蔵の繊細さを感じた。

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    2026年04月12日
  • 口訳 太平記 ラブ&ピース

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    太平記の中でも、鎌倉時代末期の後醍醐天皇の重した謀反を中心とした部分を大胆に口訳している。原典はおそらく歴史的な記述に重きを置かれているが多くの場面で物語としての矛盾や、ご都合主義的展開が多く含まれているのだろう。この口訳ではそれをいい加減な語り手を登場させることによって違和感を消すという点が発明だと感じた。登場人物の名前が聞き馴染みなく、次から次へと登場するが、その人物関係を把握せずに読み進めても、台詞回しやリズムの気持ちよさと、そのユーモアで楽しく読めた。

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    2026年04月07日
  • 俺の文章修行

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    小説の書き方というよりは、町田康の文章についてのエッセイという感じで面白い。おもろい。
    町田康の文章を浴びることが出来る。
    町田康のドライブ感のある文章力に乗せられてどこまでも永遠に読み進めていけるような感覚を得られた。
    町田康の文章を浴びたい人は読んで損ないと思う。
    ただ、これを読んで文章が上手くなるかどうかは分からない。
    というか、自分の文章力に昇華出来るほどの読解力がまだ無いだけかも。
    内容についてまだまだ理解に至っていないことがいっぱいあったのでまた読むと思う。

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    2026年04月11日
  • 宇治拾遺物語

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    訳者の町田康自身が、数ある宇治拾遺物語のお話のなかでこれらを選んだのかな?
    オチにガッツリ教訓がある話、なんとなくスン、、と終わる話、いろいろだけどどれも、町田康節が爆発している。
    出てくる登場人物がほぼ、良い人でもめちゃくちゃ悪い人でもなくグレーな人なところ。教科書に掲載されている宇治拾遺物語の勧善懲悪の印象だった宇治拾遺物語の、本当の姿が浮かび上がってくる。
    人間ってそうやんな、完璧に善な人も悪な人もあんまりいなくてグレーな人がほとんどで、世の中なんとかそれで廻ってる。時の上皇であってもそれはこの本の中では同じで。時代は変われど人間の本質は何も変わらない。欲も諦めも喜びも悲しみも愛も。

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    2026年03月29日